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真・闘技祭編
生き延びてやる!!
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「うおおおおっ!!こんな場所で死ねるかぁっ!!」
『ギィイイイッ!!』
コボルトとオークの大群を振り払い、ダインは走り出す。近付いてくる敵はシャドウマンが相手を行う中、今度はゴブリンの集団が出現した。コボルトやオークと比べると力も弱いが、知能は高いので自作の武器を手にして襲い掛かる。
次々と押し寄せるゴブリンに対してダインは杖を振り払い、吹き飛ばす。何だかんだでダインのレベルも高く、普段の戦闘では全く使わないがバルに仕込まれた槍術を繰り出す。
「このっ……負けるかぁっ!!」
「ギィアッ!?」
「ギギィッ!?」
マリアから受け取った杖は金属製であった事が幸いし、適格に接近してくるゴブリンの急所を狙い撃つ。まだ冒険者になりたての頃に半ば無理やりにバルに教え込まれた技術の一つだったが、チンピラに絡まれた時やどうしても自分が叩かないといけないときぐらいしか使った事がなかった。
魔術師であろうと別に武術を身に付ける事は悪い事ではなく、彼等とて身を守る術として身体を鍛える人間は少なくない。しかもダインの場合はバルの方針で並の冒険者よりも鍛え上げられた事により、逃げ足の速さならば誰にも負けない自信がある。
「うおおおっ!!僕の逃げ足を舐めるなよぉっ!!」
『ギギィッ!?(早っ!?)』
ゴブリンを振り払い、遂にダインは魔物達を振り切って魔の草原から抜け出そうとしたとき、彼の前に何処からか馬の足音が鳴り響く。
「ふははははっ!!」
「うわぁっ!?な、何だ!?」
笑い声と共に現れたのはケンタウロス族にして六聖将の一人でもあるギンタロウだった。彼は配下のケンタウロスの兵士達を引き連れ、ダインの前に立ちふさがる。唐突に現れたギンタロウにダインは戸惑い、この状況で彼が現れた事に驚く。
ギンタロウは顔見知りではあるが、別にそれほど親しい間柄ではない。エリナの叔父でもあるが、ダインはヨツバ王国に滞在中はあまり接点はなかった。そんなギンタロウが現れた事にダインは動揺するが、すぐに助けを求めた。
「あ、あの……エリナの叔父さん、俺の事を覚えてます!?」
「ん?何を言ってるんだ、もちろん覚えているとも!!エリナから君の事はよく聞いているよ!!変な魔法を使う面白いお兄さんだとな!!」
「いや、どんな説明してんだあいつ!?」
ギンタロウの言葉にダインはエリナのあまりにも適当過ぎる説明に若干腹が立つが、ギンタロウはしっかりと自分の事を覚えていた事に安堵する。だが、どうしてこの状況でギンタロウが駆けつけてきたのかをダインは問う。
「あ、あの……ギンタロウさん」
「はっはっはっ!!そんな他人行儀な呼び方はするな!!俺の事はギンさんと呼べばいい!!」
「ギンさん!?今まで誰もそんな呼び方してませんでしたよね!?」
「まあ、そんな事よりも間に合って良かったよ!!マリア殿から話を聞いてるよ、まさか君が僕達の狩猟を手伝ってくれる協力者だとは思わなかったがな!!」
「はっ!?狩猟!?協力者!?」
ダインはギンタロウの言葉に驚き、いったい何の話をしているのかと尋ねるようとしたが、その前にギンタロウは魔の草原の様子を確認する。この草原は常日頃から魔物が集まってくるが、今日はいつもよりも数が多い事に気づき、両手の鉞を振り回す。
「ほう、今日は一段と多いな!!これはいい、大量に狩る事が出来そうだ!!さあ、いくぞダイン君!!」
「え、ちょっ……ちょっと!?」
「悪いが君の事を守る余裕はない!!こちらも自分の身を守るのが手一杯だからな!!さあ、共に行こう!!」
「いや、僕はかえっ……うわぁあああっ!?」
がっしりとダインの腕を掴んだギンタロウは草原へと駆け出し、折角逃げられそうだったダインだが、強制的に彼に連れ出されてしまう。いったい何が起きているのか理解できなかったが、現在の彼が巻き込まれている状況を把握しているのはマリアだけだった。
――実は先日、マリアはギンタロウの元に訪れ、彼が魔の草原で連日のように狩猟を行っている事を聞く。なんでも南の森に生息する魔獣の一部が東聖将の領地にも流れてきたらしい。恐らく南の森でゴウライが魔獣達を大量に狩りつくした影響で彼女の存在を恐れた魔獣が他の地方に逃げ込んだのが理由らしく、その魔獣の大半が魔の草原に集まっているという。
東方の領地には元々生息していなかった種も混じり、ギンタロウも軍勢を率いて対処を行っているがいかんせん数が多すぎて困っていた。東聖将軍の大半は軍隊が激減した南聖将の援軍として派遣した事もあり、彼も自ら出向いて草原に集まった魔物の対処を行う事態に陥っていた。
そこでマリアは近いうちに彼に強力な見方を送り込むと約束し、そして草原にバルトロス王国へと帰ったはずのダインが存在した事からギンタロウは彼がマリアが話していた協力者と判断して共に戦おうとする。
「さあ、行くぞ!!今日は勝ったら肉鍋だ!!」
「うわぁあああっ!?もうどうにでもなれぇえええっ!!」
ダインは逃げたところで自分一人では生き延びられる自信はなく、半ば自棄になりがらも杖を構えてギンタロウと共に草原に集まった魔物達に挑む――
※ダインの冒険はこれからだ!!
『ギィイイイッ!!』
コボルトとオークの大群を振り払い、ダインは走り出す。近付いてくる敵はシャドウマンが相手を行う中、今度はゴブリンの集団が出現した。コボルトやオークと比べると力も弱いが、知能は高いので自作の武器を手にして襲い掛かる。
次々と押し寄せるゴブリンに対してダインは杖を振り払い、吹き飛ばす。何だかんだでダインのレベルも高く、普段の戦闘では全く使わないがバルに仕込まれた槍術を繰り出す。
「このっ……負けるかぁっ!!」
「ギィアッ!?」
「ギギィッ!?」
マリアから受け取った杖は金属製であった事が幸いし、適格に接近してくるゴブリンの急所を狙い撃つ。まだ冒険者になりたての頃に半ば無理やりにバルに教え込まれた技術の一つだったが、チンピラに絡まれた時やどうしても自分が叩かないといけないときぐらいしか使った事がなかった。
魔術師であろうと別に武術を身に付ける事は悪い事ではなく、彼等とて身を守る術として身体を鍛える人間は少なくない。しかもダインの場合はバルの方針で並の冒険者よりも鍛え上げられた事により、逃げ足の速さならば誰にも負けない自信がある。
「うおおおっ!!僕の逃げ足を舐めるなよぉっ!!」
『ギギィッ!?(早っ!?)』
ゴブリンを振り払い、遂にダインは魔物達を振り切って魔の草原から抜け出そうとしたとき、彼の前に何処からか馬の足音が鳴り響く。
「ふははははっ!!」
「うわぁっ!?な、何だ!?」
笑い声と共に現れたのはケンタウロス族にして六聖将の一人でもあるギンタロウだった。彼は配下のケンタウロスの兵士達を引き連れ、ダインの前に立ちふさがる。唐突に現れたギンタロウにダインは戸惑い、この状況で彼が現れた事に驚く。
ギンタロウは顔見知りではあるが、別にそれほど親しい間柄ではない。エリナの叔父でもあるが、ダインはヨツバ王国に滞在中はあまり接点はなかった。そんなギンタロウが現れた事にダインは動揺するが、すぐに助けを求めた。
「あ、あの……エリナの叔父さん、俺の事を覚えてます!?」
「ん?何を言ってるんだ、もちろん覚えているとも!!エリナから君の事はよく聞いているよ!!変な魔法を使う面白いお兄さんだとな!!」
「いや、どんな説明してんだあいつ!?」
ギンタロウの言葉にダインはエリナのあまりにも適当過ぎる説明に若干腹が立つが、ギンタロウはしっかりと自分の事を覚えていた事に安堵する。だが、どうしてこの状況でギンタロウが駆けつけてきたのかをダインは問う。
「あ、あの……ギンタロウさん」
「はっはっはっ!!そんな他人行儀な呼び方はするな!!俺の事はギンさんと呼べばいい!!」
「ギンさん!?今まで誰もそんな呼び方してませんでしたよね!?」
「まあ、そんな事よりも間に合って良かったよ!!マリア殿から話を聞いてるよ、まさか君が僕達の狩猟を手伝ってくれる協力者だとは思わなかったがな!!」
「はっ!?狩猟!?協力者!?」
ダインはギンタロウの言葉に驚き、いったい何の話をしているのかと尋ねるようとしたが、その前にギンタロウは魔の草原の様子を確認する。この草原は常日頃から魔物が集まってくるが、今日はいつもよりも数が多い事に気づき、両手の鉞を振り回す。
「ほう、今日は一段と多いな!!これはいい、大量に狩る事が出来そうだ!!さあ、いくぞダイン君!!」
「え、ちょっ……ちょっと!?」
「悪いが君の事を守る余裕はない!!こちらも自分の身を守るのが手一杯だからな!!さあ、共に行こう!!」
「いや、僕はかえっ……うわぁあああっ!?」
がっしりとダインの腕を掴んだギンタロウは草原へと駆け出し、折角逃げられそうだったダインだが、強制的に彼に連れ出されてしまう。いったい何が起きているのか理解できなかったが、現在の彼が巻き込まれている状況を把握しているのはマリアだけだった。
――実は先日、マリアはギンタロウの元に訪れ、彼が魔の草原で連日のように狩猟を行っている事を聞く。なんでも南の森に生息する魔獣の一部が東聖将の領地にも流れてきたらしい。恐らく南の森でゴウライが魔獣達を大量に狩りつくした影響で彼女の存在を恐れた魔獣が他の地方に逃げ込んだのが理由らしく、その魔獣の大半が魔の草原に集まっているという。
東方の領地には元々生息していなかった種も混じり、ギンタロウも軍勢を率いて対処を行っているがいかんせん数が多すぎて困っていた。東聖将軍の大半は軍隊が激減した南聖将の援軍として派遣した事もあり、彼も自ら出向いて草原に集まった魔物の対処を行う事態に陥っていた。
そこでマリアは近いうちに彼に強力な見方を送り込むと約束し、そして草原にバルトロス王国へと帰ったはずのダインが存在した事からギンタロウは彼がマリアが話していた協力者と判断して共に戦おうとする。
「さあ、行くぞ!!今日は勝ったら肉鍋だ!!」
「うわぁあああっ!?もうどうにでもなれぇえええっ!!」
ダインは逃げたところで自分一人では生き延びられる自信はなく、半ば自棄になりがらも杖を構えてギンタロウと共に草原に集まった魔物達に挑む――
※ダインの冒険はこれからだ!!
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
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