不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

僕に従えっ!!

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「これで終いだ、くたばれ!!」
「……あんたがなっ!!」
「何だとっ!?」


ブラクが不用意に近づいた瞬間、ダインは笑みを浮かべて杖から手を離す。その結果、ブラクの影によって勢いよく引き寄せられたダインはブラクの元に目掛けて突っ込む。自ら自分に向かってきたダインにブラクは一瞬だけ動揺した瞬間、彼は両腕を伸ばして影魔法を発動させた。


「シャドウ・バイト!!」
「なにぃっ!?」


ダインの手元から黒色の狼を想像させる影が出現すると、ブラクの身体に噛みつく。ブラクは慌てて引き剥がそうとするが、ダインの影から生み出された狼は物理攻撃の影響を受けない。いくら力を込めようと引き剥がす事ができず、その間にダインはブラクの背後に回る。


「喰らえっ、ゴンゾウ直伝……兜落とし!!」
「ぐおおおっ!?」


後ろに回ったダインはブラクの身体を持ち上げると、そのままプロレスのバックドロップの要領でブラクの頭部を床に叩き込む。ゴンゾウが喧嘩に巻き込まれた時のために教えてくれた技であり、実戦で使うのは彼も初めてだった。

思いもよらぬダインの体術によってブラクは精神を乱され、この隙を逃さずにダインは畳みかける。魔術師が最も魔力が弱まるのは精神力が乱れた時であり、混乱している間はブラクも影魔法や他の魔法は一切扱えない。ダインはブラクを倒すために考えた技を繰り出す。


(こいつは人間じゃない、死体に乗り移っている悪霊ゴーストだ!!だったら死体から引き剥がせば……!!)


ブラクの正体は実体を持たない悪霊である事は判明しており、ダインの父親の肉体に憑依しているだけに過ぎない。もしも肉体からブラクの本体を引き剥がした場合、ブラクの取る行動は一つだった。


「僕に従えっ……聖痕!!」
「ば、馬鹿なっ!?何をするつもりだ!?」
「うおおおおっ!!」


ここでダインは自分の身体に宿った聖痕を解放させ、ブラクの服を引きちぎって直に両手を合わせる。これまでの戦闘でダインは聖痕が暴走しないように影魔法で制御していたが、その封印を解いて彼は敢えて聖痕を発動させる。

今までならば闇属性の聖痕の本来の所有者であるブラクの意志により、ダインの肉体に宿した聖痕を暴走させて彼が魔法を使えないようにする事ができた。しかし、彼の度重なる奇策と奇襲でブラクの精神は大きく乱され、彼はまともに魔法が扱えない。この状態ならばダインは聖痕の暴走を恐れず、その力を利用して自分の影魔法を更に進化させる事ができると確信していた。


「闇の聖痕!!こんな爺じゃなくて僕を選べ、そして闇の精霊も力を貸してくれぇええっ!!」
「ふざけるな!!貴様のような青二才に聖痕を制御できるはずがっ……何ぃっ!?」


聖痕が浮き上がった瞬間、ダインの両腕に変化が訪れた。彼の両腕が漆黒に染まり、それを見たブラクは衝撃の表情を浮かべた。彼の両腕は呪詛の類で侵されたわけではなく、腕全体に影が覆っているのだ。しかも今までのダインが扱っていた影魔法とは雰囲気が異なり、まるで水の中に沈むかの様にブラクの体内に腕が入っていく。


「ば、馬鹿なっ!?有り得ん、こんな事が……」
「な、何だこれっ!?」


ブラクの背中越しにダインの漆黒の腕がめり込み、二人とも何が起きているのか分からずに驚きの声を上げる。ダイン自身も自分が何をしているのか分からずに混乱していると、不意の両手を通して何かを感じ取った。


(今、何かを掴んだような……これだ!!)


両手に手ごたえを感じたダインは目を見開き、勢いよくブラクの背中から腕を引き抜こうとした。その瞬間、ブラクは今までにないほどに焦った表情と悲鳴を上げ、必死にもがいて逃げ出そうとした。


「止めろ、離せ!!それに触れるな……止めろぉおおおっ!!」
「止めるか、馬鹿野郎っ!!うおおおおっ!!」


バル仕込みの根性を発揮してダインは全力でブラクの背中から腕を引き抜く事に成功すると、彼の両手には黒色の触手の塊のような物が握りしめられていた。その触手の塊はブラクの背中に戻ろうとするが、その正体を見抜いたダインは無理やりに引き剥がす。


「これが……お前のだ!!」
『ウギャアァアアアッ!?』


触手の塊が完全にブラクの肉体から引き抜かれると、人間のような悲鳴を上げて形が変わっていく。ダインが肉体から引き抜いた触手の塊の正体は「ブラク」の本体であり、悪霊の魂その物だった。

生身の肉体から引き剥がされた途端に触手の塊は形を変え、黒色の球体へと化す。そして表面には人面が浮き上がり、憎々し気な表情でダインを睨みつける。ダインは両手に収まったブラクの魂に視線を向け、勝利を確信して笑みを浮かべる。


「はっ……それがお前の正体か?くそ爺!!」
『コロス、コロシテヤルゥッ……!!』
「そんな姿で脅されても全然怖くないけど……気味が悪いな」


ダインは両手に収まったブラクの魂に視線を向け、もうこの状態では彼にはどうする事もできない。肉体がなければまともに魔法も使えず、やがて通路内を覆い込んでいた黒霧が晴れてレナが駆けつけてきた。
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