1,414 / 2,090
真・最終章 七魔将編
剣鬼VS青の剣聖
しおりを挟む
「シ、シズネちゃん!!いったいどうしたの!?いつもと雰囲気が……」
「ティナ……貴女の事は友人と思っているけれど、今の私に近付かない方がいいわ」
「……ティナ、ここはレナに任せた方がいい」
ティナはシズネの変わりぶりを見て驚くがコトミンの方は本能的に危険を察し、今のシズネは明らかに普通の状態ではない。今の彼女は普段彼女達が接している心強い味方ではなく、圧倒的な力を手にした敵として現れたのだ。
「……悪いけど皆は下がってて、ここは俺が何とかしてみせる」
「あんたの強さは知っているけど……大丈夫なのかい?」
「レナ、気を付けろ……こいつ、前に会った時より力が増してるぞ」
レナの言葉を聞いてバルは不安そうな表情を浮かべ、いつものシズネならばレナ一人だけでも問題はない。しかし、水の聖痕を受け継いだ彼女は以前よりも魔力が増しており、雷の聖痕を所有するハルナはシズネが前に会った時よりも強くなっている事を感じとる。
聖痕を宿す者はお互いに魔力を感じ取る事ができるらしく、ハルナはレナに対して彼が知っている限りのシズネとは違う事を伝える。だが、レナはシズネがアルドラに操られながらも無暗に襲い掛からず、仲間達にも手を出そうとしない事から彼女がある程度の理性を保っていると判断した。
「いいから皆は先に行ってて……正直、ここに残られても邪魔でしかない」
「あたしもか?」
「ハルナ以外に誰がアルドラを倒せるんだよ」
「へへっ……そうだよな」
「……随分と仲が良くなったわね」
レナの言葉を聞いてハルナは照れくさそうな表情を浮かべると、その反応を見てシズネは途端に機嫌が悪そうな表情を浮かべて雪月花を地面に突き刺す。次の瞬間には地面が凍り付いてレナ達の元に巨大な「氷棘」が迫る。
「うわっ!?」
「危なっ!?」
地面から飛び出してきた巨大な氷の棘に対して咄嗟にレナとハルナは回避するが、もしも二人が避けていなかったならば確実に氷の棘は二人の身体を突き刺していた。しかし、シズネはこの程度の攻撃で二人を倒せるとは思っておらず、彼女は雪月花と白百合に魔力を纏わせてレナに告げる。
「レナ……貴方は私だけを見ていればいいのよ」
「シズネ……」
「たくっ……痴話喧嘩なんかに付き合ってられないよ。レナ、あたしたちは先に行くからね!!」
「レナたん……絶対にシズネちゃんを元に戻してね!!」
「私達はアルドラを何とかする……シズネの事はお願い」
「ウォンッ!!」
シズネの事はレナに任せて他の者は闘技場へと向かうと、それを確認したシズネは特に止める様子はない。彼女の目的はあくまでもレナだけで闘技場の内部に逃げ込んだアルドラの守護をするつもりはない。
ハルナもコトミン達の後に続こうとしたがこの時に彼女が闘技場の出入口に辿り着いた瞬間、シズネは何を思ったのか雪月花を地面に突き刺してハルナに目掛けて攻撃を行う。
「ふんっ!!」
「うわぁっ!?」
「ハルナ!?」
後方から迫りくる巨大な氷の棘に対して危うくハルナは串刺しにされそうになったが、彼女は持ち前の反射神経と運動能力でどうにか回避すると、闘技場の出入口が巨大な氷塊によって塞がれてしまう。この氷塊を破壊しない限りは中に入る事はできず、別の出入口に向かうとしてもシズネを何とかしなければならない。
「これでもう邪魔者はいなくなった……貴方と二人きりよ」
「……大した力だな。もう水属性の魔法なら俺よりも使えるんじゃないの?」
「いいえ、私は貴方みたいに魔法なんて器用に使えないわ。これだけの力を使えるのはこの聖痕と……雪月花のお陰よ」
かつてのシズネならば巨大な氷塊を作り出す事はできなかったが、水の精魂を受け継いだ事で水属性の魔力を強化させ、七大魔剣「雪月花」の真の力を発揮できるようになった。雪月花は本来ならば刃で切り付けた箇所を凍り付かせる事ができるが、現在の雪月花は地面に突き刺すだけで氷塊を作り出す事もできる。
今現在の雪月花はシズネの力によって聖剣級の力を誇り、もしかしたらゴウライでも今のシズネには敵わない可能性もある。ゴウライは最強の剣士だが、シズネはただの剣士ではなく魔剣を扱う「魔剣士」であるため、今の彼女ならばゴウライでも倒せるかもしれない。
――既にシズネの力はバルトロス王国の大将軍を務めた父親を大きく超えており、そんな彼女を前にしたレナはどのようにして戦うのかを考える。仮にレナが錬金術師の能力を使用して「聖剣カラドボルグ」などの武器を生成して戦っても勝てる保証はない。
下手に手加減すればこちらの命が危うく、ある意味ではゴウライ以上の脅威を前にしたレナは苦笑いを浮かべる事もできない。しかし、仲間達がアルドラを倒すまでの間はレナは何としてもシズネを食い止めなければならず、彼は駄目元ではあるが退魔刀に魔法剣を発動させた。
「ティナ……貴女の事は友人と思っているけれど、今の私に近付かない方がいいわ」
「……ティナ、ここはレナに任せた方がいい」
ティナはシズネの変わりぶりを見て驚くがコトミンの方は本能的に危険を察し、今のシズネは明らかに普通の状態ではない。今の彼女は普段彼女達が接している心強い味方ではなく、圧倒的な力を手にした敵として現れたのだ。
「……悪いけど皆は下がってて、ここは俺が何とかしてみせる」
「あんたの強さは知っているけど……大丈夫なのかい?」
「レナ、気を付けろ……こいつ、前に会った時より力が増してるぞ」
レナの言葉を聞いてバルは不安そうな表情を浮かべ、いつものシズネならばレナ一人だけでも問題はない。しかし、水の聖痕を受け継いだ彼女は以前よりも魔力が増しており、雷の聖痕を所有するハルナはシズネが前に会った時よりも強くなっている事を感じとる。
聖痕を宿す者はお互いに魔力を感じ取る事ができるらしく、ハルナはレナに対して彼が知っている限りのシズネとは違う事を伝える。だが、レナはシズネがアルドラに操られながらも無暗に襲い掛からず、仲間達にも手を出そうとしない事から彼女がある程度の理性を保っていると判断した。
「いいから皆は先に行ってて……正直、ここに残られても邪魔でしかない」
「あたしもか?」
「ハルナ以外に誰がアルドラを倒せるんだよ」
「へへっ……そうだよな」
「……随分と仲が良くなったわね」
レナの言葉を聞いてハルナは照れくさそうな表情を浮かべると、その反応を見てシズネは途端に機嫌が悪そうな表情を浮かべて雪月花を地面に突き刺す。次の瞬間には地面が凍り付いてレナ達の元に巨大な「氷棘」が迫る。
「うわっ!?」
「危なっ!?」
地面から飛び出してきた巨大な氷の棘に対して咄嗟にレナとハルナは回避するが、もしも二人が避けていなかったならば確実に氷の棘は二人の身体を突き刺していた。しかし、シズネはこの程度の攻撃で二人を倒せるとは思っておらず、彼女は雪月花と白百合に魔力を纏わせてレナに告げる。
「レナ……貴方は私だけを見ていればいいのよ」
「シズネ……」
「たくっ……痴話喧嘩なんかに付き合ってられないよ。レナ、あたしたちは先に行くからね!!」
「レナたん……絶対にシズネちゃんを元に戻してね!!」
「私達はアルドラを何とかする……シズネの事はお願い」
「ウォンッ!!」
シズネの事はレナに任せて他の者は闘技場へと向かうと、それを確認したシズネは特に止める様子はない。彼女の目的はあくまでもレナだけで闘技場の内部に逃げ込んだアルドラの守護をするつもりはない。
ハルナもコトミン達の後に続こうとしたがこの時に彼女が闘技場の出入口に辿り着いた瞬間、シズネは何を思ったのか雪月花を地面に突き刺してハルナに目掛けて攻撃を行う。
「ふんっ!!」
「うわぁっ!?」
「ハルナ!?」
後方から迫りくる巨大な氷の棘に対して危うくハルナは串刺しにされそうになったが、彼女は持ち前の反射神経と運動能力でどうにか回避すると、闘技場の出入口が巨大な氷塊によって塞がれてしまう。この氷塊を破壊しない限りは中に入る事はできず、別の出入口に向かうとしてもシズネを何とかしなければならない。
「これでもう邪魔者はいなくなった……貴方と二人きりよ」
「……大した力だな。もう水属性の魔法なら俺よりも使えるんじゃないの?」
「いいえ、私は貴方みたいに魔法なんて器用に使えないわ。これだけの力を使えるのはこの聖痕と……雪月花のお陰よ」
かつてのシズネならば巨大な氷塊を作り出す事はできなかったが、水の精魂を受け継いだ事で水属性の魔力を強化させ、七大魔剣「雪月花」の真の力を発揮できるようになった。雪月花は本来ならば刃で切り付けた箇所を凍り付かせる事ができるが、現在の雪月花は地面に突き刺すだけで氷塊を作り出す事もできる。
今現在の雪月花はシズネの力によって聖剣級の力を誇り、もしかしたらゴウライでも今のシズネには敵わない可能性もある。ゴウライは最強の剣士だが、シズネはただの剣士ではなく魔剣を扱う「魔剣士」であるため、今の彼女ならばゴウライでも倒せるかもしれない。
――既にシズネの力はバルトロス王国の大将軍を務めた父親を大きく超えており、そんな彼女を前にしたレナはどのようにして戦うのかを考える。仮にレナが錬金術師の能力を使用して「聖剣カラドボルグ」などの武器を生成して戦っても勝てる保証はない。
下手に手加減すればこちらの命が危うく、ある意味ではゴウライ以上の脅威を前にしたレナは苦笑いを浮かべる事もできない。しかし、仲間達がアルドラを倒すまでの間はレナは何としてもシズネを食い止めなければならず、彼は駄目元ではあるが退魔刀に魔法剣を発動させた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。