271 / 2,091
闘技祭 決戦編
白々しい演技
しおりを挟む
「この手紙……もしや、偽手紙でござるか!?」
「えっ!?レナたんが書いてくれたんじゃないの!?」
「ええっ!?兄貴が書いたんじゃないんすか!?でも、この手紙を届けてきてくれたのは間違いなく氷雨の冒険者の方ですよ!?」
ハンゾウの言葉にティナとエリナは驚き、二人の話によると手紙を渡してきたのは氷雨の冒険者らしい。ヨツバ王国と氷雨は同盟を結んでおり、だからこそ手紙を持ち込んできたのが氷雨の冒険者である事からエリナもティナも本当にレナからの手紙だと信じ切っていた。実際に手紙の筆跡はレナの物と全く同じだったのでティナも疑いもせずにエリナを連れ出して抜け出してきたのだが、レナ自身は当然手紙を書いた覚えはない。
「ティナに手紙を出したのはどんな人?」
「えっと……確かに顔は見覚えがあるっす!!前に腐敗竜との戦闘で一緒に戦ってくれた人だったんで間違いなく氷雨の冒険者で間違いはないはずなんですけど……」
「という事は氷雨の人間の中に裏切者がいるのでござるな」
「あんまり驚かないね」
「予想はしていたでござる。しかし、よく二人は抜け出したでござるな」
「あ、うん。精霊さんの力を使ってここまで来たんだよ」
「精霊……風の精霊?」
「そうっす。兄貴にも見せましたよね?」
皆の前でエリナは掌を差し出すと彼女の手元に緑色の光の球体が出現し、彼女の周囲を円を描くように移動を行う。しかし、その光景にハンゾウは眉を顰め、普通の人間(?)である彼女には精霊は目視できない。
「何かしたのでござるか?妙な気配は感じるでござるが……」
「おお、凄いっすね!!気配だけでも精霊を感じ取れる人なんて滅多にいませんよ」
「私は薄っすらと見える」
「あ、そういえばコトミンは水の精霊魔法を使えたっけ」
人魚族であるコトミンも精霊を認識する事が可能らしく、彼女は風の精霊に掌を差し出すとレナの時と違い、精霊は逃れずに掌に収まる。この精霊を利用すれば魔法の力を強化したり、あるいは風の力を利用して遠方に存在する人間の話声を聞くことが出来る。この精霊の力を利用し、エリナは苦労してヨツバ王国の護衛を出し抜いてティナをここまで連れ出したという。
「エリナ……護衛を任されている人間が護衛対象を連れ出してどうするのさ」
「いや、面目ないっす。姫様がどうしても兄貴に会いたいって聞かないんですよ」
「え~だってこの間はゆっくりと話せなかったし、ウル君達とも会いたかったし……」
「ウルはここには居ないよ。すぐに皆に戻った方が良いね、このままだと俺達が誘拐犯に仕立て上げられそうだよ」
レナは手紙を握りしめながら溜息を吐き出し、ティナとエリナを誘き寄せたのは王妃側の企みで間違いなく、大方の予想はつく。偽手紙でレナの名前を語ってティナを呼び出し、誘拐犯に仕立て上げて捕まえようとしているのだろう。別に兵士如きに捕まるレナではないが、重要なのはヨツバ王国と氷雨の同盟関係に亀裂が生じる可能性が高い。
(早いうちにティナを王国の人達の所に戻さないと……そういえば他の王族は何処で観戦しているんだろう?)
各国の国王は観客席で姿を見かけたが、その他の王族関係者の姿は見ておらず、レナはティナに王族達が何処で試合を観戦しているのかを尋ねる。
「そういえば試合中はティナは何処に居たの?観客席にはいなかったよね?」
「えっとね、私達はこの闘技場の2階にある広間で試合を見てたよ。映像水晶でレナたん達の活躍はばっちり見てたからね!!」
「広間か……そこまで移動するのにどれくらいの時間が掛かる?」
「そんなに遠くはないっすよ。正直、こんな場所で話しているとすぐに見つかるかもしれな……」
「居たぞ!!あそこだ!!」
エリナが言葉を言い終える前に大勢の人間の怒声と足音が通路に響き渡り、全員が視線を向けると武装した兵士達が駆けつけてきた。彼等はティナとレナ達が行動を共にしているのを確認すると、笑みを浮かべて武器を構えた。
「見つけたぞ誘拐犯め!!ティナ王女を解放しろ!!」
「誰が誘拐犯だ。もう少しわざとらしい演技しろよ」
「やはり王妃の罠でござるか!!」
「ちょ、ここで戦うんすか!?いくら何でも不味いんじゃ……」
兵士が武器を構えた瞬間、レナとハンゾウが剣に手を伸ばし、エリナも慌てて弓矢を構えてティナを庇う。既に人払いは済んでいるのか通路には人影は見えず、レナは兵士の数を確認して予想よりも少ない事に疑問を抱く。
「ひいふうみい……全部で15人」
「その程度の人数で拙者達を止められると思っているのでござるか?舐められたものでござる」
「ふんっ!!我々に手を出せば貴様等は犯罪者だ!!即刻逮捕してやる!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!誘拐だなんて誤解だよ!?」
「いいからティナは下がってて……コトミン、ちょっと面倒見てて」
「んっ……頑張って」
非戦闘員のティナをコトミンに任せ、レナは両拳を叩き合わせながら兵士達と向かい合う。
「えっ!?レナたんが書いてくれたんじゃないの!?」
「ええっ!?兄貴が書いたんじゃないんすか!?でも、この手紙を届けてきてくれたのは間違いなく氷雨の冒険者の方ですよ!?」
ハンゾウの言葉にティナとエリナは驚き、二人の話によると手紙を渡してきたのは氷雨の冒険者らしい。ヨツバ王国と氷雨は同盟を結んでおり、だからこそ手紙を持ち込んできたのが氷雨の冒険者である事からエリナもティナも本当にレナからの手紙だと信じ切っていた。実際に手紙の筆跡はレナの物と全く同じだったのでティナも疑いもせずにエリナを連れ出して抜け出してきたのだが、レナ自身は当然手紙を書いた覚えはない。
「ティナに手紙を出したのはどんな人?」
「えっと……確かに顔は見覚えがあるっす!!前に腐敗竜との戦闘で一緒に戦ってくれた人だったんで間違いなく氷雨の冒険者で間違いはないはずなんですけど……」
「という事は氷雨の人間の中に裏切者がいるのでござるな」
「あんまり驚かないね」
「予想はしていたでござる。しかし、よく二人は抜け出したでござるな」
「あ、うん。精霊さんの力を使ってここまで来たんだよ」
「精霊……風の精霊?」
「そうっす。兄貴にも見せましたよね?」
皆の前でエリナは掌を差し出すと彼女の手元に緑色の光の球体が出現し、彼女の周囲を円を描くように移動を行う。しかし、その光景にハンゾウは眉を顰め、普通の人間(?)である彼女には精霊は目視できない。
「何かしたのでござるか?妙な気配は感じるでござるが……」
「おお、凄いっすね!!気配だけでも精霊を感じ取れる人なんて滅多にいませんよ」
「私は薄っすらと見える」
「あ、そういえばコトミンは水の精霊魔法を使えたっけ」
人魚族であるコトミンも精霊を認識する事が可能らしく、彼女は風の精霊に掌を差し出すとレナの時と違い、精霊は逃れずに掌に収まる。この精霊を利用すれば魔法の力を強化したり、あるいは風の力を利用して遠方に存在する人間の話声を聞くことが出来る。この精霊の力を利用し、エリナは苦労してヨツバ王国の護衛を出し抜いてティナをここまで連れ出したという。
「エリナ……護衛を任されている人間が護衛対象を連れ出してどうするのさ」
「いや、面目ないっす。姫様がどうしても兄貴に会いたいって聞かないんですよ」
「え~だってこの間はゆっくりと話せなかったし、ウル君達とも会いたかったし……」
「ウルはここには居ないよ。すぐに皆に戻った方が良いね、このままだと俺達が誘拐犯に仕立て上げられそうだよ」
レナは手紙を握りしめながら溜息を吐き出し、ティナとエリナを誘き寄せたのは王妃側の企みで間違いなく、大方の予想はつく。偽手紙でレナの名前を語ってティナを呼び出し、誘拐犯に仕立て上げて捕まえようとしているのだろう。別に兵士如きに捕まるレナではないが、重要なのはヨツバ王国と氷雨の同盟関係に亀裂が生じる可能性が高い。
(早いうちにティナを王国の人達の所に戻さないと……そういえば他の王族は何処で観戦しているんだろう?)
各国の国王は観客席で姿を見かけたが、その他の王族関係者の姿は見ておらず、レナはティナに王族達が何処で試合を観戦しているのかを尋ねる。
「そういえば試合中はティナは何処に居たの?観客席にはいなかったよね?」
「えっとね、私達はこの闘技場の2階にある広間で試合を見てたよ。映像水晶でレナたん達の活躍はばっちり見てたからね!!」
「広間か……そこまで移動するのにどれくらいの時間が掛かる?」
「そんなに遠くはないっすよ。正直、こんな場所で話しているとすぐに見つかるかもしれな……」
「居たぞ!!あそこだ!!」
エリナが言葉を言い終える前に大勢の人間の怒声と足音が通路に響き渡り、全員が視線を向けると武装した兵士達が駆けつけてきた。彼等はティナとレナ達が行動を共にしているのを確認すると、笑みを浮かべて武器を構えた。
「見つけたぞ誘拐犯め!!ティナ王女を解放しろ!!」
「誰が誘拐犯だ。もう少しわざとらしい演技しろよ」
「やはり王妃の罠でござるか!!」
「ちょ、ここで戦うんすか!?いくら何でも不味いんじゃ……」
兵士が武器を構えた瞬間、レナとハンゾウが剣に手を伸ばし、エリナも慌てて弓矢を構えてティナを庇う。既に人払いは済んでいるのか通路には人影は見えず、レナは兵士の数を確認して予想よりも少ない事に疑問を抱く。
「ひいふうみい……全部で15人」
「その程度の人数で拙者達を止められると思っているのでござるか?舐められたものでござる」
「ふんっ!!我々に手を出せば貴様等は犯罪者だ!!即刻逮捕してやる!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!誘拐だなんて誤解だよ!?」
「いいからティナは下がってて……コトミン、ちょっと面倒見てて」
「んっ……頑張って」
非戦闘員のティナをコトミンに任せ、レナは両拳を叩き合わせながら兵士達と向かい合う。
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。