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テンペスト騎士団編
聖導教会の秘密
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「残りの猶予はあと数日……仮にそのフレイという人を見つけたとしても、封印を解く方法は実行できないんだろう?」
「私とフレイ、どちらかを犠牲にしない限りは開かないらしいね」
「そんな事はさせない!!どんな魔物が眠っていようが、私達で倒せばいい!!」
「わふっ!!」
「どっちにしろ、その深淵の森にある集落に行くには魔水晶の罠と、集落を覆う結界、さらに遺跡の封印とやらを何とかしないといけないわけか……」
「……ん?」
ここでソフィアはある事を思い出す。もしかしたら、深淵の森の中央部を囲む魔水晶の罠を突破する事が出来れば集落の中に侵入できる可能性があるかもしれない。ただ、この方法は確実性は無く、数年のうちに深淵の森の結界に変化があった場合はどうしようもない。しかし、十分に賭ける価値はあり、集落の封印の解除する方法をソフィアは「覚えて」いる。
「……もしかしたら最初の罠だけを何とかできれば集落に入れるかもしれない」
「え?本当!?」
「何か心当たりがあるのかい?」
「まあ一応は……けど、どっちにしろフレイは探しておきたい」
「そうだな……生きているのなら保護してあげたいが」
両目を失い、さらには命を狙われている彼女を放っておくわけには行かない。だが、数日だけで放浪島に存在すると思われる彼女を見つけ出せる可能性は低い。それに生きているかどうかも怪しく、捜索隊を送り込んでも無駄になる結果も考えられる。
「放浪島か……捜索するにしても、大規模な人数を動かさないと」
「王国の報告はカゲマルに頼むとして……捜索は私の部隊が請け負おう」
「承知したでござる!!……と、言いたいところでござるが、どうやって王国に戻れば言いでござるか?」
「……あっ」
そこでリノンは現在、闘人都市とバルトロス王国の王城を繋ぐ「転移魔方陣」が既にエルフ達に破壊されており、連絡手段が途切れている事を思い出す。
「し、しまった……これじゃあ、何もできない」
「確かあんた、転移魔方陣の修復には3、4日かかるって言ってたよね……え、それ封印解けるんじゃないのかい?」
「ちょっ、どうするんですか!?何も出来ないじゃないっすか!!」
「お、落ち着け!!そうだ、レノの転移魔方陣なら……」
「いや、あの島は常に移動を続けているし、ここまで距離があると転移は出来ない。それにマーキングもしてないし……」
転移魔方陣は単独では発動不可であり、必ず転移する場所にも魔方陣を事前にを書き込んでいなければならない。しかも放浪島は常に移動を続けているため、以前にアイリィが言っていたように地上と放浪島を転移で移動する事自体が難しい。
唯一、王城の最高位の転移魔方陣ならば何時でも放浪島に転移する事は可能ではあるが、その王城に移動する手段さえも無い状況だ。
「馬で行ったとしても、最低でも二か月以上はかかるでござる……」
「それ、もう辿り着く前に完全に封印が解けてるよね。世界が滅んでるよね」
「ど、どうすれば……」
皆が頭を悩ませる中、巫女姫であるヨウカだけは首を傾げ、
「――聖導教会の転移魔方陣を使えばいいんじゃないかな?」
一瞬、彼女が何を言っているのか理解できず、全員が押し黙り、慌てた様子でヨウカは首を振り、
「え?え?な、何で皆静かになるの?私、可笑しなこと言ったかな……」
「いや……可笑しなことというより、その情報は聖導教会にとっては最重要機密に関わる事じゃないのかい?」
「え!?そ、そうなのかな……」
「そ、それは本当ですか!?」
「わふっ!!そう言えば、私も覚えがあります!!」
「……思い出した。ワルキューレ騎士団も、よく利用してる」
「それを先に言え(デコピン)」
「あう(わう)っ……」
ホノカの発言にだらだらと汗を流すヨウカだが、それよりも彼女の発言が真実なのかと詰め寄る。ついでに今思い出した風のポチ子とコトミに対してレノは額にデコピンを食らわせる。
「う、うん……教会が無い村とかは無理だけど、大抵の聖導教会の建物には他の教会の移動用の転移魔方陣が設置されてるよ?私も巡回中は良くマザーと一緒に転移して移動してたし……」
「聖導教会専用の転移魔方陣という訳か……そんな事、私も知らなかったぞ」
「拙者も同じく……しかし、今は都合が良いでござる!!」
「そうだね……あんたお偉いさんなんだろ?教会の人間に頼み込んで、こいつらを移動させてやりなよ」
「ぇええええええええええええっ!?」
バルの発言にヨウカが大声で狼狽し、すぐにホノカの後ろに隠れる。
「む、無理だよ……巫女姫って言われても、正直私はお飾りだし……それに部外者を転移する事は絶対厳禁だってマザーが……」
「あんたねぇ……大勢の人の命が掛かってんだよ!!しっかりしな!!」
「うっ……はい」
流石にヨウカも事態を把握し、びくびくとしながらも頷く。ここで「深淵の森」に眠っている「魔物」に対して何の対策も無いまま待ち構えているだけでは、彼女の言う通り大勢の人間が犠牲に出る可能性が高い。
ヨウカは覚悟を決めて「テンペスト騎士団」の副団長であるリノン、隠密部隊の隊長のカゲマル、あとは元護衛役のポチ子を連れてこの都市の聖導教会に向かうことにした。
「私とフレイ、どちらかを犠牲にしない限りは開かないらしいね」
「そんな事はさせない!!どんな魔物が眠っていようが、私達で倒せばいい!!」
「わふっ!!」
「どっちにしろ、その深淵の森にある集落に行くには魔水晶の罠と、集落を覆う結界、さらに遺跡の封印とやらを何とかしないといけないわけか……」
「……ん?」
ここでソフィアはある事を思い出す。もしかしたら、深淵の森の中央部を囲む魔水晶の罠を突破する事が出来れば集落の中に侵入できる可能性があるかもしれない。ただ、この方法は確実性は無く、数年のうちに深淵の森の結界に変化があった場合はどうしようもない。しかし、十分に賭ける価値はあり、集落の封印の解除する方法をソフィアは「覚えて」いる。
「……もしかしたら最初の罠だけを何とかできれば集落に入れるかもしれない」
「え?本当!?」
「何か心当たりがあるのかい?」
「まあ一応は……けど、どっちにしろフレイは探しておきたい」
「そうだな……生きているのなら保護してあげたいが」
両目を失い、さらには命を狙われている彼女を放っておくわけには行かない。だが、数日だけで放浪島に存在すると思われる彼女を見つけ出せる可能性は低い。それに生きているかどうかも怪しく、捜索隊を送り込んでも無駄になる結果も考えられる。
「放浪島か……捜索するにしても、大規模な人数を動かさないと」
「王国の報告はカゲマルに頼むとして……捜索は私の部隊が請け負おう」
「承知したでござる!!……と、言いたいところでござるが、どうやって王国に戻れば言いでござるか?」
「……あっ」
そこでリノンは現在、闘人都市とバルトロス王国の王城を繋ぐ「転移魔方陣」が既にエルフ達に破壊されており、連絡手段が途切れている事を思い出す。
「し、しまった……これじゃあ、何もできない」
「確かあんた、転移魔方陣の修復には3、4日かかるって言ってたよね……え、それ封印解けるんじゃないのかい?」
「ちょっ、どうするんですか!?何も出来ないじゃないっすか!!」
「お、落ち着け!!そうだ、レノの転移魔方陣なら……」
「いや、あの島は常に移動を続けているし、ここまで距離があると転移は出来ない。それにマーキングもしてないし……」
転移魔方陣は単独では発動不可であり、必ず転移する場所にも魔方陣を事前にを書き込んでいなければならない。しかも放浪島は常に移動を続けているため、以前にアイリィが言っていたように地上と放浪島を転移で移動する事自体が難しい。
唯一、王城の最高位の転移魔方陣ならば何時でも放浪島に転移する事は可能ではあるが、その王城に移動する手段さえも無い状況だ。
「馬で行ったとしても、最低でも二か月以上はかかるでござる……」
「それ、もう辿り着く前に完全に封印が解けてるよね。世界が滅んでるよね」
「ど、どうすれば……」
皆が頭を悩ませる中、巫女姫であるヨウカだけは首を傾げ、
「――聖導教会の転移魔方陣を使えばいいんじゃないかな?」
一瞬、彼女が何を言っているのか理解できず、全員が押し黙り、慌てた様子でヨウカは首を振り、
「え?え?な、何で皆静かになるの?私、可笑しなこと言ったかな……」
「いや……可笑しなことというより、その情報は聖導教会にとっては最重要機密に関わる事じゃないのかい?」
「え!?そ、そうなのかな……」
「そ、それは本当ですか!?」
「わふっ!!そう言えば、私も覚えがあります!!」
「……思い出した。ワルキューレ騎士団も、よく利用してる」
「それを先に言え(デコピン)」
「あう(わう)っ……」
ホノカの発言にだらだらと汗を流すヨウカだが、それよりも彼女の発言が真実なのかと詰め寄る。ついでに今思い出した風のポチ子とコトミに対してレノは額にデコピンを食らわせる。
「う、うん……教会が無い村とかは無理だけど、大抵の聖導教会の建物には他の教会の移動用の転移魔方陣が設置されてるよ?私も巡回中は良くマザーと一緒に転移して移動してたし……」
「聖導教会専用の転移魔方陣という訳か……そんな事、私も知らなかったぞ」
「拙者も同じく……しかし、今は都合が良いでござる!!」
「そうだね……あんたお偉いさんなんだろ?教会の人間に頼み込んで、こいつらを移動させてやりなよ」
「ぇええええええええええええっ!?」
バルの発言にヨウカが大声で狼狽し、すぐにホノカの後ろに隠れる。
「む、無理だよ……巫女姫って言われても、正直私はお飾りだし……それに部外者を転移する事は絶対厳禁だってマザーが……」
「あんたねぇ……大勢の人の命が掛かってんだよ!!しっかりしな!!」
「うっ……はい」
流石にヨウカも事態を把握し、びくびくとしながらも頷く。ここで「深淵の森」に眠っている「魔物」に対して何の対策も無いまま待ち構えているだけでは、彼女の言う通り大勢の人間が犠牲に出る可能性が高い。
ヨウカは覚悟を決めて「テンペスト騎士団」の副団長であるリノン、隠密部隊の隊長のカゲマル、あとは元護衛役のポチ子を連れてこの都市の聖導教会に向かうことにした。
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