不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭 本選編

口移し

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「あ、お待ちください!!勝手に薬を飲ませるなんて……」
「ちょ、邪魔するなよ!?いいからやらせてくれよ!!」
「先生、飲ませてやってくれ」


勝手にミナに薬を飲ませようとするレナを見て治癒魔導士の女性は慌てるが、それをダインとシュンは引き留める。レナは意識を失っているミナの口元に精霊薬が入った瓶を近づけるが、彼女は口にしようとした瞬間、咳き込んでしまう。


「うぷっ……げほっ、げほっ!!」
「ミナ!?くそっ……上手く飲ませられない」
『無理やりにでも飲ませろ、こういう時は口移しだ』
「ちょ、師匠!?何言ってんだ!?」
『いいから早くしろ!!』


ハヤテの言葉にシュンは驚くが、別に彼女もふざけているわけではなく、精霊薬を飲ませるにはそれ以外に方法はない。レナはハヤテの言葉を聞いて精霊薬とミナに視線を向け、口元に含む――





――次にミナは目を覚ますと、ぼんやりとではあるが自分の顔に誰かが覗き込んでいる事に気付く。そして口元に何か液体のような物が流し込まれている事に気付き、彼女は意識を覚醒させる。


(んっ……何だろう、これ……口の中に何か、入って……!?)


ミナは意識を取り戻し、目を見開く。そして彼女は自分が口移しで何かを飲まされている事に気付く。そして口移しの相手を見て驚愕の表情を浮かべた。


「ぷるるんっ(ほら、ゆっくり飲んで)」
「んん~……!?」
「あ、起きた!!良かった、目を覚まして……」


精霊薬を摂取したスラミンをレナはミナの顔に押し付け、スラミンは触手を通してミナの中に精霊薬を流し込む。彼女の口内に触手が押し込まれ、精霊薬が流し込まれる。てっきり、口移しだと思っていたミナは自分の顔の前にスラミンがいた事に驚く。

何が何だか訳が分からない状況の中、ミナは精霊薬を飲み込むと突如として彼女の腹部が膨れ上がり、やがて膨らみは胸の方へと移動し、最終的に喉にまで移動するとミナは目を見開いてスラミンを引き剥がす。


「うぷっ……おええっ!?」
「ぷるんっ!?」
「うわっ!?大丈夫かミナ!?」


引き剥がされたスラミンをレナは受け止めながらも目を覚ましたミナを心配すると、彼女の口から吐き出された物を見て驚く。ミナが吐き出したのは吐しゃ物などではなく、なにやら全身が黒くて丸い虫のような生き物だった。


「キエエエッ……!!」
「うおっ!?な、何だこいつは!?」
『これは……毒虫か!?』
「ど、毒!?やばい奴なのか!?」
「きゃあっ!?こ、こっちに来ないで!!」


ミナが吐き出した物の正体を見たハヤテは刀を抜き、即座に床を這う毒虫に突き刺す。身体を突き刺された毒虫は悲鳴を上げ、やがてくたばったのか動かなくなる。ミナは自分の体内に入っていた虫を見て顔色を青くさせ、頭を抑える。


「い、いったい何が……あれ、そういえば僕はどうしてここに……」
「落ち着け、ミナ……もう大丈夫だから」
「れ、レナ君……」


レナはミナを落ち着かせるために抱きしめてやると、身体を震わせながらもミナはレナに抱き着き、頭を撫でてもらう。その間にシュンはハヤテの刀に突き刺さった毒虫に視線を向け、冷や汗を流す。


「な、何だこいつは……虫なのか?」
『正確に言えば昆虫種の魔物だ。それも人間の身体に寄生する厄介な魔物だな……危なかった、もしもこいつが体内で成長していればミナの身体は取り出す事は出来なかった』
「な、なんで……こんな奴がミナの身体の中に入ってたんだよ!?」


ダインは杖先で恐る恐る毒虫をつつくが、もう完全に死んでいるのか反応はない。ハヤテは自分の刀から毒虫の死骸を引き離すと、念入りに刃を拭いてから鞘に戻す。毒虫の死骸はシュンが身長に回収し、机の上に置く。

ミナを宥めながらもレナは毒虫に視線を向け、こんな生き物がミナの身体の中に入っていたのかと驚くが、ここでミナは何かを思い出したように胸を抑えながら話す。


「そ、そうだ僕……確か、試合が始まる前に誰かと会ったんだ。それで、その人に急に襲われて……その後、変な物を飲み込まされて……」
「何だと!?お前、襲った奴の顔を見ているのか!?」
『いったい誰に襲われた!!そいつの顔は覚えているのか!?』
「そ、それは……」


ミナは記憶を掘り返し、自分が試合前に何者に襲われたのかを思い出す。そしてミナは何故かダインの方に視線を向け、酷く怯えた様子で答えた。


「だ、ダイン君が……」
「えっ!?ぼ、僕っ!?」
「そんな、ダインがっ……!?」
「ぷるるんっ(信じてたのに……)」
「何だと!?見損なったぞ坊主!!」
『お前の仕業だったのか!?』
「いやいやいや、知らないよ!?僕、何もしてないぞ!?」
「ち、違う……ダイン君じゃないよ」


ダインを指差したのでシュンとハヤテは驚愕の表情を浮かべ、反射的に刀に手を回すが必死にダインは首を振って否定する。ミナも慌ててダインの仕業ではない事を告げる。





※ミナ「ぼ、僕のファーストキスが……(´;ω;`)」
 スラミン「ぷるぷるっ(大丈夫、スライムだからノーカン)」(^ω^)
 レナ「丁度良く、ハヤテが人質にしていたスラミンも一緒にいて助かったよ」(´・ω・)ヨカッター
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