82 / 657
冒険者編
姿の見えぬ敵
しおりを挟む
身体に押しかかる風圧によってルノは地面に押し付けられ、助けに入ろうとする仲間達も迂闊には近づけない。それでもルノ自身の肉体には傷一つなく、魔法耐性が高すぎるので普通ならば肉体が潰されてもおかしくはないが、彼の肉体はびくともしない。それでも肉体は地面に埋まりつつあり、このままでは生き埋めにされてしまう。
「このぉっ!!」
だが、ルノは寝転がって両手を上空に構え、押し寄せる風圧を相殺するために魔力を集中させる。暴風の強化スキルを発動させ、彼は風圧の魔法を放つ。
「風圧!!」
「うわっ!?」
「ぬおおっ!?」
上空から襲い掛かる突風に対し、ルノは更に強力な竜巻を生み出す。予想以上に魔力を込めてしまい、強烈な竜巻が誕生し、上空から発生する突風を逆に吸収するように振り払う。しかし、土壁で囲まれた空間で竜巻を生み出したことで周囲の人間も巻き込まれてしまい、悲鳴が上がる。
「不味い……消えろっ!!」
このままでは竜巻が他の仲間を傷つけると判断し、ルノは魔法を焼失させようとする。しかし、どういう事なのか竜巻の規模が弱まるだけで完全には消し去ることが出来ず、風の中に緑色の光の球体が出現した。
「何だ!?」
「これは……風の精霊!?」
「精霊?」
リーリスの驚きの声が上がり、ルノは自分の周りに集まってきた緑色の光球に戸惑い、彼の身体に纏わりつく。何が起きているのかは不明だが、ルノは掌を差し出して光球に触れようとすると、擦り抜けてしまう事に気付く。
「そういう事ですか……ルノさん!!それは風の精霊です!!相手は精霊魔法の使い手、つまりは森人族です!!きっと近くに使い手がいるはずですよ!!」
『それはどうかな?』
「声……!?」
ルノ達の耳元に女性の声が響き渡り、間近で語り掛けられたように聞こえるが、実際には姿は見えない。リーリスは魔法の威力から考えても使い手が近くで待機していると考えたが、相手はそれを否定するように話しかける。
『無駄無駄、私を探しても見つからないわよ。リディアとガイアと違って私は自分で出向いて戦うような無駄な真似はしないんだから』
「貴様!!」
『うるさい蜥蜴ね。囮役も満足に出来ない役立たずはもう要らないわ』
「うぐぉっ!?」
声を聴いたガイアが激高するが、即座に上空から風圧が襲い掛かり、ガイアの身体を先ほどのルノのように地面に叩きつける。その光景を確認したルノは頭上からの攻撃を防ぐために氷塊の魔法を発動させようとするが、そんな彼の行動を先読みしたように笑い声が上がる。
『無駄よ。人族の魔法なんかで私の精霊魔法は防げないわ。まあ、精霊の一部が奪われたのは予想外だったけど、こんな場所ならいくらでも代わりはあるのよ』
「この声……そういう事ですか。声を風に乗せて私達に伝えているんですね!!」
『あら?風聞術に気付くなんて……中々の考察力ね。貴方の方がそっちの子よりも面倒そうね』
自分の魔法の正体に気付いたリーリスに声の主は感心するが、その間にもルノは自分の身体に纏わる精霊に視線を向け、心無しではあるが魔力が回復しているような感覚が広がる。無意識にルノは掌をガイアに構え、彼の肉体に襲い掛かる風圧に魔法を放つ。
「風圧!!」
「うおおっ!?」
ルノが魔法を発動した瞬間、精霊の数体が魔法の飲み込まれるように消え去り、直後にルノの掌から通常よりも強烈な風の塊が放たれ、ガイアの肉体を襲い掛かっていた風圧を消散させる。その威力にルノは驚き、彼は精霊の力を借りれば今まで以上に強力な魔法が扱える事に気付く。
『なっ……人間が精霊を従えたというの!?有り得ない!!』
「よく分からないけど……これなら!!」
自分の魔法が呆気なく掻き消された事に驚いた女性の声が響き、ルノは飛翔術を利用して上空に浮上する。そしてガイアの肉体に襲い掛かっていた風圧の内部に存在した精霊を確認し、両手を広げて精霊を受け入れるように引き寄せた。
「力を貸して!!」
『そんな馬鹿なっ!?』
周囲に漂っていた精霊はルノの言葉に従うように集まり、彼の身体に数十の光球が集まる。その光景に誰もが驚愕し、森人族ではないにも関わらずにルノは精霊を従え、魔法を発動させる。
「出来る限り森を傷つけないように……風圧!!」
『きゃああああああっ!?』
ルノが地上に向けて風圧の魔法を発動させた瞬間、凄まじい突風が地上に襲い掛かり、周囲に拡散する。まるでルノの意思に答えるように生み出された風は木々を潜り抜け、周囲一帯に拡散し、やがて安全な場所に隠れていた相手にも到達したのか女性の悲鳴が響き渡る。やがてルノの周囲に存在した精霊が消え去り、森の中に静寂が訪れた――
「このぉっ!!」
だが、ルノは寝転がって両手を上空に構え、押し寄せる風圧を相殺するために魔力を集中させる。暴風の強化スキルを発動させ、彼は風圧の魔法を放つ。
「風圧!!」
「うわっ!?」
「ぬおおっ!?」
上空から襲い掛かる突風に対し、ルノは更に強力な竜巻を生み出す。予想以上に魔力を込めてしまい、強烈な竜巻が誕生し、上空から発生する突風を逆に吸収するように振り払う。しかし、土壁で囲まれた空間で竜巻を生み出したことで周囲の人間も巻き込まれてしまい、悲鳴が上がる。
「不味い……消えろっ!!」
このままでは竜巻が他の仲間を傷つけると判断し、ルノは魔法を焼失させようとする。しかし、どういう事なのか竜巻の規模が弱まるだけで完全には消し去ることが出来ず、風の中に緑色の光の球体が出現した。
「何だ!?」
「これは……風の精霊!?」
「精霊?」
リーリスの驚きの声が上がり、ルノは自分の周りに集まってきた緑色の光球に戸惑い、彼の身体に纏わりつく。何が起きているのかは不明だが、ルノは掌を差し出して光球に触れようとすると、擦り抜けてしまう事に気付く。
「そういう事ですか……ルノさん!!それは風の精霊です!!相手は精霊魔法の使い手、つまりは森人族です!!きっと近くに使い手がいるはずですよ!!」
『それはどうかな?』
「声……!?」
ルノ達の耳元に女性の声が響き渡り、間近で語り掛けられたように聞こえるが、実際には姿は見えない。リーリスは魔法の威力から考えても使い手が近くで待機していると考えたが、相手はそれを否定するように話しかける。
『無駄無駄、私を探しても見つからないわよ。リディアとガイアと違って私は自分で出向いて戦うような無駄な真似はしないんだから』
「貴様!!」
『うるさい蜥蜴ね。囮役も満足に出来ない役立たずはもう要らないわ』
「うぐぉっ!?」
声を聴いたガイアが激高するが、即座に上空から風圧が襲い掛かり、ガイアの身体を先ほどのルノのように地面に叩きつける。その光景を確認したルノは頭上からの攻撃を防ぐために氷塊の魔法を発動させようとするが、そんな彼の行動を先読みしたように笑い声が上がる。
『無駄よ。人族の魔法なんかで私の精霊魔法は防げないわ。まあ、精霊の一部が奪われたのは予想外だったけど、こんな場所ならいくらでも代わりはあるのよ』
「この声……そういう事ですか。声を風に乗せて私達に伝えているんですね!!」
『あら?風聞術に気付くなんて……中々の考察力ね。貴方の方がそっちの子よりも面倒そうね』
自分の魔法の正体に気付いたリーリスに声の主は感心するが、その間にもルノは自分の身体に纏わる精霊に視線を向け、心無しではあるが魔力が回復しているような感覚が広がる。無意識にルノは掌をガイアに構え、彼の肉体に襲い掛かる風圧に魔法を放つ。
「風圧!!」
「うおおっ!?」
ルノが魔法を発動した瞬間、精霊の数体が魔法の飲み込まれるように消え去り、直後にルノの掌から通常よりも強烈な風の塊が放たれ、ガイアの肉体を襲い掛かっていた風圧を消散させる。その威力にルノは驚き、彼は精霊の力を借りれば今まで以上に強力な魔法が扱える事に気付く。
『なっ……人間が精霊を従えたというの!?有り得ない!!』
「よく分からないけど……これなら!!」
自分の魔法が呆気なく掻き消された事に驚いた女性の声が響き、ルノは飛翔術を利用して上空に浮上する。そしてガイアの肉体に襲い掛かっていた風圧の内部に存在した精霊を確認し、両手を広げて精霊を受け入れるように引き寄せた。
「力を貸して!!」
『そんな馬鹿なっ!?』
周囲に漂っていた精霊はルノの言葉に従うように集まり、彼の身体に数十の光球が集まる。その光景に誰もが驚愕し、森人族ではないにも関わらずにルノは精霊を従え、魔法を発動させる。
「出来る限り森を傷つけないように……風圧!!」
『きゃああああああっ!?』
ルノが地上に向けて風圧の魔法を発動させた瞬間、凄まじい突風が地上に襲い掛かり、周囲に拡散する。まるでルノの意思に答えるように生み出された風は木々を潜り抜け、周囲一帯に拡散し、やがて安全な場所に隠れていた相手にも到達したのか女性の悲鳴が響き渡る。やがてルノの周囲に存在した精霊が消え去り、森の中に静寂が訪れた――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。