文字の大きさ
大
中
小
89 / 207
ゴブリンキング編
破壊された商団の馬車
馬車に全員が乗り込み、移動を再開する。帝都の近くには村や町が存在しないため、日帰りで戻れる距離までしか馬車は移動は出来ないが、先ほどのオークの件も気になり、この周辺を調査も兼ねて移動を開始すると、運転を任されたアメリアがミキに声を掛ける。
「あ、あの……前方に馬車が見えます」
「どんな馬車ですか?」
「……それが倒れているんです。それに……し、死体です!!」
「止まりなっ!!」
アメリアの言葉に全員が前方に視線を向けると、彼女の言葉通りに道の上に横転した馬車と死体となった馬と人間が存在し、慌てて馬車を止めるとテンが真っ先に駆け付け、倒れている馬車の元に移動する。
「おい!!……駄目だ、全員死んでやがる」
「……ざっと20人は倒れていますね。それにこの馬の死体……どう考えてもオークだけに襲われた感じではないですね」
「……猛獣に襲われたような傷口だな」
馬車の傍に倒れている馬の死骸には獣の噛み傷が存在し、傷跡の大きさから考えても獣型の魔物に襲われたとしか考えられず、レナは口元を抑えながら人間の死体に視線を向ける。何度見ても人間の死体は慣れず、それでも調べる必要があり、彼等がどうして死んだのか確かめなければならない。
「これは……妙ですね。全員が魔獣に噛みつかれた後がありますけど、殺されているだけで捕食された様子がありません」
「どういう事ですか?殺すだけ殺して置いてそのまま放置したと言うんですか?」
「そんな馬鹿な……魔獣は腹が減った時にしか人間を襲わないはずだろ?」
「ですけどそれ以外に考えられません。しかも確実に急所だけを噛み千切っています。喉、胸元、頭……相当に利口ですね」
全ての死体は急所を確実に噛み千切られており、それ以外の部分は何故か噛みつかれた様子はなかった。単純に空腹で襲い掛かっていたとしたら他の部位も噛みつかれていても可笑しくはないが、何故か死体は食い散らした痕跡は存在せず、急所だけを噛みちぎられた状態で倒れていた。
「おい、これを見ろよ。こいつら、どうやら武器を運んでいたようだよ」
「本当ですか?」
「あっ!!さっきのオークが持っていた盾と同じ物があります!!」
馬車の横には木箱が大量に落ちており、落下の時の影響で壊れた木箱の破片が散らばっており、中身はポチ子の言葉通りに先ほどのオークが使用していた装備品と同じ型の武具と防具が落ちていた。恐らく先ほどのオークはこの場所から装備品を入手したと考えられる。
「という事はさっきのオークもここに来たのか……あれ?あいつらは死体には興味ないのかな?」
「オークはああ見えても草食ですよ。余程お腹が空いていない限り、人間の死体には食らいつきません」
「そうなんだ……意外だな」
「ちなみにゴブリンは雑食ですから何でも食べますよ。特に人間の肉の味を好む傾向があるので人間を見つけた瞬間に襲い掛かりますよ」
「怖いな……という事はオークが死体を食い荒らさなくてもおかしくはないか」
「気になるのはこの商団に襲い掛かった魔獣です。この傷口から間違いなく肉食獣である事は確かですが、傷跡から考えて同じ個体に襲われたとしか考えられません」
「この草原に出現する魔物の中で可能性が高いのは……ファングか?」
「ファング?」
「全身が黒色の毛皮で覆われた狼ですよ。但し、その大きさは普通の狼よりも一回りは大きく、牙も異様に長い魔物です」
アイリィの説明にレナは死体を確認し、仮にテンの予想が当たっていたとしたらファングという魔物が馬車を襲い、商人とその護衛を行っていた人間を殺した事になる。
「ですが仮にファングだとしたら不審な点が幾つか存在します。まず、死体の損傷が少ない事です。ファングはゴブリンのように雑食性ですから人間の死体だろうと食らいつきます。それにファングは夜行性なので昼間に遭遇する可能性は低いはず……」
「なら別の魔物が馬車を襲った?」
「でもよ団長、この周辺にはファング以外にこんな芸当を行える魔物なんていないぜ?」
「それはそうですが……もしかしたらこれは」
「すんすん……こ、これは!!」
ミキが言葉を言い終える前にポチ子が大声を上げ、何事かと彼女に視線を向けるとポチ子は鼻を引くつかせて横転した馬車を指差し、威嚇するように唸り声を上げる。
「中に何かが居ます!!酷い血の臭いです!!」
「何だと!?」
「……待ち伏せ!?」
ポチ子の発言に全員が驚愕し、彼女の声に反応するように横転した馬車を内側から破壊して黒色の物体が飛び出した。それは全身が黒色の毛皮で覆われた狼であり、さらにその背中には全身が人型の魔物が乗り込んでいた。
――ウォオオオオンッ!!
狼の咆哮が響き渡り、レナ達はその声量に耳を塞ぎ、魔物は馬車の上に立ってこちらを見下ろす。その背中には子供のような体格の全身が緑色の皮膚に覆われた小鬼のような生物が存在し、レナはすぐに元の世界でもスライムと同様に有名な魔物の「ゴブリン」だと気付く。
「あ、あの……前方に馬車が見えます」
「どんな馬車ですか?」
「……それが倒れているんです。それに……し、死体です!!」
「止まりなっ!!」
アメリアの言葉に全員が前方に視線を向けると、彼女の言葉通りに道の上に横転した馬車と死体となった馬と人間が存在し、慌てて馬車を止めるとテンが真っ先に駆け付け、倒れている馬車の元に移動する。
「おい!!……駄目だ、全員死んでやがる」
「……ざっと20人は倒れていますね。それにこの馬の死体……どう考えてもオークだけに襲われた感じではないですね」
「……猛獣に襲われたような傷口だな」
馬車の傍に倒れている馬の死骸には獣の噛み傷が存在し、傷跡の大きさから考えても獣型の魔物に襲われたとしか考えられず、レナは口元を抑えながら人間の死体に視線を向ける。何度見ても人間の死体は慣れず、それでも調べる必要があり、彼等がどうして死んだのか確かめなければならない。
「これは……妙ですね。全員が魔獣に噛みつかれた後がありますけど、殺されているだけで捕食された様子がありません」
「どういう事ですか?殺すだけ殺して置いてそのまま放置したと言うんですか?」
「そんな馬鹿な……魔獣は腹が減った時にしか人間を襲わないはずだろ?」
「ですけどそれ以外に考えられません。しかも確実に急所だけを噛み千切っています。喉、胸元、頭……相当に利口ですね」
全ての死体は急所を確実に噛み千切られており、それ以外の部分は何故か噛みつかれた様子はなかった。単純に空腹で襲い掛かっていたとしたら他の部位も噛みつかれていても可笑しくはないが、何故か死体は食い散らした痕跡は存在せず、急所だけを噛みちぎられた状態で倒れていた。
「おい、これを見ろよ。こいつら、どうやら武器を運んでいたようだよ」
「本当ですか?」
「あっ!!さっきのオークが持っていた盾と同じ物があります!!」
馬車の横には木箱が大量に落ちており、落下の時の影響で壊れた木箱の破片が散らばっており、中身はポチ子の言葉通りに先ほどのオークが使用していた装備品と同じ型の武具と防具が落ちていた。恐らく先ほどのオークはこの場所から装備品を入手したと考えられる。
「という事はさっきのオークもここに来たのか……あれ?あいつらは死体には興味ないのかな?」
「オークはああ見えても草食ですよ。余程お腹が空いていない限り、人間の死体には食らいつきません」
「そうなんだ……意外だな」
「ちなみにゴブリンは雑食ですから何でも食べますよ。特に人間の肉の味を好む傾向があるので人間を見つけた瞬間に襲い掛かりますよ」
「怖いな……という事はオークが死体を食い荒らさなくてもおかしくはないか」
「気になるのはこの商団に襲い掛かった魔獣です。この傷口から間違いなく肉食獣である事は確かですが、傷跡から考えて同じ個体に襲われたとしか考えられません」
「この草原に出現する魔物の中で可能性が高いのは……ファングか?」
「ファング?」
「全身が黒色の毛皮で覆われた狼ですよ。但し、その大きさは普通の狼よりも一回りは大きく、牙も異様に長い魔物です」
アイリィの説明にレナは死体を確認し、仮にテンの予想が当たっていたとしたらファングという魔物が馬車を襲い、商人とその護衛を行っていた人間を殺した事になる。
「ですが仮にファングだとしたら不審な点が幾つか存在します。まず、死体の損傷が少ない事です。ファングはゴブリンのように雑食性ですから人間の死体だろうと食らいつきます。それにファングは夜行性なので昼間に遭遇する可能性は低いはず……」
「なら別の魔物が馬車を襲った?」
「でもよ団長、この周辺にはファング以外にこんな芸当を行える魔物なんていないぜ?」
「それはそうですが……もしかしたらこれは」
「すんすん……こ、これは!!」
ミキが言葉を言い終える前にポチ子が大声を上げ、何事かと彼女に視線を向けるとポチ子は鼻を引くつかせて横転した馬車を指差し、威嚇するように唸り声を上げる。
「中に何かが居ます!!酷い血の臭いです!!」
「何だと!?」
「……待ち伏せ!?」
ポチ子の発言に全員が驚愕し、彼女の声に反応するように横転した馬車を内側から破壊して黒色の物体が飛び出した。それは全身が黒色の毛皮で覆われた狼であり、さらにその背中には全身が人型の魔物が乗り込んでいた。
――ウォオオオオンッ!!
狼の咆哮が響き渡り、レナ達はその声量に耳を塞ぎ、魔物は馬車の上に立ってこちらを見下ろす。その背中には子供のような体格の全身が緑色の皮膚に覆われた小鬼のような生物が存在し、レナはすぐに元の世界でもスライムと同様に有名な魔物の「ゴブリン」だと気付く。
感想 263
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
S級冒険者の子どもが進む道
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。