不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭 本選編

ヨシテルVSギガン

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『さあ、この調子で第一回戦、第八試合を行いますよ!!』
『午前の部、最後の試合となります!!それだ出場者の発表です!!巨人国の代表選手、ギガン選手の入場です!!』
「……おうっ!!」



――うおおおおおおっ!!



ギガンの名前が出た瞬間、観客席の巨人族は立ち上がって歓声をあげ、城門からギガンが姿を現す。最後の試合は選手の発表の後に姿を出す方式となっており、彼は既に戦闘態勢を整えていた。巨人国の代表選手の中で最も高い実力を誇る彼の登場に巨人族の観客は興奮を抑えきれない。


『ギガン選手の対する相手は和国の将軍にして最強の侍、今大会のダークホース!!ヨシテル選手の入場だぁっ!!』
「やっと出番ですか、待ちくたびれましたよ」


ホネミンの紹介後、ギガンとは反対側の城門からヨシテルが姿を現すと、先ほどまで騒いでいた観客は静まり返る。今大会の中でも異質な目立ち方をするヨシテルの登場に先ほどまで勝利を確信していた巨人族の選手も黙り込み、二人の様子を伺う。


「……和国の将軍、まさか初戦で貴方と戦えるとは思わなかった」
「ふふふ、そう緊張なさらくとも結構ですよ。すぐに終わらせますから」
「ふっ、それは楽しみだ!!」


ギガンは上半身の服を脱ぎ捨てると、ヨシテルを前にして筋肉を膨れ上がらせる。この行為自体には特に大きな意味はないが、ヨシテルはその光景を見て少し気分を害したように口元を抑える。


「うぷっ……し、失礼、昔から筋肉質の男は苦手なので少々気分が……」
「何!?俺の筋肉に不満があるのか!?自分で言うのもなんだが、見られて恥ずかしい筋肉ではないぞ!!」
「むうっ……な、何という筋肉じゃ!!血が騒ぐ!!」
「お、お父様!?」
「急にどうしたのですか!?」
「あ~またお父さんが変になってる……」


ヨシテルの言葉にギガンは聞き捨てならないとばかりに筋肉を肥大化させると、その様子を見ていたデブリが何故か立ち上がり、身体を震わせた。その様子を隣に座る息子と娘達は戸惑うが、ティナは何かを知っているのか呆れた表情を浮かべていた。

間近でギガンの筋肉を見せつけられたヨシテルは顔色を悪くすると、早く試合を始めるように実況席の二人に視線を向け、ヨシテルの状態を見て本当に試合を始めてもいいのかと思いながらもホネミンは試合開始の合図を行う。


『では、早速ですが試合開始です!!』
『始めぇっ!!』


試合開始の合図の音が鳴り響いた瞬間、ギガンはヨシテルから距離をおくと精神を集中させるように瞼を閉じて両手を合わせる。しばらくすると彼の肉体の筋肉が凝縮化され、巨人族のみが扱える「硬皮」の戦技を発動させた。それを見た控室のゴンゾウは驚いた声をあげる。


「師匠、まさか最初からあの技を……」
「あの技?」
「何か心当たりがあるのですか?」


ゴンゾウの言葉に控室に戻ってきたシュンとレミアが尋ねると、彼は難しい表情を浮かべる。ゴンゾウとしては自分の師匠の得意とする技を自分の口で他の人間に伝える事を嫌がり、そんな彼の気持ちを察して二人も試合場のギガンに視線を戻す。

筋肉を限界まで凝縮させる事で密度を上げて硬度を上昇させる。それが巨人族のみに扱える「硬皮」という戦技であった。しかし、防御用と思われるこの戦技は実際の所は攻撃にも利用する事が出来る。ギガンは目を見開くと、ヨシテルが仕掛けないのを見て彼は話しかける。


「……何故、来ない?臆したか、それとも俺の攻撃を受け止める自信があるのか?」
「両方、といったところですね。迂闊に踏み込んだらこちらがやられそうです」
「なるほど……では、全力で行かせてもらうぞ!!」


ギガンは目を見開くと、彼の両足の血管が浮き上がり、凝縮させたはずの筋肉が一気に膨れ上がる。それを見たゴンゾウはギガンが誇る最強の必殺技を放つつもりだと判断した。


「師匠、まさか本当にあの奥義を……!?」
「奥義だと?」
「いったい何を……!?」


ゴンゾウの言葉にレミアが彼に振り返ろうとした刹那、強烈な轟音が鳴り響き、ギガンの足元に亀裂が走った。どうやら凝縮していた下半身の筋肉を一気に解放し、強烈な踏み込みによって試合場に亀裂が広がる。そしてギガンは砲弾の如き速度でヨシテルへと突っ込む。

ギガンは上半身を限界まで硬化させ、更には両腕を交差させてヨシテルの元へと突っ込む。トリケラトプスの突進を想像させる勢いでギガンはヨシテルの元へ向かう。この技は奥義でありながらも名前は存在せず、巨人族の筋力を生かした突進でしかない。しかし、ギガン程の猛者が繰り出す体当たりならば火竜であろうと悶絶する威力はあった。


「うおおおおおっ!!」
「――残念です」


しかし、正面から迫りくるギガンに大してヨシテルは一切取り乱さず、彼は腰に差した刀に手を伸ばすと「居合」の体勢に入った。その光景を見て同じく居合の達人であるハヤテは驚愕の表情を浮かべた。ヨシテルの動作には全くの無駄な動きは存在せず、あまりにも見事な構えに美しささえも感じた。
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