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高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?
15.弟 (side翔)
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初めての第三者視点(side翔)です。
夏祭りで晴人が走り去った所から。
●●●
晴が走り去って、その場には俺と蓮が取り残された。
状況は良くわからないが「さよなら」は単なる別れではなくて拒絶の意味だろうと推測する。
確かに、蓮は晴に酷い事を言っていた。
だけど、それだけで晴が蓮を拒絶する程感情的になるとは思えない。
何か他にも原因があって、今回の事でそれが爆発したと考えるのが妥当だろうな。
目の前の蓮に視線を向けると、感情が消えたような表情をしてピクリとも動かない。
俺は思わずため息を吐いてしまう。
「蓮、落ち着け。」
その見た目とは裏腹に、内心では物凄く動揺している蓮の肩に手を置く。
コイツはなんでこう、焦りとか狼狽が顔に出難いんだろうか。
「晴……」
我に返ったように晴を追いかけようとした蓮の腕を掴む。
「ちょっと待て。今お前が行っても逆効果だ。」
その言葉に俺を睨み付けてくる弟…怖いわー。
いやもうマジで可愛くないな。
デカイしゴツイし晴とは大違いだ。
…あれ?何かこのディスり既視感あるな。
「だから落ち着けっての。
まず、お前は晴に言った言葉を反省しろ。
晴が変わったことに対してお前がとやかく言う権利は無いからな?
例えそれがどんな理由で、どんな感情から来てるにしてもだ。」
蓮が黙っているので続ける。
「それと多分、今の件だけじゃなくて何かあったんだろ。あの感じだと聞いても教えてくれないだろうし、そっちの原因を究明するのが先だな。」
「……。」
「取り敢えず、今は俺が行く。お前は家帰ってろ。」
軽く肩を叩いて晴の去った方に向かおうとすると、今度は蓮が俺を引き止めた。
自分に良く似た、でももっと冷たい感じのする弟の整った顔を見る。
表情にこそ出ていないが、言いたい事は分かる。
「ちゃんと落ち着かせてから家まで送るから大丈夫だ。」
俺の言葉に、蓮は幾分ホッとしたようだ。
「その後、俺も実家に泊まるから。」
晴の様子を知れると分かったからか、蓮は俺を止めていた手を離した。
蓮と晴には少し時間が必要なのかもしれない。
産まれた時からずっと一緒。
近すぎるその距離からは見えない事も多くあるだろう。
特に晴は…圧倒的に鈍いからな。
時々蓮が不憫に思えるくらいだ。
一方の蓮は、言葉にする事を覚えるべきだな。
それと忍耐も。
押し付けるだけじゃ相手の負担だぞ。
一度離れたからこそ気付けることだってある。
俺自身がその経験者だから余計にそう思うんだよなぁ。
「蓮…晴が幸せなら、お前と離れる事になってもいいって思えるか?」
それに対して蓮の答えは無かった。
ポーカーフェイスの裏側で物凄く葛藤してるんだろうな。
俺は思わず苦笑した。
でも、今はそれでいいーーー。
俺はお前に、高校生のうちから献身的なだけの愛なんて知って欲しくないよ。
「離れたくないなら、一時的に距離ができる事には焦るなよ?」
撫然とする蓮に手を振って、俺は歩きだす。
だってさ、弟よ。人生は長いんだぜ?
そのために必要な我慢ってのはあるもんだ。
離れた時間が、お互いを理解する事に繋がるはずだ。
自分の成長にも。
さて、蓮は取り敢えず大丈夫だろう。
問題は、晴だな。
ちゃんとアフターケアしないと、周りの人間にも壁を作ってしまうかもしれない。
この方向なら、多分公園だろうなーー。
検討を付けた俺は、もう一人の弟の元へ向かった。
●●●
翔は大人なので色々見えてますね。
帰ってから蓮とまた話しをしたことでしょう。
魔王を戒める皇帝。凄い兄弟。笑
夏祭りで晴人が走り去った所から。
●●●
晴が走り去って、その場には俺と蓮が取り残された。
状況は良くわからないが「さよなら」は単なる別れではなくて拒絶の意味だろうと推測する。
確かに、蓮は晴に酷い事を言っていた。
だけど、それだけで晴が蓮を拒絶する程感情的になるとは思えない。
何か他にも原因があって、今回の事でそれが爆発したと考えるのが妥当だろうな。
目の前の蓮に視線を向けると、感情が消えたような表情をしてピクリとも動かない。
俺は思わずため息を吐いてしまう。
「蓮、落ち着け。」
その見た目とは裏腹に、内心では物凄く動揺している蓮の肩に手を置く。
コイツはなんでこう、焦りとか狼狽が顔に出難いんだろうか。
「晴……」
我に返ったように晴を追いかけようとした蓮の腕を掴む。
「ちょっと待て。今お前が行っても逆効果だ。」
その言葉に俺を睨み付けてくる弟…怖いわー。
いやもうマジで可愛くないな。
デカイしゴツイし晴とは大違いだ。
…あれ?何かこのディスり既視感あるな。
「だから落ち着けっての。
まず、お前は晴に言った言葉を反省しろ。
晴が変わったことに対してお前がとやかく言う権利は無いからな?
例えそれがどんな理由で、どんな感情から来てるにしてもだ。」
蓮が黙っているので続ける。
「それと多分、今の件だけじゃなくて何かあったんだろ。あの感じだと聞いても教えてくれないだろうし、そっちの原因を究明するのが先だな。」
「……。」
「取り敢えず、今は俺が行く。お前は家帰ってろ。」
軽く肩を叩いて晴の去った方に向かおうとすると、今度は蓮が俺を引き止めた。
自分に良く似た、でももっと冷たい感じのする弟の整った顔を見る。
表情にこそ出ていないが、言いたい事は分かる。
「ちゃんと落ち着かせてから家まで送るから大丈夫だ。」
俺の言葉に、蓮は幾分ホッとしたようだ。
「その後、俺も実家に泊まるから。」
晴の様子を知れると分かったからか、蓮は俺を止めていた手を離した。
蓮と晴には少し時間が必要なのかもしれない。
産まれた時からずっと一緒。
近すぎるその距離からは見えない事も多くあるだろう。
特に晴は…圧倒的に鈍いからな。
時々蓮が不憫に思えるくらいだ。
一方の蓮は、言葉にする事を覚えるべきだな。
それと忍耐も。
押し付けるだけじゃ相手の負担だぞ。
一度離れたからこそ気付けることだってある。
俺自身がその経験者だから余計にそう思うんだよなぁ。
「蓮…晴が幸せなら、お前と離れる事になってもいいって思えるか?」
それに対して蓮の答えは無かった。
ポーカーフェイスの裏側で物凄く葛藤してるんだろうな。
俺は思わず苦笑した。
でも、今はそれでいいーーー。
俺はお前に、高校生のうちから献身的なだけの愛なんて知って欲しくないよ。
「離れたくないなら、一時的に距離ができる事には焦るなよ?」
撫然とする蓮に手を振って、俺は歩きだす。
だってさ、弟よ。人生は長いんだぜ?
そのために必要な我慢ってのはあるもんだ。
離れた時間が、お互いを理解する事に繋がるはずだ。
自分の成長にも。
さて、蓮は取り敢えず大丈夫だろう。
問題は、晴だな。
ちゃんとアフターケアしないと、周りの人間にも壁を作ってしまうかもしれない。
この方向なら、多分公園だろうなーー。
検討を付けた俺は、もう一人の弟の元へ向かった。
●●●
翔は大人なので色々見えてますね。
帰ってから蓮とまた話しをしたことでしょう。
魔王を戒める皇帝。凄い兄弟。笑
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