最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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外伝〈転移石を求めて〉

隠し扉

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「まさか大迷宮で魔物が消える理由が転移石を作り出すための養分として吸収されているなんて……」
「というか、本当に大迷宮って勇者が作り出したの?一体どんな技術力があればこんな大きな建物を……大工さんの勇者も居たのかな?」
「いやいや、流石にこれだけの規模の建物を一から作り出したとは考えられませんよ。多分ですけど、何か特殊能力を持つ勇者が作り出したのかもしれません。ルノさんの「成長」やナオさんの「貧弱」の異能のように地球人の方々は途轍もない能力を所有して召喚されますからね」


分電によると大迷宮は同時期に世界各地に建てられたため、これほどの規模の建物を作り出すのにどれだけの人材と費用と時間が掛かるのか分からず、恐らくは召喚された勇者が持つ「異能」の力で作り出された可能性が高い。


「それよりも気になるのは質の悪い転移結晶石が大迷宮の外に出ると消失してしまうという点です。もしもこの話が事実だとしたら、私達の発見した転移石が粗悪品だった場合は外に脱出した時に失ってしまう事です。そうなるとここまでの苦労が水の泡と化しますよ」
「でも、大迷宮の魔物を倒せば転移石が誕生するんでしょ?ならいっぱい魔物を倒して転移石を集めればいいだけじゃないの?もしかしたら1つぐらいは良質な転移石も誕生するかもしれないし……」
「何言ってるんですか、その転移石が何処で誕生するのか私達には分からないじゃないですか。第四階層で発見した転移石に関しても偶然発見したような物ですし、これからも上手く転移石を発見出来るとは限りませんよ?」


リーリスの言葉も一理あるため、ルノ達は手に入れた転移石を取り出して確認する。見た目だけでは粗悪品なのかは分からず、もしもこの転移石が大迷宮から抜け出したときに消失してしまったらと考えるだけで恐ろしい。


「だけどさ、ここに住んでいた人は何度も地球に帰還して動物のDNAを集めてたんだよね?その人はそれだけの転移石をどうやって集めたのかな?」
「言われてみればそこが気になるんですよね。これだけの研究が行われている所をみると、ここの研究者は頻繁に地球へ帰還していたようですね。問題なのは転移石を利用してどのような手段で帰還していたかですけど……」
「ぬおっ!?おい、皆この本棚を見ろ!!」


デブリが唐突に大声を上げ、全員が彼に視線を向けるとデブリは壁際の本棚を引き寄せると、本棚の後ろに隠されていた扉を発見する。どうやら隠し扉らしく、扉を開いてみると隣の部屋が存在する事が判明した。


「おお、本棚の裏に隠し部屋とはやりますね。隠し場所としては雑ですが、ここの研究者とは趣味が合いそうです」
「わざわざ隠し扉まで作るなんて……中はどうなってるのかな?」
「扉を開けたら罠が作動するとかないよね?」
「……有り得る」


ルノ達は慎重に扉の取っ手を握り締め、中を覗く。隠し扉の先に待ち構えていた物を見た瞬間、ルノ達は驚愕する。


「こ、これは……便座!?」
「浴槽と手洗い場もあるよ!!分かった、これユニットバスだ!!お風呂とトイレが一緒なタイプの奴だ!!」
「くだらねえもんを隠してんじゃないですよ!!いや、確かに必要な物かもしれませんけど!!」
「なんでわざわざこんな物を隠してるだ……?」
「……用事を済ませた後に本棚を戻す事を考えるとかなり間抜けに思える」


扉の先には研究者が利用していたと思われるユニットバスが存在し、どうやら研究者はここで生活を行っていたらしく、わざわざ本棚で隠していた所を見ると他の人間には知られたくなかったらしい。折角何かあるのではないかと期待していたルノ達だが、デブリが今度は別の本棚の後ろを確認して声を上げた。


「師匠!!どうやらこっちの本棚の後ろにも扉がありますぞ!!」
「え?本当に?」
「……あまり期待出来ませんが、とりあえず開けてみましょう」


デブリの言葉にルノ達は全員で本棚を移動させると、新しい隠し扉を開く。すると今度はユニットバスではなく、それなりに大きな部屋に繋がっていた。


「ここは……ダイニングキッチン?ここで食事をしてたのかな?」
「なるほど、ユニットバスがある時点で期待してませんでしたけど、少なくとも研究者はここで生活を過ごしていた事は分かりました」
「この感じだと他の本棚も調べた方が良いかもね」


ルノ達は片っ端から壁際に設置されている本棚を動かして確かめると、案の定というべきか隠し扉が存在し、寝室と思われるベッドが設置されている部屋、物置部屋と思われる掃除用具品が収納された部屋も発見された。どうやら研究者はここで生活を送っていた事は間違いなく、ルノ達は最後の隠し扉を前に立つ


「この扉で最後みたいだね。一体何が出てくるのかな……」
「ここまで来てろくでもない部屋だったら暴れたくなりますね」
「どうかリーリスさんが切れるような部屋じゃありませんように……」
「……王子、開けて」
「よし、任せろ……ふんぬっ!!」


デブリが気合を入れて扉を開いた瞬間、部屋の中身はルノ達の予想を覆す光景が広がっていた。
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