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真・闘技祭 予選編
ヨシテルの提案
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「まさか和国の剣士も一刀両断を扱える奴がいるとは……正直、驚いたよ」
「や、奴!?レナ殿、この御方をどなたと心得ているのですか!!」
「いえ、良いのですよ。今は敵同士、立場など関係はありませんよ」
レナの言葉にカンエンは憤慨するが、そんな彼女をヨシテルは制すると改めてレナと向かい合う。それだけで二人の間に緊迫した雰囲気が漂い、他の者達も圧倒される。しばらくの間は互いに見つめ合っていたが、やがてレナは何かを思い出したように武器を収めると倒れているハルナの元へ向かう。
自分との戦闘の際中に剣を納めてハルナの元に向かったレナに対してヨシテルは意外そうな表情を浮かべるが、倒れているハルナの様子を調べ、彼女の切り落とされた腕を拾い上げてレナは傷口に繋げる。そして回復魔法を発動させ、治療を行う。
「ハルナ、生きているか?」
「うっ……くそ、あの男女め……」
「それだけ減らず口が叩けるなら大丈夫そうだな」
回復魔法によってどうにか腕を繋げる事に成功し、同時にハルナは意識を取り戻す。相当に血を流したようなのでこのままだと危険な状態だが、今はこれ以上に治療をする余裕はない。ちなみにレナの回復魔法は失った手足の再生は出来ないが、今回の場合は傷口を繋げるだけなので特に支障はなかった。
「何の真似ですか?彼女は敵なのでしょう?その方に情を抱いたのですか?」
「この予選の間は手を組む事を約束したからな。それにハルナのお陰であんたの剣技を見抜く事が出来た……次は俺も本気で行かせてもらう」
「本気?今までは本気ではなかったと?」
「嘘だと思うなら試してみるか?」
レナは背中の大剣に手を伸ばしてヨシテルと向かい合う。両者は対峙すると、先ほどよりも威圧感が増した二人に他の者達は冷や汗を流す中、やがてヨシテルの方が刀を鞘に納めて笑みを浮かべる。
「いえ、ここまでにしておきましょう……このまま貴方と戦うと我が「秘剣」までも他の人間に見られてしまいそうですね」
「……まだ奥の手があるのか」
「ええ、ですが今は見せるつもりはありません。皆様、お騒がせしました。我々はもうここを去ります、本選で会いましょう」
「何!?もう戦わんのか!?」
ヨシテルの発言にゴウライは驚き、彼女としてはヨシテルと戦うつもりだったのだが、レナが間に入ったので戦いに割り込む暇がなかった。そんなゴウライに対してヨシテルは笑みを浮かべ、他の者達にも振り返って提案を行う。
「皆様も闘技場に向かう事をお勧めしますよ。こんな予選で互いに潰し合うよりも、本選で堂々と武人らしく一騎討で戦おうではありませんか」
「武人らしく、だと?」
「勿論、私の提案が受け入れられないというのであればこのまま戦い続けても構いません。ですが、予選を開始されてから相当な時間が経過しています。このままでは本選に出場する前に失格となってしまいますよ。それでは各国の代表の皆様も恥をかく事になるのではないでしょうか?」
「むうっ……」
この場には国の代表選手も多く、もしも代表に選ばれ場ながら予選も突破できない事態に陥れば確かにヨシテルの言う通りに恥をかく事に等しい。また、各々が武人として敵と戦うのならば一騎討ちで仕留めたいという気持ちも少なからずあった。
自分の提案を聞いて他の者達が顔色を変えたのを確認するとヨシテルは微笑み、倒れているヨクヒをカンエンに任せて彼は闘技場へと向かう。その様子をハルナの肩を抱えたレナは見送ると、最後にヨシテルは告げる。
「そうそう、言い忘れていましたが……私は王妃サクラ殿とは良き友人でした」
「何だって……?」
「王妃殿の最期を聞いたときは悲しみましたよ。先代国王よりもあの御方の方が余程国を発展させたでしょうね」
「…………」
「では、失礼します」
まさか王妃の名前が出るとは思わなかったレナは闘技場へ向けて歩いていくヨシテルの姿を見送り、正直に言えばいけ好かない相手だと思った。しかし、ヨシテルの提案を聞いた者達は戦意を失ったらしく、ゴウライは真っ先に大剣を背中に戻す。
「うむ、決めたぞ!!吾輩もやはり一人で戦う方が好きだ!!それにお気に入りの兜を切り捨てられた借りを返さんとな、吾輩も本選に出場させてもらうぞ!!」
「……命拾いしたな」
「……こちらの台詞だ」
「レナ、ダイン……本選で戦おう」
「お、おう……あの、僕と戦う時は出来ればお手柔らかに」
ヨシテルの後を追うようにゴウライとクレナイも続き、ギガンとゴンゾウも武器を下ろして闘技場へと向かう。その様子を見てダインとジャンヌは安堵するが、レナとハルナの方はヨシテルに良いところを持って行かれた様に感じて気に入らない。
「……なあ、レナ。助けてくれてありがとうな」
「本当に感謝してるのなら離れろよ……おっぱいを押し付けるな」
「へへ、悪いな……闘技場まで運んでくれよ、まだちょっと本調子じゃないんでな。それと悪いんだけど、あれもついでに回収してくれるか……?」
ハルナはレナの背中にしがみつき、胸元を押し付けながらもサンドワームの死骸を指差す。彼女の行為にレナは不思議に思うと、サンドワームの死骸を確認して素材を回収して欲しい事を知る。どうやらハルナも諦めるつもりはないらしく、本選に出場するつもりらしい。
「や、奴!?レナ殿、この御方をどなたと心得ているのですか!!」
「いえ、良いのですよ。今は敵同士、立場など関係はありませんよ」
レナの言葉にカンエンは憤慨するが、そんな彼女をヨシテルは制すると改めてレナと向かい合う。それだけで二人の間に緊迫した雰囲気が漂い、他の者達も圧倒される。しばらくの間は互いに見つめ合っていたが、やがてレナは何かを思い出したように武器を収めると倒れているハルナの元へ向かう。
自分との戦闘の際中に剣を納めてハルナの元に向かったレナに対してヨシテルは意外そうな表情を浮かべるが、倒れているハルナの様子を調べ、彼女の切り落とされた腕を拾い上げてレナは傷口に繋げる。そして回復魔法を発動させ、治療を行う。
「ハルナ、生きているか?」
「うっ……くそ、あの男女め……」
「それだけ減らず口が叩けるなら大丈夫そうだな」
回復魔法によってどうにか腕を繋げる事に成功し、同時にハルナは意識を取り戻す。相当に血を流したようなのでこのままだと危険な状態だが、今はこれ以上に治療をする余裕はない。ちなみにレナの回復魔法は失った手足の再生は出来ないが、今回の場合は傷口を繋げるだけなので特に支障はなかった。
「何の真似ですか?彼女は敵なのでしょう?その方に情を抱いたのですか?」
「この予選の間は手を組む事を約束したからな。それにハルナのお陰であんたの剣技を見抜く事が出来た……次は俺も本気で行かせてもらう」
「本気?今までは本気ではなかったと?」
「嘘だと思うなら試してみるか?」
レナは背中の大剣に手を伸ばしてヨシテルと向かい合う。両者は対峙すると、先ほどよりも威圧感が増した二人に他の者達は冷や汗を流す中、やがてヨシテルの方が刀を鞘に納めて笑みを浮かべる。
「いえ、ここまでにしておきましょう……このまま貴方と戦うと我が「秘剣」までも他の人間に見られてしまいそうですね」
「……まだ奥の手があるのか」
「ええ、ですが今は見せるつもりはありません。皆様、お騒がせしました。我々はもうここを去ります、本選で会いましょう」
「何!?もう戦わんのか!?」
ヨシテルの発言にゴウライは驚き、彼女としてはヨシテルと戦うつもりだったのだが、レナが間に入ったので戦いに割り込む暇がなかった。そんなゴウライに対してヨシテルは笑みを浮かべ、他の者達にも振り返って提案を行う。
「皆様も闘技場に向かう事をお勧めしますよ。こんな予選で互いに潰し合うよりも、本選で堂々と武人らしく一騎討で戦おうではありませんか」
「武人らしく、だと?」
「勿論、私の提案が受け入れられないというのであればこのまま戦い続けても構いません。ですが、予選を開始されてから相当な時間が経過しています。このままでは本選に出場する前に失格となってしまいますよ。それでは各国の代表の皆様も恥をかく事になるのではないでしょうか?」
「むうっ……」
この場には国の代表選手も多く、もしも代表に選ばれ場ながら予選も突破できない事態に陥れば確かにヨシテルの言う通りに恥をかく事に等しい。また、各々が武人として敵と戦うのならば一騎討ちで仕留めたいという気持ちも少なからずあった。
自分の提案を聞いて他の者達が顔色を変えたのを確認するとヨシテルは微笑み、倒れているヨクヒをカンエンに任せて彼は闘技場へと向かう。その様子をハルナの肩を抱えたレナは見送ると、最後にヨシテルは告げる。
「そうそう、言い忘れていましたが……私は王妃サクラ殿とは良き友人でした」
「何だって……?」
「王妃殿の最期を聞いたときは悲しみましたよ。先代国王よりもあの御方の方が余程国を発展させたでしょうね」
「…………」
「では、失礼します」
まさか王妃の名前が出るとは思わなかったレナは闘技場へ向けて歩いていくヨシテルの姿を見送り、正直に言えばいけ好かない相手だと思った。しかし、ヨシテルの提案を聞いた者達は戦意を失ったらしく、ゴウライは真っ先に大剣を背中に戻す。
「うむ、決めたぞ!!吾輩もやはり一人で戦う方が好きだ!!それにお気に入りの兜を切り捨てられた借りを返さんとな、吾輩も本選に出場させてもらうぞ!!」
「……命拾いしたな」
「……こちらの台詞だ」
「レナ、ダイン……本選で戦おう」
「お、おう……あの、僕と戦う時は出来ればお手柔らかに」
ヨシテルの後を追うようにゴウライとクレナイも続き、ギガンとゴンゾウも武器を下ろして闘技場へと向かう。その様子を見てダインとジャンヌは安堵するが、レナとハルナの方はヨシテルに良いところを持って行かれた様に感じて気に入らない。
「……なあ、レナ。助けてくれてありがとうな」
「本当に感謝してるのなら離れろよ……おっぱいを押し付けるな」
「へへ、悪いな……闘技場まで運んでくれよ、まだちょっと本調子じゃないんでな。それと悪いんだけど、あれもついでに回収してくれるか……?」
ハルナはレナの背中にしがみつき、胸元を押し付けながらもサンドワームの死骸を指差す。彼女の行為にレナは不思議に思うと、サンドワームの死骸を確認して素材を回収して欲しい事を知る。どうやらハルナも諦めるつもりはないらしく、本選に出場するつもりらしい。
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