最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
191 / 207
戦姫編

戦闘集団

しおりを挟む
『プギィイイイイッ……!!』
「副団長!!増援が来ました!!」
「そいつはいいね!!今日は焼肉だよ!!」
「俺は豚肉より牛肉派だけどね」


オークの新手が出現し、テンは歓喜の声を上げるがレナも同時に動き出し、新手に向けて浮揚魔術を試すために腰に差していた短剣に付与魔法を施し、自分の周囲に滞空させて狙撃のスキルを発動させて撃ち抜く。


「螺旋弾!!」
「プギャッ!?」
「プギィッ!?」
「ブフゥッ!?」
「おおっ……」


弾丸のように横回転を加えた短剣がオークの肉体を貫通し、急所を撃ち抜かれた個体はその場に倒れこむ。更にレナは手裏剣を取り出し、短剣と同様に土属性の付与魔法を施して高速回転を加えて解き放つ。


「螺旋刃!!」
『プギャアアアッ!?』
「す、凄い……!?なんだあの魔法は!?」


手裏剣が次々とオークの肉体を切り裂き、中には人間から奪った防具を身に着けている個体もいるが、レナの短剣と手裏剣は非常に頑丈な金属のミスリルと魔法耐性が高い銀の合金であり、並の防具では防ぐ事は出来ず、盾と鎧を破壊して切り裂く。

更にレナの短剣と手裏剣は彼の意思で自由に操作する事が可能であり、勢いを止める事はなく次々と打ち倒す。だが、全ての短剣と手裏剣を操作するのはレナにも負担が掛かり、意識を集中させる必要があるので自分の身の回りの軽快を怠ってしまう。


「プギィイイッ!!」
「危ないっ!!」
「うわっ!?」


彼が気付かぬうちに血塗れのオークが接近し、手元に握りしめている木製の槍を突き出すが、咄嗟にリノンが前に出ると彼女は長剣を引き抜く際に侍の居合のように相手を切り裂く。彼女の剣は日本刀の刃と酷似しており、オークの厚い脂肪で覆われた腹部を容易く切り裂く。


「プギャアッ……!?」
「火炎剣!!」
「おおっ!?」


脇腹を抑えて膝を崩したオークに対し、リノンは剣の刀身に炎を纏わせ、相手の頭部を突き刺して焼き払う。その光景にレナは驚きを隠せず、火属性の付与魔法のように長剣に炎を纏わせた彼女に視線を向けるが、彼女の長剣が奇妙な輝きを放つ事に気付き、鑑定のスキルを発動させて長剣を調べると、彼女の剣が普通の金属ではない事を見抜く。

彼女の身に着けている長剣の刃はミスリルの金属と火属性の魔水晶で構成されており、鞘を抜刀する際に火花を刀身に走らせた瞬間、魔水晶の魔力が反応して火炎を纏う。魔剣や聖剣と呼ばれる程の代物ではないが、その火力は非常に高く、レナの火属性の付与魔法よりも高熱を放つ炎を纏い、オークを次々と焼き殺す。


「せいっ!!」
「プギィイイッ!?」


リノンに切り裂かれたオークの傷口が発火し、全身に炎が広がる。相手は悲鳴を上げて倒れこみ、草原に火が走るが魔法で生み出した火炎は消失しやすい特徴があり、火事が広がる事はない。その光景にテンは大剣を振り回しながら笑い声を上げる。


「おいおい!!あんまり焼くんじゃないよ!!こいつらの肉は焼き過ぎると不味くなるんだよ!!」
「ふざけている……場合かっ!?どんどんと数が増しているんだぞ!?」
「確かに少しおかしいね……これは飯の余裕が出来たと喜んでる場合じゃないね」
『プギィイイイッ!!』


オークの増援が次々と現れ、既にワルキューレ騎士団は100体近くのオークを討伐を果たしているが、次々と新手の群れが出現する。既に地面には無数の死体が散乱しているが、オークの数は増加する一方であり、流石にテンも戸惑った表情を浮かべる。

数か月前からオークが増加している傾向がある事は聞いていたが、まだ深淵の森に到着していないにも関わらずに無数のオークが草原に進出しており、レナは浮揚魔術を利用して次々と打ち倒す。魔弓術は魔装術を控えているのは無駄な魔力と矢を消費しないためであり、彼はコトミンに視線を向ける。


「コトミンは平気……何やってんの!?」
『むしゃむしゃ……』


馬に変化していたコトミンは足元に存在する草に喰いついており、彼女は水と魔石以外の食事は行わないはずだが、彼女の食べている物にレナは視線を向けると、葉の形状が「三日月」のような野草であり、コトミンは葉の部分だけを器用に食い千切り、レナに近づく。


『レナ……これ薬草』
「薬草?回復薬の原料の……いや、今はそういう場合じゃないから!!」
『違う。この薬草がオークの苦手な物』


薬草を差し出してきたコトミンにレナは注意を行うが、彼女は口の中に噛み潰した葉を見せつけると、レナの背後に近づこうとしたオークが動きを止め、鼻を抑える動作を行う。


「プギィイイイッ……!?」
「えっ?」
『……帰って』


コトミンが馬の状態のまま口を開くと噛み潰された薬草の臭いが漂い、オークは悲鳴を上げてその場を立ち去る。その光景にレナは驚くが、コトミンはその隙に彼の左腕に噛みつく。


「あいたぁっ!?何すんの!?」
『薬草を塗ってる……これでよし』
「いててて……歯形ついちゃったよ」


レナの左腕に噛み潰された薬草が塗り込まれ、レナに近づこうとしたオーク達が薬草の臭いを嗅ぎつけた瞬間、悲鳴を上げて逃走を開始した。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...