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真・闘技祭編
魔刀術の修行
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「でも、困ったわ……魔刀術に関しては私も久しぶりだから、上手く出来るか分からないの」
「あ、そうなんですか?」
「ええ、そもそも実戦でもあまり使う機会がなかったから……大抵の相手は普通に剣で斬りつけるだけで十分だったし、それに私はマリアと違ってあまり魔力には恵まれていなかったから、使うとすぐに疲れちゃうのよね。でも、レナちゃんのためなら頑張るわ」
アイラはレナのために張り切り、ひとまずは場所を中庭の方へと移動すると、兵士の訓練用の剣を構える。レナの方も今回は自分の剣ではなく、同じく訓練用の剣を構えると、改めてアイラと向き合う。まさか母親に剣を教わる日が来るとは思わなかったが、全盛期のアイラはあのマリアと肩を並べる程の剣士だったらと聞いている。
彼女がまだバルトロス13世と出会う前、冒険者として活躍していた頃は剣聖の中でも代表格の存在だったという。当然だがアイラは剣聖の称号を持っており、彼女の場合は「魔剣の剣聖」と呼ばれていたという。
「私が魔刀術を覚えたのは随分と前だけど、実戦で使い始めたのは剣聖の称号を得る前の話ね。基本的には私が魔刀術を使用するときは相手が魔術師の時に限るわ」
「魔術師?魔術師相手に魔刀術を使ったの?」
「ええ、昔の話だけど「魔帝」と呼ばれる組織が存在したの。魔術師の中でも犯罪に手を染めた人間達が集まって構成した組織だったんだけど、その魔帝と戦うために私はどうしても魔刀術を使わなければならなかったわ」
「魔帝……そこは王じゃないんだね」
今から20年近く前、アイラは魔術師の犯罪者が集まって築き上げた「魔帝」という組織と対立し、当時の冒険者仲間と妹のマリアと共に戦ったという。しかし、仮にも相手が魔術師となると剣士であるアイラが挑むには相性が悪かった。
「レナちゃんも知っての通り、魔術師と剣士の戦闘に置いて最も重要になるのは相手との距離よ。接近戦なら身体能力に秀でている剣士が有利だけど、距離が離れすぎている場合は圧倒的に魔術師の方が有利になるのよ」
「そうか、魔術師の場合は遠距離攻撃も出来るけど、剣士はそれが真似できないから……」
「まあ、シュン君やハヤテちゃんのように特別な剣技を身に付けているのなら問題はないのだけど、当時の私はあの二人のように遠方の相手に攻撃を当てる手段を持ち合わせていなかったの」
「母上なら石ころを投げるだけでも十分に仕留められそうだけど……」
「こら、お母さんを何だと思ってるの!!いくら魔術師の人たちがひ弱な人ばかりだからって、そんな簡単に倒せないわ!!まあ、7~8人ぐらいはその方法で倒した事もあったけど……」
「ええっ……」
冗談で言ったのに本当に石ころを投げただけで魔術師を倒した事があるというアイラにレナは戸惑うが、流石にそんな事を繰り返していれば敵も対処法を身に付け、アイラと戦う時は必ず防具を身に付けるようになったという。
「私を狙う魔術師が現れる時は必ず防具を身に付けるか、自分を守る人間を用意するようになったの。近付ければどんな相手だろうと問題はなかったんだけど、流石に護衛も相手にするとなると私も分が悪かったわ」
「じゃあ、どうやって母上は対処してたの?」
「簡単な事よ、私に対して撃ってきた魔法を切り裂けばいいだけよ」
「……はい?」
「つまり、相手が魔法を撃てば私がそれを斬り裂いて近づけばいいだけの話だったの。ねえっ?簡単な話でしょう?」
「いやいや……いやいやいやいや」
『とんでもない発想ですね、流石はレナさんの母親……恐ろしい人です』
さらりととんでもない事を言いのけたアイラにレナは冷や汗を流しながら首を振るが、アイラ本人は至って真面目に答えているらしく、彼女によれば魔術師との戦闘で最も効率の良い戦法だと信じていた。
普通の剣士ならば魔法を切り裂くという発想自体があり得ないのだが、それを可能にする技術をアイラは身に付けていた。実際にアイラはその後の魔術師との戦闘では敵の放つ魔法を斬り裂き、相手を倒し続けた事から彼女は「魔剣の剣聖」と呼ばれるようになった。
「大丈夫よ、今のレナちゃんなら目を瞑っていても砲撃魔法ぐらいは斬り裂けるわ」
「いや、そういわれても……反鏡剣ならともかく、普通の剣でそんな事が出来るの?」
「平気平気、それを可能にするのが魔刀術よ。じゃあ、お母さんの魔刀術を見せてあげるわね」
アイラは張り切るように両手で剣を握りしめると、表情を一変させ、やがて彼女の掌から紅色の炎が発生したかと思うと刀身を包み込む。訓練用の剣にアイラの送り込んだ魔力が全身を覆いこみ、まるで「炎の剣」と化す。その様子を見てレナはアイラの適性が火属性である事を知る。
かつてレナはアイラから「火球」の魔法を教わった事を思い出し、人間であるアイラは火属性と相性が良い事は予想できた。但し、彼女の手にする紅色の炎の剣から放たれる熱気の凄まじさにレナは戸惑う。
「あ、そうなんですか?」
「ええ、そもそも実戦でもあまり使う機会がなかったから……大抵の相手は普通に剣で斬りつけるだけで十分だったし、それに私はマリアと違ってあまり魔力には恵まれていなかったから、使うとすぐに疲れちゃうのよね。でも、レナちゃんのためなら頑張るわ」
アイラはレナのために張り切り、ひとまずは場所を中庭の方へと移動すると、兵士の訓練用の剣を構える。レナの方も今回は自分の剣ではなく、同じく訓練用の剣を構えると、改めてアイラと向き合う。まさか母親に剣を教わる日が来るとは思わなかったが、全盛期のアイラはあのマリアと肩を並べる程の剣士だったらと聞いている。
彼女がまだバルトロス13世と出会う前、冒険者として活躍していた頃は剣聖の中でも代表格の存在だったという。当然だがアイラは剣聖の称号を持っており、彼女の場合は「魔剣の剣聖」と呼ばれていたという。
「私が魔刀術を覚えたのは随分と前だけど、実戦で使い始めたのは剣聖の称号を得る前の話ね。基本的には私が魔刀術を使用するときは相手が魔術師の時に限るわ」
「魔術師?魔術師相手に魔刀術を使ったの?」
「ええ、昔の話だけど「魔帝」と呼ばれる組織が存在したの。魔術師の中でも犯罪に手を染めた人間達が集まって構成した組織だったんだけど、その魔帝と戦うために私はどうしても魔刀術を使わなければならなかったわ」
「魔帝……そこは王じゃないんだね」
今から20年近く前、アイラは魔術師の犯罪者が集まって築き上げた「魔帝」という組織と対立し、当時の冒険者仲間と妹のマリアと共に戦ったという。しかし、仮にも相手が魔術師となると剣士であるアイラが挑むには相性が悪かった。
「レナちゃんも知っての通り、魔術師と剣士の戦闘に置いて最も重要になるのは相手との距離よ。接近戦なら身体能力に秀でている剣士が有利だけど、距離が離れすぎている場合は圧倒的に魔術師の方が有利になるのよ」
「そうか、魔術師の場合は遠距離攻撃も出来るけど、剣士はそれが真似できないから……」
「まあ、シュン君やハヤテちゃんのように特別な剣技を身に付けているのなら問題はないのだけど、当時の私はあの二人のように遠方の相手に攻撃を当てる手段を持ち合わせていなかったの」
「母上なら石ころを投げるだけでも十分に仕留められそうだけど……」
「こら、お母さんを何だと思ってるの!!いくら魔術師の人たちがひ弱な人ばかりだからって、そんな簡単に倒せないわ!!まあ、7~8人ぐらいはその方法で倒した事もあったけど……」
「ええっ……」
冗談で言ったのに本当に石ころを投げただけで魔術師を倒した事があるというアイラにレナは戸惑うが、流石にそんな事を繰り返していれば敵も対処法を身に付け、アイラと戦う時は必ず防具を身に付けるようになったという。
「私を狙う魔術師が現れる時は必ず防具を身に付けるか、自分を守る人間を用意するようになったの。近付ければどんな相手だろうと問題はなかったんだけど、流石に護衛も相手にするとなると私も分が悪かったわ」
「じゃあ、どうやって母上は対処してたの?」
「簡単な事よ、私に対して撃ってきた魔法を切り裂けばいいだけよ」
「……はい?」
「つまり、相手が魔法を撃てば私がそれを斬り裂いて近づけばいいだけの話だったの。ねえっ?簡単な話でしょう?」
「いやいや……いやいやいやいや」
『とんでもない発想ですね、流石はレナさんの母親……恐ろしい人です』
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普通の剣士ならば魔法を切り裂くという発想自体があり得ないのだが、それを可能にする技術をアイラは身に付けていた。実際にアイラはその後の魔術師との戦闘では敵の放つ魔法を斬り裂き、相手を倒し続けた事から彼女は「魔剣の剣聖」と呼ばれるようになった。
「大丈夫よ、今のレナちゃんなら目を瞑っていても砲撃魔法ぐらいは斬り裂けるわ」
「いや、そういわれても……反鏡剣ならともかく、普通の剣でそんな事が出来るの?」
「平気平気、それを可能にするのが魔刀術よ。じゃあ、お母さんの魔刀術を見せてあげるわね」
アイラは張り切るように両手で剣を握りしめると、表情を一変させ、やがて彼女の掌から紅色の炎が発生したかと思うと刀身を包み込む。訓練用の剣にアイラの送り込んだ魔力が全身を覆いこみ、まるで「炎の剣」と化す。その様子を見てレナはアイラの適性が火属性である事を知る。
かつてレナはアイラから「火球」の魔法を教わった事を思い出し、人間であるアイラは火属性と相性が良い事は予想できた。但し、彼女の手にする紅色の炎の剣から放たれる熱気の凄まじさにレナは戸惑う。
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