伝説の魔術師の弟子になれたけど、収納魔法だけで満足です

カタナヅキ

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修行の旅

第59話 幼馴染との再会

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「うおらぁっ!!」
「ぎゃああっ!?」
「うわっ!?」
「な、何すかっ!?」


酒場の方から少女と思わしき声と男性の悲鳴が響き渡り、何事かとナイ達は視線を向けると、そこには異様な光景が広がっていた。が男性の頭を掴んで机に叩きつけたらしく、それを見て他の者が慌てて止めようとした。


「おい、何してるんだ馬鹿!?」
「やりすぎだぞ!!手を離せ!!」
「うるせえっ!!こいつが人の尻を撫でようとしてくるからお仕置きしただけだろうがっ!!」
「く、クソガキが……ぶっ殺してやる!!」


どうやら少女は自分の尻を触ろうとしてきた男性を机に叩きつけたらしく、男性は頭から血を流しながら少女を睨みつける。だが、ナイとしては気になったのは少女の外見と「ハルナ」という名前だった。


(ハルナだって!?それにあの顔……まさか!?)


ハルナと呼ばれた少女の顔を一目見ただけでナイは衝撃を受け、彼女の正体が自分が探し求めていた幼馴染の「ハル」だと見抜いた――





――ハルの本名は「ハルナ」であり、本人は名前で呼ばれる事を嫌がってナイには自分の事は「ハル」と呼ばせるようにしていた。ナイは今まで気づかなかったがハルの正体は女性だった。

幼い頃から男勝りで女性らしい言動や格好を嫌っていたハルはナイに自分が女性である事は言い出せず、結局は正体を明かす前に彼と別れてしまった。その後、ハルは冒険者になるためにイチノへと移り住む。

冒険者ギルドでは15才未満の人間は加入は許されず、彼女も15才になるまでの間は冒険者になるための訓練を受けていた。そして一年前に晴れて冒険者になれたが、イチノが魔物の襲撃を受けて滅びたために現在はニノの「黒虎」の冒険者ギルドに加入した。

子供の頃からの夢である冒険者となった彼女だが、昔は少年と見間違う程の容姿だったが、年齢を重ねるにつれて胸も大きくなり、動きやすさを重視して露出度が高めな格好をしていた。そのせいで他の男性冒険者に目を付けられる事も有り、彼女にちょっかいを掛けようとする者は多い。しかし、気の強いハルナは相手が誰であろうと自分に触れようとする男は容赦なく叩きのめす。


「ハルナ!!てめえ、先輩に手を出すなんていい度胸だな!!」
「うるせえっ!!階級は一緒なんだから偉そうにすんなっ!!」
「このガキ!!」
「おい、止めろって!?」
「ギルドマスターが来たら殺されるぞ!!」


机に頭を叩きつけられた男性はハルナよりも身長は頭一つ分大きく、体型も筋骨隆々で強面の大男だった。しかし、ハルナは全く臆さずに中指を立てる。一触即発の雰囲気の中、ナイはハルナに声をかけた。


「ハル!!もしかしてハルなのか!?」
「あん!?その声は……まさか!?」


ナイが声をかけるとハルナは振り返り、受付の前で待機するナイに気付いて驚愕の表情を浮かべた。数年ぶりに再会した幼馴染の顔を見て彼女は大男を放っておいてナイの元に駆け抜ける。


「ナイ!!久しぶりだな!!生きてて良かった!!」
「ハルの方こそ……うわっ!?」
「ちょ、兄貴!?」


ハルナはナイに抱きつくと自分の胸元に彼の顔を押し付け、それを見てエリナは驚愕した。エリナも胸は小さくはないが、ハルナの胸はナイの顔を挟みこめる程の大きさを誇り、久々に遭遇したナイにハルナは嬉しそうに語り掛ける。


「へへへ、大きくなっても俺の方がまだ背は大きいな」
「ちょ、ハル……苦しいって」
「そんな恥ずかしがるなよ。俺とお前の仲だろ……うわっ!?」
「ちょっと!!兄貴が嫌がってるでしょ!?」


エリナはナイとハルナを引き剥がすと、いきなり自分達の間に割り込んだ彼女にハルナは眉をしかめる。その一方でナイはハルナの胸の感触に頬を赤らめ、改めてハルの正体が女の子だと知って戸惑う。


「ハル……何時の間に性転換してたの?」
「してねえよ!?俺は元から女だよ!!ていうか昔に風呂に入った事もあっただろ!?」
「お風呂!?兄貴、その話は本当なんですか!?」
「え?いや、どうだったかな……」


ナイは覚えていないがハルナと共に風呂に入った事があるらしく、その時に彼女の正体が女の子だと気付いてもおかしくはないが、幼い頃だったので覚えていなかった。もしかしたらハルが男以上に男っぽい言動をしていたので、女の子であるはずがないと思い込んでいたのかもしれない。

数年ぶりに再会した幼馴染の正体が少女だと知ってナイは衝撃を受けたが、性格の方は変わっておらず、何だか昔に戻れたみたいで嬉しく思う。一方でハルナの方はナイが見知らぬ少女を連れている事に疑問を抱く。


「それで?そっちの女は誰だよ。まさかとは思うけど、お前の女じゃないだろうな?」
「え?ああ、この子は……」
「どうも初めまして。兄貴の妹のエリナです」
「妹!?お前、妹なんていたのか!?」


エリナはナイが紹介する前に自分から名乗ると、ハルナはナイの妹を名乗る彼女に驚く。だが、エリナの見た目からエルフであると見抜くと彼女はナイの実の妹ではないと見抜く。


「いや、どう見てもナイの妹じゃないだろお前……いったい誰だよ?」
「あたしは兄貴に惚れ込んで一緒に旅をしている仲間です。そちらさんは兄貴の何なんですか?」
「俺はこいつの幼馴染だよ。名前はハルナだ、よろしくな」
「あれ?」


ハルナがあっさりと本名を明かした事にナイは意外に思い、村で暮らしていた頃はハルナは女の子らしい自分の名前を嫌って他の人間には「ハル」と呼ばせていた。それなのにあっさりと名乗った事にナイは違和感を抱くと、ハルナは胸を張って答える。


「俺だってもうガキじゃないんだ。今更自分の名前を恥ずかしがる年齢《とし》じゃねえよ」
「そうなんだ。なら、俺もハルナと呼んだ方が良いかな?」
「や、止めろよ……今まで通りにハルでいいよ」
「分かりました。よろしくお願いしますね、ハルちゃん」
「お前は呼ばなくていいんだよ!?ていうかちゃん付けするな!!」


ナイだけはこれまで通りに「ハル」と呼ぶ事を許すが、エリナが自分の渾名で呼ぶ事は許さず、お互いに火花を散らしながら睨み合う。だが、今まで放っておかれた大男が怒鳴り声を上げながら近付く。


「おいこら!!俺の事を無視してるんじゃねえぞ!!」
「あん?」
「あ、さっきの……」
「ハルちゃんの尻を触ろうとしてきた変態さんですね」
「だ、誰が変態だ!?」


ハルナに頭から机に叩き込まれた大男が割り込み、彼は額から血を流しながら興奮した様子でナイ達を睨みつける。
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