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最終章 前編 〈王都編〉
フェリスとの再会 (ドルトン商会の会長やで~byフェリス)
――冒険都市の中に存在する地球の「高層ビル」を意識して設計した建物が存在する。この建物の所有者であるフェリスは「ドルトン商会」と呼ばれる冒険都市を含め、王国内に存在する魔道具店の会長である。彼女は氷雨のギルドと独占契約を結んでおり、ギルドマスターであるマリアとも親交があった。
だが、現在の彼女の店の周囲には王国軍の兵士が頻繁に巡回を行い、建物内に入ろうとする人間の監視を行う。そのせいで彼女の店に立ち寄る客も激減し、フェリスは苛立ちを隠さずに部屋の中で机の上に足を乗せながら怒鳴り散らす。
「ああ、もう!!何時までこんな扱いを受けなあかんねん!!あの王国兵の奴等を追い払えんのかっ!?」
「落ち着いて下さいフェリス様、奴等に手を出せばこちらの立場が危うくなります。ここはマリア殿が戻るまで我慢するしか……」
「そんな事は分かっとるわい!!だけど、あいつらのせいでうちの店に来るお得意様達も近寄る事も出来ん!!こんなんじゃ商売あがったりや!!」
「会長、紅茶を用意しました。これを飲んで落ち着いて下さい」
フェリスの傍にはドルトン商会の護衛部隊の隊長であるグロウと、彼の妻であると同時にフェリスの秘書を務める巨人族のメイドであるアリスが控えていた。2人以外にも机を挟んで椅子に座るドルトン商会と契約を結んでいる鍛冶職人のゴイルも存在した。
「まあ、落ち着いてくれ会長。ここで暴れても仕方ないだろうが……マリア様が戻ってくれば何とかしてくれるだろ?」
「たく、確かにうちらはマリアさんとは仲が良かった。だけど、そのせいでどうしてうちらがマリアさんを匿っていると疑われなあかんねん!?」
「そ、そういわれても……」
王国兵がドルトン商会の建物を包囲するように兵士を巡回させている理由は、マリアと親交があったフェリスが姿を消した彼女を匿っていると疑われているからであり、何度も建物内を捜査協力を申し立てられた。しかし、大切な商品や建物内に住んでいる人間のプライバシーの侵害を理由にフェリスは頑なに捜査協力を拒んだ結果、現在のドルトン商会は王国兵に怪しまれて囲まれてしまう。
何度か王国貴族がフェリスに直談判に訪れたが、生憎とドルトン商会の影響力は強く、王国にも多額の税金や魔道具を輸入している。そのために王国側としてもフェリスと真正面から対立する事は出来ず、強制捜査は行えない。だから嫌がらせの様に建物を取り囲むように兵士に巡回を行わせる事しか出来ない。
「フェリス様、先日のカゲマル様がおっしゃっていた作戦は成功したのでしょうか?」
「ああ?そんなもん、確認する方法がないやろ。こんな状況じゃおちおち外にも出られへんからな」
2日前、フェリスの元にマリアの側近であるカゲマルが訪れ、彼女にある提案を行う。その提案を聞いたフェリスは非常に驚いたが、最終的にはカゲマルの要望通りに彼女は援助資金を提供した。
「それにしても本当に一週間後……いや、6日後にナオ王女の処刑が行われるのでしょうか」
「さあな……だけど、あの王女様がいなくなったら本当に王国は王妃の物になる。そうなったらうちらも無事じゃ済まない」
「……他国へ逃げますか?」
「それは最終手段やな」
ナオが処刑されるという噂は冒険都市にまで届いているため、フェリス達も彼女の身を案じてはいる。しかし、国王の殺人未遂という罪状で捕まった彼女を助け出す力は持ち合わせておらず、処刑が執行される前にマリアが帰還して彼女を救い出す事を祈ることしか出来ない。
部屋の中に沈黙が訪れ、自分達が何も出来ない状況にフェリス以外の者達も不安を抱いた時、部屋の外から扉がノックされる。すぐにフェリスが中に入るように促すと、扉を開いて入ってきたのは小髭族の間では伝説の鍛冶師と尊敬されているガジンが入ってきた。
「何じゃお主ら?ここに集まっていたのか、やっと見つけたぞ」
「ガ、ガジンさん!?どうしてここに!?工房へ居たはずじゃ……」
「ああ、仕事も何もないから暇だったんでお主らを探しとったんじゃ」
「丁度良かったわガジンの爺さん、今からお茶をするところだったからあんたを呼ぼうと思ってたんや。アリス、ガジの爺さんに緑茶を用意して」
「かしこまりました」
「おお、あとお茶菓子も用意してくれると有難いのう」
ガジンが訪れた事で雰囲気が一変し、考え込んでも仕方がないと判断したフェリスはアリスにお茶を用意するように促す。彼女はすぐに部屋を出て用意しようとした時、不意に扉の前で立ち止まって目つきを険しくさせる。
「……ガジン様、お連れ様がいらっしゃいましたか?」
「連れ?いや、儂は一人でここまで来たぞ?」
「そうですか……では、扉の前で聞き耳を立てているのは何者ですか?」
「えっ?」
「何!?」
アリスの言葉を聞いてグロウは剣の柄に手を伸ばすと、外側から扉が勝手に開かれる。侵入者が現れたのかとグロウとアリスが身構えると、部屋の外から現れたのは全身が埃まみれのレナと疲れた表情のダインが姿を現した。
「あ、どうも……お久しぶりです」
「ど、どうも……」
「レナさん!?それと……誰やったっけ?」
「どうしてここに……とりあえず、中へお入りください」
「おお、誰かと思えばあの時の小僧か!!」
レナの顔を見た瞬間に部屋の中の全員が驚愕の表情を浮かべ、即座にアリスは二人を招き入れて部屋の外の通路を確認して誰にも見られていない事を確認すると扉に鍵を施す。グロウも窓のカーテンを閉めて外部から見られないようにすると、改めて全員がレナ達の前に集まる。
「いや、ほんまに久しぶりやな!!闘技祭の見送りで別れて以来か?それにしてもなんやその恰好……随分と汚れてるなぁっ」
「ちょっとここまで来る道中で苦労しまして……あ、紹介します。前にも会った事があるかもしれませんけど、俺の親友のダインです」
「ダインです……えっと、とりあえず休ませてもらっていいですか?」
「どうぞ、こちらへお座りください」
ダインはかなり疲弊した様子でアリスの用意した椅子に座り込み、机に突っ伏す。この場所に至るまでに地下通路を歩き回り、時には兵士に見つからないように慎重に移動してきたので精神的にも体力的にも消耗していた。そんなダインを見てレナは代わりに説明を行う。
「ちょっと色々とありまして現在は俺達は王国兵に追われている立場なんです。少しの間でいいので匿って貰えませんか?」
「大丈夫や、その辺の事情はうちらも知っとる。グロウ、今日は建物の中に誰も入らせないように護衛部隊に通達頼めるか?」
「はっ!!」
「私はお茶と食事の用意をします」
フェリスの命令にグロウとアリスは部屋を退室すると、レナはフェリスと向かい合うように座り込む。その際に隣の席に座るガジに気付き、先日に闘技場で出会ったことを思い出す。
「あ、貴方は確か……」
「ガジンじゃ、覚えておったか坊主?今日はあの大剣は所持しておらんのか?」
「退魔刀の事ですか?あっ……そういえば前に俺の剣を打ち直してくれるって言ってましたよね」
「何だと!?」
「おわっ、びっくりした!?急に大声出すな馬鹿者!!」
闘技場の地下でガジンと会った時にレナは彼から退魔刀を打ち直す約束をしていた事を思い出すと、それを聞いたゴイルが動揺したように立ち上がる。
「その話は本当なんですがガジンさん!?この坊主の剣をガジンさんが打ち直すって……」
「おお、あまりにも見事な大剣だったからな。それなりに腕のいい鍛冶師に作り上げた大剣のようじゃが、儂の目から見ればまだまだ改良の余地はあるのう」
「そ、そうですか……」
「あ、ちなみに俺の大剣に魔術痕を刻んでくれたのはそこのゴイルさんですよ」
「ほう、そうだったのか?」
「え、ええまあっ……」
ゴイルはまさか自分が手を加えた大剣に伝説の鍛冶師として尊敬していたガジンが興味を持ったことに興奮を隠しきれず、同時に自分の腕では魔術痕以上の手心を加える事が出来なかった事を思い出して落ち込んでしまう。
※まさかのガジンの再登場……ふ、伏線はありましたよ!?今まで忘れてたわけじゃないです!!
だが、現在の彼女の店の周囲には王国軍の兵士が頻繁に巡回を行い、建物内に入ろうとする人間の監視を行う。そのせいで彼女の店に立ち寄る客も激減し、フェリスは苛立ちを隠さずに部屋の中で机の上に足を乗せながら怒鳴り散らす。
「ああ、もう!!何時までこんな扱いを受けなあかんねん!!あの王国兵の奴等を追い払えんのかっ!?」
「落ち着いて下さいフェリス様、奴等に手を出せばこちらの立場が危うくなります。ここはマリア殿が戻るまで我慢するしか……」
「そんな事は分かっとるわい!!だけど、あいつらのせいでうちの店に来るお得意様達も近寄る事も出来ん!!こんなんじゃ商売あがったりや!!」
「会長、紅茶を用意しました。これを飲んで落ち着いて下さい」
フェリスの傍にはドルトン商会の護衛部隊の隊長であるグロウと、彼の妻であると同時にフェリスの秘書を務める巨人族のメイドであるアリスが控えていた。2人以外にも机を挟んで椅子に座るドルトン商会と契約を結んでいる鍛冶職人のゴイルも存在した。
「まあ、落ち着いてくれ会長。ここで暴れても仕方ないだろうが……マリア様が戻ってくれば何とかしてくれるだろ?」
「たく、確かにうちらはマリアさんとは仲が良かった。だけど、そのせいでどうしてうちらがマリアさんを匿っていると疑われなあかんねん!?」
「そ、そういわれても……」
王国兵がドルトン商会の建物を包囲するように兵士を巡回させている理由は、マリアと親交があったフェリスが姿を消した彼女を匿っていると疑われているからであり、何度も建物内を捜査協力を申し立てられた。しかし、大切な商品や建物内に住んでいる人間のプライバシーの侵害を理由にフェリスは頑なに捜査協力を拒んだ結果、現在のドルトン商会は王国兵に怪しまれて囲まれてしまう。
何度か王国貴族がフェリスに直談判に訪れたが、生憎とドルトン商会の影響力は強く、王国にも多額の税金や魔道具を輸入している。そのために王国側としてもフェリスと真正面から対立する事は出来ず、強制捜査は行えない。だから嫌がらせの様に建物を取り囲むように兵士に巡回を行わせる事しか出来ない。
「フェリス様、先日のカゲマル様がおっしゃっていた作戦は成功したのでしょうか?」
「ああ?そんなもん、確認する方法がないやろ。こんな状況じゃおちおち外にも出られへんからな」
2日前、フェリスの元にマリアの側近であるカゲマルが訪れ、彼女にある提案を行う。その提案を聞いたフェリスは非常に驚いたが、最終的にはカゲマルの要望通りに彼女は援助資金を提供した。
「それにしても本当に一週間後……いや、6日後にナオ王女の処刑が行われるのでしょうか」
「さあな……だけど、あの王女様がいなくなったら本当に王国は王妃の物になる。そうなったらうちらも無事じゃ済まない」
「……他国へ逃げますか?」
「それは最終手段やな」
ナオが処刑されるという噂は冒険都市にまで届いているため、フェリス達も彼女の身を案じてはいる。しかし、国王の殺人未遂という罪状で捕まった彼女を助け出す力は持ち合わせておらず、処刑が執行される前にマリアが帰還して彼女を救い出す事を祈ることしか出来ない。
部屋の中に沈黙が訪れ、自分達が何も出来ない状況にフェリス以外の者達も不安を抱いた時、部屋の外から扉がノックされる。すぐにフェリスが中に入るように促すと、扉を開いて入ってきたのは小髭族の間では伝説の鍛冶師と尊敬されているガジンが入ってきた。
「何じゃお主ら?ここに集まっていたのか、やっと見つけたぞ」
「ガ、ガジンさん!?どうしてここに!?工房へ居たはずじゃ……」
「ああ、仕事も何もないから暇だったんでお主らを探しとったんじゃ」
「丁度良かったわガジンの爺さん、今からお茶をするところだったからあんたを呼ぼうと思ってたんや。アリス、ガジの爺さんに緑茶を用意して」
「かしこまりました」
「おお、あとお茶菓子も用意してくれると有難いのう」
ガジンが訪れた事で雰囲気が一変し、考え込んでも仕方がないと判断したフェリスはアリスにお茶を用意するように促す。彼女はすぐに部屋を出て用意しようとした時、不意に扉の前で立ち止まって目つきを険しくさせる。
「……ガジン様、お連れ様がいらっしゃいましたか?」
「連れ?いや、儂は一人でここまで来たぞ?」
「そうですか……では、扉の前で聞き耳を立てているのは何者ですか?」
「えっ?」
「何!?」
アリスの言葉を聞いてグロウは剣の柄に手を伸ばすと、外側から扉が勝手に開かれる。侵入者が現れたのかとグロウとアリスが身構えると、部屋の外から現れたのは全身が埃まみれのレナと疲れた表情のダインが姿を現した。
「あ、どうも……お久しぶりです」
「ど、どうも……」
「レナさん!?それと……誰やったっけ?」
「どうしてここに……とりあえず、中へお入りください」
「おお、誰かと思えばあの時の小僧か!!」
レナの顔を見た瞬間に部屋の中の全員が驚愕の表情を浮かべ、即座にアリスは二人を招き入れて部屋の外の通路を確認して誰にも見られていない事を確認すると扉に鍵を施す。グロウも窓のカーテンを閉めて外部から見られないようにすると、改めて全員がレナ達の前に集まる。
「いや、ほんまに久しぶりやな!!闘技祭の見送りで別れて以来か?それにしてもなんやその恰好……随分と汚れてるなぁっ」
「ちょっとここまで来る道中で苦労しまして……あ、紹介します。前にも会った事があるかもしれませんけど、俺の親友のダインです」
「ダインです……えっと、とりあえず休ませてもらっていいですか?」
「どうぞ、こちらへお座りください」
ダインはかなり疲弊した様子でアリスの用意した椅子に座り込み、机に突っ伏す。この場所に至るまでに地下通路を歩き回り、時には兵士に見つからないように慎重に移動してきたので精神的にも体力的にも消耗していた。そんなダインを見てレナは代わりに説明を行う。
「ちょっと色々とありまして現在は俺達は王国兵に追われている立場なんです。少しの間でいいので匿って貰えませんか?」
「大丈夫や、その辺の事情はうちらも知っとる。グロウ、今日は建物の中に誰も入らせないように護衛部隊に通達頼めるか?」
「はっ!!」
「私はお茶と食事の用意をします」
フェリスの命令にグロウとアリスは部屋を退室すると、レナはフェリスと向かい合うように座り込む。その際に隣の席に座るガジに気付き、先日に闘技場で出会ったことを思い出す。
「あ、貴方は確か……」
「ガジンじゃ、覚えておったか坊主?今日はあの大剣は所持しておらんのか?」
「退魔刀の事ですか?あっ……そういえば前に俺の剣を打ち直してくれるって言ってましたよね」
「何だと!?」
「おわっ、びっくりした!?急に大声出すな馬鹿者!!」
闘技場の地下でガジンと会った時にレナは彼から退魔刀を打ち直す約束をしていた事を思い出すと、それを聞いたゴイルが動揺したように立ち上がる。
「その話は本当なんですがガジンさん!?この坊主の剣をガジンさんが打ち直すって……」
「おお、あまりにも見事な大剣だったからな。それなりに腕のいい鍛冶師に作り上げた大剣のようじゃが、儂の目から見ればまだまだ改良の余地はあるのう」
「そ、そうですか……」
「あ、ちなみに俺の大剣に魔術痕を刻んでくれたのはそこのゴイルさんですよ」
「ほう、そうだったのか?」
「え、ええまあっ……」
ゴイルはまさか自分が手を加えた大剣に伝説の鍛冶師として尊敬していたガジンが興味を持ったことに興奮を隠しきれず、同時に自分の腕では魔術痕以上の手心を加える事が出来なかった事を思い出して落ち込んでしまう。
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