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廃墟編
シルフィアのこれから
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シルフィアの語る魔素とは彼女の住んでいる「アース」という世界に溢れた物であり、この魔素を利用して彼女達の世界は繁栄している。だが、この魔素は生物に大きな影響を与えるエネルギーのため、魔素を吸収し続けた生物は異形の化物へと変化を果たす。そして変化を果たした生物は何故か一定の形状に変化を果たし、その生物の外見が西洋の「ドラゴン」や東洋の「竜」と似ている事から「龍」と呼ばれるようになった。
竜殺しの英雄の物語の後半に入るとアースの世界は元々は地球であり、巨大隕石が落下した影響で魔素が誕生した事が発覚する。この魔素は生物には毒に近い性質を持つが、魔素をエネルギーと変換させる方法が判明し、驚異的な速度で科学が発展していた。主人公を助ける「神人」も魔素のエネルギーを利用して驚異的な戦闘能力を誇り、人類から龍を守り続けている――という設定になっている。
しかし、魔素が存在するのはあくまでもアースの世界の話であり、こちらの世界には魔素は存在しない。シルフィアはワイバーンを見た時に「魔素」を浴びて変異した「龍」だと勘違いしたようだが、ワイバーンはあくまでもこの世界の竜種でしかない。
「シルフィアさん、落ち着いて聞いて欲しい。ここには魔素は存在しないよ」
「え?な、なにを言ってるのですか……魔素が存在しない地域が残っているはずがありません」
「違う。この世界自体が魔素は存在しないんだよ」
「そんな馬鹿な……では、あの異形の生物は?」
「ワイバーンという名前の魔物だよ。この世界はああいった化物が生息しているんだよ」
「ワイバーン……?」
レアの説明にシルフィアは狼狽し、確かにワイバーンの肉体からは「魔素」が確認できず、通常の「龍」は高密度の魔素を所有している。神人であるシルフィアは龍を狩り、その体内から入手できできる魔素を回収して装備を強化したり、あるいは傷の治療や装備ユニットのエネルギーに変換できる。しかし、この世界には魔素その物が存在しないため、彼女はこのままでは危険な状態に陥る。
「俄かには信じ難いですが……確かに周囲1000キロの範囲内に魔素の反応がありません。先程から仲間に通信を行っていますが連絡が取れません……そもそもどうして私がこの場所にいるのでしょうか?」
「それは……ごめんなさい。実は俺が貴方を呼び寄せた……いや、多分ですけど作り出したんです」
「……作り出した?」
シルフィアは唖然とした表情を浮かべ、レアとしてもどのように説明すればいいのか分からず、まずは自分がこの世界に訪れるまでの経緯を離し、そして「文字変換」の能力を授かったことを話す――
――全ての話を終えるとシルフィアは最初は信じられなかったようだが、実際にレアの能力を確認し、この世界には「能力」と呼ばれる特別な存在する事を知る。最後にレアは自分達がワイバーンに追い詰められた際、漫画の知識を参考に「シルフィア」という存在を作り出したことを告げた。
「つまり……私は元々は漫画の中の登場人物のだと?アースの世界は架空の世界だというのですか?」
「いや……どうだろう。実際にそういう世界があるのかもしれないし、もしかしたらシルフィアさんの世界だと俺達が架空の存在かも知れない。少なくともこんな世界があるんだから、シルフィアさんの世界が実在してもおかしくはないよ」
「そうですか……それにしても私達を中心とした漫画が存在するなんて……それを見る事は出来ないのでしょうか?」
「いや、作り出せない事はないけど……あんまり見ない方がいいんじゃないかな。エロいから」
「エロい!?」
「エロくやばい事で大人気だったから」
「ど、どういう意味なんですか!?漫画では私はどうなっているのですか!?」
レアの言葉にシルフィアは目を見開き、いったい自分達が漫画ではどのような扱いを受けているのか気になるが、重要なのはここがアースの世界ではなく、異世界という事である。
「私はアースの世界から呼び出された……という訳ではないのですか?」
「多分、違うと思う。さっきも言っていたように俺の能力の本質は「物質変換」だから……」
「なるほど……つまり私はレア様の能力で作り出された存在なのですね」
シルフィアは自分の掌の拳銃の弾丸に視線を向け、自分が元々は弾丸から作り替えられた存在という事に衝撃を受けたが、何故か安心した表情を浮かべた。
「ですが……少し安心しました」
「え?」
「私は作り出された存在という事はアースの世界にはオリジナルの私が残っているという事ですね?もしも私がいなくなったら妹達の面倒を誰が見るのか不安でしたが、それを聞けて安心しました」
「あ~……」
彼女の語る妹とは龍殺しの英雄に出てくる他のヒロイン達の事であり、彼女達の性格を知っているレアは納得する。シルフィアは主人公の最初の仲間であると同時にヒロインの中でも年長者で纏め役を担っている苦労人という設定のため、もしも彼女がアースの世界から召喚された存在だったら大変な事になっていただろう。
※次回の更新は1月28日です。
竜殺しの英雄の物語の後半に入るとアースの世界は元々は地球であり、巨大隕石が落下した影響で魔素が誕生した事が発覚する。この魔素は生物には毒に近い性質を持つが、魔素をエネルギーと変換させる方法が判明し、驚異的な速度で科学が発展していた。主人公を助ける「神人」も魔素のエネルギーを利用して驚異的な戦闘能力を誇り、人類から龍を守り続けている――という設定になっている。
しかし、魔素が存在するのはあくまでもアースの世界の話であり、こちらの世界には魔素は存在しない。シルフィアはワイバーンを見た時に「魔素」を浴びて変異した「龍」だと勘違いしたようだが、ワイバーンはあくまでもこの世界の竜種でしかない。
「シルフィアさん、落ち着いて聞いて欲しい。ここには魔素は存在しないよ」
「え?な、なにを言ってるのですか……魔素が存在しない地域が残っているはずがありません」
「違う。この世界自体が魔素は存在しないんだよ」
「そんな馬鹿な……では、あの異形の生物は?」
「ワイバーンという名前の魔物だよ。この世界はああいった化物が生息しているんだよ」
「ワイバーン……?」
レアの説明にシルフィアは狼狽し、確かにワイバーンの肉体からは「魔素」が確認できず、通常の「龍」は高密度の魔素を所有している。神人であるシルフィアは龍を狩り、その体内から入手できできる魔素を回収して装備を強化したり、あるいは傷の治療や装備ユニットのエネルギーに変換できる。しかし、この世界には魔素その物が存在しないため、彼女はこのままでは危険な状態に陥る。
「俄かには信じ難いですが……確かに周囲1000キロの範囲内に魔素の反応がありません。先程から仲間に通信を行っていますが連絡が取れません……そもそもどうして私がこの場所にいるのでしょうか?」
「それは……ごめんなさい。実は俺が貴方を呼び寄せた……いや、多分ですけど作り出したんです」
「……作り出した?」
シルフィアは唖然とした表情を浮かべ、レアとしてもどのように説明すればいいのか分からず、まずは自分がこの世界に訪れるまでの経緯を離し、そして「文字変換」の能力を授かったことを話す――
――全ての話を終えるとシルフィアは最初は信じられなかったようだが、実際にレアの能力を確認し、この世界には「能力」と呼ばれる特別な存在する事を知る。最後にレアは自分達がワイバーンに追い詰められた際、漫画の知識を参考に「シルフィア」という存在を作り出したことを告げた。
「つまり……私は元々は漫画の中の登場人物のだと?アースの世界は架空の世界だというのですか?」
「いや……どうだろう。実際にそういう世界があるのかもしれないし、もしかしたらシルフィアさんの世界だと俺達が架空の存在かも知れない。少なくともこんな世界があるんだから、シルフィアさんの世界が実在してもおかしくはないよ」
「そうですか……それにしても私達を中心とした漫画が存在するなんて……それを見る事は出来ないのでしょうか?」
「いや、作り出せない事はないけど……あんまり見ない方がいいんじゃないかな。エロいから」
「エロい!?」
「エロくやばい事で大人気だったから」
「ど、どういう意味なんですか!?漫画では私はどうなっているのですか!?」
レアの言葉にシルフィアは目を見開き、いったい自分達が漫画ではどのような扱いを受けているのか気になるが、重要なのはここがアースの世界ではなく、異世界という事である。
「私はアースの世界から呼び出された……という訳ではないのですか?」
「多分、違うと思う。さっきも言っていたように俺の能力の本質は「物質変換」だから……」
「なるほど……つまり私はレア様の能力で作り出された存在なのですね」
シルフィアは自分の掌の拳銃の弾丸に視線を向け、自分が元々は弾丸から作り替えられた存在という事に衝撃を受けたが、何故か安心した表情を浮かべた。
「ですが……少し安心しました」
「え?」
「私は作り出された存在という事はアースの世界にはオリジナルの私が残っているという事ですね?もしも私がいなくなったら妹達の面倒を誰が見るのか不安でしたが、それを聞けて安心しました」
「あ~……」
彼女の語る妹とは龍殺しの英雄に出てくる他のヒロイン達の事であり、彼女達の性格を知っているレアは納得する。シルフィアは主人公の最初の仲間であると同時にヒロインの中でも年長者で纏め役を担っている苦労人という設定のため、もしも彼女がアースの世界から召喚された存在だったら大変な事になっていただろう。
※次回の更新は1月28日です。
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