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テンペスト騎士団編
現役の聖天魔導士の実力
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「風盾!!」
「待てレノ!!」
センリの杖から放出された青色の「光の鏃」に対し、レノは掌を向けて風の障壁を作り出して防ごうとするが、リノンが制止の言葉を掛ける。、
ズドォオオオッ……!!
「ぐあっ!?」
センリの放った光の鏃はそのままレノが生み出した障壁を貫き、彼の身体に無数の傷跡を生み出す。軌道を反らすどころか、風の防護壁を貫通して突き刺さった事に驚きを隠せない。
「くっ……」
「大丈夫ですか!?」
「下がれ!!」
「レノたん!!」
慌てた様子でゴンゾウがレノを庇うために前に出ると、ポチ子とヨウカが傍に駆けつけ、リノンも剣を抜いて構える。
「待っててね……ヒーリング!!」
ボウッ……!!
ヨウカがミキの杖を向け、レノに白色色の淡い光を放つ。すると、彼の傷口がまるで時間を巻き戻すのように塞がり、出血が止まる。だが、傷口直しただけで痛みが完全に引くまで時間が掛かりそうである。
「無詠唱で回復魔法を……流石です巫女姫様」
堂々とセンリはレノ達に歩みより、感心した声を上げる。だが、明らかにこちらを威圧しており、迂闊には仕掛けられない。また、先ほどのように彼女の周りには青い光を放つ「光球」が生み出され、徐々に数を増やしていく。魔法名を発生しない完全な無詠唱で魔法を発動させる辺り、流石は聖天魔導士と言うべきだろう。
レノは完全に魔法の腕に関してあちらの方が圧倒的に上手だと悟り、先ほどの自分の風盾が通用しなかったところ、あの光球は腐敗竜の骨の槍よりも厄介な攻撃魔法である。
「……精霊魔法は全ての魔法の原型、防ぐとしたら五芒星級の防御魔法陣(プロテクト)でなければ防げない」
「成程……」
以前に闘人都市の教会の庭で見かけた「六芒星」の魔方陣を思いだすが、今のレノでは基本の防御魔法陣しか扱えず、つまり現時点では彼女の攻撃は防ぐことは出来ないという事になる。
「……参る」
「火炎剣!!」
ゴンゾウとリノンも接近戦を挑むため、棍棒と長剣を構えてセンリに向かおうとした時、
「ランス!!」
ボウッ!!
柄が長い杖先から青い光を放出させ、光の形を「槍」のような刃物へと変化させる。同時に杖を振り上げ、
「はぁあああっ!!」
ズドドドドッ!!
「なっ……くっ!?」
「ぬおっ!?」
先端部を「槍」へと変えた杖を構え、二人に対して無数の突きを放つ。その速度は外見からは想像できない程の力強さと速度で繰り出され、老いても尚、一流の戦士である2人を圧倒するにセンリに兵士たちの感嘆の声が上がる。
武術だけでも間違いなくワルキューレ騎士団のテンにも匹敵し、センリは二人が堪らずに後退したのを確認すると、杖を元の状態に戻して先端をゴンゾウに向ける。
「――セイント・フォース!!」
ズドォォオオオンッ!!
杖の先端がまるで光線へと変わり果て、ミキも得意とした聖属性の砲撃魔法がゴンゾウに向けて放たれる。彼は咄嗟に避けようとしたが、
『――金色の雷よ!!』
ズガァアアアアアアアッ!!
「なっ……!?」
「「うわぁああああああっ!?」」
光線が激突する直前、レノがゴンゾウの前に移動して右手に握り締めた「短剣」に金色の雷を走らせ、そのまま光線を天井へと跳ね返す。
「くっ……!?この力……」
「……カラドボルグか……!!」
真正面から砲撃魔法を受け流したレノに対し、センリと教皇は顔色を変える。現在、彼が握りしめている短剣はポチ子の武器であり、紋様を通してカラドボルグの「金色の雷」を送り込み、短剣に魔力付与を行って何とか防いだが、
バリィィイインッ!!
「っと……やっぱり、無理だったか」
短剣の刀身が砕け散り、そのまま地面に散らばる。並の金属ではカラドボルグの雷には耐え切れなかったため、今の一撃で内側から崩壊してしまったらしい。
「わふっ!?わ、私の犬丸二式が……」
「ごめん……というか、そんな名前だったのか」
砕け散った短剣にポチ子は犬耳を垂らして涙目になるが、そんな彼女の頭を撫でやりながら、レノは前方を確認する。
「……最強の聖剣が相手ですか……」
「くっ……」
「う、嘘だろ……センリ様の攻撃を……!?」
「有り得ない……」
流石にセンリたちも動揺している様子であり、此方を警戒して身構える。レノは右手の紋様を確認し、随分と発熱している事に眉を顰める。
(あと1回が限界だな……)
カラドボルグを発現せずに「金色の雷」だけを放出する事で魔力の消費を抑えるが、それでも紋様の発熱の具合からあと1度だけしか扱えない事を悟る。しかし、相手はこちらが無制限にカラドボルグの「力」を扱えるのではないかと警戒しているため、すぐに仕掛ける気配はない。その間にもレノは眼の前のセンリをどうすべきが思考する。
(ミキと同じ聖天魔導士か……あいつ等より厄介だな)
よくよく考えれば、ここまでの実力の高い魔術師を相手にしたことは今までになく、強いて言えば闘人都市で出会った「ビルド(ネクロマンサー)」との戦闘経験はあるが、あの時はミキの助力と偶然にも発動した魔石結合のお蔭で勝利できた。
ある意味、危険性の高い人型の魔物や獰猛性の高い魔獣よりも厄介な相手であり、このままでは分が悪い。だが、センリをどうにかしなければ「儀式の間」に到達できない。
「仕方ない……行くぞ!!」
「おうっ!!」
「分かった!!」
「わぅんっ!!」
「うんっ!!」
5人は武器を取り、センリに向かって構えると彼女も同じように杖先を向け、教皇とワルキューレ騎士団も戦闘態勢に入ろうとした時、
「――待ちな!!」
ドゴォオオオオオオオンッ!!
廊下の間に轟音が響き渡り、レノ達とセンリ達の間に「大剣」が突き刺さる。
「たくっ……何の騒ぎだい」
「……レノ、無事だった」
後方を振り返ると、そこには投擲をした体勢のテンとこちらに向かって歩いてくるコトミの姿があった。
「待てレノ!!」
センリの杖から放出された青色の「光の鏃」に対し、レノは掌を向けて風の障壁を作り出して防ごうとするが、リノンが制止の言葉を掛ける。、
ズドォオオオッ……!!
「ぐあっ!?」
センリの放った光の鏃はそのままレノが生み出した障壁を貫き、彼の身体に無数の傷跡を生み出す。軌道を反らすどころか、風の防護壁を貫通して突き刺さった事に驚きを隠せない。
「くっ……」
「大丈夫ですか!?」
「下がれ!!」
「レノたん!!」
慌てた様子でゴンゾウがレノを庇うために前に出ると、ポチ子とヨウカが傍に駆けつけ、リノンも剣を抜いて構える。
「待っててね……ヒーリング!!」
ボウッ……!!
ヨウカがミキの杖を向け、レノに白色色の淡い光を放つ。すると、彼の傷口がまるで時間を巻き戻すのように塞がり、出血が止まる。だが、傷口直しただけで痛みが完全に引くまで時間が掛かりそうである。
「無詠唱で回復魔法を……流石です巫女姫様」
堂々とセンリはレノ達に歩みより、感心した声を上げる。だが、明らかにこちらを威圧しており、迂闊には仕掛けられない。また、先ほどのように彼女の周りには青い光を放つ「光球」が生み出され、徐々に数を増やしていく。魔法名を発生しない完全な無詠唱で魔法を発動させる辺り、流石は聖天魔導士と言うべきだろう。
レノは完全に魔法の腕に関してあちらの方が圧倒的に上手だと悟り、先ほどの自分の風盾が通用しなかったところ、あの光球は腐敗竜の骨の槍よりも厄介な攻撃魔法である。
「……精霊魔法は全ての魔法の原型、防ぐとしたら五芒星級の防御魔法陣(プロテクト)でなければ防げない」
「成程……」
以前に闘人都市の教会の庭で見かけた「六芒星」の魔方陣を思いだすが、今のレノでは基本の防御魔法陣しか扱えず、つまり現時点では彼女の攻撃は防ぐことは出来ないという事になる。
「……参る」
「火炎剣!!」
ゴンゾウとリノンも接近戦を挑むため、棍棒と長剣を構えてセンリに向かおうとした時、
「ランス!!」
ボウッ!!
柄が長い杖先から青い光を放出させ、光の形を「槍」のような刃物へと変化させる。同時に杖を振り上げ、
「はぁあああっ!!」
ズドドドドッ!!
「なっ……くっ!?」
「ぬおっ!?」
先端部を「槍」へと変えた杖を構え、二人に対して無数の突きを放つ。その速度は外見からは想像できない程の力強さと速度で繰り出され、老いても尚、一流の戦士である2人を圧倒するにセンリに兵士たちの感嘆の声が上がる。
武術だけでも間違いなくワルキューレ騎士団のテンにも匹敵し、センリは二人が堪らずに後退したのを確認すると、杖を元の状態に戻して先端をゴンゾウに向ける。
「――セイント・フォース!!」
ズドォォオオオンッ!!
杖の先端がまるで光線へと変わり果て、ミキも得意とした聖属性の砲撃魔法がゴンゾウに向けて放たれる。彼は咄嗟に避けようとしたが、
『――金色の雷よ!!』
ズガァアアアアアアアッ!!
「なっ……!?」
「「うわぁああああああっ!?」」
光線が激突する直前、レノがゴンゾウの前に移動して右手に握り締めた「短剣」に金色の雷を走らせ、そのまま光線を天井へと跳ね返す。
「くっ……!?この力……」
「……カラドボルグか……!!」
真正面から砲撃魔法を受け流したレノに対し、センリと教皇は顔色を変える。現在、彼が握りしめている短剣はポチ子の武器であり、紋様を通してカラドボルグの「金色の雷」を送り込み、短剣に魔力付与を行って何とか防いだが、
バリィィイインッ!!
「っと……やっぱり、無理だったか」
短剣の刀身が砕け散り、そのまま地面に散らばる。並の金属ではカラドボルグの雷には耐え切れなかったため、今の一撃で内側から崩壊してしまったらしい。
「わふっ!?わ、私の犬丸二式が……」
「ごめん……というか、そんな名前だったのか」
砕け散った短剣にポチ子は犬耳を垂らして涙目になるが、そんな彼女の頭を撫でやりながら、レノは前方を確認する。
「……最強の聖剣が相手ですか……」
「くっ……」
「う、嘘だろ……センリ様の攻撃を……!?」
「有り得ない……」
流石にセンリたちも動揺している様子であり、此方を警戒して身構える。レノは右手の紋様を確認し、随分と発熱している事に眉を顰める。
(あと1回が限界だな……)
カラドボルグを発現せずに「金色の雷」だけを放出する事で魔力の消費を抑えるが、それでも紋様の発熱の具合からあと1度だけしか扱えない事を悟る。しかし、相手はこちらが無制限にカラドボルグの「力」を扱えるのではないかと警戒しているため、すぐに仕掛ける気配はない。その間にもレノは眼の前のセンリをどうすべきが思考する。
(ミキと同じ聖天魔導士か……あいつ等より厄介だな)
よくよく考えれば、ここまでの実力の高い魔術師を相手にしたことは今までになく、強いて言えば闘人都市で出会った「ビルド(ネクロマンサー)」との戦闘経験はあるが、あの時はミキの助力と偶然にも発動した魔石結合のお蔭で勝利できた。
ある意味、危険性の高い人型の魔物や獰猛性の高い魔獣よりも厄介な相手であり、このままでは分が悪い。だが、センリをどうにかしなければ「儀式の間」に到達できない。
「仕方ない……行くぞ!!」
「おうっ!!」
「分かった!!」
「わぅんっ!!」
「うんっ!!」
5人は武器を取り、センリに向かって構えると彼女も同じように杖先を向け、教皇とワルキューレ騎士団も戦闘態勢に入ろうとした時、
「――待ちな!!」
ドゴォオオオオオオオンッ!!
廊下の間に轟音が響き渡り、レノ達とセンリ達の間に「大剣」が突き刺さる。
「たくっ……何の騒ぎだい」
「……レノ、無事だった」
後方を振り返ると、そこには投擲をした体勢のテンとこちらに向かって歩いてくるコトミの姿があった。
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