【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side蓮 

44.熱 (※エロ有り)

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頭で理解するより先に身体が動いた。

腕を引き寄せて晴を抱き締める。

加減ができず苦しそうな気配がしても、力を緩める事ができなかった。

これが都合のいい夢で、覚めてしまうのが怖くて。

子供の頃から擦り切れる程思い描いた筈の光景なのに、受け入れる事ができない。

その時、俺の背中にギュッと手が回った。

今までの迷いがあるようなおずおずとしたものではなく、力強いそれに晴の決意を感じる。

これが現実の事だと、俺に証明するみたいに。


晴が、俺を好きーー。


やっと認識した言葉に視界が歪む。

子供の頃からずっとずっと、晴だけを見てきた。

同じ想いを返して貰う事ができなくても永遠に想い続ける事を覚悟する程に。

能力も容姿も家柄も『全てに恵まれている』と言われながら、俺が欲しいのは晴だけで。

そんな俺の唯一が今、腕の中にいる。

俺と、同じ気持ちでーー。



込み上げる物を瞬きで追い払って、自分の腕に座らせるよう晴を抱き上げた。

「ヤベェ、嬉しすぎて現実か疑ってる。」

夢の中のような感覚が舞い戻って思わず呟くと、晴が笑った。

その笑顔がいつもの晴な事に安堵するのと同時に、額にキスされた事に呆然とする。

「実感湧いた?」

「……もう一回。」

唇に触れる、温かくて柔らかい感触。

「どう?」

「……間違いなく人生で一番幸せだって事は分かった。」

陶然とする俺に晴が笑う。

少し悪戯っぽいその表情に、愛しさが身体中を駆け巡る。

晴、晴ーー。

繰り返し名前を呼んで、口付けた。

「晴、好きだ。俺の恋人になって。」

俺の言葉に、ブルーグレーの瞳から雫を溢しながら晴が頷く。

その仕草に胸が一杯になって、何も言えなくなった。

見つめ合って、どちらからともなく唇を重ねる。

言葉にできない感情を全て伝えるかのように、何度も、何度も。


教会に降り注ぐ優しい光が、俺達を祝福してくれているようだった。








教会を出てからホテルに着くまで、一言も言葉を交わさなかった。

只々、隣を歩くお互いの熱だけを強く感じて。

教師への報告もそこそこに、晴を部屋に引き込む。

ドアが閉まると、もう我慢が効かなかった。

晴を壁に押し付けるようにして何度も深く口付けて、欲望のままに口内を蹂躙する。

力が抜けた身体を支えた拍子にシャツが捲れて、薄い腹が剥き出しになった。

「晴…もっと触りたい…」

欲情しきった掠れた声で囁くと、晴がビクッと震えた。

「ダメ……」

その言葉に、ありったけの理性を掻き集めて手を離す。

興奮しきった熱い身体が辛さを訴えるが、歯を食いしばって堪えた。

晴が嫌がる事はしたくない。

だけど、触れたくて気が狂いそうだ。

必死で己と戦っていると、思いがけない言葉が聞こえた。

「ごめ…違くて…その、声出ちゃうから…ここじゃダメ。…ベッドでなら……わっ⁉︎」

確認する余裕も無く、抱き上げてベッドに押し倒した。

「あんま可愛い事言わないで…マジ余裕ねぇから…。」

顔中にキスしながら、敏感な胸の尖りを弄る。

シャツの上からでも分かる程ピンと立ったそれを強く弾くと、晴が甘い声を上げた。

「やぁっ…クリクリしちゃダメ……アァンッ!」

「相変わらず感度最高かよ。コッチはずっと弄ってなかったのにな?」

抜き合いの時は下しか触ってなかったから、最後に触ったのは『消毒』した時。

どうやら晴の身体は快楽を記憶するのが上手いらしい。

「やっ…恥ずかしッ…」

「ほら、隠すな。もっと良くしてやるからちゃんと見せろ。」

僅かな抵抗を払い除けて、今度は舌を這わせる。

態と音を立てて舐って吸い上げて。

懸命に堪えようとしているのが分かる喘ぎ声に煽られながら、晴の中心を握り込んだ。

「…フッ…もう濡らしてんじゃん。」

「き、汚いから…下はダメ…!んっ…シーツも…汚れるし…!」

必死にいい募る晴の声を聞きながらも、手の動きは一切緩めない。

晴の身体に汚い所なんか存在しないし、ダルい仕事を引き受けてこの部屋を勝ち取った意義が遂に発揮されるだけだ。

「じゃ、全部脱がせりゃいいんだな?」

服が汚れる事にも抵抗を示した晴のズボンを一気に引き抜いた。

何をされたのか分からず混乱している隙にシャツと下着も取り払って一糸纏わぬ姿にする。

眩しい程白い脚の間で蜜を溢しながら揺れるそこが露わになって、堪らず口に含んだ。

「ヒャアンッ…!!れ…ダメ…汚ッ…!!」

唾液を纏わせた口内で包んでやると、晴の腰がガクガクと揺れる。

抜き合いの後に必ずしてきたフェラによって慣らされた晴の理性が陥落するのは早かった。

「…はぁ…きもちぃ…」

『気持ちいい時は言葉にしろ』と教え込んだ甲斐があった。

「ん。最後まではしねぇから、晴が俺のものだって実感させて。」

舌で愛撫する俺を蕩けた表情で見つめながら、晴から甘い吐息が漏れる。

「…蓮も、脱いで…?蓮に触りたい…」

切ない声で懇願されて、思わずゴクリと喉が鳴った。

「ーーーあぁ、もう!煽んな!」

荒々しく自分の服を床に投げ落とした。

そのまま指を絡め合って、深くキスする。

抱き締めると、初めて全身で感じる晴の素肌が堪らない。

「蓮…あっ…もっと触って…!」

「…ッ…だから煽んなって!」

強請る晴に、とっくに猛り切っていた俺の中心は今にも弾けそうだ。

クソ、恋人になって初めての触れ合いはドロドロに甘やかして溶かしてやろうと思ってたのに。

「晴、脚閉じろ。」

余裕なく言うと、閉じた晴の太腿にドクドクと脈打つ己を捩じ込む。

先走りで滑るそれを出し入れすると、快感が一気に広がった。

「アッ…何…これ…!…アァンッ!」

背を逸らして反応した晴の中心を擦り合わせるように動く。

「…蓮…あっ、気持ち…アァッ!!」

何が起きているのか分からず混乱しながらも快感を拾う晴に、腰が止まらない。

「俺も…スゲェいい…!」

「も…ダメッ…イキそ…!アッ、アッ、アッ!!」

晴の限界が近付いのを悟って追い立てる。

「…クッ…晴、顔見せろ…!!」

腕を縫いとめて、隠そうとした顔を向けさせる。

上気して色付く頬も、潤んだ瞳も苦しいくらいに愛おしい。

「晴、好きだ。」

何度伝えても足りない思いを告げると、晴の腰が震えた。

「アァァッ!!」

眉根を寄せて白濁を放つ晴の艶めかしさに、一気に射精感が込み上げる。

「…れ…ん…すき…」

「ーーッ!!」

無意識下で紡がれた言葉に、俺もあっけ無く達した。

自分が放ったものが晴の白い太腿を汚し、倒錯感に目眩がする。

「晴。」

呼びかけると、眠りに落ちようとしていた晴の瞼が一瞬開いた。

そして、覗き込む俺を見て微かに笑うと胸に頬を擦り寄せて来る。

「~~ッ!!」

あまりの破壊力に倒れ込んで悶絶した。

…これは、お前が悪いからな…。

そい言い訳して、晴の身体を抱きながら、秒速で臨戦体勢に入ってしまった自分のモノを扱く。

すぐに放った白濁が晴の身体に飛ぶ様子にまた興奮して、結局その後2回抜く羽目になった事は墓場まで持って行く案件だ。



ようやく落ち着いてから、濡らしたタオルで晴と自分を拭うとベッドに身を横たえた。

すやすやと音がしそうな安らかな寝顔の下に腕を入れて抱き込む。

さっきまで感じまくってエロい顔してた癖に、今は穢れを知らない子供のようだ。

「ギャップやべぇな。」

俺の恋人は…と胸の中で続けて、口許が緩んだ。

マジで幸せすぎる…もしかして俺、今日死ぬのか?

そんな考えが浮かぶ程の多幸感は生まれて初めてだ。

時間をかけて意識させて来たが、身を結ぶのはまだまだ先だと思っていた。

想いが叶う可能性すら少ないと自棄になった事もあった。

それでも諦める事なんてできなくて。

そんな相手が今、恋人として俺の腕の中にいる。

白い鎖骨を噛んで、幾つも紅い痕を散らした。

俺の物だと主張したくて。

「蓮…?」

「ん。身体大丈夫か?」

ゆっくり目を開けた晴に尋ねると、さっきまでの行為を思い出したのか真っ赤になる。

「なんだ、照れてんの?可愛いな。」

耳にキスすると更に赤くなって動揺しまくって。

だけどシャワーを浴びようとベッドを出る俺の手を引かれた時には、逆に動揺させられた。

「違うんだ、これは…その…ンンッ⁉︎」

焦って言い訳する晴の唇を塞ぐ。

「離れたくねぇとか、可愛いが過ぎるだろ…。」

「ち、違うってば!」

「顔に出まくってるし。ヤベェ、また勃った。」

「たっ⁉︎⁉︎」

いい反応すぎて揶揄いたくて仕方ないが、流石にこの辺りで切り上げなければ。

「安心しろ、今日はもうしねぇよ。このまま最後までやっちまう自信しかねぇから。」

集合時間迫ってるしな。

そんな意味で言った言葉は思わぬ疑問で返された。

「ねぇ、蓮。『最後まで』って何?」

「……………あ?」

低い声が出たのは許して欲しい。

いや、だってまさか…いやいや、晴ならあり得る。

落ち着いて確認すると、晴は男女間でしかセックスできないと思っていたらしい。

やっぱりか…。

「ど、どうやって…。」

「…あ~、それは日本帰ってからにしよ。
取り敢えず今はシャワーな。」

恐れと興味が半々と言った様子の晴を抱き上げてシャワーへ向かう。

勿論俺は晴と先に進みたい訳だが…恐怖心を植え付けない為にもこれに関しては慎重に行くべきだろう。

「わぁっ!?な、何!?」

話しを逸らされて不服そうな晴の身体に泡を滑らせてこっちに集中させる。

態と厭らしく触ると晴の腰が抜けた。

「も、無理ぃぃぃ~」

「…ハァ…マジで感じやすいし快楽に弱いし…最高だけど心配でもあるな…。」

さっきの話しを忘れさせる事はできたが、新たな懸念事項に頭を抱える。

他の誰かに見られると思うと気が気じゃない。

やっぱ、マーキングしておいて正解だったな。

晴の着替えを部屋から取って戻ると、丁度に気付いたらしい晴に抗議された。

「ああ、肌白いから綺麗に残るな。着替える時気を付けろよ?同室の奴等に見られたくないだろ?」

同室の奴どころか、金輪際誰にも絶対に裸なんか見られてたまるか。

「シャツから見えねぇ所にしただけ譲歩だから。
本当はガチ見えする所に付けて、晴が俺のだって全人類に分からせてぇ。」

真っ赤になった晴の頬にキスする。

「俺にならどんだけ見せてもいいからな?」

我ながら相当いい笑顔だったと思う。

恋人なら、押さえつけていた独占欲を存分に解放できるからな。

最高すぎだろーー。










「ふぁ~、疲れた…超眠い。」

早く晴に触れたくてやきもきし続けた残り日数を消化して、ようやく帰国できた。

萱島家のソファで伸びをする晴には旅の疲れが見えて、流石に今日は何もせず帰る事にする。

「今日は帰るわ。ゆっくり休めよ。」

憲人さんがトランクを片付けに行ってる間に晴の額にキスすると、チョンと袖を摘まれた。

「…帰っちゃうの?」

うぐっ

変な声が漏れたがそれ所じゃない。

「いや、寝ないと疲れ取れねぇだろ。」

「何で?一緒に寝ればいいじゃん。」

いやいやいやいや…

一緒に寝るとか誘ってるとしか思えないんだが?

「蓮君、ちょっと寝て夕飯食べてから帰ったら?」

憲人さんのアシスト(この場合ナイスかどうかは置いておく)により、客間のベッドを借りる事になった。

なったんだが…。

「…何でだよ。」

何故俺の隣には爆睡する晴がいるのか。

何でそんな無防備に寝られんだよ!


あの日のあれやそれは夢か?

危機感を持て!同じベッドで寝る事をもっと意識しろ馬鹿!

なんて思いつつ、幸せそうな寝顔を見ているとどうしても怒れない。


恋人になっても引き続き振り回される生活に思いを馳せて溜息を吐く。

口許に笑みを浮かべながら。





●●●
side晴人97~99話辺りの話しです。



























この話しに出てくる教会は、ステンドグラスが有名なフランスのあそこがモデルです。
ヨーロッパ旅行で1番記憶に残ってるなぁ。
















































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