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冒険者編
証拠品
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「その探偵さんの家は知ってますか?」
「はあっ?……家?」
「そんな事を聞いてどうするのリーリス?」
「探偵ならもしかしたら事件の証拠品や調査資料も作っているかも知れません。その人の家に行って調べてみましょうよ」
「なるほど」
「……生憎だが、そいつの家はもう無くなってるよ」
リーリスの言葉に勘十郎は首を振り、投げつけたパイプを拾い上げながら理由を説明する。
「その探偵の家は探偵の死体が見つかった日に火事が起きて全部燃え尽きちまった」
「火事!?」
「そこまで徹底的にやりますか……そうなるとクロガネを殺した犯人の仕業としか考えられませんね」
「証拠も全部焼却して消し去ったのか……」
「いや……待てよ、もしかしたら残ってるかもしれねえ」
勘十郎は何かを思い出したように顔を上げ、生前の探偵と交流があった人物を話す。
「そういえばあいつ、死ぬ前の日に顔色が悪かったな。気分でも悪いのかと俺が聞いたら、娼館に向かうと言って慌てて逃げて行ったな。仕事中に娼館に立ち寄るなんて面白い奴だと思っていたが、今思えばおかしいな」
「娼館……?」
「それがどうかしたんですか?」
「あいつ、実は娼館で働いている女の子の中の一人が大のお気に入りなんだよ。そいつとは凄く仲が良かったらしいからな……だけど、仕事を引き受けている間に娼館に立ち寄るような奴じゃねえ。もしかしたらそいつに話を聞けば何か分かるかもしれねえ……」
「娼館ですか……ちょっと行きにくい場所ですね」
日の国にも娼館は存在するらしく、探偵は死亡する直前に自分と仲の良い女性の元へ訪れている事が発覚する。勘十郎が見た限りでは顔色が悪かったという点も気になり、まずはそこの娼館を尋ねる必要があるだろう。
「ルノ、リーリス、この人の話を信じるの?」
「少なくとも嘘は言ってないですよ。実は私、真偽眼という能力も持っていますので人の嘘を見抜く事が出来るんです」
「え、何その能力。凄く便利そう」
「おいおい、それなら俺が嘘を言ってないのを最初から知ってたのかよ?」
リーリスの言葉に勘十郎は呆れた表情を浮かべ、同時に安心したように溜息を吐き出す。そんな彼の反応を伺いながらリーリスはルノとヒカゲを抱き寄せ、小声で囁く。
「嘘ですよ。そんな能力、私は持っていません。だけどあの人の反応から嘘とは思えませんね」
「なるほど……確かに演技には見えない」
「何だ、そんな能力があるなら教えてもらおうと考えてたのに」
「SPが余ってるならそれで覚えれば良いじゃないですか。まあ、それはともかく油断だけはしないで下さいね。今回の相手は間違いなく魔王軍ですから」
「その資料も危ないから気を付ける。間違いなく、魔王軍に関する人物の資料も残されているはず」
クロガネが生前に書き残した日記をヒカゲが指さし、この中に書かれている依頼人の詳細資料の中には既に確認されている複数の魔王軍の幹部も記されていた。そのため、まだルノ達が遭遇していない魔王軍の関係者が存在する可能性も大いに高く、今回の事件の犯人も日記に記されている人物の可能性もある。
「あのさ、よくよく考えたらこの日記に描かれている人たちを調査すればいいんじゃないの?もしかしたら今回の犯人も見つかるかも」
「その可能性は十分に高いですけど、これ見てくださいよ。どれだけの人数がいると思うんですか?仮に日影に所属する忍者の人たちを総動員させて調査させてもどれくらいかかる事やら……」
「まあ、広辞苑ぐらいの厚さあるからね……」
「流石にこの人数を片っ端から探すのは難しい」
「おい、さっきから何をこそこそ話してんだよ?」
3人がクロガネの分厚い日記に視線を向けて会話をしていると、訝し気に思った勘十郎が話しかけた時、外側から悲鳴が聞こえてきた。
「う、うわぁあああっ!?」
「ぎゃああっ!?」
「や、やめっ……ぐえっ!?」
尋常ではない悲鳴が響き渡り、その声を聴いた勘十郎は血相を変える。声の主は間違いなく彼が率いていたゼーニ商会の配下の男達であり、咄嗟に槍を掴んで勘十郎は屋敷の出入口の方に向かう。
「くそっ……何だってんだ!?」
「あ、ちょっと!!」
「私達も行く」
勝手に走り出した勘十郎の後を追いかけ、ルノ達も屋敷の出入口に向かうと、そこには身体の各所に刀傷を受けて倒れた男達の姿があり、そして青色の袴を身に着けた集団が存在した。
「お前等は……!?」
「動くな!!貴様等もこいつらの仲間か!?」
「青空組!?どうしてここに!?」
「不味い……」
屋敷に現れたのは青空組の袴を身に着けた男女が入り混じった集団であり、彼等は勘十郎が先に逃がしたはずの男達を抑えつけ、ルノ達に視線を向ける。その内の一人が前に出ると、手配書らしき資料を確認しながら勘十郎を指さす。
「ゼーニ商会の用心棒の勘十郎だな……お前を鍛冶師クロガネの殺人犯の容疑者として拘束する!!」
「な、何だと!?」
予想外の言葉に勘十郎は驚愕の表情を浮かべ、ルノ達も驚きを隠せない。どうしてクロガネの屋敷に青空組が訪れたのかも気になるが、既に彼等がクロガネの死亡を確認している事に動揺を隠せない。
「はあっ?……家?」
「そんな事を聞いてどうするのリーリス?」
「探偵ならもしかしたら事件の証拠品や調査資料も作っているかも知れません。その人の家に行って調べてみましょうよ」
「なるほど」
「……生憎だが、そいつの家はもう無くなってるよ」
リーリスの言葉に勘十郎は首を振り、投げつけたパイプを拾い上げながら理由を説明する。
「その探偵の家は探偵の死体が見つかった日に火事が起きて全部燃え尽きちまった」
「火事!?」
「そこまで徹底的にやりますか……そうなるとクロガネを殺した犯人の仕業としか考えられませんね」
「証拠も全部焼却して消し去ったのか……」
「いや……待てよ、もしかしたら残ってるかもしれねえ」
勘十郎は何かを思い出したように顔を上げ、生前の探偵と交流があった人物を話す。
「そういえばあいつ、死ぬ前の日に顔色が悪かったな。気分でも悪いのかと俺が聞いたら、娼館に向かうと言って慌てて逃げて行ったな。仕事中に娼館に立ち寄るなんて面白い奴だと思っていたが、今思えばおかしいな」
「娼館……?」
「それがどうかしたんですか?」
「あいつ、実は娼館で働いている女の子の中の一人が大のお気に入りなんだよ。そいつとは凄く仲が良かったらしいからな……だけど、仕事を引き受けている間に娼館に立ち寄るような奴じゃねえ。もしかしたらそいつに話を聞けば何か分かるかもしれねえ……」
「娼館ですか……ちょっと行きにくい場所ですね」
日の国にも娼館は存在するらしく、探偵は死亡する直前に自分と仲の良い女性の元へ訪れている事が発覚する。勘十郎が見た限りでは顔色が悪かったという点も気になり、まずはそこの娼館を尋ねる必要があるだろう。
「ルノ、リーリス、この人の話を信じるの?」
「少なくとも嘘は言ってないですよ。実は私、真偽眼という能力も持っていますので人の嘘を見抜く事が出来るんです」
「え、何その能力。凄く便利そう」
「おいおい、それなら俺が嘘を言ってないのを最初から知ってたのかよ?」
リーリスの言葉に勘十郎は呆れた表情を浮かべ、同時に安心したように溜息を吐き出す。そんな彼の反応を伺いながらリーリスはルノとヒカゲを抱き寄せ、小声で囁く。
「嘘ですよ。そんな能力、私は持っていません。だけどあの人の反応から嘘とは思えませんね」
「なるほど……確かに演技には見えない」
「何だ、そんな能力があるなら教えてもらおうと考えてたのに」
「SPが余ってるならそれで覚えれば良いじゃないですか。まあ、それはともかく油断だけはしないで下さいね。今回の相手は間違いなく魔王軍ですから」
「その資料も危ないから気を付ける。間違いなく、魔王軍に関する人物の資料も残されているはず」
クロガネが生前に書き残した日記をヒカゲが指さし、この中に書かれている依頼人の詳細資料の中には既に確認されている複数の魔王軍の幹部も記されていた。そのため、まだルノ達が遭遇していない魔王軍の関係者が存在する可能性も大いに高く、今回の事件の犯人も日記に記されている人物の可能性もある。
「あのさ、よくよく考えたらこの日記に描かれている人たちを調査すればいいんじゃないの?もしかしたら今回の犯人も見つかるかも」
「その可能性は十分に高いですけど、これ見てくださいよ。どれだけの人数がいると思うんですか?仮に日影に所属する忍者の人たちを総動員させて調査させてもどれくらいかかる事やら……」
「まあ、広辞苑ぐらいの厚さあるからね……」
「流石にこの人数を片っ端から探すのは難しい」
「おい、さっきから何をこそこそ話してんだよ?」
3人がクロガネの分厚い日記に視線を向けて会話をしていると、訝し気に思った勘十郎が話しかけた時、外側から悲鳴が聞こえてきた。
「う、うわぁあああっ!?」
「ぎゃああっ!?」
「や、やめっ……ぐえっ!?」
尋常ではない悲鳴が響き渡り、その声を聴いた勘十郎は血相を変える。声の主は間違いなく彼が率いていたゼーニ商会の配下の男達であり、咄嗟に槍を掴んで勘十郎は屋敷の出入口の方に向かう。
「くそっ……何だってんだ!?」
「あ、ちょっと!!」
「私達も行く」
勝手に走り出した勘十郎の後を追いかけ、ルノ達も屋敷の出入口に向かうと、そこには身体の各所に刀傷を受けて倒れた男達の姿があり、そして青色の袴を身に着けた集団が存在した。
「お前等は……!?」
「動くな!!貴様等もこいつらの仲間か!?」
「青空組!?どうしてここに!?」
「不味い……」
屋敷に現れたのは青空組の袴を身に着けた男女が入り混じった集団であり、彼等は勘十郎が先に逃がしたはずの男達を抑えつけ、ルノ達に視線を向ける。その内の一人が前に出ると、手配書らしき資料を確認しながら勘十郎を指さす。
「ゼーニ商会の用心棒の勘十郎だな……お前を鍛冶師クロガネの殺人犯の容疑者として拘束する!!」
「な、何だと!?」
予想外の言葉に勘十郎は驚愕の表情を浮かべ、ルノ達も驚きを隠せない。どうしてクロガネの屋敷に青空組が訪れたのかも気になるが、既に彼等がクロガネの死亡を確認している事に動揺を隠せない。
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