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高校生編side晴人 事件の始まり…なのにキスとかそれ以上とか⁉︎
40.温もり
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「はぁ~」
ベンチに腰掛けて思わず溜息を吐いた。
俺の決意も虚しく、蓮を見つけられないまま30分が経つ。
人混みを移動するだけで物凄く体力を消耗した。
なんやかんやあって昼ご飯を食べ損ねてるから、余計に力が出ないのかも。
なんかフラフラするし。
一先ず休憩しようと、在校生にもほとんど存在を知られていないベンチに座って今に至る。
ここ、入学したばっかりの時に蓮と見つけたんだよなぁ。
LAINで蓮に居場所を聞くことだってできるのにそうしないのは、まだ俺が迷ってるからなのかもしれない。
蓮の態度からして、もしかして嫌われてる訳ではないのかもって思う反面、それがやっぱり俺の勘違いだったらと思うと…知るのが凄く怖い。
あぁ、良くないな!
空腹って余計にネガティブになるよね。
しかもさ、めちゃくちゃ寒くなってきたよ…。
11月中旬の外気とプールで冷えた身体は相性最悪だった。当たり前か。
何か爪の色が紫っぽくなってる。
じゃあ動けよって話しなんだけどね、何か力が入んないのよ。
物凄い眠くなってきたし…。
あれ、これちょっとヤバイんじゃないの?
ここには助けてくれる人なんて…
「晴?」
うーん、幻聴まで聞こえてきたっぽい。
こんな所に蓮がいるはず無いから。
「晴⁉︎おい、こっち見ろ!」
頬をペチペチ叩かれる。
「寒い…眠い…」
「バカ!何でこんな所にいんだよ!」
薄ら開けた目に映るのは、かなり焦った様子の蓮の姿。
夢でも見てるのかなぁ。
「手ェ震える…。」
「お前、飯は?」
「朝から何も…」
「マジかよ。低血糖だな。」
そう言って何かをゴソゴソ探ると、俺の唇に押し付けてきた。
「ほら、口開けろ。」
「んー?甘い…」
「指まで食うな!舐めんな!」
口に入ってきたのはラムネだった。
「お前、そのポヤッてる時の無自覚煽り本当やめろ!ってか俺以外の前でその状態なるなよ?」
「はーい」
「……くそ、絶対分かってねぇ。。」
何か蓮の幻覚?が騒いでるなぁ。
「それだけじゃダメだな。運ぶからじっとしてろよ?」
身体が浮く感覚。
俺、これ知ってる。
今日初体験したお姫様抱っこのそれだ。
脱力して身体を預けていると、少ししてドアを開ける音がした。
その後に数人の女子の声。
「きゃあっ!…えっ⁉︎切藤くん⁉︎」
「あー、わり。美術室に人いると思わんかったわ。」
「ぜ、全然、だ、大丈夫!です!」
「ちょっとヒーター貸してくんね?俺ら隅っこにいるから気にせず続けて。」
「その人、具合悪いの?」
「わ、私、先生呼んで来ようか?」
「先生は大丈夫。頼んでいいなら飲み物買って来て欲しい。ホットで甘味強いやつ。」
「「「すぐ行ってきます!!」」」
3人分の女子の声が揃って、部屋から人の気配が消えた。
廊下からは「本当イケメンすぎる!」
「一軍トップと喋っちゃった!」
「学校生活一番の思い出!」
なんて声が聞こえる。
蓮はそんなの一切お構い無しで、俺を椅子に座らせた。
ピッと言う音がして、身体に暖かい風が当たる。
「美術室近くて良かったわ。ここヒーターだから。」
そうか、エアコンじゃない教室珍しいよね。
バタバタと足音がして、ノックが聞こえた。
「あの、ミルクティーで大丈夫ですか?」
「百点だわ、マジで感謝。金払…」
「「「」いえ!大丈夫です!思い出をありがとうございます!」」」
綺麗に揃った声で言うと、もう教室帰るのでごゆっくりと告げて女子達は去って行った。
「晴、糖分摂取しろ。」
蓮が温かいペットボトルを俺の手に握らせるけど眠い方が勝つ。
「そのまま寝たら危ねぇから。ほら。」
そう言って、自分の膝の上に俺を横座りさせる。
これも今日知った感覚だなぁ。
肩に蓮のカーディガンをかけられて、すっぽりと包み込まれた。
蓮の体温の残るそれに酷く安心する。
「ん、ゆっくりな。」
口許にペットボトルを充てがわれるけど上手く飲めない。
「晴、口開けて?」
言われるままに口を少し開くと、ペットボトルが離れて行って…代わりに、柔らかくて暖かいものが唇に触れた。
ゆっくりと、口の中に甘い液体が流れ込んでくる。
コクリと嚥下するとまた注がれる。
それを何度か繰り返すと、身体が温まってくるのが分かった。
手の震えるも止まってる。
「……いい匂い。」
「またそれかよ。」
蓮が笑う気配がして、髪の毛に優しく何かが触れた。
チュッと小さなリップ音がして、額にも同じそれが施される。
泣きたくなるような優しさに、俺の心は締め付けられた。
「…蓮、ごめんね?」
この蓮が俺が見てる幻想じゃなくて現実の蓮だったとしたら…。
いくら鈍い俺でも分かる。
蓮は、俺の事を大切に思ってくれてるんだーー。
どうか、目が覚めて夢でしたって事にならないで欲しい。
願いながら、俺の意識は眠りに引き込まれていく。
「おやすみ、晴。もう暫く、暖めさせて?」
耳元で囁く蓮の甘い声と、優しく髪を梳く指の感触を最後に、俺は完全に意識を無くしたーー。
●●●
糖度のある回になりましたでしょうか?笑
美術室にいた女子達は、学校行事が苦手で絵を描いて遊んでた三年生です。
蓮と話せたのが学校生活一の思い出との事。
蓮、良くやった。笑
ベンチに腰掛けて思わず溜息を吐いた。
俺の決意も虚しく、蓮を見つけられないまま30分が経つ。
人混みを移動するだけで物凄く体力を消耗した。
なんやかんやあって昼ご飯を食べ損ねてるから、余計に力が出ないのかも。
なんかフラフラするし。
一先ず休憩しようと、在校生にもほとんど存在を知られていないベンチに座って今に至る。
ここ、入学したばっかりの時に蓮と見つけたんだよなぁ。
LAINで蓮に居場所を聞くことだってできるのにそうしないのは、まだ俺が迷ってるからなのかもしれない。
蓮の態度からして、もしかして嫌われてる訳ではないのかもって思う反面、それがやっぱり俺の勘違いだったらと思うと…知るのが凄く怖い。
あぁ、良くないな!
空腹って余計にネガティブになるよね。
しかもさ、めちゃくちゃ寒くなってきたよ…。
11月中旬の外気とプールで冷えた身体は相性最悪だった。当たり前か。
何か爪の色が紫っぽくなってる。
じゃあ動けよって話しなんだけどね、何か力が入んないのよ。
物凄い眠くなってきたし…。
あれ、これちょっとヤバイんじゃないの?
ここには助けてくれる人なんて…
「晴?」
うーん、幻聴まで聞こえてきたっぽい。
こんな所に蓮がいるはず無いから。
「晴⁉︎おい、こっち見ろ!」
頬をペチペチ叩かれる。
「寒い…眠い…」
「バカ!何でこんな所にいんだよ!」
薄ら開けた目に映るのは、かなり焦った様子の蓮の姿。
夢でも見てるのかなぁ。
「手ェ震える…。」
「お前、飯は?」
「朝から何も…」
「マジかよ。低血糖だな。」
そう言って何かをゴソゴソ探ると、俺の唇に押し付けてきた。
「ほら、口開けろ。」
「んー?甘い…」
「指まで食うな!舐めんな!」
口に入ってきたのはラムネだった。
「お前、そのポヤッてる時の無自覚煽り本当やめろ!ってか俺以外の前でその状態なるなよ?」
「はーい」
「……くそ、絶対分かってねぇ。。」
何か蓮の幻覚?が騒いでるなぁ。
「それだけじゃダメだな。運ぶからじっとしてろよ?」
身体が浮く感覚。
俺、これ知ってる。
今日初体験したお姫様抱っこのそれだ。
脱力して身体を預けていると、少ししてドアを開ける音がした。
その後に数人の女子の声。
「きゃあっ!…えっ⁉︎切藤くん⁉︎」
「あー、わり。美術室に人いると思わんかったわ。」
「ぜ、全然、だ、大丈夫!です!」
「ちょっとヒーター貸してくんね?俺ら隅っこにいるから気にせず続けて。」
「その人、具合悪いの?」
「わ、私、先生呼んで来ようか?」
「先生は大丈夫。頼んでいいなら飲み物買って来て欲しい。ホットで甘味強いやつ。」
「「「すぐ行ってきます!!」」」
3人分の女子の声が揃って、部屋から人の気配が消えた。
廊下からは「本当イケメンすぎる!」
「一軍トップと喋っちゃった!」
「学校生活一番の思い出!」
なんて声が聞こえる。
蓮はそんなの一切お構い無しで、俺を椅子に座らせた。
ピッと言う音がして、身体に暖かい風が当たる。
「美術室近くて良かったわ。ここヒーターだから。」
そうか、エアコンじゃない教室珍しいよね。
バタバタと足音がして、ノックが聞こえた。
「あの、ミルクティーで大丈夫ですか?」
「百点だわ、マジで感謝。金払…」
「「「」いえ!大丈夫です!思い出をありがとうございます!」」」
綺麗に揃った声で言うと、もう教室帰るのでごゆっくりと告げて女子達は去って行った。
「晴、糖分摂取しろ。」
蓮が温かいペットボトルを俺の手に握らせるけど眠い方が勝つ。
「そのまま寝たら危ねぇから。ほら。」
そう言って、自分の膝の上に俺を横座りさせる。
これも今日知った感覚だなぁ。
肩に蓮のカーディガンをかけられて、すっぽりと包み込まれた。
蓮の体温の残るそれに酷く安心する。
「ん、ゆっくりな。」
口許にペットボトルを充てがわれるけど上手く飲めない。
「晴、口開けて?」
言われるままに口を少し開くと、ペットボトルが離れて行って…代わりに、柔らかくて暖かいものが唇に触れた。
ゆっくりと、口の中に甘い液体が流れ込んでくる。
コクリと嚥下するとまた注がれる。
それを何度か繰り返すと、身体が温まってくるのが分かった。
手の震えるも止まってる。
「……いい匂い。」
「またそれかよ。」
蓮が笑う気配がして、髪の毛に優しく何かが触れた。
チュッと小さなリップ音がして、額にも同じそれが施される。
泣きたくなるような優しさに、俺の心は締め付けられた。
「…蓮、ごめんね?」
この蓮が俺が見てる幻想じゃなくて現実の蓮だったとしたら…。
いくら鈍い俺でも分かる。
蓮は、俺の事を大切に思ってくれてるんだーー。
どうか、目が覚めて夢でしたって事にならないで欲しい。
願いながら、俺の意識は眠りに引き込まれていく。
「おやすみ、晴。もう暫く、暖めさせて?」
耳元で囁く蓮の甘い声と、優しく髪を梳く指の感触を最後に、俺は完全に意識を無くしたーー。
●●●
糖度のある回になりましたでしょうか?笑
美術室にいた女子達は、学校行事が苦手で絵を描いて遊んでた三年生です。
蓮と話せたのが学校生活一の思い出との事。
蓮、良くやった。笑
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