60 / 262
高校生編side晴人 守ってくれるのは大切だからだって思いたい
44.帰宅してました
しおりを挟む
目を開けると、そこは見慣れた天井だった。
うん、俺の部屋だね。
これが見慣れない天井なら異世界転生なんだけどな、なんて思いつつ身体を起こす。
枕元のデジタル時計を確認すると19時。
どうりで外が暗い訳だ。
身体はまだ少し重いけど、頭はスッキリしてる。
あれ?でもいつの間に家に帰って来たんだっけ?
記憶を辿ると、盛りだくさんの内容だ。
チャイナからの木村さんからのプール落ち。
それから、蓮とのあれやこれや…ヤバイ、顔熱い。
そして啓太と伊藤と、黒崎君のパンツ。
最後は、やっぱり蓮だ。
フラついてる所を助けて貰って、暖めてくれて…。
その腕の中で眠りに落ちた…気がする。
グゥゥ~ッ
ありゃ、めっちゃお腹鳴ったわ。
そう言えば昼ご飯食べてないんだよな。
せめて夜は食いっぱぐれたくない。
育ち盛りだし。身長伸びなくなったら困るし!
そんな訳で部屋を出ると、いい匂いが漂ってる。
お!今夜はシチューかな?
「晴!もう大丈夫⁉︎」
キッチンから父さんの声がする。
「大丈夫じゃない!超お腹空いた!」
俺が一階に降りると、困り顔の父さんが駆け寄って来た。
「お腹空いてるなら大丈夫かな?どっか痛いとか無い?」
「ちょっと身体重いくらいかなぁ。
ねぇ、父さん。俺どうやって帰って来た?
記憶無いのが怖いんだけど。」
繋ぎにと出してもらったデザートのウサギ林檎を齧りながら聞く。
「晴、その前にお説教聞いて。
いくら文化祭が楽しくても、ご飯はしっかり食べなさい。遅れそうだからって朝ご飯抜いて行ったのに
、お昼も食べないとか!」
あ、これ本気で怒ってるやつだ。
温厚な父さんの珍しいお説教は堪える。
「しかも事故でプールに落ちたんだって?
そういうので体力使ったなら余計にご飯は食べないと!エネルギー不足で低血糖起こしてる所を蓮君が助けてくれたんだよ?」
やっぱり、蓮がブドウ糖(甘いミルクティーだったかな?)飲ませてくれたの夢じゃなかったんだ。
「すぐ回復したけど寝ちゃったって父さんのスマホに連絡くれたから、車で迎えに行ったんだ。
なんなら2階に運んでくれたのも蓮君だよ。」
身長も抜かされちゃったみたいだし、もう力も全然叶わないなぁと笑う父さん。
蓮、わざわざ家まで来てくれたんだ…。
「父さんがバタバタしてる間に連絡取って、休みの拓哉さんまで家に呼んでおいてくれてさぁ。
すぐ診察してくれたから安心したよ。
まさに蓮君はスパダリだね!」
拓哉さんってのは蓮父の事だ。
切藤総合病院の理事長で、現役のお医者さん。
他にも肩書きがいっぱい有る凄い人なんどけど、今は割愛。
とにかく、お説教から「蓮スパダリ説」に移行して父さんの機嫌が直った。
良かった。あ、ちゃんと反省してるよ!
心配かけてごめんね、父さん。
「蓮父に迷惑かけちゃったね。今度お礼言わなきゃ。」
「そうだね。勿論、蓮君にもね。
拓哉さんが学校戻れって言うから、蓮君とんぼ返りしたんだよ?」
どうやら蓮父に診察してもらってる間に、父さんがまた蓮を学校に送り届けたらしい。
マジか!!
皆さまご迷惑をお掛けして本当に申し訳ない!
以後気を付けます!
成長期にご飯抜くの、ダメ、絶対。
それにしても今日一日、蓮にはお世話になりっぱなしだ。
ここまでして貰うと、意識を失う前の仮説が現実味を帯びてくる。
蓮は俺の事を、大切に思ってくれてるんじゃないかってーーー。
「あーあ、蓮君がお婿に来てくれたら安心なんだけどなぁ。」
「ゴフッ!!」
俺の思考をぶった斬る父さんの衝撃発言に咽せる。
「な、何言ってんの…男同士で無理に決まってんじゃん!」
「んー?でも晴達が結婚する頃にはどうなってるか分かんないよ?」
そ、それはまぁそうだけど…。
って言うか今気付いたんだけど、俺って恋愛対象が男性だったのかな⁉︎
蓮の事が好きって気付いた時、男とか女とか考えてもみなかった…。
今まで可愛いなと思う女の子はいたけど付き合いたいと思ったことは無い。
男に関しても友達以上に思った事無いんだけど…。
「ただいまー!!晴!!アンタはもう!!」
仕事から帰って来た母さんが玄関から叫ぶ声で我に返った。
ヤベ!今日の事は当然母さんも知ってる筈だ。
「美香さん!先にご飯にしよう!ね!」
慌てて父さんが宥めてくれて、俺は何とか空腹を満たす事ができた。
……その後は爆裂なお説教だったけど。
地獄のような時間を乗り切って、部屋に戻る。
しっかり朝食を食べるように母さんと約束させられたから、早めに寝よう。
それから、明日は…明日こそはちゃんと蓮と話そう。
そう思って眠りについた。
だけどまさか…
翌日の文化祭で、今日以上の事件が待ち受けてるなんて。
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
ちょいちょい異世界転生の話しが出てくるのは、晴人が最近部活の友達にそれ系の漫画を借りたから。
冴えない主人公が異世界でヒーローになる展開に胸熱。
うん、俺の部屋だね。
これが見慣れない天井なら異世界転生なんだけどな、なんて思いつつ身体を起こす。
枕元のデジタル時計を確認すると19時。
どうりで外が暗い訳だ。
身体はまだ少し重いけど、頭はスッキリしてる。
あれ?でもいつの間に家に帰って来たんだっけ?
記憶を辿ると、盛りだくさんの内容だ。
チャイナからの木村さんからのプール落ち。
それから、蓮とのあれやこれや…ヤバイ、顔熱い。
そして啓太と伊藤と、黒崎君のパンツ。
最後は、やっぱり蓮だ。
フラついてる所を助けて貰って、暖めてくれて…。
その腕の中で眠りに落ちた…気がする。
グゥゥ~ッ
ありゃ、めっちゃお腹鳴ったわ。
そう言えば昼ご飯食べてないんだよな。
せめて夜は食いっぱぐれたくない。
育ち盛りだし。身長伸びなくなったら困るし!
そんな訳で部屋を出ると、いい匂いが漂ってる。
お!今夜はシチューかな?
「晴!もう大丈夫⁉︎」
キッチンから父さんの声がする。
「大丈夫じゃない!超お腹空いた!」
俺が一階に降りると、困り顔の父さんが駆け寄って来た。
「お腹空いてるなら大丈夫かな?どっか痛いとか無い?」
「ちょっと身体重いくらいかなぁ。
ねぇ、父さん。俺どうやって帰って来た?
記憶無いのが怖いんだけど。」
繋ぎにと出してもらったデザートのウサギ林檎を齧りながら聞く。
「晴、その前にお説教聞いて。
いくら文化祭が楽しくても、ご飯はしっかり食べなさい。遅れそうだからって朝ご飯抜いて行ったのに
、お昼も食べないとか!」
あ、これ本気で怒ってるやつだ。
温厚な父さんの珍しいお説教は堪える。
「しかも事故でプールに落ちたんだって?
そういうので体力使ったなら余計にご飯は食べないと!エネルギー不足で低血糖起こしてる所を蓮君が助けてくれたんだよ?」
やっぱり、蓮がブドウ糖(甘いミルクティーだったかな?)飲ませてくれたの夢じゃなかったんだ。
「すぐ回復したけど寝ちゃったって父さんのスマホに連絡くれたから、車で迎えに行ったんだ。
なんなら2階に運んでくれたのも蓮君だよ。」
身長も抜かされちゃったみたいだし、もう力も全然叶わないなぁと笑う父さん。
蓮、わざわざ家まで来てくれたんだ…。
「父さんがバタバタしてる間に連絡取って、休みの拓哉さんまで家に呼んでおいてくれてさぁ。
すぐ診察してくれたから安心したよ。
まさに蓮君はスパダリだね!」
拓哉さんってのは蓮父の事だ。
切藤総合病院の理事長で、現役のお医者さん。
他にも肩書きがいっぱい有る凄い人なんどけど、今は割愛。
とにかく、お説教から「蓮スパダリ説」に移行して父さんの機嫌が直った。
良かった。あ、ちゃんと反省してるよ!
心配かけてごめんね、父さん。
「蓮父に迷惑かけちゃったね。今度お礼言わなきゃ。」
「そうだね。勿論、蓮君にもね。
拓哉さんが学校戻れって言うから、蓮君とんぼ返りしたんだよ?」
どうやら蓮父に診察してもらってる間に、父さんがまた蓮を学校に送り届けたらしい。
マジか!!
皆さまご迷惑をお掛けして本当に申し訳ない!
以後気を付けます!
成長期にご飯抜くの、ダメ、絶対。
それにしても今日一日、蓮にはお世話になりっぱなしだ。
ここまでして貰うと、意識を失う前の仮説が現実味を帯びてくる。
蓮は俺の事を、大切に思ってくれてるんじゃないかってーーー。
「あーあ、蓮君がお婿に来てくれたら安心なんだけどなぁ。」
「ゴフッ!!」
俺の思考をぶった斬る父さんの衝撃発言に咽せる。
「な、何言ってんの…男同士で無理に決まってんじゃん!」
「んー?でも晴達が結婚する頃にはどうなってるか分かんないよ?」
そ、それはまぁそうだけど…。
って言うか今気付いたんだけど、俺って恋愛対象が男性だったのかな⁉︎
蓮の事が好きって気付いた時、男とか女とか考えてもみなかった…。
今まで可愛いなと思う女の子はいたけど付き合いたいと思ったことは無い。
男に関しても友達以上に思った事無いんだけど…。
「ただいまー!!晴!!アンタはもう!!」
仕事から帰って来た母さんが玄関から叫ぶ声で我に返った。
ヤベ!今日の事は当然母さんも知ってる筈だ。
「美香さん!先にご飯にしよう!ね!」
慌てて父さんが宥めてくれて、俺は何とか空腹を満たす事ができた。
……その後は爆裂なお説教だったけど。
地獄のような時間を乗り切って、部屋に戻る。
しっかり朝食を食べるように母さんと約束させられたから、早めに寝よう。
それから、明日は…明日こそはちゃんと蓮と話そう。
そう思って眠りについた。
だけどまさか…
翌日の文化祭で、今日以上の事件が待ち受けてるなんて。
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
ちょいちょい異世界転生の話しが出てくるのは、晴人が最近部活の友達にそれ系の漫画を借りたから。
冴えない主人公が異世界でヒーローになる展開に胸熱。
93
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
15,000字程度の予定です。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる