3 / 37
襲撃
しおりを挟む
「な、なんなのあいつら」
突然校庭に現れた見るからに怪しい人物に美佳は驚くが、水紀は冷静だった。
現れたのは鎧姿の怪人二人。一人は長身で大柄、もう一人は背が低く少し太っている。
「%’(’)%&’&(~~&>++!」
「え?なに」
小太りの怪人が叫ぶが、地球の言葉ではない異世界の言葉であるため誰も理解できなかった。
そして登校途中の女子生徒が遠巻きに見る中、隣の大男が前に出てきて剣を抜いた。
「! いけない! 皆逃げて!」
水紀は叫んだが手遅れだった。
鎧を着た大男は剣から雷を発生させ周囲に飛ばした。
「あああっ」
「きゃあああっ」
遠巻きにしていた女子生徒に命中し、彼女たちは電撃を受けて失神しその場に倒れた。
その様子を見ていた二人組は、失望したような仕草をすると、校舎内に入っていった。
『凶器を持った不審者が校舎内に現れました。生徒の皆さんは直ちに避難して下さい。繰り返します』
「大変な事になったよ水紀、って、何処に行くんだよ」
「先に逃げていて」
「全く、また何時もの癖かよ」
このような緊急事態があると何時も真っ先にいなくなる水紀に美佳は慣れていたが、毎度呆れていた。
「まあ、今回も無事に帰ってくるよな?」
そこには居ない水紀に向かって美佳は言った。
校舎に入った怪人二人組は、廊下を進んでいった。
時折、逃げ遅れた女子生徒を見つけると電撃を放って気絶させる。
だが、それ以上のことは行わず、先へ進んでいく。
「待ちなさい!」
そこへ水紀が駆けつけた。廊下に倒れた女子生徒に駆けつけ様子を見る。
息がある事にホッとした水紀は立ち上がって二人組を睨み付けて叫ぶ。
「貴方たち! これ以上の乱暴狼藉は止めて降伏しなさい!」
指を突きつけて言うが、怪人の答えは電撃だった。
「ああんっ」
強烈な電撃を受けて水紀は廊下に倒れてしまう。
そして二人組は再び歩き始め水紀の脇を通り過ぎようとする。
「待ちなさい」
だが、水紀は立ち上がった。
「これ以上の狼藉は私が止めます」
水紀は自分の胸の前に両手を置くと目を閉じて叫んだ。
「アクアエネルギー! フルチャージ!」
両手を広げ、両目を開いた瞬間、水紀の身体は光り輝いた。
着ていた制服が消え、光の粒子が周囲を舞い、やがて水紀の身体に集約していく。
粒子は徐々に水紀の手足へ集まり、ブーツ、グローブ、セーラーレオタードの形を作っていく。
そして光が収まると光沢を放つ青色と白色の衣装に変わった。
「正義と平和を守るセーラー美少女戦士アクア! 参上!」
変身したアクアは腰に手を当てて怪人二人に改めて叫ぶ。
「これ以上の狼藉は許しません!」
一瞬驚いたような怪人だったが再び電撃を放ってくる。
「アクアシールド!」
だがアクアは両腕を前に出すと水球を作り出し薄く伸ばして展開する。
電撃は盾のように展開した水の膜の表面を伝い消え去った。
「そんな物効きません! アクアアロー!」
アクアは左手を伸ばし水で作り出した弓を握ると、右手で作った矢を番い、放った。
放たれた矢は小太りの怪人に命中し後ろに吹き飛ばした。
「さあ、私の力は分かったでしょう。降伏しなさい!」
立ち上がろうとする小太りの怪人に狙いを付けるアクア。
だがその射線に大柄の怪人が割り込んでくる。
(何をする気。仲間を庇っている?)
アクアが大柄な怪人の行動を読めずにいると怪人は腰の剣を引き抜きその切っ先をアクアに向けた。
「#&%’%~%+*$&」
異世界からの来襲者は時折言葉が通じない世界からもやって来る。
それでも気配とか表情や仕草で大まかな意図は読み取れる。
どうやら大柄な怪人は、アクアに勝負を挑んでくるようだ。
「降伏しなさい!」
ならばアクアも言葉は通じなくても気迫で伝える。
怪人はアクアの意図を読み取ったのか、剣を大きく振りかぶってアクアに迫っていく。
接近した瞬間、アクアは矢を放ったが大柄な男は身体に似合わない動きでそれを避ける。
しかしそれは想定内。
逃げた方向へ素早く新たな矢を水で形成し番えてアクアは放った。
だが、これは鎧に弾かれて有効打とならず。
それでもアクアは次の矢を鎧の隙間を狙って放った。
しかし怪人は振りかぶった剣を振って矢を弾いた。
「これで止めよ」
そこへアクアは再び矢を番えて放った。
大きく振りかぶって姿勢が崩れた瞬間を至近距離で鎧の隙間めがけて。
アクアの放った矢は深々と突き刺さった。
だが、怪人はそれでも怯まなかった。
「え?」
予想外の頑丈さを見せた怪人は振った剣を振り返し、アクアに斬り付けようとする。
「それも想定内よ。アクアシールド!」
アクアは先ほどのように薄い防護膜を展開し押しとどめようとする。
しかし怪人はいとも容易く剣で切り裂いた。それもアクアの作戦の内だった。
アクアはシールドを切り裂くため剣を振り下ろした怪人に向かって一歩踏み出す。
そして左手の弓を変形させて短剣に変えると姿勢を低くして怪人の横を通り過ぎる。
その間際に怪人の足を切り裂いた。
「があああっ」
痛みで悲鳴を上げた怪人は床に倒れた。
「どう? 私は非力かもしれないけど、貴方たちを倒せるだけの力が有るのよ。降伏しなさい」
凛とした声でアクアは宣告する。
「がはははははっっっっっっ」
だが、倒れた怪人は歓声を上げた。
そして立ち上がると、再び剣をアクアに向けた。
「……ここまでしても分からないようね。いいわ。倒して上げる」
突然校庭に現れた見るからに怪しい人物に美佳は驚くが、水紀は冷静だった。
現れたのは鎧姿の怪人二人。一人は長身で大柄、もう一人は背が低く少し太っている。
「%’(’)%&’&(~~&>++!」
「え?なに」
小太りの怪人が叫ぶが、地球の言葉ではない異世界の言葉であるため誰も理解できなかった。
そして登校途中の女子生徒が遠巻きに見る中、隣の大男が前に出てきて剣を抜いた。
「! いけない! 皆逃げて!」
水紀は叫んだが手遅れだった。
鎧を着た大男は剣から雷を発生させ周囲に飛ばした。
「あああっ」
「きゃあああっ」
遠巻きにしていた女子生徒に命中し、彼女たちは電撃を受けて失神しその場に倒れた。
その様子を見ていた二人組は、失望したような仕草をすると、校舎内に入っていった。
『凶器を持った不審者が校舎内に現れました。生徒の皆さんは直ちに避難して下さい。繰り返します』
「大変な事になったよ水紀、って、何処に行くんだよ」
「先に逃げていて」
「全く、また何時もの癖かよ」
このような緊急事態があると何時も真っ先にいなくなる水紀に美佳は慣れていたが、毎度呆れていた。
「まあ、今回も無事に帰ってくるよな?」
そこには居ない水紀に向かって美佳は言った。
校舎に入った怪人二人組は、廊下を進んでいった。
時折、逃げ遅れた女子生徒を見つけると電撃を放って気絶させる。
だが、それ以上のことは行わず、先へ進んでいく。
「待ちなさい!」
そこへ水紀が駆けつけた。廊下に倒れた女子生徒に駆けつけ様子を見る。
息がある事にホッとした水紀は立ち上がって二人組を睨み付けて叫ぶ。
「貴方たち! これ以上の乱暴狼藉は止めて降伏しなさい!」
指を突きつけて言うが、怪人の答えは電撃だった。
「ああんっ」
強烈な電撃を受けて水紀は廊下に倒れてしまう。
そして二人組は再び歩き始め水紀の脇を通り過ぎようとする。
「待ちなさい」
だが、水紀は立ち上がった。
「これ以上の狼藉は私が止めます」
水紀は自分の胸の前に両手を置くと目を閉じて叫んだ。
「アクアエネルギー! フルチャージ!」
両手を広げ、両目を開いた瞬間、水紀の身体は光り輝いた。
着ていた制服が消え、光の粒子が周囲を舞い、やがて水紀の身体に集約していく。
粒子は徐々に水紀の手足へ集まり、ブーツ、グローブ、セーラーレオタードの形を作っていく。
そして光が収まると光沢を放つ青色と白色の衣装に変わった。
「正義と平和を守るセーラー美少女戦士アクア! 参上!」
変身したアクアは腰に手を当てて怪人二人に改めて叫ぶ。
「これ以上の狼藉は許しません!」
一瞬驚いたような怪人だったが再び電撃を放ってくる。
「アクアシールド!」
だがアクアは両腕を前に出すと水球を作り出し薄く伸ばして展開する。
電撃は盾のように展開した水の膜の表面を伝い消え去った。
「そんな物効きません! アクアアロー!」
アクアは左手を伸ばし水で作り出した弓を握ると、右手で作った矢を番い、放った。
放たれた矢は小太りの怪人に命中し後ろに吹き飛ばした。
「さあ、私の力は分かったでしょう。降伏しなさい!」
立ち上がろうとする小太りの怪人に狙いを付けるアクア。
だがその射線に大柄の怪人が割り込んでくる。
(何をする気。仲間を庇っている?)
アクアが大柄な怪人の行動を読めずにいると怪人は腰の剣を引き抜きその切っ先をアクアに向けた。
「#&%’%~%+*$&」
異世界からの来襲者は時折言葉が通じない世界からもやって来る。
それでも気配とか表情や仕草で大まかな意図は読み取れる。
どうやら大柄な怪人は、アクアに勝負を挑んでくるようだ。
「降伏しなさい!」
ならばアクアも言葉は通じなくても気迫で伝える。
怪人はアクアの意図を読み取ったのか、剣を大きく振りかぶってアクアに迫っていく。
接近した瞬間、アクアは矢を放ったが大柄な男は身体に似合わない動きでそれを避ける。
しかしそれは想定内。
逃げた方向へ素早く新たな矢を水で形成し番えてアクアは放った。
だが、これは鎧に弾かれて有効打とならず。
それでもアクアは次の矢を鎧の隙間を狙って放った。
しかし怪人は振りかぶった剣を振って矢を弾いた。
「これで止めよ」
そこへアクアは再び矢を番えて放った。
大きく振りかぶって姿勢が崩れた瞬間を至近距離で鎧の隙間めがけて。
アクアの放った矢は深々と突き刺さった。
だが、怪人はそれでも怯まなかった。
「え?」
予想外の頑丈さを見せた怪人は振った剣を振り返し、アクアに斬り付けようとする。
「それも想定内よ。アクアシールド!」
アクアは先ほどのように薄い防護膜を展開し押しとどめようとする。
しかし怪人はいとも容易く剣で切り裂いた。それもアクアの作戦の内だった。
アクアはシールドを切り裂くため剣を振り下ろした怪人に向かって一歩踏み出す。
そして左手の弓を変形させて短剣に変えると姿勢を低くして怪人の横を通り過ぎる。
その間際に怪人の足を切り裂いた。
「があああっ」
痛みで悲鳴を上げた怪人は床に倒れた。
「どう? 私は非力かもしれないけど、貴方たちを倒せるだけの力が有るのよ。降伏しなさい」
凛とした声でアクアは宣告する。
「がはははははっっっっっっ」
だが、倒れた怪人は歓声を上げた。
そして立ち上がると、再び剣をアクアに向けた。
「……ここまでしても分からないようね。いいわ。倒して上げる」
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる