910 / 1,110
番外編 獣人国の刺客
第893話 人造ゴーレム
しおりを挟む
「人造ゴーレムというのは文字通りに人の手で作られたゴーレムなんだ」
「えっ!」
「といっても今の時代ではゴーレムを作り出すのは不可能なんだけどね。記録によれば人造ゴーレムを作り出す技術を編み出したのは勇者らしいよ」
アルトによれば遥か昔に異界から訪れたという「勇者」が残した技術によって作り出されたのが「人造ゴーレム」という。しかし、現在の時代ではその技術は廃れてしまい、もう二度と人造ゴーレムは作り出せなくなった。
「人造ゴーレムは野生のゴーレム種とは異なり、主人である人間の命令には忠実に従う。古城に残された人造ゴーレムは元々は魔物に対抗するために作り出された代物なんだけど、結局は人造ゴーレムだけでは魔物の大群はどうしようもできなくて旧王都は放棄されたみたいだね」
「そ、そうなんだ。それなら人造ゴーレムは……」
「人が去っても残された人造ゴーレムは旧王都の古城に残り続け、今現在も古城に入り込もうとする侵入者を拒むために稼働し続けているよ。何百年も主人が戻る事がない城の守護を行っているんだ……そう思うと彼等も哀れだね」
「何百年も……」
魔物に対抗するために作り出された人造ゴーレム達は、今尚も旧王都の古城に残って守り続けているらしく、もう主人が戻ってくる事はないにも関わらずに人造ゴーレムは古城の侵入者を排除するために働き続けているらしい。
古城には人造ゴーレムが侵入者を排除するために巡回しており、もしも人造ゴーレムに見つかれば仮に人間であろうと容赦なく襲い掛かる。元々は人間を守るために作り出された存在が、今では逆に人間を脅かす存在と化したのは皮肉な話だった。
「人造ゴーレムの戦闘力は野生のゴーレムを遥かに上回るんだ。しかもゴーレム種の共有の弱点である水に対しても耐性を持っているから厄介な事この上ないよ」
「えっ!?水が効かないの?」
「ああ、僕も前に腕利きの冒険者を雇って古城の調査に出向いた事があるんだ。だけど、人造ゴーレムは水属性の魔法を得意とする魔術師の攻撃を受けても平気だった。彼等はどうやらゴーレム種共通の弱点を克服しているらしい」
ゴーレム種は環境によって様々な能力を持ち合わせ、例えば山岳地帯に生息する「ロックゴーレム」は名前の通りに岩石の如き硬い外殻に覆われ、この外殻を破壊して核を壊さなければ倒す事はできない。
他にもナイがグマグ火山で遭遇した「マグマゴーレム」や「ゴーレムキング」は膨大な火属性の魔力を宿し、溶岩のように肉体に高熱を帯びたり、火竜のように火炎の吐息を吐き出せるなどの特殊能力を持つゴーレムも存在する。
しかし、これらのゴーレム種の弱点は「水」であり、彼等は水を浴びると身体が泥のように柔らかくなって肉体が崩れる。だからこそ水属性の魔法の使い手がいればそれほどの脅威にはならないのだが、人造ゴーレムの場合はこの水の弱点も克服しているとアルトは説明する。
「人造ゴーレムは魔物だけではなく、将来的には国の戦力として有効活用しようと考えた輩もいたんだ。でも、実験の成功間近で王都が魔物の大群に占拠されたせいで全てが台無し……もう人造ゴーレムを作り出す技術も完全に失われた」
「魔物を戦力になんて……」
「まあ、魔物を味方につける事自体は別に珍しくはないよ。獣人国もファングを飼いならして馬代わりに利用したり、巨人国もマモスやパオーといった大型の魔獣を飼いならして戦闘に参加させる事もあるからね。といっても……魔物を一から作り出して戦力に加えようと試みたのは王国だけだろうね」
「…………」
人々を脅かす存在の魔物、それを味方にする事ができればこれ以上に心強い存在はいない。しかし、結果的には人の手で作り出された人造ゴーレムは本来の目的を逸脱し、今では人々を脅かす存在と化した。
古城を調査するためには人造ゴーレムを何とかしなければならず、人造ゴーレムを倒さなければ古城内の調査は難しい。しかも人造ゴーレムは従来のゴーレムの弱点である水は効かず、力ずくで破壊する以外に方法はない。
「かつて古城を調べるために何人もの冒険者が挑んだらしいよ。けど、結局は全員が返り討ちにあった。そのせいで王国側も古城へ立ち入る事を禁じたんだ」
「そんなに人造ゴーレムは強いの?」
「強いというよりは厄介な相手なんだ。どういうわけだか彼等には水属性の魔法どころか、他の属性の魔法も喰らわない。爆炎、電撃、氷結……様々な攻撃手段を用いても人造ゴーレムには通じなかったよ」
「その口ぶりだとアルト……もしかして実際に試したの?」
「ああ、うん……色々と罠を張って試してみたけど駄目だったね」
アルトも以前に古城の調査のために赴き、彼なりに作戦を立てて冒険者の協力を得て人造ゴーレムの討伐を行ったが、結局は全て失敗してしまった事を告げる。
――アルトがまだナイと出会う前、彼は冒険者を個人的に雇って迷宮都市に赴いた事がある。この時に彼の師匠であるハマーンも同行しており、迷宮都市に訪れた彼は古城へ乗り込むために冒険者達と共に向かう。
しかし、古城に辿り着く前にアルト達は人造ゴーレムと遭遇してしまう。この時に人造ゴーレムは古城の内部だけではなく、城の周辺も巡回していた事を初めて知る。
止む無く冒険者達はアルトを守るために人造ゴーレムと交戦する事になったが、冒険者の中から水属性の魔法を得意とする魔術師が最初に攻撃を仕掛けた。通常のゴーレムならば水属性の魔法を受ければ肉体が崩れ落ちて倒す事はできるはずだが、人造ゴーレムは魔法をまともに浴びても肉体が崩れる所か怯みもしなかった。
その後の戦闘は大変な事態に陥り、同行していた巨人族の冒険者が真っ先に人造ゴーレムに狙われた。人造ゴーレムは巨人族の冒険者が放った斧を正面から受けても弾き返し、肉体の硬度もロックゴーレムやマグマゴーレム以上だと判明する。
結局は魔術師の砲撃魔法も巨人族の怪力による攻撃も通じず、アルト達は止む無く撤退するしかなかった。殿はハマーンが請け負い、彼は皆を逃がすために尽力したがこの時の戦闘で大怪我を負う。
結果的にはアルトを守り切り、冒険者達も誰も死なずに逃げる事はできた。しかし、被害の方はかなり酷く、この時の戦闘で同行していた冒険者達は重傷を負ってしまい、黄金冒険者であるハマーンでさえも危うく命を落としかけたという――
――この一件以来、アルトは迷宮都市に訪れる事はあっても古城に近付くような真似はしなかった。古城の周辺地域は危険区域として認定され、今となっては一流冒険者でも古城周辺には絶対に近づけない。
唯一の幸運は人造ゴーレムは古城から遠く離れて行動する事はなく、彼等はあくまでも古城の守護者であるために城から離れる事は決してない。しかし、人造ゴーレムが守っている限りは古城に入る事は不可能に等しい。
「当時の僕はまだ黄金級冒険者だったハマーン師匠と、数名の腕利きの冒険者を雇えば古城に入り込む事はできると思ったんだ。けど、噂以上に人造ゴーレムの強さを思い知らされたよ」
「あのハマーンさんが勝てないなんて……」
「師匠によればあの人造ゴーレムは魔法金属のミスリル以上の硬度を誇るらしいね。しかもあらゆる魔法に対して絶対の耐性を誇る……だからリンやドリスのような魔法剣の使い手でもどうする事もできないと言っていたよ」
人造ゴーレムは他のゴーレム種よりも魔法耐性がずば抜けて高く、過去に黄金級にまで上り詰めた魔術師が攻撃魔法を仕掛けた際も、人造ゴーレムの破壊には至らなかったという記録まで残っている。
この事から考えられるのは人造ゴーレムは魔法に対する強い耐性を誇り、砲撃魔法や魔法剣の類は通じない。魔法が通じなければ力ずくで破壊するしかないが、人造ゴーレムの硬度はロックゴーレムの比ではなく、巨人族の全力の攻撃を受けてもびくともしない。
「僕の見立てでは人造ゴーレムを倒すには圧倒的な力で破壊するしかない。それに破壊する場合は武器の方もそれ相応の硬度を誇らないといけない……それこそ君の盛っている岩砕剣のような武器じゃないとね」
「へえっ……」
「人造ゴーレムを直に見た僕からすればあんな化物を倒せるとしたら……元黄金級冒険者のゴウカさんぐらいだね」
アルトの知る限りで人造ゴーレムを確実に倒せる実力を持つのは黄金級冒険者の中でも「ゴウカ」だけであり、彼の「馬鹿力」の異能と竜種をも屠ると言われるドラゴンスレイヤーならば人造ゴーレムの防御力を突破して破壊できる可能性は十分にあった。
最もそのゴウカは現在も収監されており、少なくともあと数年は出られる事はない。彼が行った罪を考えればむしろ数年で出られるのもおかしい事だが、ゴウカは王都の反乱に参加はしたが一般人には手を出さず、戦った冒険者や兵士も殺してはいない。それに彼が冒険者時代に残した功績も配慮して数年の収監で済んだ。
「ゴウカさん以外に人造ゴーレムを倒せるとしたら……君ぐらいだろうね」
「えっ?」
「だって君はゴウカさんと互角に戦ったリョフという男を倒したんだろう?それに君の持っている岩砕剣と旋斧なら人造ゴーレムも破壊できる可能性は十分にあるよ。だからそれを見越したうえでイリアも君に助けを求めたんだろうね」
「あ、なるほど……そう言う事だったのか」
ナイはアルトの言葉を聞いてイリアが自分に手紙を送った理由を悟り、彼女は古城の調査のために邪魔者である人造ゴーレムと対抗できる力を持つナイに助けを求めたのだ。それを知った上でナイはどうするべきか悩み、イリアの調査に協力するかどうかをアルトに相談する。
「えっ!」
「といっても今の時代ではゴーレムを作り出すのは不可能なんだけどね。記録によれば人造ゴーレムを作り出す技術を編み出したのは勇者らしいよ」
アルトによれば遥か昔に異界から訪れたという「勇者」が残した技術によって作り出されたのが「人造ゴーレム」という。しかし、現在の時代ではその技術は廃れてしまい、もう二度と人造ゴーレムは作り出せなくなった。
「人造ゴーレムは野生のゴーレム種とは異なり、主人である人間の命令には忠実に従う。古城に残された人造ゴーレムは元々は魔物に対抗するために作り出された代物なんだけど、結局は人造ゴーレムだけでは魔物の大群はどうしようもできなくて旧王都は放棄されたみたいだね」
「そ、そうなんだ。それなら人造ゴーレムは……」
「人が去っても残された人造ゴーレムは旧王都の古城に残り続け、今現在も古城に入り込もうとする侵入者を拒むために稼働し続けているよ。何百年も主人が戻る事がない城の守護を行っているんだ……そう思うと彼等も哀れだね」
「何百年も……」
魔物に対抗するために作り出された人造ゴーレム達は、今尚も旧王都の古城に残って守り続けているらしく、もう主人が戻ってくる事はないにも関わらずに人造ゴーレムは古城の侵入者を排除するために働き続けているらしい。
古城には人造ゴーレムが侵入者を排除するために巡回しており、もしも人造ゴーレムに見つかれば仮に人間であろうと容赦なく襲い掛かる。元々は人間を守るために作り出された存在が、今では逆に人間を脅かす存在と化したのは皮肉な話だった。
「人造ゴーレムの戦闘力は野生のゴーレムを遥かに上回るんだ。しかもゴーレム種の共有の弱点である水に対しても耐性を持っているから厄介な事この上ないよ」
「えっ!?水が効かないの?」
「ああ、僕も前に腕利きの冒険者を雇って古城の調査に出向いた事があるんだ。だけど、人造ゴーレムは水属性の魔法を得意とする魔術師の攻撃を受けても平気だった。彼等はどうやらゴーレム種共通の弱点を克服しているらしい」
ゴーレム種は環境によって様々な能力を持ち合わせ、例えば山岳地帯に生息する「ロックゴーレム」は名前の通りに岩石の如き硬い外殻に覆われ、この外殻を破壊して核を壊さなければ倒す事はできない。
他にもナイがグマグ火山で遭遇した「マグマゴーレム」や「ゴーレムキング」は膨大な火属性の魔力を宿し、溶岩のように肉体に高熱を帯びたり、火竜のように火炎の吐息を吐き出せるなどの特殊能力を持つゴーレムも存在する。
しかし、これらのゴーレム種の弱点は「水」であり、彼等は水を浴びると身体が泥のように柔らかくなって肉体が崩れる。だからこそ水属性の魔法の使い手がいればそれほどの脅威にはならないのだが、人造ゴーレムの場合はこの水の弱点も克服しているとアルトは説明する。
「人造ゴーレムは魔物だけではなく、将来的には国の戦力として有効活用しようと考えた輩もいたんだ。でも、実験の成功間近で王都が魔物の大群に占拠されたせいで全てが台無し……もう人造ゴーレムを作り出す技術も完全に失われた」
「魔物を戦力になんて……」
「まあ、魔物を味方につける事自体は別に珍しくはないよ。獣人国もファングを飼いならして馬代わりに利用したり、巨人国もマモスやパオーといった大型の魔獣を飼いならして戦闘に参加させる事もあるからね。といっても……魔物を一から作り出して戦力に加えようと試みたのは王国だけだろうね」
「…………」
人々を脅かす存在の魔物、それを味方にする事ができればこれ以上に心強い存在はいない。しかし、結果的には人の手で作り出された人造ゴーレムは本来の目的を逸脱し、今では人々を脅かす存在と化した。
古城を調査するためには人造ゴーレムを何とかしなければならず、人造ゴーレムを倒さなければ古城内の調査は難しい。しかも人造ゴーレムは従来のゴーレムの弱点である水は効かず、力ずくで破壊する以外に方法はない。
「かつて古城を調べるために何人もの冒険者が挑んだらしいよ。けど、結局は全員が返り討ちにあった。そのせいで王国側も古城へ立ち入る事を禁じたんだ」
「そんなに人造ゴーレムは強いの?」
「強いというよりは厄介な相手なんだ。どういうわけだか彼等には水属性の魔法どころか、他の属性の魔法も喰らわない。爆炎、電撃、氷結……様々な攻撃手段を用いても人造ゴーレムには通じなかったよ」
「その口ぶりだとアルト……もしかして実際に試したの?」
「ああ、うん……色々と罠を張って試してみたけど駄目だったね」
アルトも以前に古城の調査のために赴き、彼なりに作戦を立てて冒険者の協力を得て人造ゴーレムの討伐を行ったが、結局は全て失敗してしまった事を告げる。
――アルトがまだナイと出会う前、彼は冒険者を個人的に雇って迷宮都市に赴いた事がある。この時に彼の師匠であるハマーンも同行しており、迷宮都市に訪れた彼は古城へ乗り込むために冒険者達と共に向かう。
しかし、古城に辿り着く前にアルト達は人造ゴーレムと遭遇してしまう。この時に人造ゴーレムは古城の内部だけではなく、城の周辺も巡回していた事を初めて知る。
止む無く冒険者達はアルトを守るために人造ゴーレムと交戦する事になったが、冒険者の中から水属性の魔法を得意とする魔術師が最初に攻撃を仕掛けた。通常のゴーレムならば水属性の魔法を受ければ肉体が崩れ落ちて倒す事はできるはずだが、人造ゴーレムは魔法をまともに浴びても肉体が崩れる所か怯みもしなかった。
その後の戦闘は大変な事態に陥り、同行していた巨人族の冒険者が真っ先に人造ゴーレムに狙われた。人造ゴーレムは巨人族の冒険者が放った斧を正面から受けても弾き返し、肉体の硬度もロックゴーレムやマグマゴーレム以上だと判明する。
結局は魔術師の砲撃魔法も巨人族の怪力による攻撃も通じず、アルト達は止む無く撤退するしかなかった。殿はハマーンが請け負い、彼は皆を逃がすために尽力したがこの時の戦闘で大怪我を負う。
結果的にはアルトを守り切り、冒険者達も誰も死なずに逃げる事はできた。しかし、被害の方はかなり酷く、この時の戦闘で同行していた冒険者達は重傷を負ってしまい、黄金冒険者であるハマーンでさえも危うく命を落としかけたという――
――この一件以来、アルトは迷宮都市に訪れる事はあっても古城に近付くような真似はしなかった。古城の周辺地域は危険区域として認定され、今となっては一流冒険者でも古城周辺には絶対に近づけない。
唯一の幸運は人造ゴーレムは古城から遠く離れて行動する事はなく、彼等はあくまでも古城の守護者であるために城から離れる事は決してない。しかし、人造ゴーレムが守っている限りは古城に入る事は不可能に等しい。
「当時の僕はまだ黄金級冒険者だったハマーン師匠と、数名の腕利きの冒険者を雇えば古城に入り込む事はできると思ったんだ。けど、噂以上に人造ゴーレムの強さを思い知らされたよ」
「あのハマーンさんが勝てないなんて……」
「師匠によればあの人造ゴーレムは魔法金属のミスリル以上の硬度を誇るらしいね。しかもあらゆる魔法に対して絶対の耐性を誇る……だからリンやドリスのような魔法剣の使い手でもどうする事もできないと言っていたよ」
人造ゴーレムは他のゴーレム種よりも魔法耐性がずば抜けて高く、過去に黄金級にまで上り詰めた魔術師が攻撃魔法を仕掛けた際も、人造ゴーレムの破壊には至らなかったという記録まで残っている。
この事から考えられるのは人造ゴーレムは魔法に対する強い耐性を誇り、砲撃魔法や魔法剣の類は通じない。魔法が通じなければ力ずくで破壊するしかないが、人造ゴーレムの硬度はロックゴーレムの比ではなく、巨人族の全力の攻撃を受けてもびくともしない。
「僕の見立てでは人造ゴーレムを倒すには圧倒的な力で破壊するしかない。それに破壊する場合は武器の方もそれ相応の硬度を誇らないといけない……それこそ君の盛っている岩砕剣のような武器じゃないとね」
「へえっ……」
「人造ゴーレムを直に見た僕からすればあんな化物を倒せるとしたら……元黄金級冒険者のゴウカさんぐらいだね」
アルトの知る限りで人造ゴーレムを確実に倒せる実力を持つのは黄金級冒険者の中でも「ゴウカ」だけであり、彼の「馬鹿力」の異能と竜種をも屠ると言われるドラゴンスレイヤーならば人造ゴーレムの防御力を突破して破壊できる可能性は十分にあった。
最もそのゴウカは現在も収監されており、少なくともあと数年は出られる事はない。彼が行った罪を考えればむしろ数年で出られるのもおかしい事だが、ゴウカは王都の反乱に参加はしたが一般人には手を出さず、戦った冒険者や兵士も殺してはいない。それに彼が冒険者時代に残した功績も配慮して数年の収監で済んだ。
「ゴウカさん以外に人造ゴーレムを倒せるとしたら……君ぐらいだろうね」
「えっ?」
「だって君はゴウカさんと互角に戦ったリョフという男を倒したんだろう?それに君の持っている岩砕剣と旋斧なら人造ゴーレムも破壊できる可能性は十分にあるよ。だからそれを見越したうえでイリアも君に助けを求めたんだろうね」
「あ、なるほど……そう言う事だったのか」
ナイはアルトの言葉を聞いてイリアが自分に手紙を送った理由を悟り、彼女は古城の調査のために邪魔者である人造ゴーレムと対抗できる力を持つナイに助けを求めたのだ。それを知った上でナイはどうするべきか悩み、イリアの調査に協力するかどうかをアルトに相談する。
0
あなたにおすすめの小説
白の魔女の世界救済譚
月乃彰
ファンタジー
※当作品は「小説家になろう」と「カクヨム」にも投稿されています。
白の魔女、エスト。彼女はその六百年間、『欲望』を叶えるべく過ごしていた。
しかしある日、700年前、大陸の中央部の国々を滅ぼしたとされる黒の魔女が復活した報せを聞き、エストは自らの『欲望』のため、黒の魔女を打倒することを決意した。
そしてそんな時、ウェレール王国は異世界人の召喚を行おうとしていた。黒の魔女であれば、他者の支配など簡単ということを知らずに──。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
蒼天のグリモワール 〜最強のプリンセス・エリン〜
雪月風花
ファンタジー
この世界には、悪魔の書と呼ばれる魔導書が存在する。書は選ばれし者の前に現れ所有者に人智を超えた強大な力を与えるが、同時に破滅をもたらすとも言われている。 遥か五百年の昔。天空の王国・イーシュファルトにおいて、王兄の息子レオンハルトが王国秘蔵の魔導書『蒼天のグリモワール』を盗み出した。強大な力を手にしたレオンハルトは王国に石化の呪いをかけて国を丸ごと石化させると、忽然と姿を消した。こうしてイーシュファルトは地上の人々から忘れ去られ、その歴史から姿を消すこととなった。
そして五百年の後。突如、王国の姫・エリン=イーシュファルトの石化が解ける。レオンハルトへの復讐と王国の再起を誓ったエリンは王国最奥部の秘密の宝物庫に赴き、そこに隠された悪魔の書を手にする。それこそがレオンハルトの持って行った儀式用の写本ではない、悪魔の王が封じられた本物の『蒼天のグリモワール』だったのだ。
王国イチの超絶美少女にして武芸も魔法も超一流、悪魔と契約し、絶大な力を入手したエリンの復讐の旅が今始まる。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる