【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?

13.水遊びと魔王

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「え⁉︎」

「イェーイ!萱島君にも涼をお届け!!」

ジャージは勿論、頭からスニーカーの先までガッツリビッショリ濡れた俺が声の主を見ると、大きなバケツを持った超笑顔の黒崎君がいた。

今は体育祭の学年練習が始まる前の休み時間。
一年が続々と校庭に集まって来てる。

…そんな中、何故特進クラス(の派手グループ)は水鉄砲やらバケツやら校庭に持ち込んでるんだろうか。
そして揃いも揃ってびしょ濡れなんだろうか。

「暑っちぃから練習はじまる前に水鉄砲バトルしてたんよ。涼しくなったっしょ?」

いやいや、超楽しそうだけど何しに学校来てんの⁉︎

てかさ、黒崎君がいるってことは蓮もいるってことで…俺達とそんなに離れてない距離で何人かと話してる姿が目に入る。

待って!
上半身何も着てないんだけど⁉︎
濡れたから脱いだんだろうけど、腹筋すげぇ!

俺はなるべく蓮を視界から追い出す努力をする。
蓮の上裸なんて何度も見てるのに何で動揺してるんだ俺は!落ち着け!

「マジでビックリしたわ!
今度は一声かけてからにして!」

動揺を抑えるように意識して黒崎君に言うと、彼は面白そうに笑った。

「一声かければまたやっていいんだ⁉︎」

その声に反応したのか、蓮がこっちを見てる。

「制服だったら流石にやめて欲しいけどさ、ジャージなら別にいいよ。」

「萱島君めっちゃ心広い!!
俺ら友達になれそうだね!」

何処が彼の心の琴線に触れたのかは不明だけど、俺の手を握ってブンブン振る笑顔には邪気が無い。
行動は突飛だしチャラチャラしてるけど、悪い人ではないんだろうな。

「晴ちゃーん、タオル貸したげるよー?」

いつの間にかかなりの人数が見物してて、その中の女子ーー遥の親友の伊藤が声をかけてくれた。
中学から一緒の彼女は、遥の影響なのか俺を年下みたいに見てる節がある。

「え、それはホント助かる。」

「てかさ、これパンツまで濡れてんじゃね?」

俺は涼をいただいたけど…と言う啓太は、確かにちょっと濡れた程度で涼しそうだ。
背後からビミョーンと俺のズボンのゴム部分を引っ張ってパンツの状態を確認しようとする。

「きゃー!啓太が晴ちゃんにセクハラしてる!」

「何を今さら。俺はしょっちゅう見てんだよ。」

伊藤とか周りの女子が囃し立てるけど、啓太はあっけらかんと言い返した。
確かに、部活の着替えでしょっちゅう見られてるけどね。

「びーえるじゃーん♡」
「晴ちゃん!彼ピにダメっていわなきゃー♡」

それを分かった上で揶揄ってくる女子達に俺も乗っかることにした。

「もうダーリン!人前ではダメ!!」

ワッと女子が沸いて、黒崎君も啓太もゲラゲラ笑ってる。
黒崎君てこう言うノリもいける人なんだな。
キラキラした見た目で敬遠してたけど、思ったより普通に話せるかもしれない。

俺がそんなことを思っていた時だった。


ガンッ


大きな音と「蓮!バケツ蹴るな!」と言う声が聞こえた。

思わずそっちを見ると、陽キャ達が使ってたバケツが転がって、その側面に穴が空いてる。
さっきの声からして、蓮が蹴って壊したんだろう。

いや安そうなペラペラしたバケツとは言えキック力すげぇな。

…ってそうじゃないだろ!

いや、だってさ!
蓮があまりにも…黒いオーラ撒き散らしてて怖いんだもん!
感情が消えたような表情なのに、物凄く不機嫌なのが一目で分かる。

周りが怯えたように道を開ける中、蓮は肩に濡れたTシャツを掛けたまま俺達の横を通り過ぎて校舎の方に向かう。

「オイ!蓮!次の出欠取られるやつだぞ⁉︎」

黒崎君が慌てて声をかける。
その言葉に、蓮はこっちを振り返って言った。

「ダルイわ。早退したって言っといて。」

一瞬、目が合った。
たけど、睨み付けるような強い視線にたじろぐ俺を一瞥しただけで去っていく。

「魔王様降臨…。」

シンとした校庭に、誰かの呟きが響いたーー。






●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
特進の爆イケ4人組。
蓮と黒崎以外の2人の名前は、白田と赤嶺です。
ちゃんと出てくるのはside蓮の方。
夏祭りの時晴人の事を何かコソコソ話してたのもこの2人。


























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