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スラム編
アンデッド
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「凄いな……全然疲れないや」
レナは建物の屋根の上を跳躍を繰り返し、スラム街を移動する。先ほど習得したばかりの固有スキル「月光」の影響で激しい運動をしているにも関わらずに体力が切れる様子が無く、同じく先ほど覚えた「索敵」のスキルを頼りに周囲の捜索を行い、遂に地上の方で騒ぎを発見した。
「ま、待て!!落ち着け……ぎゃああっ!?」
「あがぁああああっ!!」
「なっ……!?」
地上では何処かで見覚えのある大男が剣を構えた男に抱き付き、首筋を噛みつく。その行動に動揺しながらもレナは鑑定眼のスキルを発動させた瞬間、相手の男の状態が「アンデット」と表示された。昼間に絡んで来た3人組の1人がアンデッドと化した事に気付き、レナは剣を構えた男が殺される前に近づく。
「止めろっ!!」
「ぐふぅっ!?」
「がぁっ……!?」
背後から大男の頭部に蹴りを叩き込み、大男は相手を手放す。それでもすぐに振り返り、レナの存在に気づくと獣のように両腕を広げて近づいてきた。
「うがぁあああっ!!」
「くっ……聖属性」
レナは右腕に装備している白銀拳に聖属性の付与魔法を発動させ、大男に構える。相手のレベルは鑑定のスキルを発動する「30」は存在し、レナよりも上のレベルでしかもアンデッド化した事で身体能力も上昇しているのは確かだが、それでも理性を失っている事で暴走しており、攻撃動作を見抜くのは難しくない。
「弾撃!!」
「うごぉっ……!?」
――勢いよく地面を踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、レナは拳を撃ち込む。初めて使用する打撃系の戦技だが、聖属性の魔力を込めた白銀拳を身に着けた拳を大男の身体の胸元に叩きつけた瞬間、胸元を陥没させる勢いで拳がめり込み、吹き飛ばす。
「ぐがぁあああああああああっ!?」
「くぅっ……!?」
相手を吹き飛ばす事に成功したが、レナ自身の肉体にも痛みが走り、初めての戦技の使用で身体を痛める。恐らくは使用するにはまだ筋力が足りないようであり、身体を本格的に鍛えなければ完全には扱えない戦技だろう。それでもアンデッドに変貌した格上の大男を倒す事に成功し、彼の様子を見ると聖属性の効果なのか大男の肉体から赤色の煙が噴き出しており、動く様子はない。
「死んでいる……いや、まだ息はあるか?」
レナの目の前でアンデッドの大男が僅かに痙攣し、鑑定眼を発動させると完全には死亡しておらず、状態異常も元に戻っていた。恐らくはアンデッドと化した人間でも聖属性の魔法を与えれば元に戻す事も出来るらしく、レナは噛まれた男の様子を伺う。
「うああっ……た、助けてくれ……」
「大丈夫ですか?」
「し、死ぬっ……死んじまうよぉっ……」
情けない声を上げながら倒れている男にレナは掌を構え、まずは傷の治療を施すために聖属性の付与魔法を発動する。男の肉体が光り輝き、傷口が徐々に閉じると男の表情も緩まり、魔法のお蔭で痛みも和らいだのか緊張の糸が切れた様に安心して意識を失ってしまう。出来ればこのような場所で気絶してもらいたくはないのだが、レナは仕方ないので男を近くの路地裏に隠す。
「これは治療費として貰いますよ」
男が落とした随分と錆びついた剣を拾い上げ、レナは治療の代償として拝借する。長剣に掌を構えてまずは錆びついた刃をどうにかするため、水属性の付与魔法を発動して氷結化させる。
「水属性」
長剣の刃を氷結化させる事で「氷の刃」に変化させ、更にこの状態でレナはもう一度付与魔法を発動させる。
「聖属性……よし、上手くいった」
氷結化した刃に更に聖属性の魔力を付与させ、どうやら物体に複数の付与魔法を発動する事も可能らしく、只の長剣に見えたがそれなりに高い魔法耐性も備わっているのか武器を所持しているレナに特に影響はない。外見は錆びついた長剣にしか見えないが、案外優れ物かも知れず、レナは男性に対して銀貨と回復薬を傍に置いておく。
「よし……次は何処だ?」
運よく殺される前に助け出すことは出来たが、急がねば被害者が続出する可能性が高く、レナは跳躍して建物の屋根の上に移動し、索敵のスキルを頼りに次のアンデッドを探し出そうとすると、北の方角から大勢の人々の悲鳴が聞こえてきた。
「あそこか!!」
固有スキルの月光の効果なのか聖属性の付与魔法の効果も延長しており、建物の屋根を移動しながらレナは長剣を握りしめ、騒ぎの方向に疾走する。
「うああああっ!?」
「な、何だこいつ等!?」
「あ、アンデットだと!?」
「くそっ!!頭をやれ!!こいつらは再生するぞ!!」
「「がぁああああああっ!!」」
地上では2人の男が複数人の盗賊風の恰好をした男達に囲まれており、短剣で身体を切り裂かれても怯まずに襲い掛かる。その様子を確認しながらレナは吸魔石を取り出し、屋根の上から隙を伺う。
レナは建物の屋根の上を跳躍を繰り返し、スラム街を移動する。先ほど習得したばかりの固有スキル「月光」の影響で激しい運動をしているにも関わらずに体力が切れる様子が無く、同じく先ほど覚えた「索敵」のスキルを頼りに周囲の捜索を行い、遂に地上の方で騒ぎを発見した。
「ま、待て!!落ち着け……ぎゃああっ!?」
「あがぁああああっ!!」
「なっ……!?」
地上では何処かで見覚えのある大男が剣を構えた男に抱き付き、首筋を噛みつく。その行動に動揺しながらもレナは鑑定眼のスキルを発動させた瞬間、相手の男の状態が「アンデット」と表示された。昼間に絡んで来た3人組の1人がアンデッドと化した事に気付き、レナは剣を構えた男が殺される前に近づく。
「止めろっ!!」
「ぐふぅっ!?」
「がぁっ……!?」
背後から大男の頭部に蹴りを叩き込み、大男は相手を手放す。それでもすぐに振り返り、レナの存在に気づくと獣のように両腕を広げて近づいてきた。
「うがぁあああっ!!」
「くっ……聖属性」
レナは右腕に装備している白銀拳に聖属性の付与魔法を発動させ、大男に構える。相手のレベルは鑑定のスキルを発動する「30」は存在し、レナよりも上のレベルでしかもアンデッド化した事で身体能力も上昇しているのは確かだが、それでも理性を失っている事で暴走しており、攻撃動作を見抜くのは難しくない。
「弾撃!!」
「うごぉっ……!?」
――勢いよく地面を踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、レナは拳を撃ち込む。初めて使用する打撃系の戦技だが、聖属性の魔力を込めた白銀拳を身に着けた拳を大男の身体の胸元に叩きつけた瞬間、胸元を陥没させる勢いで拳がめり込み、吹き飛ばす。
「ぐがぁあああああああああっ!?」
「くぅっ……!?」
相手を吹き飛ばす事に成功したが、レナ自身の肉体にも痛みが走り、初めての戦技の使用で身体を痛める。恐らくは使用するにはまだ筋力が足りないようであり、身体を本格的に鍛えなければ完全には扱えない戦技だろう。それでもアンデッドに変貌した格上の大男を倒す事に成功し、彼の様子を見ると聖属性の効果なのか大男の肉体から赤色の煙が噴き出しており、動く様子はない。
「死んでいる……いや、まだ息はあるか?」
レナの目の前でアンデッドの大男が僅かに痙攣し、鑑定眼を発動させると完全には死亡しておらず、状態異常も元に戻っていた。恐らくはアンデッドと化した人間でも聖属性の魔法を与えれば元に戻す事も出来るらしく、レナは噛まれた男の様子を伺う。
「うああっ……た、助けてくれ……」
「大丈夫ですか?」
「し、死ぬっ……死んじまうよぉっ……」
情けない声を上げながら倒れている男にレナは掌を構え、まずは傷の治療を施すために聖属性の付与魔法を発動する。男の肉体が光り輝き、傷口が徐々に閉じると男の表情も緩まり、魔法のお蔭で痛みも和らいだのか緊張の糸が切れた様に安心して意識を失ってしまう。出来ればこのような場所で気絶してもらいたくはないのだが、レナは仕方ないので男を近くの路地裏に隠す。
「これは治療費として貰いますよ」
男が落とした随分と錆びついた剣を拾い上げ、レナは治療の代償として拝借する。長剣に掌を構えてまずは錆びついた刃をどうにかするため、水属性の付与魔法を発動して氷結化させる。
「水属性」
長剣の刃を氷結化させる事で「氷の刃」に変化させ、更にこの状態でレナはもう一度付与魔法を発動させる。
「聖属性……よし、上手くいった」
氷結化した刃に更に聖属性の魔力を付与させ、どうやら物体に複数の付与魔法を発動する事も可能らしく、只の長剣に見えたがそれなりに高い魔法耐性も備わっているのか武器を所持しているレナに特に影響はない。外見は錆びついた長剣にしか見えないが、案外優れ物かも知れず、レナは男性に対して銀貨と回復薬を傍に置いておく。
「よし……次は何処だ?」
運よく殺される前に助け出すことは出来たが、急がねば被害者が続出する可能性が高く、レナは跳躍して建物の屋根の上に移動し、索敵のスキルを頼りに次のアンデッドを探し出そうとすると、北の方角から大勢の人々の悲鳴が聞こえてきた。
「あそこか!!」
固有スキルの月光の効果なのか聖属性の付与魔法の効果も延長しており、建物の屋根を移動しながらレナは長剣を握りしめ、騒ぎの方向に疾走する。
「うああああっ!?」
「な、何だこいつ等!?」
「あ、アンデットだと!?」
「くそっ!!頭をやれ!!こいつらは再生するぞ!!」
「「がぁああああああっ!!」」
地上では2人の男が複数人の盗賊風の恰好をした男達に囲まれており、短剣で身体を切り裂かれても怯まずに襲い掛かる。その様子を確認しながらレナは吸魔石を取り出し、屋根の上から隙を伺う。
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