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戦姫編
三日月草
「おいレナ!!こんな時に何やってんだい!?」
「薬草を見つけた!!こいつを擦りつければオークは近寄らない!!」
『いやんっ……そんな所まで擦り込むの?』
レナは噛み千切られて粉末状になった薬草を黒馬に変化したコトミンにすり付け、背中に乗り込む。すると先ほどまで襲い掛かって来たオークの群れが立ち止まり、困惑したように鼻を抑える。レナ達の鼻には何も感じないが磨り潰された薬草の臭いを彼等は苦手としているようであり、それを見たテンは団員達に指示を与える。
「全員騎乗の準備をしなっ!!レナ、あんたが先頭を走りな!!」
「わぅっ……ちょっと臭いです」
「そういえばあんたも鼻が強かったね……しょうがない、これで鼻を摘まみな」
テンの言葉にワルキューレ騎士団とリノンは従い、乗馬の準備を行う。オーク動揺に嗅覚が優れているポチ子にも薬草の影響が生まれたが、テンが彼女の口元を布で覆いこみ、自分の馬の背中に乗せる。全員がオークを振り切って騎乗したのを確認すると、レナはコトミンを走らせる。
「行くよコトミン!!」
『ひ、ひひぃんっ……』
「別に無理に鳴き声は上げなくていいけど!?」
「何を1人で騒いでんだい……早く行きな!!」
『プギィイイイッ……!?』
薬草の臭いを放つコトミンが先行すると、オーク達は警戒したように道を開く。その間を潜り抜け、レナとワルキューレ騎士団は草原を疾走する。レナは移動中も浮揚魔術を利用して短剣と手裏剣を自分の周囲に滞空させ、暗闇に覆われた草原を照らすために勿体ないが聖水を利用して刃に振りかける。
「これでよし……行けっ!!」
『……ちょっと勿体ない』
「後で幾らでも作れるよ!!ほら、急いで!!」
常に光り輝き続ける聖水の特徴を生かし、刃に付着した聖水を灯り代わりに利用し、短剣を先行させて前方を照らす。草影に隠れている魔物が存在しないのかを確認しながらレナは手裏剣を草刈り機の要領で前方の茂みを切り裂きながら移動を行う。
「レナ!!あんまり無理をするんじゃないよ!!バジリスクとの戦闘前に倒れたら困るからね!!」
「この状態なら別に魔力は使わないよ。それよりも後方から追いかけてきてないか心配した方が……」
「はっ!!馬に追いつけるオークなんているはずが……」
「副団長!!後方から何かが追いかけています!!」
テンの言葉を団員が遮り、彼女は驚いた表情を浮かべて振り返ると最後尾に土煙を舞い上げながら接近する存在を目撃し、彼女は珍しく動揺した声を上げた。
「おい、冗談だろ!!どうしてこんな場所にあいつがいるんだい!?」
「あいつ?」
「バイコーンだよ!!上級危険種に指定されている化物さ!!」
「バ、バイコーンだと!?」
彼女の言葉にレナとリノンも振り返ると、最後尾を追い抜いて団員達の横を通り過ぎると先頭を走っているレナの真横に移動する。全身が黒色に覆われた馬であり、普通の馬と違いがあるとすれば身体の規模が二回り程大きく、馬というよりは象のように巨大な生物がコトミンに乗り込んだレナと並行する。額にはユニコーンと違って二つの角が存在し、宝石のように光り輝く瞳を向ける。
『ブルルッ……!!』
「えっ!?な、何?」
『……落ち着いて、敵意は感じられない』
「レナ!!そいつは聖属性の魔法を嫌うんだよ!!だから狙いはあんたの短剣さ!!」
テンの言葉にレナは自分が聖水を振りまいて灯り代わりに利用していた短剣に気付き、慌てて浮揚魔術で短剣を引き寄せ、刃を腰のベルトに戻す。バイコーンの出現の影響なのかオークも姿を見せなくなり、レナは速度を緩めるとバイコーンも同じように速度を落とし、やがて両者は立ち止まる。
「な、なに?まだ用があるの?」
『ブルルッ……』
『何か話がってるみたい』
バイコーンはレナの進路を遮るように移動を行い、警戒を怠らずに様子を伺うと、コトミンがレナにだけ聞こえる声量で話しかける。何が起きているのか理解できないが、レナは全ての短剣を収納済みであり、バイコーンに目を付けられる理由が分からない。
『怯えるな、人間の子よ』
「えっ?」
『……?』
「どうしたんだい?」
唐突にレナの脳内に見知らぬ男性の声が響き渡り、彼は驚いた表情を浮かべると周囲の人間が不審に思い、声が聞こえているのは自分だけだと判明する。そして声の主はバイコーンである事は間違いなく、巨大な黒馬は外見とは裏腹に優しい声音で話しかけてきた。
『落ち着け、我はお前達が深淵の森と呼んでいる森に住んでいたバイコーンだ』
※新作との同時連載のため、しばらくは11時と12時にだけ投稿します。
「薬草を見つけた!!こいつを擦りつければオークは近寄らない!!」
『いやんっ……そんな所まで擦り込むの?』
レナは噛み千切られて粉末状になった薬草を黒馬に変化したコトミンにすり付け、背中に乗り込む。すると先ほどまで襲い掛かって来たオークの群れが立ち止まり、困惑したように鼻を抑える。レナ達の鼻には何も感じないが磨り潰された薬草の臭いを彼等は苦手としているようであり、それを見たテンは団員達に指示を与える。
「全員騎乗の準備をしなっ!!レナ、あんたが先頭を走りな!!」
「わぅっ……ちょっと臭いです」
「そういえばあんたも鼻が強かったね……しょうがない、これで鼻を摘まみな」
テンの言葉にワルキューレ騎士団とリノンは従い、乗馬の準備を行う。オーク動揺に嗅覚が優れているポチ子にも薬草の影響が生まれたが、テンが彼女の口元を布で覆いこみ、自分の馬の背中に乗せる。全員がオークを振り切って騎乗したのを確認すると、レナはコトミンを走らせる。
「行くよコトミン!!」
『ひ、ひひぃんっ……』
「別に無理に鳴き声は上げなくていいけど!?」
「何を1人で騒いでんだい……早く行きな!!」
『プギィイイイッ……!?』
薬草の臭いを放つコトミンが先行すると、オーク達は警戒したように道を開く。その間を潜り抜け、レナとワルキューレ騎士団は草原を疾走する。レナは移動中も浮揚魔術を利用して短剣と手裏剣を自分の周囲に滞空させ、暗闇に覆われた草原を照らすために勿体ないが聖水を利用して刃に振りかける。
「これでよし……行けっ!!」
『……ちょっと勿体ない』
「後で幾らでも作れるよ!!ほら、急いで!!」
常に光り輝き続ける聖水の特徴を生かし、刃に付着した聖水を灯り代わりに利用し、短剣を先行させて前方を照らす。草影に隠れている魔物が存在しないのかを確認しながらレナは手裏剣を草刈り機の要領で前方の茂みを切り裂きながら移動を行う。
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「はっ!!馬に追いつけるオークなんているはずが……」
「副団長!!後方から何かが追いかけています!!」
テンの言葉を団員が遮り、彼女は驚いた表情を浮かべて振り返ると最後尾に土煙を舞い上げながら接近する存在を目撃し、彼女は珍しく動揺した声を上げた。
「おい、冗談だろ!!どうしてこんな場所にあいつがいるんだい!?」
「あいつ?」
「バイコーンだよ!!上級危険種に指定されている化物さ!!」
「バ、バイコーンだと!?」
彼女の言葉にレナとリノンも振り返ると、最後尾を追い抜いて団員達の横を通り過ぎると先頭を走っているレナの真横に移動する。全身が黒色に覆われた馬であり、普通の馬と違いがあるとすれば身体の規模が二回り程大きく、馬というよりは象のように巨大な生物がコトミンに乗り込んだレナと並行する。額にはユニコーンと違って二つの角が存在し、宝石のように光り輝く瞳を向ける。
『ブルルッ……!!』
「えっ!?な、何?」
『……落ち着いて、敵意は感じられない』
「レナ!!そいつは聖属性の魔法を嫌うんだよ!!だから狙いはあんたの短剣さ!!」
テンの言葉にレナは自分が聖水を振りまいて灯り代わりに利用していた短剣に気付き、慌てて浮揚魔術で短剣を引き寄せ、刃を腰のベルトに戻す。バイコーンの出現の影響なのかオークも姿を見せなくなり、レナは速度を緩めるとバイコーンも同じように速度を落とし、やがて両者は立ち止まる。
「な、なに?まだ用があるの?」
『ブルルッ……』
『何か話がってるみたい』
バイコーンはレナの進路を遮るように移動を行い、警戒を怠らずに様子を伺うと、コトミンがレナにだけ聞こえる声量で話しかける。何が起きているのか理解できないが、レナは全ての短剣を収納済みであり、バイコーンに目を付けられる理由が分からない。
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「えっ?」
『……?』
「どうしたんだい?」
唐突にレナの脳内に見知らぬ男性の声が響き渡り、彼は驚いた表情を浮かべると周囲の人間が不審に思い、声が聞こえているのは自分だけだと判明する。そして声の主はバイコーンである事は間違いなく、巨大な黒馬は外見とは裏腹に優しい声音で話しかけてきた。
『落ち着け、我はお前達が深淵の森と呼んでいる森に住んでいたバイコーンだ』
※新作との同時連載のため、しばらくは11時と12時にだけ投稿します。
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