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冒険者編
事件解決
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「この刀さえ取れば……うわ、何だ?」
「どうしました!?」
「くくくっ……その刀は使い手を選ぶ!!資格無き者は魔力を吸いつくされるぞ!!」
月光を奪い取ったルノだが、刀を握りしめた瞬間に奇妙な脱力感に襲われ、地面に膝を付く。その様子に黒兵衛は笑い声をあげたが、即座にルノは立ち上がる。
「あれ?急に楽なった」
「何っ!?」
何故か脱力感が急に消え去り、何事も無かったようにルノは立ち上がる。その光景に黒兵衛は唖然とするが、刀身が今までにない程に光り輝き、月光の名前に相応しい美しさを醸し出した。
「ば、馬鹿な……月光が認めたというのか!?」
「うわ、眩しいな……しまおう」
あまりの輝きにルノは目元を覆い隠し、地面に落ちていた鞘を見つけ、刀身を収める。その光景に黒兵衛はへたれ込み、目の前の出来事に動揺を隠せない。
「あ、有り得ない……こんな小僧に月光が認めたなんて……ふざけるなぁっ!!」
「うるさい!!」
「ぐあっ!?」
叫び声を上げた黒兵衛の背後からリーリスが木片を叩きつける。彼女の傍には頭に大きなたんこぶが出来た状態の女性が倒れており、どうやら既に気絶させたらしい。
「全く、手こずらせましたね……でも、これで事件解決ですね」
「最後に良い所だけを持って行ったね。あ、ソウシさんは?」
「こっちも終わりましたよ」
ソウシが少年と男性の身体を持ち上げながらルノ達の元に近づき、これで全員の捕縛に成功する。月光で受けた傷口に関してはリーリスが回復魔法を施し、治療を行う。
「動かないで下さいね……治療」
「いててっ……あ、治った」
「それにしても傷口を凍り付かせるなんて無茶をしましたね。自分の魔法は自分の肉体を傷つけないと言っても、対外に放出された血液に関しては別という事を知ってたんですか?」
「いや、とりあえず血を止められればいいかなと思っただけ」
この世界の魔法は使用者が生み出した魔法ならば肉体を傷つけないという法則が存在し、傷口を凍り付かせても凍傷は引き起こさない。しかし、対外に放出される血液に関しては別であり、血液を冷気で固めて止血の役割を行う程度の事は出来る。
「それにしてもまさか共犯者がいたとは……それに武器の扱いも心得ていた。どうやら一般人を脅して仲間にしたわけじゃなさそうだな」
「その辺の事はおまわりさんに任せますよ。さあ、私達はもう帰りましょうか」
「え、帰るの?」
「事件はこれで解決ですよ。後の面倒な事はこの国の人達に任せましょう」
「ちょっと待ってください。まだ話が……」
「ああ、それと私達が魔法を使った事は大目に見てくださいね。そのお陰で大勢の人の命を救ったんですから」
「まあ、宿屋を破壊しちゃったけど……」
リーリスは早急にこの場を立ち去るため、ルノの手を握って立ち去ろうとする。しかし、ソウシとしては事件の犯人を捕まえた彼等をこのまま帰すわけにはいかない。
「だから待ってくださいって……御二人には面倒を掛ける事になるかもしれませんけど、一応は事情報告を付き合ってもらいたいんですよ」
「それこそ知った事じゃないですよ。私達を除け者にして自分達で事件解決しようとして、人が一晩掛けて選別した資料を奪い取るような人たちとのいう事なんか聞きません」
「ええっ……」
どうやら黒鉄の日記を元に製作した資料を強制的に奪われたことを気にいしていたらしく、リーリスはルノを連れてその場を立ち去る。ソウシは追いかけようとしたが、捕縛した4人を放置する事は出来ず、結局は他の隊員が訪れるまでの間、彼は4人が逃げ出さないように見張り続けるしかなかった――
――リーリスに連れられるままにルノは宿屋に戻ってから数時間後、宿屋の元にヒカゲが訪れる。既に彼女は事件の報告を受けていたらしく、捕まえた黒兵衛から聞き出した事件の真相を二人に伝える。
「えっ?じゃあ、あの黒兵衛という人は魔王軍とは何の関係もなかったんですか?」
「そう。調べた限り、只の窃盗目的でクロガネに近づいただけ。3人の仲間も彼の親戚で魔王軍とは関りがなかった」
「なんだ……結局、魔王軍の手掛かりは掴めなかったんですか」
ヒカゲの話によると黒兵衛はクロガネに近づいたのは彼がゼーニ商会と関りを持ち、近いうちにゼーニ商会から貴重なアダマンタイトを大量に受け取るという情報を知ったからだと判明する。事件の経緯はリーリスの推察通りに黒兵衛がクロガネと接触し、彼の屋敷に隠された工房の存在を知っていた信也から情報を聞き出し、殺害した後にクロガネが製作していたアダマンタイトの銅像を盗み出したらしい。
「どうしてアダマンタイトの銅像を盗んだんですか?」
「アダマンタイトは貴重な金属、だから他の国に売り飛ばすために盗み出したと自白した。他の三人も彼の計画に賛同して手伝っただけ」
「それにしては素人とは思えない程に武器の扱いを心得てましたけど?」
「3人を調べたところ、全員がお尋ね者だった。元々は都の外で生まれ育っていたから武器の扱いも心得ていたらしい。黒兵衛と知り合ったのっも都に訪れる前からみたい」
「なるほど」
結局、今回の殺人事件に関しては黒兵衛が金銭目的でクロガネを殺害しただけに過ぎず、彼自身は魔王軍の関係者では無い事が判明した。だが、ヒカゲが調べたところ黒兵衛がアダマンタイトの銅像を売却した相手に関しては大きな謎が残っていた。
「どうしました!?」
「くくくっ……その刀は使い手を選ぶ!!資格無き者は魔力を吸いつくされるぞ!!」
月光を奪い取ったルノだが、刀を握りしめた瞬間に奇妙な脱力感に襲われ、地面に膝を付く。その様子に黒兵衛は笑い声をあげたが、即座にルノは立ち上がる。
「あれ?急に楽なった」
「何っ!?」
何故か脱力感が急に消え去り、何事も無かったようにルノは立ち上がる。その光景に黒兵衛は唖然とするが、刀身が今までにない程に光り輝き、月光の名前に相応しい美しさを醸し出した。
「ば、馬鹿な……月光が認めたというのか!?」
「うわ、眩しいな……しまおう」
あまりの輝きにルノは目元を覆い隠し、地面に落ちていた鞘を見つけ、刀身を収める。その光景に黒兵衛はへたれ込み、目の前の出来事に動揺を隠せない。
「あ、有り得ない……こんな小僧に月光が認めたなんて……ふざけるなぁっ!!」
「うるさい!!」
「ぐあっ!?」
叫び声を上げた黒兵衛の背後からリーリスが木片を叩きつける。彼女の傍には頭に大きなたんこぶが出来た状態の女性が倒れており、どうやら既に気絶させたらしい。
「全く、手こずらせましたね……でも、これで事件解決ですね」
「最後に良い所だけを持って行ったね。あ、ソウシさんは?」
「こっちも終わりましたよ」
ソウシが少年と男性の身体を持ち上げながらルノ達の元に近づき、これで全員の捕縛に成功する。月光で受けた傷口に関してはリーリスが回復魔法を施し、治療を行う。
「動かないで下さいね……治療」
「いててっ……あ、治った」
「それにしても傷口を凍り付かせるなんて無茶をしましたね。自分の魔法は自分の肉体を傷つけないと言っても、対外に放出された血液に関しては別という事を知ってたんですか?」
「いや、とりあえず血を止められればいいかなと思っただけ」
この世界の魔法は使用者が生み出した魔法ならば肉体を傷つけないという法則が存在し、傷口を凍り付かせても凍傷は引き起こさない。しかし、対外に放出される血液に関しては別であり、血液を冷気で固めて止血の役割を行う程度の事は出来る。
「それにしてもまさか共犯者がいたとは……それに武器の扱いも心得ていた。どうやら一般人を脅して仲間にしたわけじゃなさそうだな」
「その辺の事はおまわりさんに任せますよ。さあ、私達はもう帰りましょうか」
「え、帰るの?」
「事件はこれで解決ですよ。後の面倒な事はこの国の人達に任せましょう」
「ちょっと待ってください。まだ話が……」
「ああ、それと私達が魔法を使った事は大目に見てくださいね。そのお陰で大勢の人の命を救ったんですから」
「まあ、宿屋を破壊しちゃったけど……」
リーリスは早急にこの場を立ち去るため、ルノの手を握って立ち去ろうとする。しかし、ソウシとしては事件の犯人を捕まえた彼等をこのまま帰すわけにはいかない。
「だから待ってくださいって……御二人には面倒を掛ける事になるかもしれませんけど、一応は事情報告を付き合ってもらいたいんですよ」
「それこそ知った事じゃないですよ。私達を除け者にして自分達で事件解決しようとして、人が一晩掛けて選別した資料を奪い取るような人たちとのいう事なんか聞きません」
「ええっ……」
どうやら黒鉄の日記を元に製作した資料を強制的に奪われたことを気にいしていたらしく、リーリスはルノを連れてその場を立ち去る。ソウシは追いかけようとしたが、捕縛した4人を放置する事は出来ず、結局は他の隊員が訪れるまでの間、彼は4人が逃げ出さないように見張り続けるしかなかった――
――リーリスに連れられるままにルノは宿屋に戻ってから数時間後、宿屋の元にヒカゲが訪れる。既に彼女は事件の報告を受けていたらしく、捕まえた黒兵衛から聞き出した事件の真相を二人に伝える。
「えっ?じゃあ、あの黒兵衛という人は魔王軍とは何の関係もなかったんですか?」
「そう。調べた限り、只の窃盗目的でクロガネに近づいただけ。3人の仲間も彼の親戚で魔王軍とは関りがなかった」
「なんだ……結局、魔王軍の手掛かりは掴めなかったんですか」
ヒカゲの話によると黒兵衛はクロガネに近づいたのは彼がゼーニ商会と関りを持ち、近いうちにゼーニ商会から貴重なアダマンタイトを大量に受け取るという情報を知ったからだと判明する。事件の経緯はリーリスの推察通りに黒兵衛がクロガネと接触し、彼の屋敷に隠された工房の存在を知っていた信也から情報を聞き出し、殺害した後にクロガネが製作していたアダマンタイトの銅像を盗み出したらしい。
「どうしてアダマンタイトの銅像を盗んだんですか?」
「アダマンタイトは貴重な金属、だから他の国に売り飛ばすために盗み出したと自白した。他の三人も彼の計画に賛同して手伝っただけ」
「それにしては素人とは思えない程に武器の扱いを心得てましたけど?」
「3人を調べたところ、全員がお尋ね者だった。元々は都の外で生まれ育っていたから武器の扱いも心得ていたらしい。黒兵衛と知り合ったのっも都に訪れる前からみたい」
「なるほど」
結局、今回の殺人事件に関しては黒兵衛が金銭目的でクロガネを殺害しただけに過ぎず、彼自身は魔王軍の関係者では無い事が判明した。だが、ヒカゲが調べたところ黒兵衛がアダマンタイトの銅像を売却した相手に関しては大きな謎が残っていた。
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