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S級冒険者編
大将軍としての立場
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「レミアさん、お久しぶりです。俺の事、覚えてます?」
「はい、レナ様もお久しぶりです。女王様の弟君であられる貴方様を忘れるはずなどありません」
「レミア将軍、その女王様というのは止めてくれ……いつも通りにナオと呼んで欲しい」
レナはレミアと会うのは久しぶりに感じるが、実際は先日のヨツバ王国に帰還した後、王城に戻った時に顔は合わせている。だが、あの時は国を救った英雄として表彰式が開かれ、その際にゆっくりと話す事は出来なかった。こうして会話を行うのは何気に闘技祭が開かれた日以来かもしれなかった。
「レナはレミア大将軍と顔見知りだったな?ならお互いに自己紹介は不要か」
「いえ、その前に謝罪させてください。前に会った時、私はレナ様の事をナオ様の弟君だと知らずに無礼な態度を取りました。その事をどうかお許しください」
「いいよ、そんな事……第一にあの時の俺は追放された身分だったし、今だって王子に戻れたけど呑気に冒険者活動を続ける放浪王子なんだから」
「何を言われますか、先のヨツバ王国の一件、そして火竜討伐の功績を上げた貴方様は立派な王子様です。本来ならば国を守る立場にありながら何の力にもなれなかった私が罰せられるべきなのです」
「レミア大将軍、もうその話はよせといっただろう。貴女はよく頑張ってくれた、先王と王妃が死亡した後で混乱に陥ったこの国をまとめ上げる事ができたのも貴女の御力のお陰だと言っただろう」
国王と王妃の死後、バルトロス王国は人心が乱れ、各地では王妃に忠誠を誓っていた者達がクーデターを引き起こそうとした。しかし、それを抑えたのが大将軍であるレミアと彼女の配下達であり、ミドルの死亡とカノンの投獄の後、たった一人だけ残された彼女がその責務を全うした。
ヨツバ王国が宣戦布告を仕掛けた際にレミアが動く事が出来なかったのは国の内乱を阻止するためであり、彼女がいなければバルトロス王国は窮地に陥っていた。新しい王になったばかりのナオは求心力が低く、彼女の後援者であったマリアも失踪していただけに味方が少ない中、ルトリア家の当主でもあるレミアが力を貸してくれなければこの国はもう滅んでいた可能性も高い。
それだけにナオはレミアに対して信頼し、今はマリアが戻ったお陰で彼女と協力関係にあった貴族達もナオに忠誠を誓う。そのお陰で王妃に支配されていたバルトロス王国も徐々に本来の権力者であるナオの支配下に収まったといえる。
「ナオ様、本日は何用で私をお呼びしたのでしょうか?」
「ああ、その事なんだが……将軍は九尾の存在を知っているか?」
「九尾、ですか?いえ、聞いた事がありませんね。それは魔物の名前なのでしょうか?」
「実はな――」
ナオはレミアを呼び出した理由を説明すると、彼女はバルトロス王国の領地内に現れたという九尾の討伐に協力して欲しいという内容を聞き、眉を顰める。そして話を聞き終えると、レミアはため息を吐きながらナオに語り掛ける。
「ナオ様、話は分かりました。しかし、私の返事を出す前に一言よろしいでしょうか?」
「ん?何か気になる事があるのか?」
「……今回の一件、どうして大将軍である私の元にではなく、冒険者都市の冒険者ギルドの方に先に連絡が届いているのでしょうか?」
「えっ……」
「本来、この国を守るのは将軍である我々の仕事です。それにも関わらず、どうして九尾が現れたという領地の領主は我々に対して報告を行わず、冒険都市の方に連絡を届けたのでしょうか?その理由は我々よりも冒険都市の冒険者の方を信頼しているという事です」
バルトロス王国に仕えるはずの人間がよりにもよって国に報告するよりも先に冒険者ギルドに依頼を出したという話がレミアは気に入らず、本来この国の平和を守るのが自分達の役目なのによりにもよって領主を任せられる立場の人間が冒険者に依頼を頼んだという事実がレミアは怒りを覚えた。
「確かに冒険者の方々は魔物の討伐という点ではこれ以上に頼りになる存在はいないでしょう。実際に冒険者の方々に力を借りて王国が何度も国の窮地を脱したという事実もあります。しかし、今回の一件は領主が国へ報告するまえに冒険者ギルドの方々に依頼を出しているというのが問題です」
「あっ……そ、そうだった。確かにそうだな」
「ナオ様、今回の領主の判断は決して許される行為ではありません。いくら冒険者の方々が心強い存在と言っても、この国を守護するのは本来は我々の役目なのです。ですから今回の九尾の討伐の一件はこの私と配下に任せてもらえないでしょうか?」
「えっ!?いや、それは……」
「勿論、マリア様の顔を立てるために今回の依頼に関しては私は協力者として表向きは参加しましょう。しかし、九尾の討伐と領主の対応の処罰に関しては私に任せて貰いたい所存です」
「え?じゃあ、もしかしてレミア大将軍が配下を連れて挑むつもりですか?それはいくらなんでも……」
「私の実力では不足だと思いますか?」
レミアの発言を聞いてレナが口を挟むが、彼女は鋭い視線を向けて自分の実力が信じられないのかと問う。そんな彼女の反応にレナは困った風にナオに視線を向けるが、ナオの方もレミアの言い分が間違っていないので強くは言えなかった。
「はい、レナ様もお久しぶりです。女王様の弟君であられる貴方様を忘れるはずなどありません」
「レミア将軍、その女王様というのは止めてくれ……いつも通りにナオと呼んで欲しい」
レナはレミアと会うのは久しぶりに感じるが、実際は先日のヨツバ王国に帰還した後、王城に戻った時に顔は合わせている。だが、あの時は国を救った英雄として表彰式が開かれ、その際にゆっくりと話す事は出来なかった。こうして会話を行うのは何気に闘技祭が開かれた日以来かもしれなかった。
「レナはレミア大将軍と顔見知りだったな?ならお互いに自己紹介は不要か」
「いえ、その前に謝罪させてください。前に会った時、私はレナ様の事をナオ様の弟君だと知らずに無礼な態度を取りました。その事をどうかお許しください」
「いいよ、そんな事……第一にあの時の俺は追放された身分だったし、今だって王子に戻れたけど呑気に冒険者活動を続ける放浪王子なんだから」
「何を言われますか、先のヨツバ王国の一件、そして火竜討伐の功績を上げた貴方様は立派な王子様です。本来ならば国を守る立場にありながら何の力にもなれなかった私が罰せられるべきなのです」
「レミア大将軍、もうその話はよせといっただろう。貴女はよく頑張ってくれた、先王と王妃が死亡した後で混乱に陥ったこの国をまとめ上げる事ができたのも貴女の御力のお陰だと言っただろう」
国王と王妃の死後、バルトロス王国は人心が乱れ、各地では王妃に忠誠を誓っていた者達がクーデターを引き起こそうとした。しかし、それを抑えたのが大将軍であるレミアと彼女の配下達であり、ミドルの死亡とカノンの投獄の後、たった一人だけ残された彼女がその責務を全うした。
ヨツバ王国が宣戦布告を仕掛けた際にレミアが動く事が出来なかったのは国の内乱を阻止するためであり、彼女がいなければバルトロス王国は窮地に陥っていた。新しい王になったばかりのナオは求心力が低く、彼女の後援者であったマリアも失踪していただけに味方が少ない中、ルトリア家の当主でもあるレミアが力を貸してくれなければこの国はもう滅んでいた可能性も高い。
それだけにナオはレミアに対して信頼し、今はマリアが戻ったお陰で彼女と協力関係にあった貴族達もナオに忠誠を誓う。そのお陰で王妃に支配されていたバルトロス王国も徐々に本来の権力者であるナオの支配下に収まったといえる。
「ナオ様、本日は何用で私をお呼びしたのでしょうか?」
「ああ、その事なんだが……将軍は九尾の存在を知っているか?」
「九尾、ですか?いえ、聞いた事がありませんね。それは魔物の名前なのでしょうか?」
「実はな――」
ナオはレミアを呼び出した理由を説明すると、彼女はバルトロス王国の領地内に現れたという九尾の討伐に協力して欲しいという内容を聞き、眉を顰める。そして話を聞き終えると、レミアはため息を吐きながらナオに語り掛ける。
「ナオ様、話は分かりました。しかし、私の返事を出す前に一言よろしいでしょうか?」
「ん?何か気になる事があるのか?」
「……今回の一件、どうして大将軍である私の元にではなく、冒険者都市の冒険者ギルドの方に先に連絡が届いているのでしょうか?」
「えっ……」
「本来、この国を守るのは将軍である我々の仕事です。それにも関わらず、どうして九尾が現れたという領地の領主は我々に対して報告を行わず、冒険都市の方に連絡を届けたのでしょうか?その理由は我々よりも冒険都市の冒険者の方を信頼しているという事です」
バルトロス王国に仕えるはずの人間がよりにもよって国に報告するよりも先に冒険者ギルドに依頼を出したという話がレミアは気に入らず、本来この国の平和を守るのが自分達の役目なのによりにもよって領主を任せられる立場の人間が冒険者に依頼を頼んだという事実がレミアは怒りを覚えた。
「確かに冒険者の方々は魔物の討伐という点ではこれ以上に頼りになる存在はいないでしょう。実際に冒険者の方々に力を借りて王国が何度も国の窮地を脱したという事実もあります。しかし、今回の一件は領主が国へ報告するまえに冒険者ギルドの方々に依頼を出しているというのが問題です」
「あっ……そ、そうだった。確かにそうだな」
「ナオ様、今回の領主の判断は決して許される行為ではありません。いくら冒険者の方々が心強い存在と言っても、この国を守護するのは本来は我々の役目なのです。ですから今回の九尾の討伐の一件はこの私と配下に任せてもらえないでしょうか?」
「えっ!?いや、それは……」
「勿論、マリア様の顔を立てるために今回の依頼に関しては私は協力者として表向きは参加しましょう。しかし、九尾の討伐と領主の対応の処罰に関しては私に任せて貰いたい所存です」
「え?じゃあ、もしかしてレミア大将軍が配下を連れて挑むつもりですか?それはいくらなんでも……」
「私の実力では不足だと思いますか?」
レミアの発言を聞いてレナが口を挟むが、彼女は鋭い視線を向けて自分の実力が信じられないのかと問う。そんな彼女の反応にレナは困った風にナオに視線を向けるが、ナオの方もレミアの言い分が間違っていないので強くは言えなかった。
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