30 / 262
高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?
14.Tシャツ
しおりを挟む
その後すぐ先生が来て、何事も無かったかのように練習が始まった。
だけど俺は、蓮の表情と態度にまた落ち込む。
もしかして、俺が蓮の友達に絡んでたのが気に入らなかったんだろうか。
俺から開放されて、晴れて友達と楽しく過ごしてたんだもんな…。
ーーってかさっきから濡れたTシャツ気持ち悪ッ!
「啓太、俺これ絞ってくるわ!」
せめて水分量を減らしたくて啓太に言う。
「おけ。水垂れてるもんな。
こんだけ人数いれば気付かれないだろ。」
そそくさと列を抜け出して校舎の近くに寄ったけど
先生に気付かれることはなかった。
ホッとしながらTシャツを脱いで絞ると、ビシャっと水が落ちた。
9月でまだ暑いとは言え、流石にこの量の水吸ってたら自然乾燥は時間かかるよな。
そんなことを思ってたら人の気配を感じた。
あ…。
制服に着替えた蓮が帰る所と鉢合わせしてしまったらしい。
制服姿も爆イケな蓮。
上半身裸で立ち尽くす俺。
さっき蓮の腹筋を見たせいか、白くてヒョロイ自分の身体が恥ずかしくて居た堪れない。
しかも、蓮は俺が肌を出してる事に厳しい。
前、蓮の前でシャツを開けてお守りを見せようとしたら怒られたし。
それ以外にも色々あったな。
見苦しいのか、俺の肌が焼けやすいから心配してくれてるのか。
後者であると信じたい…。
俯いていると、パシッと何かが頭に当たった。
…あ、何か投げつけられた。
これは見苦しい方で決定ですかね。
ショックを受けながら蓮の方をみると、全く感情の読めない顔でこっちを見ている。
蓮が立ってる所まで少し距離があるけど、身長差が決定的に分かるようになっちゃったな。
もう180cm近くあるんだろう。
ピアス、空けたんだな。
髪の色も変わってる。
夏休みのほんの数ヶ月会わなかっただけなのに、蓮が知らない人になったみたいだ…。
寂しいと思ってしまいそうで、慌てて思い直す。
これで、いいんだって。
これが俺達のあるべき姿なんだから。
蓮は一瞬何とも言えない表情をして…。
「やる。」
「へ?」
何をと思って見回すと、俺の肩に何か乗ってる。
広げてみると乾いた黒いTシャツだった。
さっき投げられたのはこれだったらしい。
つまり…着替えろってことだよな?
えっ、でも何で俺に?
たまたま手に待ってたとか?
いやでもそんな状況ってある?
Tシャツを手に固まっていると、ふいに俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「萱島はまだトイレから戻ってないのかー⁉︎」
ヤベ!!先生だ!!
啓太がトイレって誤魔化してくれてたらしい。
「はい!はーい!先生!萱島いまーす!!」
俺は慌てて大声を出す。
そのやり取りの間に蓮は俺の脇を通り過ぎて歩き出してしまった。
あぁ、待って!
「あの…蓮…。」
名前を呼ぶと蓮がピタッと止まった。
「えっと、ありがとう…。」
その背中に向かってお礼を言う。
蓮はこっちを向くことなく「ん。」とだけ。
それでも、反応を返してくれた。
今度こそ帰って行く蓮と逆方向に俺は走り出した。
少し…いや結構大きい黒いTシャツから、蓮の香水がほのかに匂う。
鼓動が早くて顔が熱い。
蓮は優しいから俺の事を見捨てられないだけ。
甘えちゃダメだ。
気にかけてくれたのが嬉しいなんて間違ってる。
練習の間ずっと、そう自分に言い聞かせ続けた。
そうしないと、決意が揺らいでしまいそうだったから。
●●●
蓮はちょっとだけ忍耐を覚えた…のか?笑
その理由は次回判明します。
☆本編にはどうでもいい設定☆
晴人達の学校、夏の体育は好きなTシャツ着ていいことになってます。(特進はいつでも上下自由。)
体育祭本番はクラT着ます。青春。
だけど俺は、蓮の表情と態度にまた落ち込む。
もしかして、俺が蓮の友達に絡んでたのが気に入らなかったんだろうか。
俺から開放されて、晴れて友達と楽しく過ごしてたんだもんな…。
ーーってかさっきから濡れたTシャツ気持ち悪ッ!
「啓太、俺これ絞ってくるわ!」
せめて水分量を減らしたくて啓太に言う。
「おけ。水垂れてるもんな。
こんだけ人数いれば気付かれないだろ。」
そそくさと列を抜け出して校舎の近くに寄ったけど
先生に気付かれることはなかった。
ホッとしながらTシャツを脱いで絞ると、ビシャっと水が落ちた。
9月でまだ暑いとは言え、流石にこの量の水吸ってたら自然乾燥は時間かかるよな。
そんなことを思ってたら人の気配を感じた。
あ…。
制服に着替えた蓮が帰る所と鉢合わせしてしまったらしい。
制服姿も爆イケな蓮。
上半身裸で立ち尽くす俺。
さっき蓮の腹筋を見たせいか、白くてヒョロイ自分の身体が恥ずかしくて居た堪れない。
しかも、蓮は俺が肌を出してる事に厳しい。
前、蓮の前でシャツを開けてお守りを見せようとしたら怒られたし。
それ以外にも色々あったな。
見苦しいのか、俺の肌が焼けやすいから心配してくれてるのか。
後者であると信じたい…。
俯いていると、パシッと何かが頭に当たった。
…あ、何か投げつけられた。
これは見苦しい方で決定ですかね。
ショックを受けながら蓮の方をみると、全く感情の読めない顔でこっちを見ている。
蓮が立ってる所まで少し距離があるけど、身長差が決定的に分かるようになっちゃったな。
もう180cm近くあるんだろう。
ピアス、空けたんだな。
髪の色も変わってる。
夏休みのほんの数ヶ月会わなかっただけなのに、蓮が知らない人になったみたいだ…。
寂しいと思ってしまいそうで、慌てて思い直す。
これで、いいんだって。
これが俺達のあるべき姿なんだから。
蓮は一瞬何とも言えない表情をして…。
「やる。」
「へ?」
何をと思って見回すと、俺の肩に何か乗ってる。
広げてみると乾いた黒いTシャツだった。
さっき投げられたのはこれだったらしい。
つまり…着替えろってことだよな?
えっ、でも何で俺に?
たまたま手に待ってたとか?
いやでもそんな状況ってある?
Tシャツを手に固まっていると、ふいに俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「萱島はまだトイレから戻ってないのかー⁉︎」
ヤベ!!先生だ!!
啓太がトイレって誤魔化してくれてたらしい。
「はい!はーい!先生!萱島いまーす!!」
俺は慌てて大声を出す。
そのやり取りの間に蓮は俺の脇を通り過ぎて歩き出してしまった。
あぁ、待って!
「あの…蓮…。」
名前を呼ぶと蓮がピタッと止まった。
「えっと、ありがとう…。」
その背中に向かってお礼を言う。
蓮はこっちを向くことなく「ん。」とだけ。
それでも、反応を返してくれた。
今度こそ帰って行く蓮と逆方向に俺は走り出した。
少し…いや結構大きい黒いTシャツから、蓮の香水がほのかに匂う。
鼓動が早くて顔が熱い。
蓮は優しいから俺の事を見捨てられないだけ。
甘えちゃダメだ。
気にかけてくれたのが嬉しいなんて間違ってる。
練習の間ずっと、そう自分に言い聞かせ続けた。
そうしないと、決意が揺らいでしまいそうだったから。
●●●
蓮はちょっとだけ忍耐を覚えた…のか?笑
その理由は次回判明します。
☆本編にはどうでもいい設定☆
晴人達の学校、夏の体育は好きなTシャツ着ていいことになってます。(特進はいつでも上下自由。)
体育祭本番はクラT着ます。青春。
115
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
15,000字程度の予定です。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる