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廃墟編
マカセの判断
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「戻せ!!俺を元に戻せ!!」
「そんな事をすればまた俺達を襲うだけだろ。それに俺の能力は一度きりしか使えないからもう元には戻せないんだよ」
「え、そうなんですか?」
レアの言葉にマカセよりも先にイリスが反応するが、実際の所はそんな制限は存在しない。しかし、そういわなければマカセが納得するはずもなく、レアは彼に淡々と告げる。
「もうお前は正真正銘の人間だ。吸血鬼には戻れないよ」
「いえ、マスター……吸血鬼に噛まれると吸血鬼になるそうなので絶対に戻れないとは言い切れませんよ?」
「あ、そうか」
「そ、そうだ!!吸血鬼にさえなれれば!!」
シルフィアの言葉にマカセは他の吸血鬼に噛まれる事で吸血鬼の肉体を取り戻せる事に気付き、慌てて逃げ出そうとする。しかし、そんな彼にレアは解析の能力を発動させ、今度はレベルの項目を変化させた。
「逃がすか」
「うぐぁっ!?」
「わっ!?何ですか急に!?」
「これは……?」
視界に表示された画面にレアが文字変換の能力を発動させ、レベルを一気に「43」にまで下降させる。レベルが落ちた事でマカセは自分の肉体に押しかかる重力が増加したかの様な感覚に襲われ、そのまま転んでしまう。
「な、何を……身体が重い!?」
「逃がすか!!シルフィア!!」
「はい!!ウィップ!!」
逃げ出そうとしたマカセに対してシルフィアは右手を伸ばし、腕の紋様を「鞭」に変形させ、光の鞭を放つ。そのままマカセの右足を拘束すると力尽くで引き寄せた。
「こちらに来なさい」
「ぐああっ!?」
「あ、ちょっ……出来れば手荒な真似はしないでね」
「大丈夫です。威力は調整しています」
光の鞭を受けたマカセは悲鳴を上げ、掴まれた部分が焼け焦げる。どうやらシルフィアの扱うナノマシンから生み出された「武器」は高熱を帯びているらしく、巻き付いたマカセの足首を危うく溶かしかける。
「く、くそうっ……何なんだお前等は!?人間じゃないのか!?」
「御二人は人間ですが、私は神人です」
「し、しんじん?何を言っている!?」
「そこら辺の説明は面倒だから後にする。それより、いい加減に諦めなよ。魔王軍とやらの情報を教えて欲しい」
「殺せっ!!」
意地でも魔王軍の情報を明かさないつもりなのかマカセは足首を抑えながら叫び声を上げ、レア達を睨みつける。このままでは情報を聞き出せそうはなく、仕方なくレアは解析の能力で表示した画面を確認する。
(どうするかな……しょうがない、上手くいくと良いんだけど)
痛めつけた所でマカセが従う様子はなく、レアは考えた末に状態の項目に視線を向ける。彼は先程のシルフィアの攻撃で「負傷」という文字に代わっている事を確認すると、今度は長文を書き込む。
「これでどうだ?」
「うっ……!?」
「マスター?」
「何をしたんですか?」
レアの行動にシルフィアとリーリスは不思議そうに眺めるが、直後にマカセの肉体が光り輝き、足首の傷跡が消失する。その後、彼は無言で立ち上がり、レアの前で跪いた。
「どうかご命令ください。我が主よ」
「はあっ!?」
「えっ!?」
「お、おおっ……本当に上手くいったよ」
――マカセの態度の急変にシルフィア達は驚愕するが、レアはマカセの行動を見て冷や汗を流す。レアが行ったのは「状態」の項目に「レアに絶対服従」という文字を書き込んだだけであり、精神面にまで影響を及ぼすのか先ほどまでの態度はどうしたのか、マカセはレアの前で深々と頭を下げる。
「主、この俺の先程までの醜態をどうかお許しください」
「ああ、うん……別にいいよ」
「な、何をしたんですか?どうして急に……」
「洗脳?いえ、これは……」
「えっと、後で説明するよ……マカセ、お前の知っている情報を全て話せ」
「はい!!」
自分の「主人」であるレアの命令にマカセは嬉々とした表情で頷き、そのまま彼は知っている限りの魔王軍の情報を語る。先ほどまでの抵抗が嘘だったかのようにぺらぺらと内情を話すマカセにリーリスは戸惑うが、レアの能力を理解しているシルフィアは黙って彼の話を聞く。
「魔王軍の幹部は全員で6名、俺はその内の1人です」
「6人か……という事は他に5人いるの?」
「はい。かつては大勢の幹部が存在しましたが、その殆どが過去に召喚された勇者に殺されました」
「それなら魔王軍の中で一番偉い人間は?」
「いません。過去の大戦で魔王軍を結成した魔王様は既に勇者によって打ち滅ぼされています。だから生き残った幹部が集まり、魔王軍を再結成しました」
「え?じゃあ、今の魔王軍は6人で形成されているわけ?」
「そうです。ですが、幹部の中で古株のイルミナと呼ばれるサキュバスが組織を管理しています。この女は性格は最悪ですが、能力は確かなので今のところはイルミナを中心に纏まっています」
「イルミナ……その女が実質的に今の魔王軍のトップという事ですか」
マカセの言葉にシルフィアは魔王軍のトップの名前を知り、目つきを鋭くさせる。
「そんな事をすればまた俺達を襲うだけだろ。それに俺の能力は一度きりしか使えないからもう元には戻せないんだよ」
「え、そうなんですか?」
レアの言葉にマカセよりも先にイリスが反応するが、実際の所はそんな制限は存在しない。しかし、そういわなければマカセが納得するはずもなく、レアは彼に淡々と告げる。
「もうお前は正真正銘の人間だ。吸血鬼には戻れないよ」
「いえ、マスター……吸血鬼に噛まれると吸血鬼になるそうなので絶対に戻れないとは言い切れませんよ?」
「あ、そうか」
「そ、そうだ!!吸血鬼にさえなれれば!!」
シルフィアの言葉にマカセは他の吸血鬼に噛まれる事で吸血鬼の肉体を取り戻せる事に気付き、慌てて逃げ出そうとする。しかし、そんな彼にレアは解析の能力を発動させ、今度はレベルの項目を変化させた。
「逃がすか」
「うぐぁっ!?」
「わっ!?何ですか急に!?」
「これは……?」
視界に表示された画面にレアが文字変換の能力を発動させ、レベルを一気に「43」にまで下降させる。レベルが落ちた事でマカセは自分の肉体に押しかかる重力が増加したかの様な感覚に襲われ、そのまま転んでしまう。
「な、何を……身体が重い!?」
「逃がすか!!シルフィア!!」
「はい!!ウィップ!!」
逃げ出そうとしたマカセに対してシルフィアは右手を伸ばし、腕の紋様を「鞭」に変形させ、光の鞭を放つ。そのままマカセの右足を拘束すると力尽くで引き寄せた。
「こちらに来なさい」
「ぐああっ!?」
「あ、ちょっ……出来れば手荒な真似はしないでね」
「大丈夫です。威力は調整しています」
光の鞭を受けたマカセは悲鳴を上げ、掴まれた部分が焼け焦げる。どうやらシルフィアの扱うナノマシンから生み出された「武器」は高熱を帯びているらしく、巻き付いたマカセの足首を危うく溶かしかける。
「く、くそうっ……何なんだお前等は!?人間じゃないのか!?」
「御二人は人間ですが、私は神人です」
「し、しんじん?何を言っている!?」
「そこら辺の説明は面倒だから後にする。それより、いい加減に諦めなよ。魔王軍とやらの情報を教えて欲しい」
「殺せっ!!」
意地でも魔王軍の情報を明かさないつもりなのかマカセは足首を抑えながら叫び声を上げ、レア達を睨みつける。このままでは情報を聞き出せそうはなく、仕方なくレアは解析の能力で表示した画面を確認する。
(どうするかな……しょうがない、上手くいくと良いんだけど)
痛めつけた所でマカセが従う様子はなく、レアは考えた末に状態の項目に視線を向ける。彼は先程のシルフィアの攻撃で「負傷」という文字に代わっている事を確認すると、今度は長文を書き込む。
「これでどうだ?」
「うっ……!?」
「マスター?」
「何をしたんですか?」
レアの行動にシルフィアとリーリスは不思議そうに眺めるが、直後にマカセの肉体が光り輝き、足首の傷跡が消失する。その後、彼は無言で立ち上がり、レアの前で跪いた。
「どうかご命令ください。我が主よ」
「はあっ!?」
「えっ!?」
「お、おおっ……本当に上手くいったよ」
――マカセの態度の急変にシルフィア達は驚愕するが、レアはマカセの行動を見て冷や汗を流す。レアが行ったのは「状態」の項目に「レアに絶対服従」という文字を書き込んだだけであり、精神面にまで影響を及ぼすのか先ほどまでの態度はどうしたのか、マカセはレアの前で深々と頭を下げる。
「主、この俺の先程までの醜態をどうかお許しください」
「ああ、うん……別にいいよ」
「な、何をしたんですか?どうして急に……」
「洗脳?いえ、これは……」
「えっと、後で説明するよ……マカセ、お前の知っている情報を全て話せ」
「はい!!」
自分の「主人」であるレアの命令にマカセは嬉々とした表情で頷き、そのまま彼は知っている限りの魔王軍の情報を語る。先ほどまでの抵抗が嘘だったかのようにぺらぺらと内情を話すマカセにリーリスは戸惑うが、レアの能力を理解しているシルフィアは黙って彼の話を聞く。
「魔王軍の幹部は全員で6名、俺はその内の1人です」
「6人か……という事は他に5人いるの?」
「はい。かつては大勢の幹部が存在しましたが、その殆どが過去に召喚された勇者に殺されました」
「それなら魔王軍の中で一番偉い人間は?」
「いません。過去の大戦で魔王軍を結成した魔王様は既に勇者によって打ち滅ぼされています。だから生き残った幹部が集まり、魔王軍を再結成しました」
「え?じゃあ、今の魔王軍は6人で形成されているわけ?」
「そうです。ですが、幹部の中で古株のイルミナと呼ばれるサキュバスが組織を管理しています。この女は性格は最悪ですが、能力は確かなので今のところはイルミナを中心に纏まっています」
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マカセの言葉にシルフィアは魔王軍のトップの名前を知り、目つきを鋭くさせる。
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