2 / 37
水紀の夢
しおりを挟む
「ひゃあっ」
いきなり胸をつかまれて水紀は悲鳴を上げて逃げ、振り返る。
「ふうむ、先月より三ミリの成長を確認……これが成長期……何処まで成長するのだ」
犯人は胸を掴んだ両手をワキワキと動かしながら、驚きの表情を見せつつ分析を呟く。
「何するのよ美佳!」
水紀の胸を掴んだのは、ウェーブしたセミロングを持つ同級生の美佳だ。
「おはよう水紀!」
水紀に睨み付けられても意に介さず、先ほどまでの深刻な表情を取り払い笑顔で手を上げながら挨拶をした。
真面目でおしとやかと言われる聖女子学園に通っているが、どこかやんちゃなギャルのイメージがある。
そして隙あらば毎日行う過剰なスキンシップを水紀に炸裂させる。
「いやー、今日は久々にチャンスがあったからつい」
「うう」
美佳の言葉に水紀は言い返せなかった。考え事をしていて油断したのは水紀でありセーラー美少女戦士としてふがいないからだ。
「あ、そうそう、昨日貸してくれたノート返すよ。サンキュ」
悪びれもせず美佳は鞄からノートを取り出して水紀に渡した。
「もう、たまには自分でやってよ」
「あはは、今度やるよ」
その今度という言葉が中学時代から続いていることを水紀は指摘しなかった。
「ところでどうしたの? 何か悩み事? 顔が暗いよ」
久方ぶりにセクハラできた理由、水紀が何か考え事をしていると美佳は理解しておりなにがあったか尋ねた。
タイプの違う二人だったが、そのため互いの弱点を補い合っているため仲が良い。
真面目で考え込みやすくなかなか動かない水紀に対して楽天的で強引な美佳が引っ張る。
時に孤独になりやすい水紀に声をかけてくれる美佳は水紀にとってかけがえのない存在だ。
「相談事や悩みなら聞くよ」
人に少し話しにくいことでもこうして切り込んでくれる美佳は水紀にとってちょっとした救世主だった。
「実は登校途中で他の人の結婚話を聞いて」
「うらやましくなったと」
「うん」
少し恥ずかしそうに話す。
話の途中で学校に着いた二人は靴箱で上履きに履き替えて教室へ向かう。
二人は階段で話を再開した。
「結婚か。あたしはイケメンで金を持っている人ならいいや。不自由したくないし、キモい顔見て一生過ごしたくないし」
「もう美佳ったら」
「理想くらい高くても良いっしょ。で、水紀はどうなの? 現実とか考えずにこんなの良いなって言ってみて」
教室に着いた水紀は自分の席に座り、その前が席の美佳は椅子の背もたれに腕と顔を乗せて尋ねる。
「……優しい旦那さん」
ぽつんと水紀は話し始めた。
「ほほう、どんな風に優しいのですかな」
美佳は目を細めて水紀に尋ねる。
尋ねられた水紀は子供の頃、セーラー美少女戦士アクアになる前の夢をゆっくりと記憶を辿るように思い出す。
「私を優しくしてくれる人、愛してくれるのお嫁さんになって幸せな生活を営みたいな」
「どんな風に?」
「うーん……胸に私がすり寄ると撫でてくれる」
「ほほう、頼りがいのある強い人ですか」
「うん、まあね」
「身体の細い水紀だけど、縋るんなら胸板は厚くて大きい人が良いよね」
「うん」
美佳は巧みに水紀の望みを聞き出す。
「あと私の事理解してくれる人がいいな」
「水紀のこと理解できる人なんてそんなにいないよ」
学年トップの成績の水紀に並ぶ男子はいなかった。
そのため、高峰の花と見られており、なかなか水紀にプロポーズする勇者はいなかった。
時折、勘違いした馬鹿が目立つためにプロポーズしてくるが、当然却下だ。
逆恨みしてくる奴もいるが、セーラー美少女戦士として鍛えた動きで投げ飛ばし、黙らせている。
「ううん。そう言うのじゃ無くて、私がしたいなと思うことを察してしてくれる人」
「うわあ、尽くさせるんだ。尻に敷くタイプ」
「そんなこと無いよ。私も尽くすもん。それで平等だもん」
「だとしたら水紀が尽くしたくなるような人だね。どんな人?」
「やっぱり優しい人で強い人かな。その人を支えたいの。その代わり、私の事も支えて欲しいの」
巧みな話術で水紀の話を引き出しニヤニヤと見ながら聞く美佳だがセーラー美少女戦士として戦うの日々の中で忘れていた子どもの頃の夢を水紀は思い出した。
「そんなこんなで毎日、私の元に来て優しくしてくれる人がいいな」
と水紀は呟きついには美佳に聞かれるまでも無く夢想したことが口から出ていた。
口にするたびに心が穏やかになっていく水紀。
日々の戦いは過酷で、もしかしたら怪人の手によって葬られるかもしれない。
継承した先代のセーラー美少女戦士は無事に引退したが、何人ものセーラー美少女戦士が戦いに倒れ散っていき、何人かは怪人によって掠われた。
無事に戻ってこれる保証の無い戦いに身を投じるアクアは何時しか未来を夢見ることを止めていた。
だがそれは心の中に澱のように溜まり、燻っていた。それが美佳の言葉であふれ出していた。
「うんうん、いいね。でも、水紀って初対面におも容赦ないからな。出会った瞬間にダメ出しするね」
水紀にプロポーズした男子の中には本気で付き合いたいというのもいた。
だが成績優秀者である水紀からすれば低レベルで話にならない。それに日々セーラー美少女戦士として生死の境を戦い続ける水紀からすれば男子高校生など弱い存在でしかないため付き合いたいと思えなかった。
「それでも付き合えるのはそれでも懲りずに何度もアタックしてくる根性のある奴だな」
「確かにそうかもね」
不本意ながら水紀は美佳の意見に同意する。
こうして美佳と仲良くなったのは、学年成績トップの水紀のノートを狙った美佳が執拗にアタックしてきたからだ。
最初こそ断っていたが根負けした水紀が貸しはじめ、やがて思ったよりも気が合うことを知って仲良くなったのだ。
スキンシップが過剰だが、こんなことができる相手は美佳だけだった。
「理想の旦那様、現れないかな」
遠い目をしながら言う水紀。
そのとき、校庭に異変が起きた。
「な、何あれ」
突然校庭に現れた黒い影を美佳は指さす。
水紀がその方向に目をやると異世界との通路となるゲートが開いて、そこから鎧姿の怪人二人が現れた。
いきなり胸をつかまれて水紀は悲鳴を上げて逃げ、振り返る。
「ふうむ、先月より三ミリの成長を確認……これが成長期……何処まで成長するのだ」
犯人は胸を掴んだ両手をワキワキと動かしながら、驚きの表情を見せつつ分析を呟く。
「何するのよ美佳!」
水紀の胸を掴んだのは、ウェーブしたセミロングを持つ同級生の美佳だ。
「おはよう水紀!」
水紀に睨み付けられても意に介さず、先ほどまでの深刻な表情を取り払い笑顔で手を上げながら挨拶をした。
真面目でおしとやかと言われる聖女子学園に通っているが、どこかやんちゃなギャルのイメージがある。
そして隙あらば毎日行う過剰なスキンシップを水紀に炸裂させる。
「いやー、今日は久々にチャンスがあったからつい」
「うう」
美佳の言葉に水紀は言い返せなかった。考え事をしていて油断したのは水紀でありセーラー美少女戦士としてふがいないからだ。
「あ、そうそう、昨日貸してくれたノート返すよ。サンキュ」
悪びれもせず美佳は鞄からノートを取り出して水紀に渡した。
「もう、たまには自分でやってよ」
「あはは、今度やるよ」
その今度という言葉が中学時代から続いていることを水紀は指摘しなかった。
「ところでどうしたの? 何か悩み事? 顔が暗いよ」
久方ぶりにセクハラできた理由、水紀が何か考え事をしていると美佳は理解しておりなにがあったか尋ねた。
タイプの違う二人だったが、そのため互いの弱点を補い合っているため仲が良い。
真面目で考え込みやすくなかなか動かない水紀に対して楽天的で強引な美佳が引っ張る。
時に孤独になりやすい水紀に声をかけてくれる美佳は水紀にとってかけがえのない存在だ。
「相談事や悩みなら聞くよ」
人に少し話しにくいことでもこうして切り込んでくれる美佳は水紀にとってちょっとした救世主だった。
「実は登校途中で他の人の結婚話を聞いて」
「うらやましくなったと」
「うん」
少し恥ずかしそうに話す。
話の途中で学校に着いた二人は靴箱で上履きに履き替えて教室へ向かう。
二人は階段で話を再開した。
「結婚か。あたしはイケメンで金を持っている人ならいいや。不自由したくないし、キモい顔見て一生過ごしたくないし」
「もう美佳ったら」
「理想くらい高くても良いっしょ。で、水紀はどうなの? 現実とか考えずにこんなの良いなって言ってみて」
教室に着いた水紀は自分の席に座り、その前が席の美佳は椅子の背もたれに腕と顔を乗せて尋ねる。
「……優しい旦那さん」
ぽつんと水紀は話し始めた。
「ほほう、どんな風に優しいのですかな」
美佳は目を細めて水紀に尋ねる。
尋ねられた水紀は子供の頃、セーラー美少女戦士アクアになる前の夢をゆっくりと記憶を辿るように思い出す。
「私を優しくしてくれる人、愛してくれるのお嫁さんになって幸せな生活を営みたいな」
「どんな風に?」
「うーん……胸に私がすり寄ると撫でてくれる」
「ほほう、頼りがいのある強い人ですか」
「うん、まあね」
「身体の細い水紀だけど、縋るんなら胸板は厚くて大きい人が良いよね」
「うん」
美佳は巧みに水紀の望みを聞き出す。
「あと私の事理解してくれる人がいいな」
「水紀のこと理解できる人なんてそんなにいないよ」
学年トップの成績の水紀に並ぶ男子はいなかった。
そのため、高峰の花と見られており、なかなか水紀にプロポーズする勇者はいなかった。
時折、勘違いした馬鹿が目立つためにプロポーズしてくるが、当然却下だ。
逆恨みしてくる奴もいるが、セーラー美少女戦士として鍛えた動きで投げ飛ばし、黙らせている。
「ううん。そう言うのじゃ無くて、私がしたいなと思うことを察してしてくれる人」
「うわあ、尽くさせるんだ。尻に敷くタイプ」
「そんなこと無いよ。私も尽くすもん。それで平等だもん」
「だとしたら水紀が尽くしたくなるような人だね。どんな人?」
「やっぱり優しい人で強い人かな。その人を支えたいの。その代わり、私の事も支えて欲しいの」
巧みな話術で水紀の話を引き出しニヤニヤと見ながら聞く美佳だがセーラー美少女戦士として戦うの日々の中で忘れていた子どもの頃の夢を水紀は思い出した。
「そんなこんなで毎日、私の元に来て優しくしてくれる人がいいな」
と水紀は呟きついには美佳に聞かれるまでも無く夢想したことが口から出ていた。
口にするたびに心が穏やかになっていく水紀。
日々の戦いは過酷で、もしかしたら怪人の手によって葬られるかもしれない。
継承した先代のセーラー美少女戦士は無事に引退したが、何人ものセーラー美少女戦士が戦いに倒れ散っていき、何人かは怪人によって掠われた。
無事に戻ってこれる保証の無い戦いに身を投じるアクアは何時しか未来を夢見ることを止めていた。
だがそれは心の中に澱のように溜まり、燻っていた。それが美佳の言葉であふれ出していた。
「うんうん、いいね。でも、水紀って初対面におも容赦ないからな。出会った瞬間にダメ出しするね」
水紀にプロポーズした男子の中には本気で付き合いたいというのもいた。
だが成績優秀者である水紀からすれば低レベルで話にならない。それに日々セーラー美少女戦士として生死の境を戦い続ける水紀からすれば男子高校生など弱い存在でしかないため付き合いたいと思えなかった。
「それでも付き合えるのはそれでも懲りずに何度もアタックしてくる根性のある奴だな」
「確かにそうかもね」
不本意ながら水紀は美佳の意見に同意する。
こうして美佳と仲良くなったのは、学年成績トップの水紀のノートを狙った美佳が執拗にアタックしてきたからだ。
最初こそ断っていたが根負けした水紀が貸しはじめ、やがて思ったよりも気が合うことを知って仲良くなったのだ。
スキンシップが過剰だが、こんなことができる相手は美佳だけだった。
「理想の旦那様、現れないかな」
遠い目をしながら言う水紀。
そのとき、校庭に異変が起きた。
「な、何あれ」
突然校庭に現れた黒い影を美佳は指さす。
水紀がその方向に目をやると異世界との通路となるゲートが開いて、そこから鎧姿の怪人二人が現れた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる