最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
72 / 207
ゴブリンキング編

アイリィの推論

しおりを挟む
「最初の頃は特に問題はなかったのに日にちが経過する内に聖水を生み出せる量が減少した……そして今回のレノさんの魔力を受け取った瞬間に大量の聖水を生み出せるようになった。この事から考えるに原因は巫女姫様の魔力容量が小さいのではなく、魔力を使用した後に回復する時間が問題だと思うんです」
「どういう事?魔力は寝ている間に勝手に回復するんじゃないの?」


レナはこれまでにも何度か魔力の使用によって意識を失った事もあり、意識を取り戻した時には完全に魔力は回復しており、この事から彼は魔術師は眠っている間が魔力が最も回復しやすいと考えていたのだが、アイリィは彼の言葉に頷く。


「確かに普通の魔術師ならどれほど魔力を使用しても睡眠を挟めば十分に魔力を回復します。しかし、巫女姫様の場合は何らかの理由で魔力を睡眠だけでは完全に回復できないのでは?だから薬物耐性があるのに無理やり魔力回復薬を飲んで回復しようとしてたのでは?」
「そ、そうなの!?」
「なるほど……その可能性が高いですね。今まで気付けなかった自分を殴りつけたい気分です……!!」
「そういう事か……凄いな嬢ちゃん。よく分かったな」
「レノさんのお蔭で気付けましたよ。だけど、気になるのはどうして魔力の回復が遅いのかですね。普通は魔力容量が大きい人間程、魔力の回復速度も高いはずなんですど……ちなみに巫女姫様のレベルはお幾つですか?」
「えっ?私?えっとね……10だよ」
「10……平均より少し下ぐらいですか?でも、それでも私が影で魔力タンクさんと呼んでいるレノさんをこれ程までに疲弊させる程の魔力を吸い上げられる人なら魔力容量も相当な物のはずですけど……それならどうして魔力の回復速度が遅いんでしょうか」
「ちょっと待って、今の言葉に聞き捨てならない渾名があったように聞こえたけど」


アイリィはレナの突っ込みを無視して腕を組みながら考え込み、彼女はある考えに思い至り、ヨウカと向き合う。


「失礼ですけどヨウカさんは魔力回復速度上昇のスキル所持していますか?」
「え?」
「それって魔術師が身に着けられるスキルだよね?」
「そうですね。普通の魔術師なら魔法の熟練度を上昇させていると自然と発現する能力スキルです。大抵の魔術師はこのスキルを習得しているんですけど、もしかしたらヨウカさんはまだ身に着けていないんじゃ……」
「ちょ、ちょっと待ってね……あ、ううん。そのスキルはあったよ」


自分のステータス画面を確認したヨウカは空中で指を動かす動作を行い、傍目から見れば彼女は虚空に手を伸ばしているようにしか見えないが、彼女の視界には自分自身のステータスを表示した画面が存在する。


「ふむ……それならますます魔力の回復速度が追い付かないのが気になりますね。もしかして何らかの状態異常を患っているのでは……」
「それは有り得ません。我々も何度かヨウカ様の身体を調べましたが、肉体の方は間違いなく健康でした」
「だとしたら……まさか回復が追い付けない程に魔力容量が大きすぎるとか?」
「え、ええっ!?」


アイリィの言葉に全員の視線がヨウカに向けられ、彼女は皆の反応に戸惑うが、ステータス画面では自分の魔力容量は確認できないため、アイリィの推測を確かめることは出来ない。しかし、彼女の推測以外に何か原因があるとは考えにくく、レナは試しにヨウカに最近の出来事を尋ねる。


「巫女姫様」
「あ、ヨウカでいいよ?その巫女姫様というのはまだ慣れてなくて……様も付けなくていいから」
「ならヨウカさん。最近、変わった事はあった?」
「変わった事……う~んっ……あ、そう言えば」
「何か心当たりがあるのですかっ!?」
「えっとね、気のせいかも知れないけど……時々、私の右手の甲が光る事がある気がするんだ」
「右手が……?」
「うん……なんていうか、十字架みたいな紋様が浮かんだ気がする」
「それは何時の話ですか?」
「……聖光石に魔力を送り込んでいる時」


ヨウカの発言にレナ達はミキに視線を向けると、彼女は心当たりがあるのかヨウカに近づき、右手を調べる。だが、今の所は彼女が告げた「十字架」のような紋様は刻まれていない。


「ヨウカ様、本当に聖光石に魔力を送り込んだとき、聖水を生み出す儀式の最中に十字架が浮かんだのですか?」
「う、うん……多分だけど」
「ミキ団長……それってもしかして聖痕なんじゃないですか?」
「聖痕……?」


テンもヨウカの発言に心当たりがあったのか、彼女は驚いた表情でミキに告げると、レナは初めて聞く単語にミキに質問を行う。


「その聖痕というのはなんですか?」
「いえ……実は我々も良く知らないのです。ですが陽光教会では歴代の巫女姫様の中に聖痕と呼ばれる特殊な能力を身に着けた方が居られたと聞いています。この聖痕とは魔法の力を強化させる能力……強化スキルと呼ばれる類の能力だと教会では言い伝えられていますが、実際に私達は見た事がありません。先代の巫女姫様には存在しませんでしたし……」
「聖痕……その単語、何処かで……?」
「どうしたのアイリィ?何か知っているの?」
「あ、いえ……何でもありません。何か思い出しそうになったんですが……」


聖痕という単語にアイリィは頭を抑え、彼女の反応にレナは疑問を抱いたが、今はヨウカの聖痕に関して詳しく尋ねる事にする。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...