【更新再開】ショコラ伯爵の悩ましい日常〜イケメン騎士様とのBL営業が甘すぎる!〜

あさひてまり

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男子だもん、女子に夢見がちなのは仕方ない ※シエラ

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「うぁぁぁぁぁぁ」

やってしまった…。

「ご主人様、いい加減そこから動いていただけませんでしょうかねぇ?」

頭上のミリが苛々してるのがめっちゃ伝わってくる。

それというのも、僕がかれこれ数十分テーブルに突っ伏してるせいでディナーの用意ができないから。

分かってる…邪魔なのは分かってるんだよ。

だけど自分の失態から立ち直れないんだよパトラッシュ…。





今から約2時間前。

来訪したリフエール様は、ミリの作戦の成果を詳しく話してくれた。

それがさ、なんと効果覿面だったらしくて。

お礼を言ってくれるリフエール様が嬉しそうなのは良かったんだけど…僕、何もしてなくない?

ちょっと言葉を交わして一緒に馬車に乗っただけなんだけども。

そう思ってたら謎が解けた。

どうやら僕達が騎士団寮を去った後、その場に残った同僚の方が女性達に説明してくらたらしい。

騎士団寮が王宮の敷地内にあるって事を。

グッジョブすぎるな!

それで改めて…やっぱり僕何もしてないよね?

偏にメルドラ&ジェシーの功績じゃん。

あ、でも彼女達の注意を引くって意味では僕も役に立ったんだろうか。

恋する乙女って周りが見えなくなりがちだもんね。

きっと少し…ほんの少しは役に立てた、筈…!

そうやって強引に自分を納得させてたんだけどね。

「それで実は…女性達が、シエラ様と私を見守ると言っているそうで…」

へぇ~………え?

戸惑いに少し下がった眉すらイケメンなリフエール様が、意味不明な事を言い出した。

えっと、どう言う事?

「その…私達が恋人関係にあると思い込んだ方が多かったようなんです。」

いやいやいや、ちょっと待とうか。

女性達の心情が全く理解できないんだけども。

だってさ、僕が仮にリフエール様の…その…恋人…だったとして。

仮に、仮にね!

その場合、彼女達にとって僕の存在って物凄い邪魔なんじゃないの?

だって恋敵になる訳だよね?

…ハッ!もしかして…

『あんな地味顔が恋人だなんて…リフエール様にはガッカリだわ。もう好きにして頂戴。』的な、呆れ系の「見守る」なの?

それとも『あんな地味な人間…しかも男が恋人なんて一時の気の迷いよ。どうせ直ぐ別れるでしょ。』的な、余裕で静観方面の「見守る」とか?

どっちかって言うと後者のほうがありそう。

リフエール様みたいな激モテ男子の元カノって、美人で華やかな女性に決まってるもん。

『フルコースばかりだったから、箸休めに素朴な家庭料理肉じゃがが食べたくなったのかしら?』なんて陰で噂されててておかしくない。

この際、異世界ここには休める箸も素朴な肉じゃがも無い事は一旦置いておこう。

うーん、考えれば考える程そんな気がしてきたけど、これってリフエール様にとっては不名誉なのでは?

しかも、この先BL営業をやっていくなら噂はこんなもんじゃ済まないかもしれない。

今更だけど僕、考えが浅かったかも。

リフエール様もここまでとは思ってなくて、嫌になっちゃったのかな。

さっきから何処か言いにくそうにしてるは、この件を断ろうと思ってるから?

作戦の成果が出ただけに、やっぱり無理ですなんて言いにくいもんね。

ここは身分が上である僕が気を回すべきなのかもしれない。

断ってくれていいし、気にしなくていいよって。

だけど…

BL営業って目的がなくなったら、もうこんな風に邸でお茶したりできなくなるのかな。

それは、何て言うか…


ドスッ

うぐぅっ

脇腹にダメージを食らいながら咄嗟に声を殺した僕を誰か褒めて欲しい。

ちょっと…いや、かなり強めの風魔法の出所を睨むと黒い目がこっちを見てた。

何か…かなり可哀そうな子を見る感じで。

『んな訳ないでしょう?見当違いも甚だしいんですけど全く。』ってその目が言ってるんだけども。

僕、常日頃からミリはエスパーなんじゃないかって疑ってるんだけどそこは一旦保留にしよう。

本人曰くそんな能力も魔法もないらしいけど…ただ、それぐらい僕の思考はミリに筒抜け。

そのミリが見当違いっって言うなら、僕は何処かで迷子になったのかもしれない。

どこだ…まさか「見守る」の解釈⁉︎

僕が捻くれてるからマイナスに考えちゃったけど、もしかして…

『あんな地味な男全く釣り合ってないけど、リフエール様が選んだのだから仕方がないわ。
好きな人の幸せを願いましょう。』的な「見守る」だったのか⁉︎

恋する乙女の心の美しさを侮ってた…って言うか、僕が卑屈すぎた…。

なんて…なんて尊い心なんだ!!

あれ?でもそうすると僕、引くに引けなくなったんじゃないか?

「実は演技でした」なんて言ったら、恋する乙女達の純真な心をふいにしてしまう。

ど、どうしよう…


「それから、こちらをシエラ様に。」

内心であたふたしてた僕は、リフエール様の声で我に返った。

その手にある箱に目を奪われる。

青い背景に、白い百合の花と優美にほほ笑む女神のデザイン。

前世の記憶で言うとミュシャっぽい綺麗な箱の中身は、紅茶の茶葉。

しかも、めちゃめちゃ高級品だった筈。

『シエラ見てみろ、綺麗だろ?味も最高なんだけど、俺でもめったに入手できないんだぜ。これは隣国の品で…』

その続きを、トッドは何て言ってたっけ。

「これは…何方から?」

そう尋ねると、騎士団長からだって返事だった。

報告の時僕の事は濁してくれたみたいだけど、後日これを渡されたんだそうだ。

『王宮の治安維持のご協力に感謝いたします』と。

ザワッと心が騒いだ。

きっと…いや、確実にそうだろう。

これをリフエール様に渡したのは騎士団長だけど、用意したのは彼じゃない。

だって、記憶の中で再生されたトッドの声がこう言ってる。


『これは隣国の品で、我が国のの大のお気に入りなんだ。入手できた物は全て自分が買うって豪語するくらいな。』





●●●



























前回の更新から1ヶ月以上経ってる…だと?































































































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