87 / 207
ゴブリンキング編
後始末
しおりを挟む
「ふうっ……やばかったな」
「そうですか?結構余裕そうじゃないですか」
「……んっ」
額の汗を拭うレナの元にアイリィとコトミンが歩み寄り、何時の間にか回収していたのかコトミンが先ほどオークにレナが投げ込んだ吸魔石を渡す。既に蓄積された魔力を使い切っているので新しく魔力を封じなければ使用できないが、普通の魔石と違って頑丈の為、相当な速度を引き出してオークの肉体に衝突したにも関わらずに罅割れ1つ存在しなかった。
吸魔石を受け取り、コトミンの頭を撫でやりながらレナは周囲を見渡し、他にオークが隠れていないのかを確認するとアイリィが肩を叩く。彼女に顔を向けるとアイリィはオークの死骸を指差しており、不審な点を発見したらしい。
「レナさん、これ見てくださいよ。このオークの装備品……どれも新品ですよ」
「え?本当に?」
「確かに……どの武器や防具も殆ど使用された形跡がありません」
ミキもオークの装備品に違和感を抱いたらしく、2人によると大抵の人型の魔物が所持している武具や防具は人間の冒険者から奪った物だが、レナ達が遭遇したオークの装備品はどういう事なのかどれもが新品その物の状態であり、使い込まれた様子はなかった。しかも全てのオークの装備品が新品同然という点が気にかかり、アイリィはオークが所持していた槍を確認する。
「どう見てもオークの手作りとは思えませんね……間違いなく、人の手で生み出された物です。もしかしたらこのオーク達は武器を運んでいる商団の馬車でも襲った可能性がありますね」
「商団……そんな事あるの?」
「普通はどんな商団も必ず冒険者や傭兵の護衛を付けて移動を行いますけど、魔物の中でもゴブリンやオークのような知能が高い魔物は集団で襲い掛かり、荷物を奪う事もあります。ですけど、こんな見晴らしの良い草原で商団が襲われるとは考えにくいですね……オークは見ての通り、鈍重ですから夜間のような視界が悪い時に襲われる時ぐらいしか荷物を奪われる事はないと思いますけど……」
「商団の馬車に問題が起きただけじゃないの?車輪が壊れたとか……」
「その可能性が一番高いですね。だけど気になるのはさっきレナさんが倒したオークです」
「え?どうして?」
「あのですね……オークは頭は悪くはないですが手先は不器用なんです。それにも関わらずにレナさんを襲った個体だけが人間用の弓矢で的確に矢を射かけてきたんですよ?普通のオークなら弓矢なんて使おうとすら考えないのに……」
アイリィはレナが倒した丘の上に存在したオークに視線を向け、既に彼の土属性の魔法によって身体が四散してしまい、死体が地面に転がっている。どうしてオークが弓矢という普通の剣や槍よりも扱うには高度な技術を要する武器を使用していたのか気になるが、もう確かめるすべはない。
「あ、あの……副団長が戻って着ませんけど……」
「心配はありませんよ。テンなら大丈夫でしょう……今のうちにオークの死体の後処理と装備品を回収して起きましょう」
ミキの提案により、レナ達は討伐した魔物の処理を行う。今回のように魔物を討ち果たした際の後始末はまずは死体から回収できる素材を剥ぎ取り、後は他の魔物が血の臭いを嗅ぎつけてくる前に死体を焼却する必要がある。オークの肉体は食用になる部分も存在するため、アメリアがとポチ子が手際よくナイフで肉を剥ぎ取り、他の者は彼等の装備品を回収する。これらの類は所有者が存在したとしても魔物から奪われていた場合は所有権は魔物を打ち倒した人間に移り、もしもあとでオークが所有していた装備品の本来の所有者が現れたとしても返却する義務はない。
今回のオーク戦で得た戦利品は話し合いの結果、オークの装備品はレノ達が回収し、食用として剥ぎ取った肉はミキ達が受け取る。装備品の中にレナ達が扱えそうな物はなく、後で帝都に戻った時に武器屋で売却を行う事を決める。ちなみにテンは全身に返り血を浴びた状態で帰還し、意外と追いつくのに時間が掛かったのかオークの頭部を3つ背中に抱えて帰ってきた。
「いやっ……意外と時間が掛かった。悪かったね、護衛なのに勝手に離れてて……まあ、団長がいるなら問題ないだろうけど」
「貴方という人は……まあ、いいでしょう。それよりもレノ様は意外と戦闘慣れしていますね。初めてオークと戦った割には緊張している様子が見られませんでしたが……」
「普段からオークより厄介な奴に絡まれやすいので……」
「そうですね。その辺は同情しますよ」
魔物が入り込めないはずの帝都に滞在していたにも関わらず、ヴァンパイアやサキュバスと言った凶悪な魔人種と戦闘を繰り広げて勝利を収めたレナにとってはオークは強敵とは感じられなかった。
「そうですか?結構余裕そうじゃないですか」
「……んっ」
額の汗を拭うレナの元にアイリィとコトミンが歩み寄り、何時の間にか回収していたのかコトミンが先ほどオークにレナが投げ込んだ吸魔石を渡す。既に蓄積された魔力を使い切っているので新しく魔力を封じなければ使用できないが、普通の魔石と違って頑丈の為、相当な速度を引き出してオークの肉体に衝突したにも関わらずに罅割れ1つ存在しなかった。
吸魔石を受け取り、コトミンの頭を撫でやりながらレナは周囲を見渡し、他にオークが隠れていないのかを確認するとアイリィが肩を叩く。彼女に顔を向けるとアイリィはオークの死骸を指差しており、不審な点を発見したらしい。
「レナさん、これ見てくださいよ。このオークの装備品……どれも新品ですよ」
「え?本当に?」
「確かに……どの武器や防具も殆ど使用された形跡がありません」
ミキもオークの装備品に違和感を抱いたらしく、2人によると大抵の人型の魔物が所持している武具や防具は人間の冒険者から奪った物だが、レナ達が遭遇したオークの装備品はどういう事なのかどれもが新品その物の状態であり、使い込まれた様子はなかった。しかも全てのオークの装備品が新品同然という点が気にかかり、アイリィはオークが所持していた槍を確認する。
「どう見てもオークの手作りとは思えませんね……間違いなく、人の手で生み出された物です。もしかしたらこのオーク達は武器を運んでいる商団の馬車でも襲った可能性がありますね」
「商団……そんな事あるの?」
「普通はどんな商団も必ず冒険者や傭兵の護衛を付けて移動を行いますけど、魔物の中でもゴブリンやオークのような知能が高い魔物は集団で襲い掛かり、荷物を奪う事もあります。ですけど、こんな見晴らしの良い草原で商団が襲われるとは考えにくいですね……オークは見ての通り、鈍重ですから夜間のような視界が悪い時に襲われる時ぐらいしか荷物を奪われる事はないと思いますけど……」
「商団の馬車に問題が起きただけじゃないの?車輪が壊れたとか……」
「その可能性が一番高いですね。だけど気になるのはさっきレナさんが倒したオークです」
「え?どうして?」
「あのですね……オークは頭は悪くはないですが手先は不器用なんです。それにも関わらずにレナさんを襲った個体だけが人間用の弓矢で的確に矢を射かけてきたんですよ?普通のオークなら弓矢なんて使おうとすら考えないのに……」
アイリィはレナが倒した丘の上に存在したオークに視線を向け、既に彼の土属性の魔法によって身体が四散してしまい、死体が地面に転がっている。どうしてオークが弓矢という普通の剣や槍よりも扱うには高度な技術を要する武器を使用していたのか気になるが、もう確かめるすべはない。
「あ、あの……副団長が戻って着ませんけど……」
「心配はありませんよ。テンなら大丈夫でしょう……今のうちにオークの死体の後処理と装備品を回収して起きましょう」
ミキの提案により、レナ達は討伐した魔物の処理を行う。今回のように魔物を討ち果たした際の後始末はまずは死体から回収できる素材を剥ぎ取り、後は他の魔物が血の臭いを嗅ぎつけてくる前に死体を焼却する必要がある。オークの肉体は食用になる部分も存在するため、アメリアがとポチ子が手際よくナイフで肉を剥ぎ取り、他の者は彼等の装備品を回収する。これらの類は所有者が存在したとしても魔物から奪われていた場合は所有権は魔物を打ち倒した人間に移り、もしもあとでオークが所有していた装備品の本来の所有者が現れたとしても返却する義務はない。
今回のオーク戦で得た戦利品は話し合いの結果、オークの装備品はレノ達が回収し、食用として剥ぎ取った肉はミキ達が受け取る。装備品の中にレナ達が扱えそうな物はなく、後で帝都に戻った時に武器屋で売却を行う事を決める。ちなみにテンは全身に返り血を浴びた状態で帰還し、意外と追いつくのに時間が掛かったのかオークの頭部を3つ背中に抱えて帰ってきた。
「いやっ……意外と時間が掛かった。悪かったね、護衛なのに勝手に離れてて……まあ、団長がいるなら問題ないだろうけど」
「貴方という人は……まあ、いいでしょう。それよりもレノ様は意外と戦闘慣れしていますね。初めてオークと戦った割には緊張している様子が見られませんでしたが……」
「普段からオークより厄介な奴に絡まれやすいので……」
「そうですね。その辺は同情しますよ」
魔物が入り込めないはずの帝都に滞在していたにも関わらず、ヴァンパイアやサキュバスと言った凶悪な魔人種と戦闘を繰り広げて勝利を収めたレナにとってはオークは強敵とは感じられなかった。
8
あなたにおすすめの小説
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる