清色恋慕 〜溺れた先は異世界でした〜

月峰

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最終章

57 〜自分でやるからいい!!

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 初夜の次の日、ベッドから起き上がれない智美を見て、非難の目を向けてくる侍女を、カイは軽くやり過ごし、夜また智美の様 子を見るべく部屋へいく、いや、ただ智美と居たかったのだ。

 部屋に入ろうとする手前で、智美付きの侍女にぬり薬の瓶を手渡される。

『言葉が通じ無いせいか、手当てさせてもらえませんでしたので、よろしくお願いします。』

 婚約の印の青魔晶のピアスを、儀式にどう影響が出るか分からないため、カイは一応智美から外して己の耳に戻していた。そのため智美は今、カイ以外と言葉が通じない状態だった。
 カイは智美の為に掛けた、意思が通じ合う【言の葉】の魔法を、ピアスからまだ解いていないまま付けているので、カイだけが智美と意思疎通出来るようになっていた。
 意識してやったわけでは無いのだが、泉侶の気持ちを自分のみが理解できるのは、カイの心を擽る事だった。


 ノックして入ると、智美はベッドで上体を起こして、何か温かい物を飲んでいた。
 その独特な匂いのするお茶は、貧血に効くお茶だったと思う。
 お茶を飲みながら智美は睨んでくる。

「血が止まらない。」

 そう言って、フーフーと息を吹きかけて、冷ましながらお茶を飲む。

『手当てさせないからだ。薬を塗ってやる。』

 そう言いながら、カイは智美が半分まで飲んでいたカップを奪ってサイドテーブルに置き、薬瓶の蓋を開けながらベッドへ腰掛ける。

「え、それって薬だったの?
 ま、まって、塗り薬って、自分でやるからいい!!」

 慌てる智美はカイから薬瓶を取ろうと手を出すが、カイはその手を取って自分に引き寄せる。

『自分でじゃ届かないだろう。』
「ゔーっっ、魔法でパッと治せたりしないの!!」

 苦し紛れにそんな事をいうが、逃げはしない。体が言う事を聞かないからだ。

『治癒魔法は、見えない所は…効きにくいんだ。再生魔法はすぐ治るが、今かけると処女膜再生してしまうから、また痛い目に』
「!!」

 本当は、効きにくいと言うのとはちょっとだけ違う。目視できない物を治す時は、探知魔法で細部を探りピンポイントで、魔法を掛けるのだが、治療する所に触るか、より近い所に触れてなければならない。
 ただ、目で見た所にかけるのよりより繊細な魔法操作が必要で、それが出来るのは数名しかおらず、魔法医局の者だけだ、けれどカイは智美に触らせたくない。痛みを一時的に感じなくさせても良いが、治りが遅くなってしまう。

「また痛いのか、でもこの痛みが無くなるなら、またこんな事そうそうないし…」

 なにやらぶつぶつ言っている智美の言葉に、カイは焦りを感じてとっさに嘘をついた。

『まだ、儀式は完成してないからな』

 その言葉に智美は怪訝な顔をする。

「え?一度すれば良いんじゃ無いの?」
『術が完成するまで、俺の精を注がなくちゃならない』
「ええ!何そのエロゲ設定!」
『?』

 カイは智美が発した言葉の意味が分からず、混乱するが、その後ぶつぶつ言うひとりごとで、不満ながらも智美は一応信じたので一安心する。
 儀式は一応一度すれば発動するので、何度もする必要が無いのだが、言葉では思いの丈を表す事が苦手なカイは、智美に拒否られるのは辛かった。

『それに【言祝ぎ】が終わったら、婚姻するんだから、夫婦の営みはきちんとするぞ』

 カイの言葉に、ぶつぶつ言っていた智美はすっと真顔になって、カイを見る。
 カイは、心の機微を言葉に表す事に慣れてないので、言い方が雑だった。カイは婚姻して末長く仲の良い夫婦でいたい意味で言っているのだが、意思が通じ合う魔法とは言え、言葉が少なければそこまでの機微は伝わらない。
 変に焦っているせいもあって、智美にはそこまでの意思は伝わらず、智美はフイと目を逸らし何か考えているようだった。

 カイは、どう言葉をかけて良いのか分からず、ひとまず手渡されていた、薬を塗ろうと思った。

『血を止めないと、薬を塗るぞ』

 そう言いながら蓋を開けた薬瓶を片手に持ちながら、上掛けに手をかける。言われた智美はビクッとしていたが、じっとしていた。
 被っていた上掛けをめくると、智美はカイの下着のシャツを着て、血が付かないように下に布をあてがっているだけだった。
 智美は、このシャツを寝巻きと勘違いしているらしく、昨日着ていた自分の薄衣か、カイの昨日脱いだシャツしか起きた時になかったのだろう、何の疑問も持たずに、カイのシャツを着たようだ。
 半身を起こしていたので、着ているのは分かっていたが、上掛けをはいで全身を見て、自分が昨日着ていたものだと気付くと、カイはゴクリと唾を飲む。
 そんな様子に智美は気付いってないのか、薬が塗りやすいように、起こしていた身体を横にして、そっぽを向いていた、さすがに足を開く事は躊躇したらしく、ピタリとは付けずにほんの少しの隙間を開けていた。

 その隙間を暴き、あかりに晒してまじまじと見たい衝動をカイは受けたが、智美に抵抗される事を危惧して、ふうとひと呼吸置くと、持っていた薬瓶を横に置き、薬瓶から中指で薬をすくい取り、智美に声をかけてから、魅惑の隙間に手を入れた。

『塗るぞ』

 その言葉に何の反応も見せなかった智美だが、手が差し込まれ、指が秘部に触れると、腕を上げて、顔を隠した。
 カイはいくら治療とは言え、恥ずかしいのだろうと思い、その様子をそのままに、指先に触れる濡れた秘裂をそっと探って薬の付いた指を挿し入れる。
 一度グッと中まで入れるが、上手く薬は中に入らなかったようで、入り口にべたりとまとわりついた。
 入れた指を戻して、何度かベタついた入り口を指でぬぐい、その薬を中へ入れようとするが、上手くいかずに入り口付近に塗り込めてしまった。
 薬を足そうと、指を己の元に引き戻すと、少し赤い筋が付いていた。
 血が止まらないといと言っていたので、仕方がないのだが、薬が上手く塗れないと、血が失われて続けると思い、更に薬を纏わせた指を再び挿し入れる。
 なかなか上手く中に塗る事ができないカイは、薬を蜜壺に押し込むように入れて、塗り込むように指を動かす、しばらく何度か塗りこめているうちに、薬の滑りだけではない、潤みが感じられて、気付いたカイははっとして智美の様子をうかがうと、顔を腕で隠しているので、表情は分からないが身体が小刻みに震えて、思わず動きを止めてしまった指を欲しがるように蜜襞は蠢き、カイの動きを促すように腰が微かに揺れていた。




──────────────
後書き
正気の時の智美はただただ、恥ずかしいだけ。

何度も読み返すと、だんだん馬鹿ップルに感じてくるのはなぜだろう。
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