最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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帝都防衛編

一般人のレベルの上昇率

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「確かにスキルの中には魔力を自動回復させるスキルも存在します。ですけどスキルの習得にSPを必要とします。さらに言えば王女様の職業は魔術師しゃないのか問題なんですよ」
「あ、そっか……SPはレベルが上がらないと手に入らないのか」


スキルの習得に必要なSPはレベルが上昇しなければ入手出来ず、しかも職業に適していない能力の習得の場合は余分にSPを消費しなければ覚えられない。


「そもそもレベルを上げるには魔物を倒さないといけません。まさか病で弱っている王女様を戦わせるわけにはいきませんし、魔物と戦わないからレベルも上がらない。正に八方塞がりなんですよ」
「でも経験石はどうなの?あれを使えば経験値が手にはいるんでしょ?」


魔物を倒さずとも、魔物の体内に存在する経験石を破壊すれば経験値は入手出来る。その方法で戦闘に適した能力を覚えられない職業の人間でもレベルを上昇できるという話をルノはドルトンから聞かされていたが、リーリスによるとこちらの方法も問題があるらしい。


「確かに経験石を破壊して経験値を入手する方法はあります。ですけど普通の人間はルノさんみたいに簡単にレベルは上がらないんですよ?例えば私が最初にレベルを上げるのにどれくらいの魔物を倒したと思いますか?」
「え?えっと……ゴブリンを2、3体?」


ルノは自分のレベルが上昇した時の基準で答えると、リーリスはため息を吐きながら答える。


「私も正確な数は覚えてませんけど、だいたい20体ぐらい倒しました」
「えっ」
「まあ、魔術師の場合は普通よりレベルが上がりにくいという事を差し引いても、普通の人間はそれぐらいの魔物を倒さないといけませんね」
「そうなの!?」


衝撃的な事実にルノは動揺するが、リーリスは呆れた表情を浮かべながら説明を行う。


「まあ……子供の頃なら比較的にレベルも上がりやすいですし、スキルも覚えやすいです。それでもルノさんのようにゴブリンを2、3体倒したぐらいでレベルを上がる人間なんていませんよ」
「そうだったのか……」


成長の異能の恩恵でルノは常人の約10倍の成長率を誇るらしく、普通の人間は彼の様に魔物を倒したところで大量の経験値は入手出来ない。しかもルノの場合は能力の上昇率も高く、初級魔法の熟練度の上昇も早かった。しかし、一般人の場合は彼のように成長する事は有り得ない。


「でも竜種とかの経験石は凄く経験値が蓄積されているんでしょ?それを使えば……」
「いや、竜種の経験石なんて滅多に手に入りませんし、そもそも破壊するのも困難ですよ。弱い魔物の経験石なら専用の道具で破壊出来ますが、竜種のような化物だと破壊するのに凄く苦労するんです」
「まあ、言われてみればそうか……」


経験石は非常に硬く、場合によっては倒した武器として利用する魔物まで存在する(角兎など)。特に竜種クラスの経験石の場合は破壊する事も難しく、とても病気で弱っている王女では破壊できる代物ではない。


「レベルを上げる事が出来なければSPも手に入りません。だから王女様も苦しんだままです。残念ですけどどうしようもありませんよ」
「そうは言っても……助けられないの?」
「難しいとしか言えません。そもそも呪魔病はどのような原理で感染すると思いますか?」
「え?さあ……腐った食べ物を食べたりとか」
「食あたりじゃないんですから、そもそも王女様に腐った食べ物を食べさせるわけないでしょっ!!正解は二角獣バイコーンという魔物が関係しています」
「バイコーン?」
「ルノさんも一角獣ユニコーンは知ってますよね?美しい白馬に額に角が生えた神話の生物です。ですけど、このユニコーンの亜種には二本の角を生やした黒馬は二角獣と呼ばれています」


リーリスの話によると王女は生まれた時から呪魔病に侵されていたわけではなく、子供の頃に二角獣と呼ばれる生物に遭遇し、角を突き刺されたという。


「王女様がまだ小さい頃、皇帝陛下が城の外へ連れ出したことがあったんです。王女様が城の外の世界も知りたいという理由で親馬鹿な陛下は断り切れず、結局は護衛を引き連れて帝都の外へ赴いたんです」
「それって危なくない?皇族が外に出るなんて危険すぎない?」
「もちろん色んな人から反対もありましたよ。けど、デキン大臣が提案で結局は1000人の護衛の元で二人は帝都の外に出ました。今思えばこの時から魔王軍は活動していたのかもしれませんね……」
「その後はどうなったの?」


とりあえずは帝都の周囲を移動した後に帰還しようとしたらしいですけど、唐突に草原にバイコーンが現れて皇帝陛下と王女様の乗っている馬車を襲ったんです。幸いにも命は無事だったんですが、王女様はその時にバイコーンの角を身体に受けてしまったんです」
「皇帝さんはどうして平気だったの?」
「恐らくは聖光石のペンダントを持っていたからです。バイコーンは聖属性の魔力を大の苦手としているのできっと皇帝には手を出せなかったんでしょう。だから代わりにその娘を襲ったんです」
「そんな……」


あまりにも酷い話にルノは黙り込み、自分を救い出してくれた王女がそれほど危険な目に遭っていた事に深く同情する。
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