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闇と商品と裏社会
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しおりを挟む視界が明るくなっていく。
ぼやけていた景色もだんだんと、はっきりとなっていく。
ここは??
少し小さな車の中だった。
手は後ろで縛られている。きつくて解けない。
「…おぉ?起きた??」
走る車で、前の運転席から声が聞こえる。
「……だれ、ですか…?」
ぼんやりと、働かない脳で出した質問。
「……んーとね。君の、育ての母の方の弟だよぉ。」
男性は、軽いノリで話し始める。
「まぁ、つっても血は繋がってないんだけどねん。
あぁ、それより。君。姫君だっけ…?大丈夫?
…今からでも心の準備しときなよ?」
「ど…ういうことですか…?」
だんだんと脳も働き始めて、自分の状況を確かめるだけに男性に問う。
「…あっははぁ~ねぇさんから何も聞いてねぇのな。まぁ、あれだ!姫君は今日から、毎日俺の稼ぎになってもらうって話。」
僕は意味が分からなくて、黙ってしまう。
「…まぁ、要するに。毎日、溜まりに溜まってるジジイどもと、セックスしてればいーんだよん。…ただそんだけ。」
「……え?」
「あ、言っとくけど。抵抗なんて許さないからね。
君は、俺のねえさんに売られたんだよ。
そして俺が買った。これから俺の稼ぎのための商品ってこと。
だから抵抗なんてしたら、俺がブチ犯しちゃうからね…?」
そう平然と、車を運転しながら男性は言った。
「…まぁ、今時珍しいからねぇ…それに加えて姫君は、かわいーから、おじさま達の餌食になっちゃうかもね。かぁわいそー。まぁ、俺もたまーに君でヤらせてもらうけどねん。あ、でも買われちゃったらヤれねぇか。あっはは笑」
犯される……??
逃げなきゃ。
「……ゃ…」
「んー?なぁに?また質問かなぁ?」
「……嫌です。…今すぐに、帰りたいです…」
信号が赤になった。
男性は振り向いて言った。
「ダメでーす。帰れませーん。そもそも君、帰ってどうすんの??それに、君の居場所なんてあるの…?」
「……そ、れは…」
言葉に詰まってしまった。
そうだ。僕にとっての居場所ってどこ??
思い当たる節がない。家でも、学校でも、どこに行ったって自分の居場所なんてものなかった。
「……僕の…居場所…」
涙が出てきた。
「えぇ!?ちょっとちょっと、どーしたの!?
今から君の最初の初体験前に泣かれても困るよぉ」
さりげない男性の言葉で全てを理解することができた。
涙は溢れて、止まる気配すらしない。
育ての母は弟に、僕を売った。
そして居場所のない僕は、これから…
「……は、つ…たいけん……」
「そーだよん。…あ、ほら着いた!!あそこだよ。」
男性が指差した方を、ぼんやりと見つめる。
少し高いビル。
車は少し広い駐車場に止まった。
「…今回は金持ちなジジイだからね~がっぽりがっぽり~!…あ、ちょっと激しいかもだけど頑張ってね~あのジジイ、前の商品ボロボロにして帰って来やがったしぃ。」
「…ひっ…!嫌。嫌だ。」
車の中から、襟を掴まれて引っ張り出される。
「やだ!!!行きたくない…!!助けっ…!」
「ハイハイ~無駄だよ~ここら全体、今回のジジイの私有地だからね~助けは来ないよ~来たとしても…消されちゃうし」
僕の声も手で遮られてしまった。
「ほらほら、涙拭いて~。泣いてたら乱暴にされちゃうよ?そういうの好きなジジイだからさ。
嫌でしょ…乱暴は……昔っからさ…?」
ビクッと反応してしまう。
この人は、僕が昔から暴力を振るわれていたことを知っている……?
「ハイハイ。歩く歩く~。急いでね。
結構遅れちゃってるからさぁ。」
背中を押されて、無理矢理歩かされる。
中に入る前に、受付のゴツい男性が、どこかに電話で話をしてから、通された。
僕の予想。
当たりたくはないけど、電話のあいては多分弟さんが言っていたジジイ、と呼ばれる人だろう。
エレベーターへと押し込まれて、
弟さんは最上階のボタンを押す。
「「・・・・・」」
つかないで、つかないで、つかないで。
チーンッ。
僕の願いもむなしく、エレベーターは最上階へと
ついてしまった。
「………君、本当可哀想だね。」
「…え。」
「あ。ほら、でたでた。ドアしまっちゃうよ。」
背中を押されて廊下に出る。
さっきのポツリと言った、弟さんの言葉が胸に刺さった。
ガチャ
「……失礼致します。今回の商品をお持ち致しました。毎度、ご利用頂きまして誠にありがとうございます。」
さっきの態度と口調と打って変わった弟さんに少し驚く。
「…やぁやぁ。待っていたよ…今回はどんな子かな?」
そう言って部屋の奥の方から、小太りでいかにもお金持ちな雰囲気を出した、バスローブ姿の中年男性が、現れる。
「若くて可愛いねぇ…?うん。すぐにいただくよ。
お代は前払いでいいんだよね。」
「そうでございます。………しっかりとお代は受けたので、私は帰らせてもらいます。今回の使用でお気に召しましたら、今回の5倍のお代で、その子をお売り致します。あくまでまだ、商品なので、明日の午後にお迎えに上がります。」
男性からお代を受け取った弟さんは、エレベーターの方へと歩き出した。
え。僕のことは…?
できれば僕も帰りたいんですけど。
「……それでは。ごゆっくりお楽しみください。」
弟さんはエレベーターに乗り、ドアが閉まるまで深々とお辞儀をしていた。
「…さて。今回は君だね。慣れていないと聞くけれど、始めて?おじさんは優しくしない主義だからさ。壊れちゃっても大丈夫かな…?」
恐い。喉の奥で、ヒュッと音が鳴るだけで声すら出ない。
「さぁ、入って…今日は存分に楽しめそうだなぁ。」
男性は、にやけながら僕を部屋へと入れた。
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