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蛇足編
シャドウ家の財宝
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「ミヤ様、どうしてこんな……」
「あんた達が不甲斐ないせいで私が出張るしかないようだからね。さあ、あんたの魔道具を渡しな」
「は、はひっ!!」
残された男はミヤに魔道具を引き渡すと恐怖のあまりに平伏する。そんな男を見下ろして自分の部下に憑依したミヤは鼻を鳴らす。
「ちっ……やっぱり、血族じゃない人間への憑依は限界があるね。この程度の力しか引き出せないようなら捕まえるのは苦労しそうだ」
「ミヤ様、私はどうしたら……」
「あんたには新しい任務を与えてやるよ。言っておくけど、これに失敗したらあんたの魂は滅するからね」
「そ、そんな!?」
魂を滅するとは文字通りの意味をしており、死ぬだけならばまだしも魂までも滅せられたら生まれ変わることもできない。だからミヤの部下達は彼女に絶対服従であり、どんな命令でも逆らえなかった。
「あんたには今から王都に向かってもらう」
「お、王都?」
「そうさ、今ならシャドウ家の屋敷に忍び込むことも簡単だからね」
王都にはシャドウ家の屋敷が存在し、現在のシャドウ家はダインとミヤを除いて一人も生き残りはいない。だから国が屋敷の管理を行っているはずだが、シャドウ家の屋敷には当主と跡継ぎにしか知られていない隠された財産が存在する。
「今から私の言う言葉をしっかりと覚えておくんだよ。もしもへまをしたらあんたの魂を頂く……この意味が分かるね?」
「わ、分かりました!!どんな命令でも必ずやり遂げて見せます!!」
「その意気だよ。さあ、早く行きな。指示はこいつを使って出す」
ミヤは男に連絡用の髑髏の水晶を取り出し、これを利用して今まで遠方にいる相手と連絡を取り合っていた。男は震えながらも水晶を受け取ると王都へ向かう――
――同時刻、新帝国の組織の方ではたった一人だけ残された部下がミヤの元に戻ってきた。部下はミヤの前に跪くとレナ達の状況を説明した。
「ミヤ様、大変でございます!!奴等はもう間もなくここへ辿り着きます!!」
「…………」
「ミ、ミヤ様?」
報告を行っても返事がないことに気が付いた部下は疑問を抱くが、彼の言葉に反応してミヤは目を開く。彼女は顔色を悪くしながらも部下からの報告を聞いてため息を吐き出す。
「奴等がうちの隠れ家に向かっている?ここに辿り着くまでに配置した罠はどうしたんだい?」
「それが何故か全て突破されています。まるで我々の配置した罠を全て把握しているかのような動きで……」
「ふん、勘の鋭い奴がいるようだね。しかし、どうして隠れ家がバレたのか……」
新帝国の隠れ家はレナ達には知られていないはずだが、アイリスの情報でレナは新帝国の隠れ家の正確な位置を教えてもらい、仲間と共に向かっていた。途中で仕掛けられた罠もアイリスに教えてもらって回避しており、もう間もなく新帝国の隠れ家へ辿り着ける段階まで突入していた。
現在のミヤは万全の状態ではなく、ダインを捕縛しなければ彼女は全盛期の力を取り戻せない。部下を使って時間を稼ごうにも一人だけでは大した期待はできず、だからといって王都へ向かわせた部下を呼び寄せる時間もない。そこで彼女は隠れ家を捨てることにした。
「仕方ないね、あれを使うよ」
「転移の神器ですか!?しかし、あれは……」
「それしか方法はない。それともあんたが命懸けで奴等を始末してくれるのかい?」
「い、いやそれは……」
「ふん、さっさと付いて来な」
転移の神器を使用して国外へ逃亡する以外にミヤに選択肢はなく、彼女は自分が乗っている車椅子を部下に押させて移動する。ミヤが隠れ家にしている場所は元は神殿として祀られていた場所であり、ここには転移の魔法を発動できる神器が存在した。
神殿の最深部には転移魔法陣が刻まれた台座が存在し、元々は初代勇者が元の世界に戻るために開発した神器だった。この神器は同じ型の台座がいくつも存在し、それを利用して別の場所にある台座に転移する機能が存在する。移動のためには聖属性の魔石を嵌め込まなければならず、距離が遠いほどに相当な数を消費するので多用はできない。
しかも人数の違いで魔力の消費量が異なる。
「ミヤ様……残りの魔石の魔力を使用しても転移できるのは一人分だけです」
「ちっ、こんなことなら予備を多めに用意しておくべきだったね」
台座の前で部下は確認を行い、バルトロス王国の転移は一人しか行えないことが発覚した。ミヤはそれを聞いて忌々し気な表情を浮かべ、またもや部下を一人失うことに溜息を吐く。
「仕方がないね……あんたはここに残りな。どうせ逃げられはしないなら奴等に降伏しな」
「降伏!?そ、そんな……」
「安心しな。噂によると例の王子は悪人でも滅多に人を殺さないお人好しらしい。王子に頼み込めば命を取られることはないだろうさ。あんたが時間を稼いでいる間に私がダインを殺して奴の血を奪えば力を取り戻す。その時はあんたを……」
「……ふざけるなよ、くそがっ!!」
ミヤの部下は彼女の話を聞いて激高し、彼は隠し持っていた十字架の形をした短剣を取り出す。それをミヤの胸元に目掛けて突き刺した。
「あんた達が不甲斐ないせいで私が出張るしかないようだからね。さあ、あんたの魔道具を渡しな」
「は、はひっ!!」
残された男はミヤに魔道具を引き渡すと恐怖のあまりに平伏する。そんな男を見下ろして自分の部下に憑依したミヤは鼻を鳴らす。
「ちっ……やっぱり、血族じゃない人間への憑依は限界があるね。この程度の力しか引き出せないようなら捕まえるのは苦労しそうだ」
「ミヤ様、私はどうしたら……」
「あんたには新しい任務を与えてやるよ。言っておくけど、これに失敗したらあんたの魂は滅するからね」
「そ、そんな!?」
魂を滅するとは文字通りの意味をしており、死ぬだけならばまだしも魂までも滅せられたら生まれ変わることもできない。だからミヤの部下達は彼女に絶対服従であり、どんな命令でも逆らえなかった。
「あんたには今から王都に向かってもらう」
「お、王都?」
「そうさ、今ならシャドウ家の屋敷に忍び込むことも簡単だからね」
王都にはシャドウ家の屋敷が存在し、現在のシャドウ家はダインとミヤを除いて一人も生き残りはいない。だから国が屋敷の管理を行っているはずだが、シャドウ家の屋敷には当主と跡継ぎにしか知られていない隠された財産が存在する。
「今から私の言う言葉をしっかりと覚えておくんだよ。もしもへまをしたらあんたの魂を頂く……この意味が分かるね?」
「わ、分かりました!!どんな命令でも必ずやり遂げて見せます!!」
「その意気だよ。さあ、早く行きな。指示はこいつを使って出す」
ミヤは男に連絡用の髑髏の水晶を取り出し、これを利用して今まで遠方にいる相手と連絡を取り合っていた。男は震えながらも水晶を受け取ると王都へ向かう――
――同時刻、新帝国の組織の方ではたった一人だけ残された部下がミヤの元に戻ってきた。部下はミヤの前に跪くとレナ達の状況を説明した。
「ミヤ様、大変でございます!!奴等はもう間もなくここへ辿り着きます!!」
「…………」
「ミ、ミヤ様?」
報告を行っても返事がないことに気が付いた部下は疑問を抱くが、彼の言葉に反応してミヤは目を開く。彼女は顔色を悪くしながらも部下からの報告を聞いてため息を吐き出す。
「奴等がうちの隠れ家に向かっている?ここに辿り着くまでに配置した罠はどうしたんだい?」
「それが何故か全て突破されています。まるで我々の配置した罠を全て把握しているかのような動きで……」
「ふん、勘の鋭い奴がいるようだね。しかし、どうして隠れ家がバレたのか……」
新帝国の隠れ家はレナ達には知られていないはずだが、アイリスの情報でレナは新帝国の隠れ家の正確な位置を教えてもらい、仲間と共に向かっていた。途中で仕掛けられた罠もアイリスに教えてもらって回避しており、もう間もなく新帝国の隠れ家へ辿り着ける段階まで突入していた。
現在のミヤは万全の状態ではなく、ダインを捕縛しなければ彼女は全盛期の力を取り戻せない。部下を使って時間を稼ごうにも一人だけでは大した期待はできず、だからといって王都へ向かわせた部下を呼び寄せる時間もない。そこで彼女は隠れ家を捨てることにした。
「仕方ないね、あれを使うよ」
「転移の神器ですか!?しかし、あれは……」
「それしか方法はない。それともあんたが命懸けで奴等を始末してくれるのかい?」
「い、いやそれは……」
「ふん、さっさと付いて来な」
転移の神器を使用して国外へ逃亡する以外にミヤに選択肢はなく、彼女は自分が乗っている車椅子を部下に押させて移動する。ミヤが隠れ家にしている場所は元は神殿として祀られていた場所であり、ここには転移の魔法を発動できる神器が存在した。
神殿の最深部には転移魔法陣が刻まれた台座が存在し、元々は初代勇者が元の世界に戻るために開発した神器だった。この神器は同じ型の台座がいくつも存在し、それを利用して別の場所にある台座に転移する機能が存在する。移動のためには聖属性の魔石を嵌め込まなければならず、距離が遠いほどに相当な数を消費するので多用はできない。
しかも人数の違いで魔力の消費量が異なる。
「ミヤ様……残りの魔石の魔力を使用しても転移できるのは一人分だけです」
「ちっ、こんなことなら予備を多めに用意しておくべきだったね」
台座の前で部下は確認を行い、バルトロス王国の転移は一人しか行えないことが発覚した。ミヤはそれを聞いて忌々し気な表情を浮かべ、またもや部下を一人失うことに溜息を吐く。
「仕方がないね……あんたはここに残りな。どうせ逃げられはしないなら奴等に降伏しな」
「降伏!?そ、そんな……」
「安心しな。噂によると例の王子は悪人でも滅多に人を殺さないお人好しらしい。王子に頼み込めば命を取られることはないだろうさ。あんたが時間を稼いでいる間に私がダインを殺して奴の血を奪えば力を取り戻す。その時はあんたを……」
「……ふざけるなよ、くそがっ!!」
ミヤの部下は彼女の話を聞いて激高し、彼は隠し持っていた十字架の形をした短剣を取り出す。それをミヤの胸元に目掛けて突き刺した。
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