【更新再開】ショコラ伯爵の悩ましい日常〜イケメン騎士様とのBL営業が甘すぎる!〜

あさひてまり

文字の大きさ
70 / 73

大騒ぎ ※リフエール

しおりを挟む
…そうだった。

手紙を渡された時、あの場に俗物的な人メルドラさんもいたんだった…。

「僕が朝起きて食堂に行ったら、夜勤務が終わったジェシー先輩とパン屋に朝食を買いに行った筈のメルドラ副隊長補佐が、大興奮で帰って来たんですよ。」

後輩によると2人は「不死鳥の姫がいた!」「リフがイチャイチャを見せつけて来た!」「姫を連れ去った!」なんて大騒ぎしたらしい。

そして、ワラワラ集まって来た隊員達が俺達の関係や出会いなんかを推測し出した所でメルドラさんが吠えた。

「あー!!あンの野郎、ただの礼状とか言ってた癖にちゃっかり文通してやがったんだな!?」と。

その失言によって俺とシエラ様は、文通から始まった恋人関係にあると誤解されている…と。

「因みにこの一部始終は第ニ部隊全員が知ってます。昼から勤務のメルドラ副隊長補佐が本部に来るなり余す事なく話してましたから。」

「俺もメルドラから聞いた!」「私もだよ。」

胸を張るヴァン隊長とニッコリ笑うニール副隊長に頭を抱える。

「俺はジェシーから聞いたけどな。」

実に楽しそう言うのはハリマーさんだ。

つまり家持ち組は、それを聞いて態々寮に足を運んでまで俺を待っていた、と。

暇なのか、この人達…

いや、それよりも…

「ジェシー…ここにはいないけどメルドラさんも…後で話がある…」

「チョ、チョイ待ち!悪かったってリフ!」

自分でも驚くほどの低い声に、流石のジェシーもたじろぐ。

「けどホラ、女の子達の説得はしたから!もうここには来ないってさ!」

「えっ?」

思わぬ言葉に驚いていると、ジェシーは俺達が去った後の女性達とのやり取りを話した。

それによると、どうやらジェシーとメルドラさんはここが王宮の敷地内だと女性達に説明してくれたらしい。

すっかり大人しくなった彼女達は俺に対して謝罪までしていたと言う。

しかも、何故か俺とシエラ様を見守る同盟を結んでいた、と。

「いや、理解してくれたのは有難いんだが…どうしてそんな事に…」

「そりゃあ、相手が相手だからなぁ。」

頭を過るのは、作戦を言い渡した時のミリ殿の誇らしげな顔と台詞。

『恋敵が強力すぎて戦意喪失作戦』本当にその通りになったようです、ミリ殿…。

因みにメルドラさんは、シエラ様の名前は明かさず『ある店のオーナー』とだけ伝えたらしい。

その配慮はできるのに、俺のプライベートには土足のスキップで乗り上げてくるのはどうしてなんだ…。

「何はともあれ、これで騎士団寮にいられるぞ!良かったなリフ!」

笑顔の隊長の言葉にハッと居住まいを正す。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。ここでまた皆んなと過ごせる事を嬉しく思います。」

周りを囲む面々を見渡すと「俺も嬉しいぞー」
「リフがいないと寂しいぞー」なんて愛のある野次が飛ぶ。

騎士団寮に残れる事も、いい仲間(ちょっとゴシップ好きだが)に恵まれた事も自分は本当に幸運だ。

そんな温かい笑いに包まれた談話室を切り裂いたのは、ニール副隊長の一言。

「それで、リフと不死鳥の姫はお付き合いしてるって認識でいいのかな?」

和やかだっただった雰囲気は一瞬で無くなり、全員の目がギラリと光る。

突き刺さる視線に気圧されながらも否定しようとして、ふと思った。

これから俺とシエラ様は恋人のふりをする契約だ。

ならば、勘違いを正さない方が都合がいいのではないだろうか。

だけど、肯定すれば嘘を付く事になるし…こう言う時の答え方は…

「シエラ様とは、親しくさせていただいております…」

記憶の中でチカッと光った台詞を引っ張り出すと、ドッとその場が沸いた。

再び大騒ぎになった部屋の中で、彼の方が発した同じ台詞を思い出す。

『リフエール様とは親しくさせていただいております』

小首を傾げたあれは、悶えるほど可愛らしかったな…。

現実逃避で癒しの光景に意識を飛ばす俺を尻目に、周りは盛り上がり続けたのだった。





●●●




















第二部隊は男子校みたいなノリがありますが、全員身体能力が高く優秀です。これでも笑







































しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

fall~獣のような男がぼくに歓びを教える

乃木のき
BL
お前は俺だけのものだ__結婚し穏やかな家庭を気づいてきた瑞生だが、元恋人の禄朗と再会してしまう。ダメなのに逢いたい。逢ってしまえばあなたに狂ってしまうだけなのに。 強く結ばれていたはずなのに小さなほころびが2人を引き離し、抗うように惹きつけ合う。 濃厚な情愛の行く先は地獄なのか天国なのか。 ※エブリスタで連載していた作品です

愛人少年は王に寵愛される

時枝蓮夜
BL
女性なら、三年夫婦の生活がなければ白い結婚として離縁ができる。 僕には三年待っても、白い結婚は訪れない。この国では、王の愛人は男と定められており、白い結婚であっても離婚は認められていないためだ。 初めから要らぬ子供を増やさないために、男を愛人にと定められているのだ。子ができなくて当然なのだから、離婚を論じるられる事もなかった。 そして若い間に抱き潰されたあと、修道院に幽閉されて一生を終える。 僕はもうすぐ王の愛人に召し出され、2年になる。夜のお召もあるが、ただ抱きしめられて眠るだけのお召だ。 そんな生活に変化があったのは、僕に遅い精通があってからだった。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

攻略対象に転生した俺が何故か溺愛されています

東院さち
BL
サイラスが前世を思い出したのは義姉となったプリメリアと出会った時だった。この世界は妹が前世遊んでいた乙女ゲームの世界で、自分が攻略対象だと気付いたサイラスは、プリメリアが悪役令嬢として悲惨な結末を迎えることを思い出す。プリメリアを助けるために、サイラスは行動を起こす。 一人目の攻略対象者は王太子アルフォンス。彼と婚約するとプリメリアは断罪されてしまう。プリメリアの代わりにアルフォンスを守り、傷を負ったサイラスは何とか回避できたと思っていた。 ところが、サイラスと乙女ゲームのヒロインが入学する直前になってプリメリアを婚約者にとアルフォンスの父である国王から話が持ち上がる。 サイラスはゲームの強制力からプリメリアを救い出すために、アルフォンスの婚約者となる。 そして、学園が始まる。ゲームの結末は、断罪か、追放か、それとも解放か。サイラスの戦いが始まる。と、思いきやアルフォンスの様子がおかしい。ヒロインはどこにいるかわからないし、アルフォンスは何かとサイラスの側によってくる。他の攻略対象者も巻き込んだ学園生活が始まった。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...