最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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巨人国 侵攻編

ギルスVSナオ

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「愚か者共が……起きろ!!」
「うえっ!?しょ、将軍……!?」
「ああっ……!?」


兵士の士気を上げるために宴を許可したのはギルスだが、職務中の兵士にまで飲酒を許した覚えはなく、叱りつけるためにギルスは怒鳴りつける。慌てて起き上がろうとした兵士達だが、足をもつれさせて倒れ込む。その様子を見てギルスは頭を抱え、彼等を怒鳴りつけた。


「貴様等、たるみ過ぎだぞ!!それでも巨人国の精鋭部隊か!!」
「も、申し訳ありませ……うぐっ!?」
「おい、どうし……あだぁっ!?」
「何!?」


二人の兵士にギルスは叱りつけた瞬間、唐突に兵士達は悲鳴を上げて地面に倒れてしまう。それを見たギルスは二人の様子を確認すると、兜の隙間から頭に木の実ような物を撃ち込まれて気絶した事を知る。額にめり込んだ木の実を拾い上げたギルスは即座に振り返るが、そこには誰も居ない。


「どういう事だ……いや、そこか!!」
『うわっ!?』


ギルスは戸惑いの表情を浮かべたが、すぐに自分の背後に違和感を抱いて背中に背負っていた戦斧を振り回す。すると何時の間にか接近していた人間の少年が姿を現し、それを見たギルスは相手が暗殺者だけが扱える「隠密」と呼ばれるスキルで存在感を消す能力で自分に不意打ちを仕掛けようとしていた事を知る。


「貴様、暗殺者か!!」
「流石は将軍……でも、これならどうですか!?」


ナオは両手を構えるとグリドンの木の実を「指弾」の戦技で次々と打ち抜く。指で弾かれた木の実に対してギルスは両手を交差して防ぐが、1つ1つの指弾の威力が尋常ではなく、身に着けている鎧が凹む。


(何だこの馬鹿けた威力は……!?)


通常の「指弾」の戦技は相手を怯ませる程度で決して攻撃に特化した戦技ではなく、本来は相手の急所を狙う撃つしか損傷を与えられない。だが、ナオの指弾はギルスの特注の鎧を凹ませるだけではなく、明らかに別方向に撃たれた指弾が障害物に当たって「跳弾」するように確実にギルスに的中する。


「降参してください!!でないと死んじゃいますよ!?」
「ぐうっ……舐めるな小僧が!!」


両手に握りしめていた木の実が切れたのか、ナオが指弾の中断するとギルスは戦斧を振り上げてナオを狙う。だが、将軍として数多の強敵を屠ってきたギルスの攻撃をナオは紙一重で回避を行い、小袋から木の実を取り出す。


「そこっ!!」
「ぐあっ!?」


隙を突いてギルスの額に木の実を叩き込むと、強烈な衝撃を受けて脳震盪を起こしたギルスが倒れ込み、その間にナオはギルスの背後に空間魔法を発動させて「黒渦」を作り出す。そのままギルスが起き上がる前にナオは跳躍し、膝を付いているギルスにドロップキックを食らわせた。


「だあっ!!」
「うおっ……!?」


ギルスは黒渦の中に倒れ込もうとしたが、寸前で下半身に力を入れて踏み止まる。どうやら指弾以外のナオの攻撃はそれほどではなく、逆にギルスは戦斧を上段に構えてナオに振り下ろそうとした。


「小僧!!これで終わりだ!!」
「キュロロッ!!」
「ブモォッ!!」


だが、ナオに戦斧を振り下ろす前に黒渦の中から青色と肌色の腕が飛び出し、ギルスの戦斧を振り上げようとした両腕を掴む。そのまま黒渦の中から飛び出た腕はギルスを引きずり込む。


「な、何だと!?くそ、離せぇえええっ……!?」
「ふうっ……危なかった」


黒渦の外に待機していたミノとロプスがギルスを力ずくで引きずり出し、どうにか黒渦の中に飲み込むと、ナオは冷や汗を拭って周囲の様子を伺う。結構騒いでいたはずだが宴会に夢中な兵士達は騒動に気付いておらず、今の内にナオは黒渦の中に入り込んで避難する。

黒渦の先の空間はナオが休んでいた宿の中ではなく、魔獣達が隠れ場所として利用していた草原に存在した大きな岩山の洞穴に繋がっていた。既にリーリスとジャンヌも避難済みであり、魔獣達に拘束されたギルスと向かい合っていた。


「貴様等……何者だ!?どこの手の者だ!?」
「帝国ですよ。私の顔を覚えてませんか?前に会ったことがありますよね?」
「私も子供の頃に一度お会いしているはずですが……」
「お、お前等は……まさか!?」


ギルスはリーリスとジャンヌの顔を見て驚愕し、どうしてこのような場所に帝国の将軍と王女が存在するのか動揺を隠せない。そんな彼をロプスとミノが両腕を掴んで地面に抑えつけ、ナオを含めた3人と向かい合う。


「くっ……一体俺に何をした!?ここは何処だ?」
「質問するのはこちらです。余計なことを言わないでください、まず聞きたいのはどうして不可侵条約を結んでいるはずの巨人国の軍隊が帝国領地内に存在するんですかね?」
「そ、それは……」


リーリスの言葉にギルスは黙り込み、そんな彼に対してジャンヌは激しく叱責した。


「答えなさい!!巨人国はどうして不可侵条約を破ったのですか!?貴方達の国には毎年援助をしていたではないですか!!なのにどうして……」
「くっ……仕方がなかったのだ。国王様の命令で我々は動いている……もう既に不可侵条約は破られた。戦争は既に始まっているのだ」
「そんな……」


戦争という言葉にナオとリーリスは冷や汗を流し、ジャンヌは信じられない表情を浮かべ、ギルスは観念したように事の発端を話し始めた。
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