文字の大きさ
大
中
小
181 / 207
戦姫編
バジリスク討伐部隊
用事を済ませたレナが陽光教会に帰還し、アイリィとコトミンと合流を果たす。ゴンゾウは冒険者ギルドに向かっており、時間が余っているので依頼を受けに向い、レナは暇つぶしに2人と戯れているとテンが彼の部屋に顔を見せる。。
「よう!!あんた達、今までどこ行ってんだい?」
「あ、テンさん……いや、テン」
「あたたたたっ……ちょっ、コトミンさん!?イカサマしようとしたのは謝りますから許してください」
「……駄目」
「何してんだいあんた等は……」
レナは自作のトランプで二人にルールを教えて遊んでいると、アイリィがババ抜きの際にイカサマを仕掛けようとしたのをコトミンが見抜き、現在は彼女がお仕置きを実行する。脇固めの要領で腕を捻り、アイリィが助けを求めるようにテンに手を伸ばす。
「た、助けてください!!このままだと骨が……」
「たくっ……仕方ないね。ほら、それくらいにしといな嬢ちゃん」
「しょうがない……許してやろう」
テンがコトミンの身体を抱え、アイリィは安堵の息を吐く。その一方でレナはトランプに視線を向け、こちらの世界にはトランプのようなカードゲームは存在しないらしく、新しい遊戯としてこの世界に伝えられないか考えているとテンが彼に声を掛ける。
「そう言えば坊主、ミキさんがあんたを探しているよ。例の戦姫さんの使者がお待ちかねだよ」
「使者?」
「黒髪の女剣士だよ。名前は……リノンとか言ったっけ?」
彼女の言葉にレナの脳裏にこちらの世界に召喚された日に戦姫の側近を勤めていた黒髪の女騎士を思い出し、テンの案内の元でレナだけが執務室に移動する。アイリィとコトミンは今回も参加せず、部屋の中で大人しく待機する事を告げる。
「いってらっしゃ~い」
「おみやげ期待してる」
「くそう……後で覚えてろよ」
「ほら、行くよ」
2人に手を振って見送られ、レナはテンと共に執務室に向かう。彼女は話し合いには参加しないのか執務室の前に移動すると訓練場に向かってしまい、レナは若干緊張しながらもノックを行い、部屋の中に入り込む。
「失礼します」
「レナ様、どうぞこちらへ」
「むっ……やっと来たか」
事前のレナの予想通り、執務室に待機していたのは黒髪の挑発が特徴的の女性の騎士であり、テンの記憶が正しければリノンという名前の戦姫の護衛を勤める帝国の女騎士である。レナはミキの隣に移動を行い、最初に自己紹介を行う。
「えっと、一応はお久しぶりになるのかな?異世界から訪れたレナです」
「ああ、そう言えば以前に一度だけ会った事があったな……ジャンヌ様の側近を勤めるリノンだ」
「レナ様……彼女は異国人なのでこちらの国の言葉は苦手としています。口調に不自然な点がありますが、あまり気にしないで下さい」
「そうなんだ……」
「すまない……この国には長くいるんだが、どうにも敬語とやらは苦手でな……申し訳ない」
リノンの言葉遣いに違和感を感じたが、どうやらわざと不遜な態度を取っているわけではなく、彼女は頭を下げる。異国人という言葉とこの世界では珍しい黒髪である事からレナは彼女が日本人ではないかと疑問を抱き、試しに尋ねる。
「あの……もしかしてリノンさんは異世界人なんですか?」
「いや……だが、私の祖母が異世界人だ。両親も黒髪だが、特に異世界人の血を引いていても特別な能力は宿していない」
「そうなんですか……でも異世界人か」
自分と勇者として召喚された佐藤達以外にこちらの世界に日本人らしき人物が居る事にレナは驚き、どのような人物なのか気にかかるが、リノンが彼の気持ちを察したように同情の言葉を掛ける。
「すまないが祖母は既に他界している。流行り病にかかってな……こちらの世界の薬が合わなかったのか、普通なら死に陥るような病じゃなかったんだが……」
「そう、ですか……」
「君も身体には気を付けた方が良い。さて……それでは本題に入ろう」
リノンは書状を取り出し、先にミキに手渡す。彼女は受け取ると内容を確認し、険しい表情を浮かべて頷く。
「……分かりました。約束通り、陽光教会も今回のバジリスクの討伐に御助力します」
「ほ、本当ですか?」
「石化の魔眼に関しては対抗策を講じる必要がありますので準備の時間は必要ですが、ワルキューレ騎士団を出動させます。また、回復薬の支援も我々が行いましょう」
「おおっ……ありがとうございます!!」
「ですが、気がかりなのは深淵の森にバジリスク以外にもオークが増加している傾向があります。もしもバジリスクに遭遇する前にオークと交戦する場合、現時点の騎士団の数では不安な点があります」
「その点は問題はない。帝国名義で冒険者ギルドにも討伐隊の志願者を募集しています」
「ということは……バジリスクの討伐にはワルキューレ騎士団も参加してくれるんですか?」
「はい。我々としても戦姫様には多大な恩がありますし、それにレナ様も陽光教会にとっては重要な存在なのです。我々も協力は惜しみません」
ミキの言葉を聞いてレナは内心安堵し、相手が伝説の化物ならば普通に考えれば少人数で倒せる敵ではなく、2人の話を聞く限りでは更なる助力が期待できそうだった。
「よう!!あんた達、今までどこ行ってんだい?」
「あ、テンさん……いや、テン」
「あたたたたっ……ちょっ、コトミンさん!?イカサマしようとしたのは謝りますから許してください」
「……駄目」
「何してんだいあんた等は……」
レナは自作のトランプで二人にルールを教えて遊んでいると、アイリィがババ抜きの際にイカサマを仕掛けようとしたのをコトミンが見抜き、現在は彼女がお仕置きを実行する。脇固めの要領で腕を捻り、アイリィが助けを求めるようにテンに手を伸ばす。
「た、助けてください!!このままだと骨が……」
「たくっ……仕方ないね。ほら、それくらいにしといな嬢ちゃん」
「しょうがない……許してやろう」
テンがコトミンの身体を抱え、アイリィは安堵の息を吐く。その一方でレナはトランプに視線を向け、こちらの世界にはトランプのようなカードゲームは存在しないらしく、新しい遊戯としてこの世界に伝えられないか考えているとテンが彼に声を掛ける。
「そう言えば坊主、ミキさんがあんたを探しているよ。例の戦姫さんの使者がお待ちかねだよ」
「使者?」
「黒髪の女剣士だよ。名前は……リノンとか言ったっけ?」
彼女の言葉にレナの脳裏にこちらの世界に召喚された日に戦姫の側近を勤めていた黒髪の女騎士を思い出し、テンの案内の元でレナだけが執務室に移動する。アイリィとコトミンは今回も参加せず、部屋の中で大人しく待機する事を告げる。
「いってらっしゃ~い」
「おみやげ期待してる」
「くそう……後で覚えてろよ」
「ほら、行くよ」
2人に手を振って見送られ、レナはテンと共に執務室に向かう。彼女は話し合いには参加しないのか執務室の前に移動すると訓練場に向かってしまい、レナは若干緊張しながらもノックを行い、部屋の中に入り込む。
「失礼します」
「レナ様、どうぞこちらへ」
「むっ……やっと来たか」
事前のレナの予想通り、執務室に待機していたのは黒髪の挑発が特徴的の女性の騎士であり、テンの記憶が正しければリノンという名前の戦姫の護衛を勤める帝国の女騎士である。レナはミキの隣に移動を行い、最初に自己紹介を行う。
「えっと、一応はお久しぶりになるのかな?異世界から訪れたレナです」
「ああ、そう言えば以前に一度だけ会った事があったな……ジャンヌ様の側近を勤めるリノンだ」
「レナ様……彼女は異国人なのでこちらの国の言葉は苦手としています。口調に不自然な点がありますが、あまり気にしないで下さい」
「そうなんだ……」
「すまない……この国には長くいるんだが、どうにも敬語とやらは苦手でな……申し訳ない」
リノンの言葉遣いに違和感を感じたが、どうやらわざと不遜な態度を取っているわけではなく、彼女は頭を下げる。異国人という言葉とこの世界では珍しい黒髪である事からレナは彼女が日本人ではないかと疑問を抱き、試しに尋ねる。
「あの……もしかしてリノンさんは異世界人なんですか?」
「いや……だが、私の祖母が異世界人だ。両親も黒髪だが、特に異世界人の血を引いていても特別な能力は宿していない」
「そうなんですか……でも異世界人か」
自分と勇者として召喚された佐藤達以外にこちらの世界に日本人らしき人物が居る事にレナは驚き、どのような人物なのか気にかかるが、リノンが彼の気持ちを察したように同情の言葉を掛ける。
「すまないが祖母は既に他界している。流行り病にかかってな……こちらの世界の薬が合わなかったのか、普通なら死に陥るような病じゃなかったんだが……」
「そう、ですか……」
「君も身体には気を付けた方が良い。さて……それでは本題に入ろう」
リノンは書状を取り出し、先にミキに手渡す。彼女は受け取ると内容を確認し、険しい表情を浮かべて頷く。
「……分かりました。約束通り、陽光教会も今回のバジリスクの討伐に御助力します」
「ほ、本当ですか?」
「石化の魔眼に関しては対抗策を講じる必要がありますので準備の時間は必要ですが、ワルキューレ騎士団を出動させます。また、回復薬の支援も我々が行いましょう」
「おおっ……ありがとうございます!!」
「ですが、気がかりなのは深淵の森にバジリスク以外にもオークが増加している傾向があります。もしもバジリスクに遭遇する前にオークと交戦する場合、現時点の騎士団の数では不安な点があります」
「その点は問題はない。帝国名義で冒険者ギルドにも討伐隊の志願者を募集しています」
「ということは……バジリスクの討伐にはワルキューレ騎士団も参加してくれるんですか?」
「はい。我々としても戦姫様には多大な恩がありますし、それにレナ様も陽光教会にとっては重要な存在なのです。我々も協力は惜しみません」
ミキの言葉を聞いてレナは内心安堵し、相手が伝説の化物ならば普通に考えれば少人数で倒せる敵ではなく、2人の話を聞く限りでは更なる助力が期待できそうだった。
感想 263
あなたにおすすめの小説
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~
白い彗星世界を救った勇者、彼はその力を危険視され、仲間に殺されてしまう。無念のうちに命を散らした男ロア、彼が目を覚ますと、なんと過去に戻っていた!
もうあんなヘマはしない、そう誓ったロアは、二度目の人生を穏やかに過ごすことを決意する!
とはいえ世界を救う使命からは逃れられないので、世界を救った後にひっそりと暮らすことにします。勇者としてとんでもない力を手に入れた男が、死の原因を回避するために苦心する!
ロアが死に戻りしたのは、いったいなぜなのか……一度目の人生との分岐点、その先でロアは果たして、穏やかに過ごすことが出来るのだろうか?
過去へ戻った勇者の、ひっそり冒険談
小説家になろうでも連載しています!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!
克全東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。
アルファポリスオンリー
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。