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外伝 〈一人旅〉
死霊使いの捜索
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――数十分後、街中に存在する囚人全員が呼び出され、その数は城壁の上に立つルノの前に並ぶ。囚人が集まったことを確認すると、ルノは城壁の上から指示を与える。
「これから隠れている死霊使いを探し出す。皆は一列に並んで顔を見せて!!勝手に抜け出そうとしたり、逃げようとした人間は捕まえる!!」
「し、死霊使い?」
「一体なんだよ急に……」
「お前等口答えするんじゃねえっ!!いいから並べ!!」
ルノの言葉に囚人達は戸惑うが、キジンが怒鳴りつけると彼等は渋々と動き始め、4つの列に別れる。それを確認したルノは信用できる囚人達に見張り役を命じる。
「ニオ、キジン、それにリディアはこっちの3列の様子を見てて。最初からこの場所に居た皆も列を乱す人間が居たら俺に教えて」
「は、はい!!」
「分かったよ」
「しょうがないわね……」
『うっす!!』
最初から城壁に集まっていた囚人達は各自別れて列の見張りを行い、ルノは横一列に並べさせた囚人達の顔を一人ずつ確認する。技能スキルの「観察眼」を発動させ、昼間に遭遇した兵士の顔を思い出しながら確認を行う。
「……違う」
「え、あの……」
「静かに」
顔を確認して別人だと判断すると隣の人物の顔を確認する。囚人達の中で兵士の顔と似ていた人物を見つけたら見張り役の囚人を呼び寄せて城壁まで連行する。
「……目元が似てる。君は城壁に移動して」
「おい、何だってんだよ!?」
「うるさい!!さっさと兄貴の言うとおりにしろ!!」
「ふざけんな!!説明も無しに……うおっ!?」
「ごめん、今は説明している暇はない」
指定された囚人が騒ぎ出そうとするが、ルノは掌を構えて上空に白雷を撃ち込む。その光景に囚人達は目を見開き、ルノは右手から電流を迸らせながら囚人に指示を出す。
「あっち、行ってね」
「は、はい!!」
「早くしろ馬鹿!!兄貴を怒らせるんじゃねえよ!!」
反抗しようとした囚人を強制的に城壁の上に移動させ、ルノは次の囚人の確認を行う。数百人の囚人を一人ずつ確認し、常に観察眼のスキルを発動させる行為はルノの精神を磨り減らすが、それでも諦めずに時間を掛けて怪しい人物を見出す。
「よし、この列は終わった……でも他の列が終るまでじっとしててね」
「あ、あの……トイレに行きたいんですけど」
「我慢して、出来る限り早く終わらせるから」
「はい!!」
まだ確認を終わっていない囚人はどのような理由でも勝手に行動することを禁じ、ルノは次々と囚人の顔を確認する。顔立ちだけではなく、背格好にも気を配り、来ている衣服にも注意する。
「この服、妙に綺麗だね。どうして?」
「あ、えっと……昨日洗濯したばかりで……」
「……一応は連れて行って」
「はい!!」
「え、あの!?」
背丈と体格が似ている女性の囚人が連行され、その様子を見ていた囚人は不安を増すが、今のルノに逆らえる人間はいない。2つ目の列が終り、3つ目の列に確認しようとした時、見張り役を務めていたキジンが騒ぎ出す。
「おい!!てめえ、今列から離れたようとしたな!!」
「ち、違います……私は……」
「うるせえ!!こっちに来い!!どうして顔を隠してやがる!!」
キジンが囚人の一人を引き連れ、ルノの元に訪れる。警戒を解かずにルノは囚人が纏っているフードを外すように指示を出す。
「顔、見せてくれる?」
「い、嫌です……私、顔だけは……」
「ふざけてんじゃねえ!!いいから早く見せろ!!」
「や、火傷を見られたくないの!!お願いだから……」
キジンがフードを引き剥がそうとすると女性と思われる囚人はうずくまり、その様子を憐れんだのかリディアが声を掛ける。
「ね、ねえ……そいつの顔は私が見るわよ。それならいいでしょ?」
「でも、リディアは顔を知らないんでしょ?」
「そいつの言葉が本当なら火傷を顔に負ってるんでしょ?それを確認できれば別人だと分かるじゃない」
「……そうだね」
リディアの言葉にルノは頷き、囚人の元にリディアが向かう。しかし、その際にルノはある事を思い出したように彼女の肩を掴む。
「待って、肩にゴミが付いてるよ」
「え?あ、そう……」
唐突に肩を掴まれたリディアは戸惑ったが、すぐにルノが肩を離すと囚人の元へ赴き、優しく語り掛ける。
「ほら、あんたの顔を見せなさいよ。誰にも見られないように気を付けるから……」
「……はい」
跪いていた囚人はゆっくりと顔を上げ、リディアが彼女のフードに手を伸ばそうとした時、囚人が両腕を突き刺す。
「死ね」
「えっ……」
「リディア!!」
フードから突き出された両手には黒色の刃の短剣が握りしめられており、囚人はリディアの胸元に向けて突き刺す。それを見たルノは声を上げ、リディアは目を見開く。
「っ……!?」
「……何てね」
だが、金属音が響き渡り、囚人が突き刺した刃物は弾かれる。何時の間にかリディアの胸元の前にはルノが作り出した小型の氷盾が浮揚しており、突き刺された刃を防ぐ。ルノが彼女の肩を掴んだ時に気付かれないように氷盾をリディアの身体に張り付かせ、彼女の身を守っていた。
「これから隠れている死霊使いを探し出す。皆は一列に並んで顔を見せて!!勝手に抜け出そうとしたり、逃げようとした人間は捕まえる!!」
「し、死霊使い?」
「一体なんだよ急に……」
「お前等口答えするんじゃねえっ!!いいから並べ!!」
ルノの言葉に囚人達は戸惑うが、キジンが怒鳴りつけると彼等は渋々と動き始め、4つの列に別れる。それを確認したルノは信用できる囚人達に見張り役を命じる。
「ニオ、キジン、それにリディアはこっちの3列の様子を見てて。最初からこの場所に居た皆も列を乱す人間が居たら俺に教えて」
「は、はい!!」
「分かったよ」
「しょうがないわね……」
『うっす!!』
最初から城壁に集まっていた囚人達は各自別れて列の見張りを行い、ルノは横一列に並べさせた囚人達の顔を一人ずつ確認する。技能スキルの「観察眼」を発動させ、昼間に遭遇した兵士の顔を思い出しながら確認を行う。
「……違う」
「え、あの……」
「静かに」
顔を確認して別人だと判断すると隣の人物の顔を確認する。囚人達の中で兵士の顔と似ていた人物を見つけたら見張り役の囚人を呼び寄せて城壁まで連行する。
「……目元が似てる。君は城壁に移動して」
「おい、何だってんだよ!?」
「うるさい!!さっさと兄貴の言うとおりにしろ!!」
「ふざけんな!!説明も無しに……うおっ!?」
「ごめん、今は説明している暇はない」
指定された囚人が騒ぎ出そうとするが、ルノは掌を構えて上空に白雷を撃ち込む。その光景に囚人達は目を見開き、ルノは右手から電流を迸らせながら囚人に指示を出す。
「あっち、行ってね」
「は、はい!!」
「早くしろ馬鹿!!兄貴を怒らせるんじゃねえよ!!」
反抗しようとした囚人を強制的に城壁の上に移動させ、ルノは次の囚人の確認を行う。数百人の囚人を一人ずつ確認し、常に観察眼のスキルを発動させる行為はルノの精神を磨り減らすが、それでも諦めずに時間を掛けて怪しい人物を見出す。
「よし、この列は終わった……でも他の列が終るまでじっとしててね」
「あ、あの……トイレに行きたいんですけど」
「我慢して、出来る限り早く終わらせるから」
「はい!!」
まだ確認を終わっていない囚人はどのような理由でも勝手に行動することを禁じ、ルノは次々と囚人の顔を確認する。顔立ちだけではなく、背格好にも気を配り、来ている衣服にも注意する。
「この服、妙に綺麗だね。どうして?」
「あ、えっと……昨日洗濯したばかりで……」
「……一応は連れて行って」
「はい!!」
「え、あの!?」
背丈と体格が似ている女性の囚人が連行され、その様子を見ていた囚人は不安を増すが、今のルノに逆らえる人間はいない。2つ目の列が終り、3つ目の列に確認しようとした時、見張り役を務めていたキジンが騒ぎ出す。
「おい!!てめえ、今列から離れたようとしたな!!」
「ち、違います……私は……」
「うるせえ!!こっちに来い!!どうして顔を隠してやがる!!」
キジンが囚人の一人を引き連れ、ルノの元に訪れる。警戒を解かずにルノは囚人が纏っているフードを外すように指示を出す。
「顔、見せてくれる?」
「い、嫌です……私、顔だけは……」
「ふざけてんじゃねえ!!いいから早く見せろ!!」
「や、火傷を見られたくないの!!お願いだから……」
キジンがフードを引き剥がそうとすると女性と思われる囚人はうずくまり、その様子を憐れんだのかリディアが声を掛ける。
「ね、ねえ……そいつの顔は私が見るわよ。それならいいでしょ?」
「でも、リディアは顔を知らないんでしょ?」
「そいつの言葉が本当なら火傷を顔に負ってるんでしょ?それを確認できれば別人だと分かるじゃない」
「……そうだね」
リディアの言葉にルノは頷き、囚人の元にリディアが向かう。しかし、その際にルノはある事を思い出したように彼女の肩を掴む。
「待って、肩にゴミが付いてるよ」
「え?あ、そう……」
唐突に肩を掴まれたリディアは戸惑ったが、すぐにルノが肩を離すと囚人の元へ赴き、優しく語り掛ける。
「ほら、あんたの顔を見せなさいよ。誰にも見られないように気を付けるから……」
「……はい」
跪いていた囚人はゆっくりと顔を上げ、リディアが彼女のフードに手を伸ばそうとした時、囚人が両腕を突き刺す。
「死ね」
「えっ……」
「リディア!!」
フードから突き出された両手には黒色の刃の短剣が握りしめられており、囚人はリディアの胸元に向けて突き刺す。それを見たルノは声を上げ、リディアは目を見開く。
「っ……!?」
「……何てね」
だが、金属音が響き渡り、囚人が突き刺した刃物は弾かれる。何時の間にかリディアの胸元の前にはルノが作り出した小型の氷盾が浮揚しており、突き刺された刃を防ぐ。ルノが彼女の肩を掴んだ時に気付かれないように氷盾をリディアの身体に張り付かせ、彼女の身を守っていた。
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