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第二話 レッドピンチ 驚異の女幹部レディスコルピオン

ニュードクター・エクシリオン 山田大輝の憂鬱

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「お見事です。ドクター」

 妖艶な女性の声が響いた。
 実際、クロッチが見える程、短いミニの黒いナース服、黒いグローブとロングブーツに身を包んだ怪しい女性だ。

「ドクターが開発した新しいギアのモードは完璧に作動しています」

「僕の手柄じゃないよ。作られていたのを活用しただけだ」

 彼女に言われて大輝は控えめに言った。
 研究所の倉庫に保管されていたギアを使用したのだ。

「しかし、彼女に合わせて調整しパワーアップさせたのはドクターの手柄です」

「それもドクター・エクシリオンの知識のお陰だ」

「ええ、ですが今はあなたがドクター・エクシリオンです、ニュードクター・エクシリオン」

 大輝いやニュードクター・エクシリオンは苦笑した。
 ここは彼が受け継いでしまった、悪の幹部ドクター・エクシリオンの秘密研究所だ。
 変身ヒーローに憧れていた大輝にとって悪の組織の幹部の片割れとなるのは不本意だ。
 だがドクター・エクシリオンに捕まり、死にかけている自身の身体から大輝の身体を乗っ取るために記憶や技術を注ぎ込まれた。
 その途中、事故がありドクター・エクシリオンは死亡したが、その知識と技術は大輝の中にある。
 ドクターの助手だった黒いミニスカナースの女性、ダークナース・リリアンは大輝を新たなドクター・エクシリオンとして仕えている。
 大輝としては、このような立場を辞めたいが、秘密結社アセンデッドの一員とみられている。
 しかも、前のドクターが秘密結社アセンデッドに失敗続きにより処分されそうになり、十雄前に装置や資材、資金を強奪して逃走。
 アセンデッドからも狙われる状況だった。
 その状態で、ピンチになったレッドを助けたのは、自身が助かるためだ。
 レッドにギアを提供してアセンデッドから守って貰うと共に、自分の身の安全を保証して貰う。
 それが、大輝と同級生の優子、変身したレッドとの約束であった。

「それで、レッド、小川優子を洗脳するのは」

「ダメだ」

 リリアンの提案を大輝は即座に却下した。

「しかし、ギアレンジャーにばれる可能性が。安全の為に洗脳し従わせ口封じをしておくべきでは」

 もし大輝がドクター・エクシリオンであることがばれたら、ギアレンジャーからもアセンデッドからも大輝が狙われる。
 日常生活にも四方が出る。
 だからダメだった。

「約束は守らないと優子は、いやレッドが信じてくれたんだから」

 変身ヒーローに憧れる大輝は、まだ純真であり、約束を果たそうとした。

「分かりました」

 素直にリリアンは従った。
 何故か素直な事が多く、大輝は不気味に思っていた。
 その時、秘密研究所にレッドが戻ってきた。

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