2,009 / 2,090
蛇足編
力を示せ
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「だったら俺達にも捜索の協力をさせてください。直接に手を出さなければいいんでしょう?」
「それは……駄目だ。情報提供は有難く受け取るが、他国の王族を危険な目に遭わせるわけにはいかない」
「貴方、闘技祭の優勝者の実力を侮っているの?これまでレナがどれだけの敵を相手にしてきたか知らないのかしら?王国を牛耳っていた王妃を倒し、ヨツバ王国の窮地を救った英雄よ。先日は炎龍討伐も果たしているわ」
「……レナ殿の武勇は巨人国にも伝わっている。だが、噂とは尾ひれが付く物だ。この目で実力を確かめない限りは信じられぬ」
「なるほど、だとしたら実力を示せばいいのね」
シズネはレナに視線を向けると、彼女の意図に気付いたレナはゴウカと向き合う。ゴウカは自分を見つめるレナに笑みを浮かべ、どうやら最初から仕組まれていたらしい。彼の目的はレナと戦うことだった。
「……俺が実力を示せば願いを聞いてくれますか?」
「ほう、どうやって実力を示すつもりかな?」
「一番手っ取り早いのは貴方と戦うことですかね」
「え~!?」
「レナ様、相手は大将軍です。流石に面子が……」
「いいじゃない、あっちもその気のようだし戦えばいいじゃない」
レナがゴウカに勝負を申し込むと他の者達は心配するが、それはレナへの心配というよりもゴウカに対する心配の声だった。ゴウカはレナの方から勝負を挑んでくることを待ちかねていたかのように受け入れた。
「良いだろう。其方の実力、この俺自身で確かめさせてもらう」
「俺が勝てば闇組織の捜査をしてもいいんですね?」
「構わない。但し、闇組織の本拠地が判明すれば我々が壊滅させる」
「……分かりました」
闇組織の対処に関してはゴウカも引けず、彼は背中に掲げていた戦斧を取り出す。相手は巨人国の大将軍というだけはあって油断はできず、レナは退魔刀を抜いた。
二人はお互いに向き合うと武器を構え、まずはレナは相手の出方を見ることにした。最初の内は互いに睨み合っていたが、ゴウカは気合の雄叫びを上げてレナに突っ込む。
「はああっ!!」
「くっ!?」
上段から振り下ろされた戦斧に対してレナは退魔刀で受けると、それに対してゴウカは直前で戦斧を止めた。まさかフェイントを仕掛けられるとは思わず、レナは驚いているところにゴウカは蹴りを繰り出す。
「蹴撃!!」
「うわっ!?」
繰り出された前蹴りに対してレナは後ろに跳んで回避すると、ゴウカは戦斧を振り回しながら接近してきた。戦技の「回転」を扱えるらしく、回転する度に攻撃速度が上がっていく。
「はぁあああっ!!」
「兜砕き!!」
高速回転しながら迫りくるゴウカに大してレナは退魔刀を上段から全力で振り下ろすと、二人の武器が衝突して激しい火花と金属音が鳴り響く。ゴウカは渾身の一撃を弾かれて体勢を崩し、その一方でレナも後ろに後退る。ここまでの攻防でレナはゴウカの実力がゴンゾウにも劣らないと判断した。
(腕力はゴンちゃんと互角……いや、それ以上だ。しかも巨人族の戦士にしては珍しく技も扱う)
巨人族の戦士は基本的には技よりも力を重視しており、大半の巨人族は力任せに戦うことが多い。しかし、ゴンゾウやギガンのようにゴウカは力だけではなく技も扱い、レナは強敵だと認識した。
「流石は闘技祭の優勝者だ。この程度の小細工は通じないか……ならば、ここからは全力を出すぞ!!」
「全力?今まで手加減してたんですか?」
「ふっ……行くぞ!!」
ゴウカは戦斧を天に掲げると、太陽の光に反応するように戦斧の刃に異変が起きた。徐々に刃の色合いが変化していき、やがて赤色に変色した。それを見てレナは疑問を抱き、一方でシズネは何かを思い出したのかレナに注意する。
「レナ!!気を付けなさい、その男の武器は魔斧よ!!」
「魔斧!?」
「そうだ!!我が家に伝わる魔斧「日輪」の威力をとくと味わえっ!!」
ゴウカの所有する武器は魔剣と同じ類の武器であり、名前は日輪という魔斧だった。日輪は太陽の光に反応して効果を発揮し、刃が高熱を帯びる。しかも衝撃を受ける度に熱が上昇する仕組みだった。
日輪を掲げたゴウカはレナに目掛けて振り下ろし、その攻撃に対してレナは縮地で回避を行う。日輪は地面に叩きつけられると衝撃を吸収して熱が更に高まり、地面に転がっていた石が溶解した。それを見てレナは本気で殺すつもりかと焦る。
「ちょっと!?そんなの当たったら死にますよ!?」
「勝負に情けは無用!!死んだらそれまでだ!!」
「何を言ってるのですか貴方は!?レナ様が死んだら戦争になりますよ!!」
「や、止めて~!!」
「あの馬鹿……止めるわよ!!」
「スラミン、ヒトミン、消化の準備」
「「ぷるるんっ」」
勝負に熱中し過ぎて本気でレナを殺しにかかるゴウカを見ていられずにシズネ達は止めようとしたが、そんな彼女達の前に巨人族の兵士が割り込む。
「それは……駄目だ。情報提供は有難く受け取るが、他国の王族を危険な目に遭わせるわけにはいかない」
「貴方、闘技祭の優勝者の実力を侮っているの?これまでレナがどれだけの敵を相手にしてきたか知らないのかしら?王国を牛耳っていた王妃を倒し、ヨツバ王国の窮地を救った英雄よ。先日は炎龍討伐も果たしているわ」
「……レナ殿の武勇は巨人国にも伝わっている。だが、噂とは尾ひれが付く物だ。この目で実力を確かめない限りは信じられぬ」
「なるほど、だとしたら実力を示せばいいのね」
シズネはレナに視線を向けると、彼女の意図に気付いたレナはゴウカと向き合う。ゴウカは自分を見つめるレナに笑みを浮かべ、どうやら最初から仕組まれていたらしい。彼の目的はレナと戦うことだった。
「……俺が実力を示せば願いを聞いてくれますか?」
「ほう、どうやって実力を示すつもりかな?」
「一番手っ取り早いのは貴方と戦うことですかね」
「え~!?」
「レナ様、相手は大将軍です。流石に面子が……」
「いいじゃない、あっちもその気のようだし戦えばいいじゃない」
レナがゴウカに勝負を申し込むと他の者達は心配するが、それはレナへの心配というよりもゴウカに対する心配の声だった。ゴウカはレナの方から勝負を挑んでくることを待ちかねていたかのように受け入れた。
「良いだろう。其方の実力、この俺自身で確かめさせてもらう」
「俺が勝てば闇組織の捜査をしてもいいんですね?」
「構わない。但し、闇組織の本拠地が判明すれば我々が壊滅させる」
「……分かりました」
闇組織の対処に関してはゴウカも引けず、彼は背中に掲げていた戦斧を取り出す。相手は巨人国の大将軍というだけはあって油断はできず、レナは退魔刀を抜いた。
二人はお互いに向き合うと武器を構え、まずはレナは相手の出方を見ることにした。最初の内は互いに睨み合っていたが、ゴウカは気合の雄叫びを上げてレナに突っ込む。
「はああっ!!」
「くっ!?」
上段から振り下ろされた戦斧に対してレナは退魔刀で受けると、それに対してゴウカは直前で戦斧を止めた。まさかフェイントを仕掛けられるとは思わず、レナは驚いているところにゴウカは蹴りを繰り出す。
「蹴撃!!」
「うわっ!?」
繰り出された前蹴りに対してレナは後ろに跳んで回避すると、ゴウカは戦斧を振り回しながら接近してきた。戦技の「回転」を扱えるらしく、回転する度に攻撃速度が上がっていく。
「はぁあああっ!!」
「兜砕き!!」
高速回転しながら迫りくるゴウカに大してレナは退魔刀を上段から全力で振り下ろすと、二人の武器が衝突して激しい火花と金属音が鳴り響く。ゴウカは渾身の一撃を弾かれて体勢を崩し、その一方でレナも後ろに後退る。ここまでの攻防でレナはゴウカの実力がゴンゾウにも劣らないと判断した。
(腕力はゴンちゃんと互角……いや、それ以上だ。しかも巨人族の戦士にしては珍しく技も扱う)
巨人族の戦士は基本的には技よりも力を重視しており、大半の巨人族は力任せに戦うことが多い。しかし、ゴンゾウやギガンのようにゴウカは力だけではなく技も扱い、レナは強敵だと認識した。
「流石は闘技祭の優勝者だ。この程度の小細工は通じないか……ならば、ここからは全力を出すぞ!!」
「全力?今まで手加減してたんですか?」
「ふっ……行くぞ!!」
ゴウカは戦斧を天に掲げると、太陽の光に反応するように戦斧の刃に異変が起きた。徐々に刃の色合いが変化していき、やがて赤色に変色した。それを見てレナは疑問を抱き、一方でシズネは何かを思い出したのかレナに注意する。
「レナ!!気を付けなさい、その男の武器は魔斧よ!!」
「魔斧!?」
「そうだ!!我が家に伝わる魔斧「日輪」の威力をとくと味わえっ!!」
ゴウカの所有する武器は魔剣と同じ類の武器であり、名前は日輪という魔斧だった。日輪は太陽の光に反応して効果を発揮し、刃が高熱を帯びる。しかも衝撃を受ける度に熱が上昇する仕組みだった。
日輪を掲げたゴウカはレナに目掛けて振り下ろし、その攻撃に対してレナは縮地で回避を行う。日輪は地面に叩きつけられると衝撃を吸収して熱が更に高まり、地面に転がっていた石が溶解した。それを見てレナは本気で殺すつもりかと焦る。
「ちょっと!?そんなの当たったら死にますよ!?」
「勝負に情けは無用!!死んだらそれまでだ!!」
「何を言ってるのですか貴方は!?レナ様が死んだら戦争になりますよ!!」
「や、止めて~!!」
「あの馬鹿……止めるわよ!!」
「スラミン、ヒトミン、消化の準備」
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