その場にいたのは僕だけだった

桜井 海來

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その場にいたのは僕だけだった(違い)

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 「え?」っと僕は思わず声をあげる。
振り向けば2時間前にさよならをしたはずの夏陽さんがお茶を右手に立っていた。相変わらずニッコリ笑顔で「さぁ座ろう座ろう」っと背中をトントンと軽く押してきて少しもたつきながら電車内へ入った。
 見渡すかぎり乗客はそこそにいた。なるべく人がいない場所へ移動して静かに腰をかける、もちろん後ろからニコニコと彼女も着いてきて僕の隣に座ってきた。
1つ間隔を開けて座って欲しいと心の中で思っていし、第三者から見ればカップルと間違われても可笑しくはないだろう。でも付き合うという約束もしていたし、
別に気にしなくてもいいのかと自分に問いかけた。
 電車がガタンッと大きく揺れる度、まるで乗客が海中を揺れる海月(くらげ)のようにも見えたり、なんてことを考えたりもしながら、外の風景を見ることにした。横に座る彼女もびっくりするほどに静かに座っていて、色々とちょっかい事や話を振ってくるんじゃないかと思っていたけれど、そんなことは無かった。僕が横目で見ているのに気づいたのか、夏陽さんはこちらを向いてニコリと笑顔を見せた。その笑顔は何の笑顔だ?と思っていたら、降りる駅に付いた。
 ドアが開きどうやら降りるのは僕達だけだった。
ホームに降りると夏陽さんは両腕をグッと上に挙げて背伸びをした。彼女のようなお喋りさんは、電車の中は退屈だろう、別に僕は平気だけど。
 すると夏陽さんはこちらに振り向き「どうだった?」っと意味わからない事を言ってきた。それと同時に彼女の周辺が歪んだようにも見えた。
 一瞬、はてなマークが1ついや2つ3つぐらい頭に出た僕は、どう反応していいか分からず首を斜めに傾げた。
 そんな僕を見た彼女は「まあ、そうだろうね」っとまた僕のはてなマークを増やして言った。彼女はそのまま無言になり学校の方へスタスタと歩き始めた、僕も頭上にはてなマークを抱えたまま後ろからテクテクとついていく。 今のはどういう意味なのだろう、静かにしていたからすごいでしょ?みたいな事ではないだろう、そこまで彼女も子供っぽい考えはしてないと思うし・・・考えれば考えるほど難しくなってきて今僕の頭は例えるなら風船のようにどんどん膨らんでいるだろう、学校が遠目で見えてきた、このままだとモヤモヤを抱えたまま、それぞれの教室へ行くのは嫌だったので夏陽さんを呼びかけ足を止めた。
 「ねぇホームで言ってた どうだった?ってなんの事?」彼女は首を傾げていた。
あれ?可笑しいな確かに言っていたし、まさか忘れたとはないだろうたった数分前の事なのに、しかしもう一度訊いても首を傾げた、そんな彼女から思いもよらないことを言われた。
 「え?何も言ってないよ」夏陽さんは不思議そうな顔をして僕を見ていた。
「だって僕の方を見て、どうだったって、それにその後も、」っと話を続けたけれど、そんな記憶がないと言った。彼女曰くホームに降りて今まで会話なんてしていないと言った。
でも夏陽さんが嘘を言っているようには思えなかった。不思議な感覚に落ちいた僕は、きっと疲れているという適当な理由で話をやめた
「疲れてるんだよ」っと僕の目を見て夏陽さんはそう言った。だがそんな理由で僕の頭の中からその不思議な体験は消えはしなかった。
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