不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

シュンの説教

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「まあ、こいつの事は俺に任せておけよ。他の奴等が起きる前に洞窟に戻ってろ」
「でも……」
「気にするなよ、こいつとは長い付き合いだ。それにこいつが目を覚ました時にお前を見たら何を仕出かすか分からないからな」
「はあっ……」


レナはシュンの言われるがままに洞窟へ先に戻ると、シュンは肩で持ち上げたロウガを見てため息を吐き出す。そして彼は洞窟から少し離れた場所に移動すると、気絶したロウガの頬を引っぱたいて起こす。


「おい、起きろ!!この馬鹿!!」
「ぐふっ!?な、何だ……誰だ!?」
「寝ぼけてるんじゃねえよっ!!たくっ、余計な世話をかけさせやがって」
「ぐぅっ……!!」


目を覚ましたロウガはシュンの顔を見て戸惑うが、すぐに気絶する前の記憶を取り戻したのか彼は悔し気な表情を浮かべて顔面を手で覆い込む。指の隙間から涙が零れ落ちるのを見てシュンはため息を吐き、すぐ傍にあった岩の上に彼は腰掛ける。


「坊主と戦った感想はどうだ?お前、まともに坊主と戦うのは初めてだったんじゃないか?」
「…………」
「安心しろ、負けたからって馬鹿にはしねえよ。俺もあの坊主には何度も負けてるからな……」


シュンはかつてレナと戦った事があるが、今までに一度として勝った事はない。それどころか勝負する度にレナとの実力差が開いている事を実感させられた。だからこそ今のロウガの心境は痛いほどによく理解わかる。

ロウガはレナの実力は把握していたが獣化という奥の手を使用しても彼はレナには届かなかった。絶対に負けではならない相手に敗北した事にロウガの心は折れかけるが、そんな彼にシュンは語り掛ける。


「もう分かっただろう。ロウガ、あの坊主は強い……俺達が思っているよりもずっと強い」
「ぐぅっ……!!」
「今のお前がいくら挑もうと坊主には勝てない。それにいい加減にお前も意地を張るのは止めろ、確かに坊主はお前の言う通りに危険な力を持つ「剣鬼」かもしれない。けどな、剣鬼だろうが何だろうが坊主が坊主である事に変わりはないんだ。あいつなら大丈夫だ、お前の知っている剣鬼のような殺人鬼にはならない」
「何故、そんな事がお前に言い切れる!?お前はあの男の何を知っている!?」
「……確かにな」


ロウガは自分に語り掛けるシュンもレナは特別に仲が良いわけでもなく、昔はシュンの方がレナの事を敵視していた。しかし、ロウガとシュンの違いがあるとすればシュンは幾度もレナと戦い、そして彼を信じる者をよく知っていた。


「確かに俺はあの坊主の事をよく知っているわけじゃない。けどな、の事はよく知っている。あのマリアの嬢ちゃんはあいつの事をどれだけ信頼しているのかお前だって理解しているだろう」
「それは……マリア殿があの男に信頼をおいているのは甥だからだろう」
「甥といってもマリアの嬢ちゃんがレナと関りを持つようになったのは割と最近の事だ。それなのにマリアの嬢ちゃんはレナの事を本当の息子のように大切に想っている。いくら大好きな姉の子供だからといってあそこまで甘やかすのは普通じゃない」


マリアがレナの事をどれだけ大切に想っているのかは傍目から見てもよく分かり、そんなマリアの事をシュンは信頼していた。自分と比べればまだ子供(エルフ基準では)同然の存在だが、シュンはマリアの事をただの冒険者と雇い主という関係ではなく、自分の主人として相応しい存在だと認めている。そんなマリアが認める人物ならばシュンも認めなければならない。


「嬢ちゃんの人を見る目は確かだ。そうでもなければ嬢ちゃんの周りにあれだけの人間が集まるはずがない、ゴウライもジャンヌも……師匠も、俺も、お前もマリアの嬢ちゃんが好きだからギルドに入ったんだろうが」
「……なら、お前はマリア殿があの男を信頼しているのは家族の情ではなく、あの男が信頼に足りる存在だと認めているからだというのか?」
「それはどうかな、嬢ちゃんが坊主の事を大切に扱うのは家族だからというのも理由の一つだろう。けどな、もしも坊主の奴が腐った男だったら嬢ちゃんはあそこまで大切に扱わないだろう」
「それは……そうかもしれないが」


もしも仮にレナが腐った人物ならばマリアは彼を実の息子のように扱うはずはなく、最愛の姉であるアイラの息子ならば見捨てはしないだろうが少なくとも大切に扱うとは思えない。シュンはマリアがレナを実の息子のように扱うのは姉の息子という理由ではなく、マリア自身がレナの事を気に入ったからだと思う。

マリアがレナを大切に扱うのは彼女自身がレナの人となりを知った上で彼を気に入り、信頼における人物だと判断した。それならばマリアを信じるシュンはレナの事を信じてやったらどうだとロウガに語る。
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