文字の大きさ
大
中
小
71 / 207
ゴブリンキング編
不調の原因
執務室に移動したレナはソファの上に身体を横たわせ、コトミンに膝枕させながら身体を休ませる。久々に魔力枯渇の状態に陥り、意識は失ってはいないが疲労感が抜けきらず、人目があるので流石にコトミンから回復液を与えて貰う訳にはいかず、体調が戻るまで身体を休める事にした。
「ううっ……頭が痛い。アイリィ、薬を寄越せぇっ……」
「いや、なんかやばい人になってますよ……あ、そうださっきの聖水を分けて貰えませんかね」
「申し訳ありませんが聖水の原液は刺激が強すぎるので……水で薄めていますのでしばらくお待ちください」
「ご、ごめんね……私がレノ君の吸いすぎちゃったんだね」
「その言い方はちょっと不味い気がしますね……ヴァンパイア?」
「平気平気……でもこの体勢だとコトミンの胸しか見えないや」
「……いやんっ」
「結構余裕ありそうですね……あれ?そういえばゴンゾウさんは何処ですか?途中まで一緒に居たのに……」
「あの坊主ならトイレに行ってるよ」
何時の間にかゴンゾウの姿が消えており、テンの話によると聖者の間に尋ねる途中の通路でトイレに向かったらしく、成れない建物なので迷子になっている可能性があるという。レナが休憩を行う間、ミキは聖水が満たされた壺を調べ、感動したように頷く。
「これほどの上質な聖水が取れたのも巫女姫様とレノ様のお蔭です。これならばすぐに聖水の配布も行えます」
「ですけど陽光教会は世界中に存在するんですよね?その壺の分だけで足りるんですか?」
「いえ、先ほども言ったようにこの聖水の原液は水で薄める事で量を増やします。これだけの量ならばきっと100本分の聖水の瓶が生み出せます。後は朝昼晩の3回に分けて巫女姫様が聖光石から聖水を抽出して貰えば問題ありません」
「という事は1日の生産量は300本……1ヶ月で9000本ぐらいですか?」
「ちなみに聖水の値段は幾らぐらいですか?」
「品質によりますが……だいたい金貨単位で販売されます」
「金貨!?」
ミキの発言によると1ヶ月の間に約1万近くの聖水が生成されており、それらを世界各地の教会に送り込み、金貨の単位で販売を行う。もしも全ての聖水を売却した場合、日本円で換算すると1ヶ月の間に10億円近くの利益を生みだしている事になる。
「その値段で購入する人がいるんですか?」
「聖水を求める人は数多く存在します。体力の回復、怪我の治療、更には魔力も補給できます。回復効果は品質によって変化しますが、一般の回復薬よりも様々な効果を生みだす聖水は誰もが求めます」
「その分に価値も高いから値段も高い訳ですね。やっぱり、下手にレノさんの聖水を販売しなくて良かったですね。レノさんの聖水は時間経過で効果が変化しますから不味かったですね」
「そうだな……あれ?という事は普通の聖水は時間経過で効果は失われないんですか?」
「いえ、教会が生産する聖水も時間経過によって品質が低下します。ですが特別な保存方法を行えば効果を維持したまま保つ事が出来ますよ」
「どうやって?」
「それは……企業秘密です」
流石に聖水の保存法までは教えられず、ミキは冗談交じりに口元に人差し指を当てる。どうやらヨウカが無事に聖水を生み出せるようになったので彼女も心の余裕を取り戻し、ヨウカ自身も安堵の息を吐いた。
「あ~……成功して良かった。これもレノ君のお蔭だね」
「良かったですね巫女姫様……だけど今回は随分と大量に手に入れましたね。よっぽど調子が良かったんですかい?」
「その慣れない敬語はどうにかしなさい……ですが、確かに今回の聖水は質量が今までと違いますね。そこが気になりますが……」
「あの……一つ気になったんですけど、本当に巫女姫様は魔力容量が小さいんですか?」
「えっ?」
レナが身体を起き上げ、巫女姫のヨウカと向かい合う。彼は先ほど彼女に聖属性の付与魔法を施した時の違和感を全員に伝える。
「さっき魔力を渡した時、相当量の魔力を吸い上げられたんだけど……もしかしたら巫女姫様の魔力容量は実は少ないんじゃなくて、物凄く大きいんじゃ……」
「そんなはずは……ですが、この聖水の量は確かに……」
「どういう事ですか?魔力容量が少ないから生み出せる聖水の量も少なかったんじゃ……」
「えっと……どういう事?」
「ちょっといいですか?」
ミキ達はレナの発言に全員が戸惑い、どうして今回だけ大量の聖水が生み出された理由が分からずに困惑していると、アイリィが手を上げて全員を注目させる。
「あくまでも私の推論ですけど、もしかして最初の頃はその巫女姫様も大量の聖水を生みだせたんじゃないですか?」
「え?」
「……確かにヨウカ様も最初の頃は一定量の聖水を生み出していました。流石にこれ程の量とまではいきませんが、それでも1日に数十本程の聖水は生み出しました。しかし、最近では徐々に生み出せる聖水の量が減少していましたが……」
「それで薬物耐性のスキルがあるのに魔力回復薬で無理やりに魔力を回復させようとしたんですね。ですけど、私の考えでは問題があるのはヨウカさんの魔力容量ではなく、魔力の回復速度ですよ」
『魔力の回復速度?』
「……すぴぃっ」
彼女の言葉に全員が反応し、1人だけ真面目な話に飽きてきたのかコトミンがレナの代わりにソファで横になって眠っていた。
「ううっ……頭が痛い。アイリィ、薬を寄越せぇっ……」
「いや、なんかやばい人になってますよ……あ、そうださっきの聖水を分けて貰えませんかね」
「申し訳ありませんが聖水の原液は刺激が強すぎるので……水で薄めていますのでしばらくお待ちください」
「ご、ごめんね……私がレノ君の吸いすぎちゃったんだね」
「その言い方はちょっと不味い気がしますね……ヴァンパイア?」
「平気平気……でもこの体勢だとコトミンの胸しか見えないや」
「……いやんっ」
「結構余裕ありそうですね……あれ?そういえばゴンゾウさんは何処ですか?途中まで一緒に居たのに……」
「あの坊主ならトイレに行ってるよ」
何時の間にかゴンゾウの姿が消えており、テンの話によると聖者の間に尋ねる途中の通路でトイレに向かったらしく、成れない建物なので迷子になっている可能性があるという。レナが休憩を行う間、ミキは聖水が満たされた壺を調べ、感動したように頷く。
「これほどの上質な聖水が取れたのも巫女姫様とレノ様のお蔭です。これならばすぐに聖水の配布も行えます」
「ですけど陽光教会は世界中に存在するんですよね?その壺の分だけで足りるんですか?」
「いえ、先ほども言ったようにこの聖水の原液は水で薄める事で量を増やします。これだけの量ならばきっと100本分の聖水の瓶が生み出せます。後は朝昼晩の3回に分けて巫女姫様が聖光石から聖水を抽出して貰えば問題ありません」
「という事は1日の生産量は300本……1ヶ月で9000本ぐらいですか?」
「ちなみに聖水の値段は幾らぐらいですか?」
「品質によりますが……だいたい金貨単位で販売されます」
「金貨!?」
ミキの発言によると1ヶ月の間に約1万近くの聖水が生成されており、それらを世界各地の教会に送り込み、金貨の単位で販売を行う。もしも全ての聖水を売却した場合、日本円で換算すると1ヶ月の間に10億円近くの利益を生みだしている事になる。
「その値段で購入する人がいるんですか?」
「聖水を求める人は数多く存在します。体力の回復、怪我の治療、更には魔力も補給できます。回復効果は品質によって変化しますが、一般の回復薬よりも様々な効果を生みだす聖水は誰もが求めます」
「その分に価値も高いから値段も高い訳ですね。やっぱり、下手にレノさんの聖水を販売しなくて良かったですね。レノさんの聖水は時間経過で効果が変化しますから不味かったですね」
「そうだな……あれ?という事は普通の聖水は時間経過で効果は失われないんですか?」
「いえ、教会が生産する聖水も時間経過によって品質が低下します。ですが特別な保存方法を行えば効果を維持したまま保つ事が出来ますよ」
「どうやって?」
「それは……企業秘密です」
流石に聖水の保存法までは教えられず、ミキは冗談交じりに口元に人差し指を当てる。どうやらヨウカが無事に聖水を生み出せるようになったので彼女も心の余裕を取り戻し、ヨウカ自身も安堵の息を吐いた。
「あ~……成功して良かった。これもレノ君のお蔭だね」
「良かったですね巫女姫様……だけど今回は随分と大量に手に入れましたね。よっぽど調子が良かったんですかい?」
「その慣れない敬語はどうにかしなさい……ですが、確かに今回の聖水は質量が今までと違いますね。そこが気になりますが……」
「あの……一つ気になったんですけど、本当に巫女姫様は魔力容量が小さいんですか?」
「えっ?」
レナが身体を起き上げ、巫女姫のヨウカと向かい合う。彼は先ほど彼女に聖属性の付与魔法を施した時の違和感を全員に伝える。
「さっき魔力を渡した時、相当量の魔力を吸い上げられたんだけど……もしかしたら巫女姫様の魔力容量は実は少ないんじゃなくて、物凄く大きいんじゃ……」
「そんなはずは……ですが、この聖水の量は確かに……」
「どういう事ですか?魔力容量が少ないから生み出せる聖水の量も少なかったんじゃ……」
「えっと……どういう事?」
「ちょっといいですか?」
ミキ達はレナの発言に全員が戸惑い、どうして今回だけ大量の聖水が生み出された理由が分からずに困惑していると、アイリィが手を上げて全員を注目させる。
「あくまでも私の推論ですけど、もしかして最初の頃はその巫女姫様も大量の聖水を生みだせたんじゃないですか?」
「え?」
「……確かにヨウカ様も最初の頃は一定量の聖水を生み出していました。流石にこれ程の量とまではいきませんが、それでも1日に数十本程の聖水は生み出しました。しかし、最近では徐々に生み出せる聖水の量が減少していましたが……」
「それで薬物耐性のスキルがあるのに魔力回復薬で無理やりに魔力を回復させようとしたんですね。ですけど、私の考えでは問題があるのはヨウカさんの魔力容量ではなく、魔力の回復速度ですよ」
『魔力の回復速度?』
「……すぴぃっ」
彼女の言葉に全員が反応し、1人だけ真面目な話に飽きてきたのかコトミンがレナの代わりにソファで横になって眠っていた。
感想 263
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
S級冒険者の子どもが進む道
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。