28 / 262
高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?
12.新学期
しおりを挟む
「晴人!おはよ!」
日焼けした啓太の笑顔が眩しい。
今日から新学期の始まりだ。
「おはよ啓太!めっちゃ焼けたな。」
「海行ったからさ!晴人も来れればなぁ。」
夏休み中、俺は遊ぶ気分になれなくて友達の誘いは全部断ってしまった。
ベッドでぼんやり過ごす時間が長くて、父さんも母さんも心配してたと思う。
部活だけちゃんと行ってたのは、集中してると忘れられるから。
それでも時々ふと思い出して泣きそうになる事があった。
失恋って、大変なんだなーーー。
蓮への想いを自覚してしまって、でもその思いが報われないのは既に確定してて。
それどころか疎まれてるとか。
蓮が望んでいたとは言え、離れる事を宣言したのは俺だ。
ただ、あのまま気付かないふりをしてれば、今日も俺は蓮と登校してたんじゃないだろうか。
くだらない話をして笑って、じゃあまた帰りなっていつもみたいに下駄箱で手を振って。
幼馴染として、これからもずっと隣にいる事ができたかもしれない。
そう思って後悔する自分がいる。
だけどさ、それって俺だけが幸せなやつだもんな。
我慢してしょうがなく俺と居る蓮は幸せじゃないじゃん。
ゆっくり距離を取っていくって方法もあったのかもしれないけど、多分それだと俺は蓮と離れられなかったと思う。
だから、これで良かったんだ。
遥から夏休み中にメールが来てたんだけど、返信できてない。
遥は多分だけど今も蓮と付き合ってるーーーんだよな?
俺が蓮を好きだなんて遥に知られちゃいけない。
優しい遥はきっと、俺に対して罪悪感を抱くから。
そう思うと、何てメールを返していいのか分からなくなっちゃうんだよね。
……だから、さ。
俺が蓮への想いを無かった事にするのが一番いいんだよ。
って言うかそれしか方法ないじゃん。
落ち着こうと髪の毛を触る。
夏休み中、この髪型で部活に行くとみんなが微妙な顔したから似合わないのかと思ったんだけど…違った。
俺が誰かに告白して振られたんじゃないかって噂があって、それでイメチェンしたと思われたらしい。
あの日の目撃者が噂の出処だろうけど、マジで勘弁して…。
佐藤なんか随分気を遣って、自分の家で産まれたばっかの子犬の写真とか見せてくれてたし。
犬好きの俺を元気づけようとしてくれたみたい。
相川さんの名前は出てなくてそこだけは心底ホッとする。
俺の全力の否定と啓太の援護(俺もあの場にいたから!って言ってくれた。啓太が来たのは途中からだけど、嘘じゃないもんね。)があって、部活の皆んなはアッサリ納得してくれた。
はぁ。すぐ夏休みに入ったからそんなに広まってない筈だって信じてる…。
俺のイメチェンが悲しい理由じゃ無いって分かると、皆んな凄い褒めてくれたよ。
蓮には似合わないって言われたけど、別にもう関係ない。
俺達は「幼馴染」ではあるけど、もう関わりはなくなったんだ。
高校を卒業する頃にはこう言ってるだろう。
「子供の頃は良く遊んだけど、今は全然話さないよ。」って。
良くある会話じゃない?
幼馴染がずっと一緒にいる方が珍しいんだってことに、俺はようやく気付いた。
だから、きっと大丈夫。
特進クラスとは棟が違うし、カフェスペースで見かけるかもしれないけど、意識しないようにすればいい。
俺は、蓮を忘れるんだ。
「あっ!萱島くーーーん!!」
そんな俺の思いをぶち壊す声と大量の水が降ってきたのは、体育祭を控えたある日の事だった。
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
晴人の新ヘアスタイルはカルマパーマっぽい感じ。
緩く癖があるのと、髪色が天然のアッシュブラウンなので校則違反せずいい感じに。
蓮はコロコロ変わるけど、この時は黒髪のウルフパーマ。右サイドにだけ一部ブルーのポイントカラー有り。体育祭が青組なので仲良しメンバーとノリで入れました。陽キャ。
日焼けした啓太の笑顔が眩しい。
今日から新学期の始まりだ。
「おはよ啓太!めっちゃ焼けたな。」
「海行ったからさ!晴人も来れればなぁ。」
夏休み中、俺は遊ぶ気分になれなくて友達の誘いは全部断ってしまった。
ベッドでぼんやり過ごす時間が長くて、父さんも母さんも心配してたと思う。
部活だけちゃんと行ってたのは、集中してると忘れられるから。
それでも時々ふと思い出して泣きそうになる事があった。
失恋って、大変なんだなーーー。
蓮への想いを自覚してしまって、でもその思いが報われないのは既に確定してて。
それどころか疎まれてるとか。
蓮が望んでいたとは言え、離れる事を宣言したのは俺だ。
ただ、あのまま気付かないふりをしてれば、今日も俺は蓮と登校してたんじゃないだろうか。
くだらない話をして笑って、じゃあまた帰りなっていつもみたいに下駄箱で手を振って。
幼馴染として、これからもずっと隣にいる事ができたかもしれない。
そう思って後悔する自分がいる。
だけどさ、それって俺だけが幸せなやつだもんな。
我慢してしょうがなく俺と居る蓮は幸せじゃないじゃん。
ゆっくり距離を取っていくって方法もあったのかもしれないけど、多分それだと俺は蓮と離れられなかったと思う。
だから、これで良かったんだ。
遥から夏休み中にメールが来てたんだけど、返信できてない。
遥は多分だけど今も蓮と付き合ってるーーーんだよな?
俺が蓮を好きだなんて遥に知られちゃいけない。
優しい遥はきっと、俺に対して罪悪感を抱くから。
そう思うと、何てメールを返していいのか分からなくなっちゃうんだよね。
……だから、さ。
俺が蓮への想いを無かった事にするのが一番いいんだよ。
って言うかそれしか方法ないじゃん。
落ち着こうと髪の毛を触る。
夏休み中、この髪型で部活に行くとみんなが微妙な顔したから似合わないのかと思ったんだけど…違った。
俺が誰かに告白して振られたんじゃないかって噂があって、それでイメチェンしたと思われたらしい。
あの日の目撃者が噂の出処だろうけど、マジで勘弁して…。
佐藤なんか随分気を遣って、自分の家で産まれたばっかの子犬の写真とか見せてくれてたし。
犬好きの俺を元気づけようとしてくれたみたい。
相川さんの名前は出てなくてそこだけは心底ホッとする。
俺の全力の否定と啓太の援護(俺もあの場にいたから!って言ってくれた。啓太が来たのは途中からだけど、嘘じゃないもんね。)があって、部活の皆んなはアッサリ納得してくれた。
はぁ。すぐ夏休みに入ったからそんなに広まってない筈だって信じてる…。
俺のイメチェンが悲しい理由じゃ無いって分かると、皆んな凄い褒めてくれたよ。
蓮には似合わないって言われたけど、別にもう関係ない。
俺達は「幼馴染」ではあるけど、もう関わりはなくなったんだ。
高校を卒業する頃にはこう言ってるだろう。
「子供の頃は良く遊んだけど、今は全然話さないよ。」って。
良くある会話じゃない?
幼馴染がずっと一緒にいる方が珍しいんだってことに、俺はようやく気付いた。
だから、きっと大丈夫。
特進クラスとは棟が違うし、カフェスペースで見かけるかもしれないけど、意識しないようにすればいい。
俺は、蓮を忘れるんだ。
「あっ!萱島くーーーん!!」
そんな俺の思いをぶち壊す声と大量の水が降ってきたのは、体育祭を控えたある日の事だった。
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
晴人の新ヘアスタイルはカルマパーマっぽい感じ。
緩く癖があるのと、髪色が天然のアッシュブラウンなので校則違反せずいい感じに。
蓮はコロコロ変わるけど、この時は黒髪のウルフパーマ。右サイドにだけ一部ブルーのポイントカラー有り。体育祭が青組なので仲良しメンバーとノリで入れました。陽キャ。
88
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
エピローグまで公開いたしました。14,000字程度になりました。読み切りの形のときより短くなりました……1000文字ぐらい書き足したのになぁ。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
異世界から戻ったら再会した幼馴染から溺愛される話〜君の想いが届くまで〜
一優璃 /Ninomae Yuuri
BL
異世界での記憶を胸に、元の世界へ戻った真白。
けれど、彼を待っていたのは
あの日とはまるで違う姿の幼馴染・朔(さく)だった。
「よかった。真白……ずっと待ってた」
――なんで僕をいじめていた奴が、こんなに泣いているんだ?
失われた時間。
言葉にできなかった想い。
不器用にすれ違ってきたふたりの心が、再び重なり始める。
「真白が生きてるなら、それだけでいい」
異世界で強くなった真白と、不器用に愛を抱えた朔の物語。
※第二章…異世界での成長編
※第三章…真白と朔、再会と恋の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる