文字の大きさ
大
中
小
148 / 2,093
剣鬼 闘技祭準備編
レナの意思
色々と考え込むナオを素通りし、マリアはレナの両肩を掴むと、彼女は微笑みながらレナに質問する。
「レナ……一つだけ聞かせてちょうだい。貴方はこの国の王様になりたいと考えた事はある?貴方が本気で国王になりたいと考えているのなら、私は貴方を支援するわよ」
「え、嫌だよ。そんな面倒臭そうなの……そういうのはナオに任せる」
『えっ』
「でしょうね」
レナの返答にその場の全員が呆気にとられるが、彼の答えを聞いてマリアは安心したように溜息を吐き、レナならば彼女の質問を断ると確信していた。だが、他の人間が慌ててレナに問い質す。
「ちょ、ちょっと待てよレナ!!お前、面倒って……王様だぞ?王様になれるんだぞ!?」
「そうだぞレナ、もしかして私に気を遣っているのか?それなら……」
「いやいや、別にそういうのじゃないから。というか、王様なんて面倒そうだし、責任感が大きそうだから嫌だよ」
「そんな事で諦めるのっ!?」
「そんな事で諦めるよ。俺は王様なんか目指さない」
今更自分の正体を晒し、王位を狙うなどレナは考えるはずがなく、そんな事をしてしまったらこれまでの行為が水の泡となる。彼の目的は国王として王国を支配する事ではなく、あくまでも普通の生活を送りたいだけなのだ。最も現在の生活も普通とは言い難いが、それでも仲間に囲まれて暮らす生活を満喫している。
だが、ここでレナが王位を継承するために世間に自分の正体を晒せば当然だが彼の周囲の人間も問題に巻き込んでしまう。まずはこれまで以上に命を狙われるのは間違いなく、王国側の人間も彼を放置するはずがない。そうなれば平穏な生活など望めるはずがなく、そんな事態に陥るならば正体を隠して生きる生活を選ぶ。
例えば野球を知らない人間にプロ野球選手になれる好機を与えられたとしても、大抵の人間はそんな好機を受け入れるはずがないだろう。仮にプロ野球選手になれたとしても野球も知らない自分が上手くやり続けられるのか不安を抱き、取り返しのつかない失敗を行うのではないかと考える。普通の人間には訪れない絶対に訪れない絶好の機会なのかもしれなくとも、レナにとっては国王という称号は何の価値もない。
「俺は今まで通りに皆と一緒に居る方がいいよ。そもそも国王なんてなっても何の教育も受けていない俺が国を支えるなんて出来ないしね」
「だけど、本当ならお前が王様になるはずだったんだぞ?悔しく……いや、納得できるのか?他の人間が自分を差し置いて国を受け継ぐなんて……」
「いや、全然?むしろ、国王になる方が大変そうだよ。だって今の国王は全然羨ましいとは思えないし……」
「ふふっ」
レナの言葉にマリアが笑い声を抑えきれず、確かに現在の国王の立場を知っている人間からすれば誰も彼の地位を羨む者はいないだろう。王妃の傀儡人形として彼女の支持されるがままにしか行動できず、自分の愛していた妻からは息子を見捨てた事で痛めつけられ、数多くの人間に見放されている。彼が「国王」という立場でなければここまでの事態には陥らなかっただろう。
「俺は王位なんて興味ないし、そのハヅキ家という人達にも利用されるのは御免だよ」
「レナ……」
「よく言ったわ。それでこそ姉さんの子供よ」
マリアはレナの言葉を聞いて満足そうに頷き、彼の身体を抱き締める。姉の元を離れても国王の座に興味を抱くような人間に育って居なかった事に彼女は安堵し、同時に自分も覚悟を決める事にした。
「ナオ、聞いての通りよ。レナは王位を引き継ぐつもりがない以上、貴女がこの国を引き継ぎなさい」
「そ、それは……ですが、父上は私の事を……」
「いい加減に目を覚ましなさい。何時までも養父に気遣っていたらこの国は王妃に奪われるわよ」
「くっ……!!」
ナオは自分の養父であり、レナの実父である「バルトロス国王」の事を内心は未だに慕っていた。実際に先王が死去した後に自分と2人の妹を引き取り、何不自由のない生活を送らせていたのだ。しかし、王妃が子供を出産してから関係がおかしくなり、お互いが避けるようになった。
それでもナオは心の何処かで養父である国王との関係を修復出来ないのかと考えており、何度も王妃の危険性を伝え、騎士団を結成して功を立てる事で国王から認められようとした。しかし、結局は国王は王位を引き継がせようとしているのは自分の子供である「第二王子」であり、ナオの事よりも彼と王妃を優先する。
「このまま時が経過すれば国王は間違いなく第二王子を王太子と認め、この王国はあの王妃の手によって狂わされるわ。それを阻止するためには貴女が王太子と認めさせるしかないのよ?」
「ですが、父上は……」
「貴女も分かっているのでしょう?このままどれだけ騎士団を動かして功を立てようと、王妃の正体を伝えても国王は貴女を認めはしない……ここで覚悟を決めなさい。例え、養父と対立するような事態に陥ろうとも国王の座を手に入れる事を」
「そのために……貴女に協力を頼めというのですか?」
「それが貴方の妹と……義弟を守る唯一の道よ」
マリアの言葉にナオは二人の妹の事を思い出し、そして義理の弟であるレナを見る。ここでマリアの提案を受け入れなければナオは養父に認められるように足掻くしかなく、間違いなく王妃の手によって消されてしまうだろう。だが、ここでマリアの手を取れば養父と対立する事になっても自分の大切な妹と義弟は守ることが出来る。最早、選択肢は1つしか存在せず、ナオは決意を固めたように頷く。
「私は……王を目指します」
「レナ……一つだけ聞かせてちょうだい。貴方はこの国の王様になりたいと考えた事はある?貴方が本気で国王になりたいと考えているのなら、私は貴方を支援するわよ」
「え、嫌だよ。そんな面倒臭そうなの……そういうのはナオに任せる」
『えっ』
「でしょうね」
レナの返答にその場の全員が呆気にとられるが、彼の答えを聞いてマリアは安心したように溜息を吐き、レナならば彼女の質問を断ると確信していた。だが、他の人間が慌ててレナに問い質す。
「ちょ、ちょっと待てよレナ!!お前、面倒って……王様だぞ?王様になれるんだぞ!?」
「そうだぞレナ、もしかして私に気を遣っているのか?それなら……」
「いやいや、別にそういうのじゃないから。というか、王様なんて面倒そうだし、責任感が大きそうだから嫌だよ」
「そんな事で諦めるのっ!?」
「そんな事で諦めるよ。俺は王様なんか目指さない」
今更自分の正体を晒し、王位を狙うなどレナは考えるはずがなく、そんな事をしてしまったらこれまでの行為が水の泡となる。彼の目的は国王として王国を支配する事ではなく、あくまでも普通の生活を送りたいだけなのだ。最も現在の生活も普通とは言い難いが、それでも仲間に囲まれて暮らす生活を満喫している。
だが、ここでレナが王位を継承するために世間に自分の正体を晒せば当然だが彼の周囲の人間も問題に巻き込んでしまう。まずはこれまで以上に命を狙われるのは間違いなく、王国側の人間も彼を放置するはずがない。そうなれば平穏な生活など望めるはずがなく、そんな事態に陥るならば正体を隠して生きる生活を選ぶ。
例えば野球を知らない人間にプロ野球選手になれる好機を与えられたとしても、大抵の人間はそんな好機を受け入れるはずがないだろう。仮にプロ野球選手になれたとしても野球も知らない自分が上手くやり続けられるのか不安を抱き、取り返しのつかない失敗を行うのではないかと考える。普通の人間には訪れない絶対に訪れない絶好の機会なのかもしれなくとも、レナにとっては国王という称号は何の価値もない。
「俺は今まで通りに皆と一緒に居る方がいいよ。そもそも国王なんてなっても何の教育も受けていない俺が国を支えるなんて出来ないしね」
「だけど、本当ならお前が王様になるはずだったんだぞ?悔しく……いや、納得できるのか?他の人間が自分を差し置いて国を受け継ぐなんて……」
「いや、全然?むしろ、国王になる方が大変そうだよ。だって今の国王は全然羨ましいとは思えないし……」
「ふふっ」
レナの言葉にマリアが笑い声を抑えきれず、確かに現在の国王の立場を知っている人間からすれば誰も彼の地位を羨む者はいないだろう。王妃の傀儡人形として彼女の支持されるがままにしか行動できず、自分の愛していた妻からは息子を見捨てた事で痛めつけられ、数多くの人間に見放されている。彼が「国王」という立場でなければここまでの事態には陥らなかっただろう。
「俺は王位なんて興味ないし、そのハヅキ家という人達にも利用されるのは御免だよ」
「レナ……」
「よく言ったわ。それでこそ姉さんの子供よ」
マリアはレナの言葉を聞いて満足そうに頷き、彼の身体を抱き締める。姉の元を離れても国王の座に興味を抱くような人間に育って居なかった事に彼女は安堵し、同時に自分も覚悟を決める事にした。
「ナオ、聞いての通りよ。レナは王位を引き継ぐつもりがない以上、貴女がこの国を引き継ぎなさい」
「そ、それは……ですが、父上は私の事を……」
「いい加減に目を覚ましなさい。何時までも養父に気遣っていたらこの国は王妃に奪われるわよ」
「くっ……!!」
ナオは自分の養父であり、レナの実父である「バルトロス国王」の事を内心は未だに慕っていた。実際に先王が死去した後に自分と2人の妹を引き取り、何不自由のない生活を送らせていたのだ。しかし、王妃が子供を出産してから関係がおかしくなり、お互いが避けるようになった。
それでもナオは心の何処かで養父である国王との関係を修復出来ないのかと考えており、何度も王妃の危険性を伝え、騎士団を結成して功を立てる事で国王から認められようとした。しかし、結局は国王は王位を引き継がせようとしているのは自分の子供である「第二王子」であり、ナオの事よりも彼と王妃を優先する。
「このまま時が経過すれば国王は間違いなく第二王子を王太子と認め、この王国はあの王妃の手によって狂わされるわ。それを阻止するためには貴女が王太子と認めさせるしかないのよ?」
「ですが、父上は……」
「貴女も分かっているのでしょう?このままどれだけ騎士団を動かして功を立てようと、王妃の正体を伝えても国王は貴女を認めはしない……ここで覚悟を決めなさい。例え、養父と対立するような事態に陥ろうとも国王の座を手に入れる事を」
「そのために……貴女に協力を頼めというのですか?」
「それが貴方の妹と……義弟を守る唯一の道よ」
マリアの言葉にナオは二人の妹の事を思い出し、そして義理の弟であるレナを見る。ここでマリアの提案を受け入れなければナオは養父に認められるように足掻くしかなく、間違いなく王妃の手によって消されてしまうだろう。だが、ここでマリアの手を取れば養父と対立する事になっても自分の大切な妹と義弟は守ることが出来る。最早、選択肢は1つしか存在せず、ナオは決意を固めたように頷く。
「私は……王を目指します」
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。